☆愛さんお誕生日おめでとう!☆
『
助っ人と言うからには生徒会に必要な書類を提出しなければならないわけで、そしてそのあたりの仕事は全部俺に振られる状況なので……。
「ねーいいでしょはるぴょーんっ!」
「ダメだ」
「なんでー!?絶対楽しいよ、『ダジャレ100連発同好会』!!」
「27個目くらいでつまづきそうなやつは承認できないっつーか宮下よ当たり前のように居座るな。一応関係者以外は立ち入り禁止だから」
「関係者だしっ、立派な助っ人だもん!!」
「その助っ人許可証を出してくれる者にこの仕打ちってお前」
宮下が助っ人を引き受けるたび……こうやって、仕事をしながら(俺をはるぴょんなんて可愛いがすぎるあだ名で呼ぶ)彼女の相手をしなければならない、のだ。
♪
「助っ人許可証」。名前通り(本当は長ったらしい正式名称があるのだが、誰も使わないので省略する)、自分が所属してある部活以外の所で活動するための公式な書類だ。
部活の助っ人と言うのはアニメやラノベの世界ほど簡単ではなく、それ相応の責任を持った行動が求められる。その始まりとして、「その大会においてのみ、その部活の正式なチームメンバーである」という証明書を連盟に提出しなければならない。
そして当然ながらその手続きは助っ人本人(今回の場合は宮下)が生徒会に直接出向き、申請をする必要が出てくるわけだ。まあ彼女の場合常連というか、生徒会に出向くのも慣れたもの、とでもいうのかはわからんが……。
「じゃあこんなのはどう!?『ダジャレ大喜利流しうどん同好会』とか!」
「落語同好会と被るから却下」
「いやうどんには突っ込んでほしいな……」
宮下が書類の申請に来るたびに奇っ怪な部活の立ち上げを宣言し、俺がダメ出しをするといういつものやりとりが固まりつつあった。
「つーか宮下。何故にそんな部活を立ち上げたがる?」
流れで素朴な疑問をぶつけてみる。どんな部活でも高いレベルでこなせる彼女が、なぜ新しい部活に手を出そうとしているかが、ずっと気になっていたのだ。
「愛さんにピッタリなフィールドを見つけるため、かな!……ちなみにはるぴょんはさ、愛さんに向いてる部活ってなんだと思う?」
急に神妙な面持ちで聞いてくる彼女に、俺は数秒考え込んだのち、こう答えた。
「そうだな……宮下、アイドルとか似合うかもな」
「うえぇ!?愛さんがアイドルぅ!?!?……じ、冗談きついってば!」
「いや、普通に似合うと思うぞ。可愛いし。ルックス的にも、性格的にも」
「……はるぴょんってさ、無自覚に二股かけるタイプ?」
「なんじゃその評価は」
純粋に褒めたつもりが、なぜか不名誉な称号を得ただけに終わってしまった。だが宮下自身もまんざらではない表情だったので、まあ良しとしよう。
♪
「確認な。フットサル同好会が一枚、バスケ部が一枚、流しそうめん選手権が一枚……で間違いな
「OK!」
「返事が早すぎるわ……あいよ」
そんなこんなで無事全ての書類を作成し、彼女へ手渡す。
「ははーっ、たしかに頂きましたぞよ、生徒会役員殿」
「どんなキャラだ」
「こんなキャラ」
「そりゃあそうだろうけどよ……」
勢いによってガンガン語彙を紡いでいる彼女のペースは楽しいものの、なかなか着いていけない。だがこれこそ宮下の真骨頂だ、とも思う。
「お仕事頑張ってね、はるぴょんっ!
「ありがとう宮下、そっちも助っ人頑張ってな。あと今のは仕事(ワーク)とワクワクと枠をかけたんだろうが最後は若干無理矢理な気がするわ」
「はるぴょーん!!ギャグを説明したうえで冷静な分析をしないでぇーっ!!!」
二人きりの生徒会室に、部室棟のヒーローの情けな可愛い絶叫系ツッコミが叩きつけられる。宮下とのやりとりで必ずと言っていいほど起こる、いつものオチ……なのだ。
♪
『宮下、アイドルとか似合うかもな』
俺のかけた何気ない言葉。それがそう遠くない未来、彼女が皆のハートをサイコーにテンアゲし、愛さん自身のアイを燦々とさせるきっかけになろうとは……この時はまだ知る由もなかった。
以上で、俺と宮下の距離に関する話は終わりである。これから先の物語も追々紡ぐことになりそうだから、楽しみにしていてほしい。
おしまい