悟空の化身のヒーローアカデミア   作:烈光

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随分遅くなってしまいました。第15話です。戦闘訓練編はこれでラストになります。ではどうぞ。


第15話 初の戦闘訓練 その3

明『鉄哲君、立てるかい?』

 

鉄哲『ああ、大丈夫だ。くっそー負けちまったか。やっぱ強えな明は。特にあの連続蹴りはキツかったぜ。』

 

明『激烈連脚の事だね。』

 

鉄哲『激烈連脚?ファイターズのとは随分攻撃モーションが違うな?』

 

明『名前が一緒でも作品によって攻撃モーションが微妙に違うんだ。僕が使ったのは《超武闘伝2》のタイプ。28年も前(2021年時点)のゲームだから知らなくて当然だよ。』

 

鉄哲君は受けたダメージの割に元気にしていた。これならリカバリーガールの処置だけで問題ないだろう。問題は…

 

茨『一佳さん、大丈夫ですか?』

 

拳藤『しょ、正直、あまり大丈夫じゃないかな。体中あちこち痛いし、特に右手がヤバイよ。』

 

茨は拳藤さんの右手を見て青ざめていた。それ程酷い状態だった。

 

僕達は鉄哲君を僕が、拳藤さんを茨が担いでみんなの所へ戻る事にした。

 

モニタールームに戻るとみんなから「やり過ぎだ!」と怒られた。当然だ。茨を守る為とはいえ、2倍の界王拳で龍閃拳を打ったのだし、それ程の重傷を拳藤さんは負っているのだから。

 

拳藤『みんな明を責めないで。私が手加減するなって言ったんだから、当然の結果だよ。』

 

AM『拳藤少女、すぐにハンソーロボを手配するからリカバリーガールに治療してもらいなさい。』

 

明『あ、待ってください、オールマイト先生。』

 

僕はオールマイトを止めるとポケットから茶色の布袋を取り出し、その中に入っている緑色の豆を一粒取り出した。

 

明『拳藤さん、これ食べて。』

 

拳藤『明、何これ?』

 

明『いいから食べて。よく噛んで飲み込むんだ。』

 

拳藤『わ、わかった。』

 

拳藤さんは言われたとおり貰った豆を食べた。

 

『ポリポリポリ…ゴクン!』

 

すると

 

拳藤『!?』

 

小森『一佳、どうしたノコ?』

 

拳藤『スゴイ!体中の痛みが消えて、消耗してた体力も回復した!』

 

一同(AM含む)『えーーーーーっ!?』

 

鉄哲『まっ、マジかよ拳藤!?』

 

取蔭『一佳、右手はどうなってるの?』

 

拳藤『みんな見て!あんなにボロボロだったのに元通りになってるよ!』

 

小大『凄い。』

 

柳『ねえ一佳、個性は使えるの。』

 

拳藤さんは柳さんの質問に答えるため、右手を巨大化して見せた。

 

拳藤『大丈夫。大拳も自由に使えるよ。』

 

角取『明、ソノBeanはマサカ…』

 

吹出『《仙豆》なの?』

 

明『さすがポニーちゃんと吹出君、よく分かったね。2人が思ってる通り、この豆は《仙豆》だよ。僕の母さんが個性を使って作ってくれたんだ。』

 

(明の母の個性については4話を参照して下さい)

 

きっかけは僕が無断で3倍界王拳を使った事だった。今後も僕がこんな無茶をすると思った母さんは、枝豆をベースに仙豆を作ることにした。

 

勿論簡単に出来る訳ではない。何度も失敗を重ねていた。その度に『私の思いが足りなかった』と嘆いていたが、それでも諦める事なく栽培を続け、今年の正月に遂に仙豆の栽培に成功した。

 

そして仙豆の最初の体験者は僕だった。最初母さんに『動けなくなるまで3倍界王拳を使いなさい』と言われた時はビックリしたが、言われた通り3倍界王拳を使い、案の定痛みで動けなくなってしまったが、渡された仙豆を食べると体中の痛みが消えた事にさらにビックリした。

 

円場『スゲェ。本物の仙豆が存在するなんて。』

 

鎌切『リカバリーガール要らずじゃねえか!』

 

明『残念だけど、そういう訳にはいかないんだ。』

 

黒色『どういう事だ明?』

 

明『僕の個性と一緒で、栽培には原作と同じ日数がかかるし、収穫出来る量も原作と一緒なんだ。』

 

物間『へえ。で、何日かかって何粒採れるんだい?』

 

明『栽培には約45日。で、1度に7粒しか採れないんだ。』

 

鱗『たった7粒…』

 

明『だから母さんからは《半死半生の人を最優先にする事》ってきつく言われてるんだ。』

 

骨抜『なるほど。リカバリーガールでも対処出来ない大ケガとなると仙豆が必要になるからな。』

 

茨『皆さん、お話はそれぐらいにして、先生から講評をお願いしましょう。オールマイト先生、お願いします。』

 

AM『………』

 

茨『オールマイト先生?』

 

AM『ハッ!?な、なんだね塩崎少女?』

 

茨『あの、講評をお願いしたいのですが。』

 

庄田『どうしたんですかオールマイト?ぼーっとしてましたけど。』

 

AM『いや申し訳ない。野沢少年の豆の効力に驚いていたんだ。』

 

凡戸『へぇー、オールマイトでも驚く事あるんだ。』

 

宍田『我々はオールマイト先生に驚かされっぱなしですけどな。』

 

一同『アハハハハ!』

 

AM『ゴホン!では講評を始めるとしよう。』

 

その後オールマイトから講評が話された。まず、この戦いでのMVPは該当者無し、しいてあげるなら僕という事だった。

 

AM『ヴィランチームの2人だが、作戦自体は見事なものだった。野沢少年と塩崎少女を完全に分断していたからな。

 

ただし、問題はその後だ。2人共、野沢少年と戦う事にこだわり過ぎだ。特に鉄哲少年は1対1にもこだわり、拳藤少女もそれにあっさり了承した。

 

本番でそんなこだわりを持っていたら、ヴィランに簡単に逃げられてしまうし、最悪殺される可能性もあるぞ。状況によってはどんな手段を使ってもヴィランを捕まえなければならない事もある。それをよく理解するように。』

 

鉄哲『確かに、俺達明と戦う事にこだわり過ぎてたな。』

 

拳藤『個人の感情より、チームが勝つことを優先するべきだったね。』

 

AM『次にヒーローチームの2人だが、まず塩崎少女はヴィランチームの作戦にハマり何も出来ていなかった。

 

そして野沢少年だが、ヴィランチーム2人への立ち回りは見事だったが、やはり君も作戦にハマっていたからな。特に君の場合、建物に侵入する前に気を読んで2人の居場所を突き止めるべきだったな。

 

後は拳藤少女への最後の一撃だ。とっさの事とはいえ、力を上手くコントロールしないと、必要以上に相手を痛めつける事になるからな。ただ、その後の対処は見事だったぞ。』

 

茨『ごめんなさい明。私の軽率な判断でこのような結果になってしまって。』

 

明『気にしなくていいよ。僕だって茨の案にあっさり同意したし、もっと慎重に行動するべきだったね。』

 

AM『4人共、今回の訓練の結果をよく反省して、次の訓練にしっかり活かしてくれ。』

 

明・茨・拳藤・鉄哲『ハイ!』

 

AM『では、訓練はこれにて終了だ。みんな大きなケガもなくて何よりだ!それにみんな真摯に取り組んでいた。初めての訓練にしちゃ皆上出来だったぜ!!

 

では、私は報告する事があるのでお先に職員室に戻らせてもらう。皆も着替えて教室に戻るように!』

 

そう言うとオールマイトは急いで戻っていった。

 

明『あの、拳藤さん…』

 

拳藤『何、明?』

 

明『さっきはごめんなさい。僕のせいで拳藤さんを酷い目にあわせてしまって。』

 

拳藤『別にいいよ、気にしてないから。それに手加減するなって言ったのは私だし、私と本気で戦ってくれて嬉しかったよ。それよりよかったの?貴重な仙豆を私に使ったりして?』

 

明『それなら大丈夫。今のところ手元に9粒、家に10粒あるし、5月の中旬になればまた7粒できるから。ただ使った理由を母さんに話したら怒られるけどね。』

 

こうして多少のトラブルはあったものの、僕達の初めての戦闘訓練は無事に終了した。

 

〜一方、生徒から離れたオールマイトは〜

 

AM『あの仙豆という豆があれば、もしかしたら……よし!』

 

オールマイトはある決意を固めるのだった。

 

〜放課後〜

 

僕達は下校時間まで今日の訓練の反省会をすることにした。それぞれ個性の事や作戦、立ち回りの事など、ああでもないこうでもないと色々な意見が飛び交っていた。

 

鉄哲『ところで物間、お前他人の個性コピー出来るなら明の個性コピーすればお前も界王拳やかめはめ波が使えるんじゃないのか?』

 

物間『いや、何かしら蓄積が必要な個性はコピーしても役に立たないんだ。実際、昨日のテストで明の個性をコピーしたけど、界王拳使えなかったし。』

 

明『もしかして、昨日の握手ってそういう意味だったの?』

 

物間『そういう事さ。』

 

泡瀬『そういえば明が自己紹介の時に「技を使うにはその技に見合った厳しい修行をしなければならない」って言ってたよな。つまり物間も明がやってる厳しい修行をすれば、かめはめ波や界王拳が使えるようになるわけだ。』

 

茨『明は4歳になってから現在も毎日厳しい修行をしていますからね。』

 

明『どう物間君、一緒に修行してみる?』

 

物間『遠慮しておくよ。君の修行にはとてもついて行けないだろうし、そんな修行するくらいなら、もっと強力な個性をコピーした方が手っ取り早いしね。』

 

そんな話をしながら、いい時間になったので帰ろうとしたその時…

 

AM『私が頼みに来た!!!』

 

突然オールマイトが教室にやって来たのだ。

 

AM『よかった、まだ残っていてくれたか。実は野沢少年、君に頼みたい事があるんだ。』

 

明『僕に頼みたい事って、一体なんですか?』

 

AM『君の持っている仙豆を一粒分けてくれないだろうか。』

 

明『仙豆をですか?』

 

AM『ああ、実は私の友達で酷い怪我で苦しんでいる人がいてね、いろんな医者に診てもらったが、これ以上の回復は見込めないと匙を投げられてしまったんだ。』

 

明『なるほど。』

 

AM『私としても、なんとかその友達を助けたいと思っていたのだが、そんな時君の仙豆を目撃したんだ。』

 

そう言うとオールマイトは深々と頭を下げてきた。

 

AM『野沢少年、貴重な物だという事は分かっているが、無理を承知でお願いする。君の持っている仙豆を、一粒でいいから分けてもらえないだろうか。』

 

クラスメイトのみんなが僕の動向に注目していたが、僕の答えは決まっていた。

 

明『いいですよ。』

 

AM『えっ!?』

 

明『そもそも、みんなの前でオールマイトに頭を下げられたら、断る訳にいかないじゃないですか。それに、オールマイトの頼みだったら、母さんも納得してくれるでしょうから。』

 

そう言うと僕はポケットから布袋を取り出し、仙豆を一粒渡した。

 

AM『ありがとう、野沢少年。』

 

明『お友達のケガ、完治するといいですね。』

 

AM『ああ。早速食べさせてあげたいから、私はこれで失礼するよ。皆も気をつけて帰るんだよ。』

 

そう言ってオールマイトは教室から出ていった。

 

茨『明、オールマイト先生凄く喜んでいましたね。』

 

明『うん。ちゃんと仙豆が効いてケガが治るといいけど。』

 

取蔭『それにしても、オールマイトがあそこまで頭を下げてお願いするなんて、オールマイトの友達ってどんな人なんだろう?』

 

拳藤『それも気になるけど、もうすぐ下校時間だし、みんな早く帰ろう。』

 

そうして僕達はそれぞれ自分の家に帰宅した。

 

〜保健室にて〜

 

RG(リカバリーガール)『なるほど、話はわかったよ。しかし、その豆にそんな効力があるとは、にわかには信じがたい話だねぇ。』

 

AM『しかし、私はこの目で見ました。野沢少年との戦いでボロボロになった拳藤少女が、この仙豆を食べた途端、傷が癒え、体力も回復しました。特に右手はあなたの個性でも完治できるかどうかも分からない程の重傷を負っていましたが、元通りのキレイな右手に戻っていたのです。』

 

RG『それで、アンタはその豆で自分の体が元通りになるかもと思ってるんだね。』

 

AM『はい。もしかしたら今まで通りかもしれませんが、少しでも可能性があるのなら、私はそれに賭けてみたいのです。』

 

RG『わかったよ。じゃあ食べたらすぐに検査するから、ベッドに寝ておくれ。』

 

オールマイトは言われたとおりベッドに横になった。

 

RG『それじゃ、食べておくれ。』

 

AM『わかりました。』

 

『ポリポリポリ……ゴクン!』

 

RG『どうだい、気分の方は。』

 

AM『凄いです。今まで感じていた体の違和感が完全になくなりました。それに、5年前に『奴』に傷つけられる前の生命力が戻ってきました!』

 

RG『どうやら効果があったようだね。では、早速検査を始めるよ。』

 

その後、リカバリーガールによる精密検査の結果、半壊していた呼吸器官、全摘出した胃袋が完全に元の状態に戻っていた。さらに個性因子も完全回復した事が確認された。

 

こうして、オールマイトは完全復活を果たしたのであった。




第15話いかがだったでしょう。ドラゴンボールの原作では、仙豆を食べて摘出した臓器が再生するなんて描写はないですが、この小説オリジナルの設定という事で、大目に見て下さい。次回もお楽しみに。ご意見・ご感想お待ちしています。
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