色んなヤツに気に入られた……何で?   作:taiyaok

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第三話。

アラヤの能力についての話ですが少し複雑な仕組みです。


能力のネーミングセンスが皆無ですがご了承ください。



あと少しアラヤの過去話があります。


掟と罰 前

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 それは始めに言われた。

 

 

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 次にそれを言われた。

 

 

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 だが、必ず守れと。

 

 

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 言われたのは()()でのことだった。

 

 

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 いつか役に立つが来るさ。耐え抜けばだがな。

 

 

 ん?あぁ、二番目に言ったことはいつか分かる。

 

 

 下手なことはするなよ。

 

 

 そうすれば、自由にしてやるよ。

 

 

 では精々働けよ。 商品番号0563。

 

 

 

 

 

 

 

「…最悪の目覚めだ…」

 

 流星街から数日をもって漸く自身の拠点に帰ったアラヤはシャワーも浴びずベッドに倒れこむ。疲れていたせいかあっという間に寝ることが出来た。消えゆく意識の中でこのまま半日ぐらい寝ていようと思った矢先に見たくもない夢を見たしまった。どうせなら某暗殺一家のじじい共とやり合う夢の方が数倍マジだったと愚痴る。

 気分転嫁がてらカーテンを開けるも外は雨であり逆効果である。数日前に敵から盗った鞄を試す予定だったが気分が乗らず、そこらへんに投げる。

 シャワーでも浴びようと浴室に行く。洗面所で衣類を脱ぐにも体が怠くて面倒だ。それでも、着たまま入るわけにはいかないので何とか脱いでカゴに投げ入れる。外套が入りきらず、床に落ちてしまうが拾うのが面倒なので後で良いかとシャワーを浴びる。温水が気持ちよく数日の疲れが少しだけとれた気がした。

 シャワーを浴び終え、タンスから適当な服を取り着用する。そして、以前使っていた鞄からあるノートを取り出し開く。見開きに開かれたページにはアラヤの能力の事が書かれている。

 

 

 

 

 先に言っておくとアラヤの能力は『絶対服従』という特質系である。効果だけでいうと、自身のMOP(最大容量)POP(潜在オーラ量)AOP(顕在オーラ量)を能力の使用の間無理矢理増やすのだ。加えて傷の痛みや疲れを使用中忘れさせる効果もある。しかし、基本的には訓練でこの三つを増やすのが普通である。それを一時的とはいえ最大何十倍にも増やせることが可能であるが、代償はかなり大きい。

 

 この能力はまず、使用中の間これだけは何があっても守るという掟を一つ定める。これを『絶対ルール』と呼ぶ。アラヤの『絶対ルール』は『使用中誰も殺さない』である。因みにこれを破れば即座に死ぬ。

 

 『絶対ルール』を定めたら、更に三つの掟を定める。これを『表のルール』と呼ぶ。三つあるが一つ破るごとにアラヤに罰が下る。一つ破れば三日、二つ破れば十日、三つ破れば一か月の間念能力が使えなくなる。罰は能力解除後に生じる。破る前に能力を解除すれば罰は無いが、オーラを無理矢理増やしたことにより肉体そのものがダメージを受け疲弊する。『表のルール』の間はオーラが三倍に増える。アラヤの『表のルール』は『戦闘は五分間だけ』、『会話を一切禁じる』、『相手の攻撃を受けない』である。

 決めた掟はどこかに書き記さないといけない。これが能力発動条件の一つである。因みに能力発動条件はあと一つある。

 

 

 もし『表のルール』を全て破った際に発動するのが『裏ルール』と呼ばれるモノである。『裏ルール』の使用中オーラが五倍に増える。更に三分間の間アラヤ自身が見た、経験した他の念能力を何度でも使うことが可能になる。だがこの『裏ルール』を破れば、半年の間念能力はおろかオーラそのものが出せなくなる。これは破る破らないに係わらず『裏ルール』を使用した時点で五年分の寿命を縮める。

 

 

 

 そして、『裏ルール』をも破った場合あることをしないといけないのだが、それはもう使わないと決めている。

 

 肝心な残り一つの能力発動条件だが、それは敵の目の前にいるか敵の『円』の圏内に入っているかである。この二つを満たせば能力発動が出来る。能力発動の際には『オン』、解除の際には『オフ』と唱える。

 

 

 『裏ルール』を破るというのは、『表のルール』つまり能力を使用する際に一つ掟を唱える。それが『裏ルール』の掟となる。唱えなかった場合『表のルール』を破った際に『オン』と唱えても『裏ルール』は発動しないのだ。

 

 

 因みに掟を変えることは可能である。その際は書かれたページを破り欠片も残さず処分し、新たなページに書き記せば成立する。

 

 

 これがアラヤの『絶対服従』という能力なのだが、羨まれる能力ではない。むしろ要らないとされる能力である。だが、念能力とはその人の個性が出る。特に特質系は血統や生い立ちによって発現する。アラヤのは生い立ちによるものだ。

 もし、育ち方が違っていれば強化系とかになったのだろうかと考えるも、そもそも念を知る機会がくるのか疑問である。だが、この能力のお蔭で助かった時もある。それを考えると上手く使えてるのかもしれない。正直あの頃はもう思い出したくもない。出来れば忘れたいと思ってはいるが、ふと夢に見る時がある。

 

 毎日が地獄でしかなく、毎日誰かの断末魔が響ているのをただ、黙々と何かをしながら聞くということを繰り返していた。最初は五月蠅くてしょうがなかったが数日も経てば慣れた。どんな罰を受けようともいつか来るであろう自由のためにただ続けた。

 

 数か月経った頃からだろうか。毎日誰かがいなくなる。何でと思ったが誰に聞いても知らないと言う。

 

 それからまた時が経った。もう数えるのが面倒くさくなった。

 

「おい!他のものはどうした!何故いない!!」

 

 突如大男が来た。

 

「全部貴様のせいだ!ゴミの分際で人間様にたてつきやがって!調子に乗るなよゴミくずが!」

 

 

 何で?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一人になった。けど自由は来ない。どれくらい続けたのか分かんないけど、疲れてきた。というかもう面倒くさい。

 

 

 

 

 知らない人が来た。見たら爺だった。

 

「残っておるのはお主だけかいのぅ?」

 

 周りを見渡す爺にここ飽きたと言えばそうかと言われ摘まみ上げられた。

 

「ワシのとこに来るか?」

 

 頷くと何処かに連れていってくれた。途中変な乗り物とかいうやつに乗った。疲れていたから寝た。起きたら病院とかいう所に連れてこられた。ベッドというモノはフカフカらしい。寝ると気持ちよかった。

 次の日爺が来た。

 

「お主名前は?」

 

 一応覚えてた。偶に忘れそうになったけど。そうかと言われ、また何処かに連れてってくれた。

 自称お姉さんの所に来た。数年後ムキムキのおばさんと知ると笑顔で殴られた。死ぬかと思った。三途の川というモノが見え、自称お姉さんが笑顔で足を引きずっているという恐怖の絵が出来上がった。何かの賞がとれるんじゃないかと思い書こうとしたが何故か寒気を感じ止めた。

 

 

 どれくらい経っただろうか、あることを教えるそうだ。何かなぁとワクワクしていたが死ぬ気でやんなさいなと言われた。

 

 

 

 

 

 そこで初めてオーラや『念』というモノをアラヤは教わった。というのも実際に教わったのはハンター試験合格後である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今思えば、あの時何で爺が急に来たのか分かんねぇ。」 

 

 思えばそこを出たときあの大男も他の人間もいなかった。当時は気にも留めなかったが今となって考えてみれば疑問が生じる。

 

「…まぁいいか…」

 

 今更考えることでもないかと置いとき、今は休むことにしようともう一度寝る。

 

 

 

 

 起きたころにはもう夜になっていた。雨の中買い物に行くのも面倒なのであるもので適当に作ろうと何があるかなと漁る。出したものを並べ調理に入る。数十分で作り終え箸と皿を出す。テーブルに持っていくにしても食べるのは一人なので台所で食べる。量も少ないので直ぐに食べ終わり、食器を洗って片付ける。片付けを終えベッドに入り寝る。

 雨音が無音の部屋の中で激しく響く。雨は朝の時よりも激しくなっている。何の根拠もないが暫くは雨ばかりが続くだろうとアラヤは予想して深い眠りについた。

 

 

 

 偶々予想が当たり数日の間雨が続いた。傘を差せば外に出れないことはないが特に出る理由もない。『念』の修行でもしたいが数週間程止められている。理由はやりすぎてしまうからである。

 以前アラヤに『念』を教えてくれた人物が一度仕事の関係で留守にしないといけない時に「死ぬ気でやるのはいいけどちゃんと休むこと。いい?」と言い残たが、アラヤはそれを無視して修行を続けた。結果は言わずもがな、体はボロボロになり、立てなくなる程までになった。当たり前だが立てない状態かつ、一人しか居ないので食事はおろか水も飲めない。倒れて数時間して意識が無くなった。

 そこで、仕事を早く終わらせて来たのかその人が帰ってきた。アラヤが倒れていることに気付くと直ぐに手当てをしてくれた。

 暫くして、アラヤが目を覚ますと怒り狂ったその人が仁王立ちで立っていた。どうやら死ぬ一歩手前までの状態だったらしい。「休めと言ったこと忘れたの!?」と叱られる。早く強くなりんだと返せば「…確かに早く強くなるにこしたことはないけどね…それで体を壊しちゃぁ本末転倒だわさ。」と正論で返してきた。罰として暫くは修行を禁止でちゃんと休むことと言われ、休む大切さを知りなさいと額を小突かれた。

 しかし、最近同じ事を犯してしまい「またやったわね?」と何故かバレてしまい禁止された。よってやることも無くベッドで横たわる。そこで数日前に手に入れた鞄を試してみる。

 

 まず鞄を開けてみるとどこかの空間に繋がっているようだ。試しに手を入れ中を探ってみると意外にも何も入っていなかった。手に入れたばかりなのか、入れるモノがなかったのか分からないが何か入っていたら使おうと思っていたのにと少ししょんぼりする。とりあえず何か入れてみるかと試すために文具を取り出し鞄に入れてみる。本当に取り出せるのか半信半疑だが、鞄に手を入れると先程入れた文具を取り出すことが出来た。まぁ一個だけだしと当然かと考え、次は複数入れてみることにした。

 試してみて、どうやら容量の制限はなく本当に何でも入るらしい。実際にタンスなど鞄よりはるかに大きいモノを入れてみると吸い込まれるように入っていった。流石にこれには驚いた。それに取り出す時は頭で思い浮かべたモノを直ぐに取り出せるようになっている。何も考えず取り出そうとすると最初に入れたモノから順番に出せるようになっている。便利な道具を手に入れたことよりもその情報を提供してくれたことに感謝である。

 

 鞄の性能を試し終わりいよいよやることも無くなった。偶にはダラダラ過ごすのも良いかとベッドで横たわるも何もしない時間というにが勿体無いと感じてしまい座学でもしようとテーブルに移動する。だが、数分足らずで飽きてしまった。そこであることを思い付いた。思い付いたというよりは何故それを考えもしなかった自分に呆れる。

 

「瞑想があった…考えれば簡単なことじゃないか…俺は馬鹿だな。」

 

 と言いながらベッドに足を組んで座り、瞑想を始める。

 

 

 そんな生活を一か月続けている時に一つの電話が来る。

 

 

『もしもし?アラヤ君?今大丈夫?』

 

「んぁ…大丈夫だ。」

 

『もしかして寝てた?』

 

「いや…丁度起きた…」

 

『それを寝てたって言うんだよ。』

 

 フフッと笑みを浮かべているだろう電話の主はクルタ族って知ってる?と聞いてきた。

 

「少数民族ってことと感情が昂ると緋の目がどうとかぐらいしか…」

 

『その緋の目が狙われているらしいの。情報源は何処か気になるだろうけど、今はそんなことを説明してる場合じゃないの。兎に角今から言う場所に今すぐ行って!』

 

 と場所は分かったものの何故知っているのか謎である。噂で聞くとクルタ族はある山奥で暮らしていて外に出ることを固く禁じているのだが、本当なのかどうかは分からない。だが、食料などはどうするのだろうか?もっと言えば生活必需品などはどうやって手に入れているのか全てが謎だらけである。実際、緋の目というものがあるかさえ分からない。聞けばかなり高価で売れるらしいが当然見たこともないので不明である。

 

「…分かった。だが、山奥という事はバイクでは入れないな…」

 

『もう直ったの?』

 

 アラヤは元々バイクで移動するが一か月以上前に故障してしまい、隣町に住んでいる知人に預け見てもらっていたのだ。それが一週間程前に直ったと連絡が来たのだが取りに行くのが少し面倒くさかった。

 

『本当は私もそっちに行きたいけど急な依頼が入ってそっちに手一杯だから。終わったら直ぐそっちいけるんだけど、長いこと掛かりそうだからごめんね。』

 

「そこは気にしなくていい。問題は狙っている連中の情報が全くないことだ。」

 

『ごめん。私も複数で行動してるとしか分からないの…』

 

「いや、それだけでもありがたい。」

 

『…じゃあ、お願いね。』

 

 あぁと返すとツーと電話が切れる。早速準備をする。五分で準備を終え玄関に行く。

 

「『表』だけで済めば良いんだがな…」

 

 アラヤの予想だと『裏』を使う羽目になるだろうと考えている。もし『裏』を使って破ったとすると、問題はその後の半年どう生き延びるかだ。アラヤが拠点としている所は比較的安全だが問題が全く無いわけではない。そこでオーラを使う者に出会ったら確実に死ぬだろう。

 

「まぁ…その時考えよう。…行くか。」

 

 

 

 覚悟を決め、ドアノブを捻る。まずはバイクを取りに行く為に隣町に。隣町とはいえ距離がそこそこあるので果たして隣町とは言えるかどうか怪しいが。

 

 

 

 

 

 

 

 まだ朝だというのに外は明るかった。空を見上げ太陽の眩しさに目を細めながら手を前にかざす。珍しく気分の良い朝を迎えれた気がした。そんなことを思いながら目的地まで歩く。

 

 

 

 

 




次は恐らく後編になると思いますが、中編になったらすみません。

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