明『お待たせ茨、ゴメンね遅くなっちゃって。』
茨『大丈夫ですよ、私も今出てきてところですから。』
明『ネクタイ締めるの手間取っちゃってさ、こんな事なら練習しとけばよかったよ。ちゃんと締められてるかな?』
茨『大丈夫ですよ。制服姿、よく似合ってますよ。』
明『茨も、雄英の制服よく似合ってるよ。』
茨『ありがとうございます。では、参りましょうか。』
今日僕達はいよいよ雄英高校に入学する。ヒーローになるためへの第一歩がスタートするのだ。
明『そうだ茨、頼みたい事があるんだけど。』
茨『頼みたい事、なんですか一体?』
明『いずれバレるかもしれないけど、僕が特別推薦枠だって事と仮免を持ってる事、あと僕達が恋人同士な事を他のクラスメイトには秘密にしてほしいんだ。』
茨『恋人同士はともかく、特別推薦枠と仮免の事は話してもいいのではないですか?』
明『特別扱いじゃなく、皆と同等の立場で高校生活を送りたいんだ。お願いできるかな。』
茨『なるほど、明らしいですね。分かりました。私からは話さないようにしますね。』
明『ありがとう、茨。』
茨とそんなやり取りをしながら僕達は雄英高校に到着した。
茨『入試以来ですね。』
明『いよいよ雄英での高校生活がスタートするわけだ。』
茨『早速クラス表を確認して教室に入りましょう。』
僕達がクラス表を確認しに行こうとしたその時、
?『あのー、すいません。』
突然後ろにいた女性から声を掛けられた。
明『はい、なんですか?』
?『もしかして、悟空の個性の方じゃないですか?』
明『そうですけど、あなたは?』
?『私、推薦入試で御一緒だったのですけど。』
明『思い出した!確か体内から物を創り出す個性の人だよね。』
八百万『はい。私八百万百と申します。よろしくお願いします。』
明『僕は野沢明。名前の明で呼んでくれる。隣の彼女は僕の幼馴染みで塩崎茨さん。』
茨『塩崎茨と申します、よろしくお願いします八百万さん。』
明『よければ一緒にクラス表の確認に行かない?』
八百万『では、御一緒させていただきますね。』
僕達は3人でクラス表を確認する事にした。
明『茨、見つけた?』
茨『はい、1年B組でした。明はどうでしたか?』
明『僕もB組。案の定一緒のクラスだったね。』
茨『そうですね。』
八百万『明さん、案の定とはどういう事ですか?』
茨『私達縁があるようで、小学校1年の時から9年間ずっと同じクラスなんです。』
明『だから案の定って言ったの。』
八百万『それって縁を通り越して、もはや運命じゃないですか!?』
明『そんな大袈裟な。ところで、八百万さんのクラスは?』
八百万『私は1年A組でした。』
明『別れちゃったか。でも昼休みや放課後会えるからあまり気にしなくていいんじゃない。』
八百万『そうですね。』
茨『では、教室へ参りましょうか。』
僕達は校舎に入り、八百万さんは1年A組、僕と茨は1年B組へと向かった。
茨『大きな扉ですねぇ。』
明『異形型に配慮した扉らしいよ。』
教室に入ると既に何人か入っており、その内の2人が僕達に向かって歩いてきた。
『ねぇねぇ、あんた悟空の個性の人だよねぇ。私推薦入試で一緒だったんだけど、覚えてる?』
『俺も推薦入試で最後のマラソン一緒に走ったんだけど、覚えてるか?』
明『ちょ、ちょっと待って。あなたは確か、体をバラバラにする個性の人だよね。』
取蔭『あったりー!私取蔭切奈、よろしくね。』
明『で、君は確か、触った物を柔らかくしてたよね。』
『正解。俺は骨抜柔造、よろしく。』
明『二人共よろしく。僕は野沢明、名前の明で呼んでくれる。こちらは僕の幼馴染みで塩崎茨さん。』
茨『塩崎茨と申します。よろしくお願いします、取蔭さん、骨抜さん。』
取蔭『切奈でいいよ。そのかわり私も茨って呼ぶからね。よろしく茨。』
骨抜『よろしくな塩崎。教卓に座席表があるから確認するといい。』
座席表は以下のとおり。
【教卓】
吹出 角取 小大 泡瀬
骨抜 円場 小森 回原
凡戸 鉄哲 塩崎 鎌切
物間 取蔭 宍田 黒色
鱗 柳 野沢 庄田 拳藤
人数の関係で1番後ろの列だけ横5人で縦の列の間に席がある配置だ。
取蔭『ねぇねぇ明、このクラスなんで21人だと思う。それに推薦枠4人のうち3人B組っておかしくない?』
明『そ、そうだね。でも先生方が考えた配置だから、何かしら意味があると思うよ。』
席に付くと取蔭さんにそんな質問をされたが、当たり障りのない返答でその場は凌いだ。その後他の生徒も続々と登校してきた。
柳『私は柳レイ子。よろしく。』
庄田『僕は庄田二連撃。よろしくね。』
宍田『私は宍田獣郎太と申します。よろしくお願いいたしますぞ。』
明『僕は野沢明。名前の明で呼んでもらえるかな。みんなこれからよろしく。』
僕は周りの席のクラスメイトと自己紹介をした。どの人も個性的で仲良くなれそうだ。
小森『私小森希乃子。これからよろしくノコ。』
鉄哲『俺は鉄哲徹鐵だ!よろしくな!』
鎌切『俺は鎌切尖。よろしく。』
茨『私は塩崎茨と申します。皆さん、これから3年間どうぞよろしくお願いします。』
どうやら茨の方も他のクラスメイトと仲良くなれたようだ。
『あー、盛り上がってるとこ悪いが、みんな自分の席に付いてくれ。』
僕達が自己紹介や談笑をしていると、ブラド先生が教室に入ってきた。どうやら予定通り1年B組の担任になったようだ。僕達は先生の指示に従い自分の席に付いた。
ブラド『みんな、雄英高校への入学おめでとう。俺はこのクラスの担任の管赤慈郎、ヒーローネームはブラドキングだ。俺の事はブラド先生と呼んでくれ。』
現役プロヒーローが担任という事でみんな少し興奮しているようだった。僕は校内見学や入試の見物で話をしていたので落ち着いていた。
ブラド『それでは出席を取るぞ。』
『ブラド先生、質問いいですか?』
ブラド『ん、どうしたんだ一体?』
右端のオレンジ色のサイドテールの女の子がブラド先生に質問した。
『このクラスって21人で合ってるんですか?』
ブラド『ああ。今年のヒーロー科はA組20人、B組21人の合計41人だ。』
『でも、定員は40人ですよね。どうして1人多いんですか?』
ブラド『うちのクラスに1人特別な生徒がいる。誰かはいずれ分かる。』
ブラド先生の言葉に殆どの生徒はざわざわして教室内を見渡していた。落ち着いていたのは僕と茨、同じ推薦入学の骨抜君と取蔭さんの4人だけだ。きっと2人は僕が特別だと思っているだろう。
ブラド『静かに!その生徒が特別だからといって特別扱いはしない。全員平等に時に優しく、時に厳しく接していくからな。では、出席を取るぞ。泡瀬洋雪。』
その後はブラド先生が出席を取り、簡単な話がされた。
ブラド『ではこの後入学式が行なわれるので体育館に移動するぞ。全員廊下に出て出席番号順に2列で並べ。』
僕達はブラド先生の指示に従い廊下に並んだ。
骨抜『なあ明。先生が言ってた特別な生徒ってお前じゃないのか?』
突然僕の後ろに並んでいた骨抜君に話しかけられた。
明『えっ!?ど、どうしてそう思うの?』
骨抜『だって試験の時見たけどお前の個性ものすげぇじゃんか。それに推薦枠が1クラスに3人いるし絶対お前だろう。』
明『で、でも僕より凄い個性の人がいるかもしれないよ。』
骨抜『まあ、その可能性もあるだろうけど。』
凡戸『ねぇねぇ、君の個性そんなに凄いの?あ、僕は凡戸固次郎、よろしく。』
明『僕は野沢明、よろしく。』
凡戸『それで野沢君、君どんな個性してるの?』
明『明でいいよ凡戸君。まあ、いずれ披露するから、その時までのお楽しみって事で。』
なんとかこの場は切り抜けたが、予想通り骨抜君は僕を特別な生徒だと予想していた。この調子じゃ特別推薦枠がみんなにバレるのは時間の問題だろう。
その後僕達は入学式に参加した。雄英高校の入学式だからといって特別何かある訳でも無く、校長先生の挨拶や来賓の挨拶や祝辞、ガイダンスの説明などが行われた。ただ1つ違ったのが、ヒーロー科1年A組の生徒全員が入学式に参加していなかった。
入学式終了後、教室に戻ると入学式の内容やA組が参加しなかった事、そしてうちのクラスの特別な生徒は誰かで盛り上がっていた。僕は茨とその様子を眺めていた。
茨『みんな特別な生徒が誰なのか気になっているようですね。』
明『なんだか犯人探しされてる気分だよ。いっそのことカミングアウトした方が楽になるのかなぁ。』
と、茨とそんな話をしていると、
拳藤『ねぇあんた達、随分仲がいいみたいだけど、どういう関係なの?あっ、私は拳藤一佳、よろしく。』
さっきブラド先生に質問していたオレンジ色のサイドテールの女の子、拳藤一佳さんが僕達に声を掛けてきた。
茨『私は塩崎茨と申します。拳藤さん、よろしくお願いします。』
明『僕は野沢明、名前の明で呼んでもらえるかな。よろしく拳藤さん。』
拳藤『私の事は一佳でいいよ。で、2人はどういう関係なの?』
茨『私と明は幼馴染みなんです。』
拳藤『幼馴染みかぁ。知り合ってどれ位なの?』
明『小学校に入学する前に知り合ったから、もう9年になるかな。』
拳藤『随分付き合いが長いんだ。』
柳『ねぇ、本当にただの幼馴染み?』
突然柳さんが僕達3人の会話に入ってきた。
柳『私は柳レイ子、よろしく。』
茨『あ、あの柳さん、それはどういう意味でしょうか?』
柳『レイ子でいいわ。いや、9年も付き合いのある男女だったら、恋人同士になってもいいんじゃないかなって思って。』
取蔭『えっ、なになに恋バナ?私も混ぜてよ。』
茨『こ、恋人だなんて私達はそんな大層な関係じゃ。』
明『そ、そうだよ。確かに仲はいいけど、本当にただの幼馴染みで、恋人同士なんかじゃ。』
柳『怪しいわねぇ。なんか2人共動揺してない?』
取蔭『溜め込むのは体に良くないよ。吐いちゃった方が楽になるよ。さあさあ。』
拳藤『2人共、他人のプライベートに首を突っ込むのは良くないよ。』
ブラド『よーしみんな、自分の席に付いてくれ。』
茨『あ、ブラド先生が来たので私は自分の席に戻りますね。』
茨は逃げるように自分の席に帰っていった。それに合わせて拳藤さんも自分の席に戻った。
取蔭『あーあ、せっかくいいところだったのに。』
柳『これは特別な生徒以上に調べる必要のある案件ね。』
取蔭『他の女子にも協力してもらおうか。』
明『2人共、いつまでも喋ってると先生に怒られるよ。』
今日3度目のピンチもなんとか切り抜ける事が出来た。だが、2人は他の女子にも協力してもらうなんて言ってたから、僕と茨の関係がバレるのも時間の問題かもしれない。思いきってカミングアウトした方がいいのかもしれないなぁ。
ブラド『お前達、入学式後に立て続けで申し訳ないが、これから体操服を配るから着替えてグラウンドに集合してくれ。』
拳藤『ブラド先生、一体何をするんですか?』
ブラド『それはグラウンドで説明する。更衣室に案内するから体操服を受け取ったら全員廊下に出てくれ。』
僕達は先生の指示に従い体操服を受け取ると廊下に出た。
いったいこの後何が行なわれるのやら。
いかがでしたでしょうか。次回はいよいよ個性把握テストです。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています