〜リカバリーガールの出張保健所にて〜
明『う、うーん。』
茨『あ、明!気が付きましたか?』
明『茨、ここは?僕は一体?』
茨『ここはリカバリーガールの保健所です。あなたは武舞台で気を失って倒れたんですよ。』
明『そうだったのか…』
ふと横を見ると爆豪君もベッドで眠っていた。
茨『さあ明、仙豆です。食べて下さい。』
僕は差し出された仙豆を見て少し考えた。
明『茨、悪いんだけど、鎌切君呼んできてくれないかな。』
茨『え!?それは構いませんが、どうしてですか?』
明『悪いけど、頼むよ。』
茨『分かりました。』
そう言うと茨は保健所を出ていった。そしてしばらくすると鎌切君を連れて戻ってきた。
鎌切『明、大丈夫なのか?』
明『うん、なんとかね。』
鎌切『で、俺に何の用なんだ?』
明『茨、仙豆を。』
僕は茨から仙豆を一粒受け取った。
明『鎌切君、この仙豆、2つに切り分けてもらえるかな。』
鎌切『えっ!?それはいいが、何でそんな事するんだ?』
明『ちょっとね、悪いけど頼むよ。』
鎌切『わかった。』
鎌切君の個性“刃鋭”で仙豆を半分づつに切り分けてもらった。そしてその片方を食べた。半分だったので完全回復とはいかなかったが、体の痛みは消え、自由に動ける程度には回復した。
明『ふう。リカバリーガール、これ爆豪君が目を覚ましたら食べさせて下さい。』
そう言うと僕は残っていたもう半分の仙豆を差し出した。
茨『明…』
鎌切『なるほど、そういう事か。』
RG『わかった、預かっておくよ。さあ、お前さん達はみんなの所に戻りな。』
明『はい、ありがとうございました。さあ2人共、戻ろう。』
茨『はい。』
鎌切『ああ。』
僕達は保健所を後にし、皆の所に戻った。戻ると皆から「おめでとう」と祝福の嵐だった。
その後爆豪君が目を覚まし、表彰式が行われる事になった。
表彰台には1位の場所に僕が、2位の場所に爆豪君が、3位の場所に茨と轟君が立っていたが、爆豪君は拘束され石柱にくくりつけられ、おまけに猿ぐつわまでされていた。何でも目を覚ましてからずっと暴れていたそうだ。
ミッド『それではこれより!!表彰式に移ります!さっそくメダル授与よ!!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!!』
オールマイト『私が、メダルを持って来…』
ミッド『我らがヒーロー、オールマイトォ!!』
オールマイトのおなじみのセリフとミッドナイト先生の紹介が被ってしまい、会場は少し微妙な空気になってしまった。ともあれ、メダルの授与が始まった。
オールマイト『轟少年、3位入賞おめでとう。準決勝で左の炎を収めてしまったのには訳があるのかな?』
轟『緑谷との試合できっかけをもらって…わからなくなってしまいました。あなたがアイツを気にかけるのも、少しわかった気がします。俺もあなたのようなヒーローになりたかった。ただ…俺だけが吹っ切れてそれで終わりじゃ駄目だと思った。清算しなきゃならないモノがまだある。』
オールマイト『……顔が以前と全然違う、深くは聞くまいよ。今の君ならきっと清算できる。』
そう言うとオールマイトは轟君をハグし、背中をポンポンと軽く叩いた。
オールマイト『続いて塩崎少女、3位入賞おめでとう。女子生徒ながら見事入賞とは、大したものだ。』
茨『ありがとうございます。私には勿体ないお言葉です。』
オールマイト『だが君は個性に頼りすぎている面がある。個性だけでなく自力も鍛えれば戦いの幅が広がるだろう。特に君の場合、近くにいいお手本がいるのだから、必ず参考になるはずだよ。』
茨『はい。オールマイト先生の言葉を糧に、これからも明やクラスメイトの皆さんと共に、一人前のヒーロー目指して精進努力して参ります。』
オールマイト『うむ。さて爆豪少年!っとこりゃあんまりだ…』
そう言うとオールマイトは爆豪君の口の猿ぐつわを外した。
オールマイト『準優勝おめでとう。伏線回収とはならなかったが、見事な戦いぶりだったよ。』
爆豪『オールマイトォ、こんな準優勝…何の価値もねぇんだよ!No.1じゃなきゃ2位もビリも俺にとっちゃゴミ同然なんだ!それに俺は半分野郎に舐めプされてんだ!クラスの奴らが煽るから決勝には出たが、本当は出る気なんてなかったんだ!』
オールマイト『(顔すげえ…)』
爆豪『それからテメェ、余計な事すんじゃねえ!』
突然爆豪君は僕に向かって怒鳴りだした。
明『へ?余計な事って?』
爆豪『お前がばあさんに渡した仙豆の事だ!お前の施しなんて俺には必要ねえんだよ!!』
明『ああ、別に僕が勝手にやった事だから、気にしなくていいよ。』
オールマイト『うむ!相対評価に晒され続けるこの世界で、不変の絶対評価を持ち続けられる人間はそう多くない。受けとっとけよ!“傷”として!忘れぬよう!』
爆豪『要らねっつってんだろが!!』
爆豪くんはメダルの受け取りを拒否していたが、オールマイトは強引にメダルのリボンを口に咥えさせてメダルを授与した。
オールマイト『そして野沢少年!優勝おめでとう。流石悟空の個性というところかな!』
明『ありがとうございます。ですがオールマイト先生、僕はこの体育祭、自分1人で優勝出来たとは思っていません。1年B組全員で勝ち取った優勝だと思ってます。』
オールマイト『ほう。』
明『特に最後の元気玉ですが、僕一人では短時間であのサイズの元気玉を作る事は出来ませんでした。B組のクラスメイトみんなが元気を分けてくれたから作る事が出来たんです。』
オールマイト『うんうん。』
明『それに1対1の試合で他人の力を借りたんですから、失格でもおかしくないと思っています。』
オールマイト『なるほど。』
明『ですからこれからもっと修行して、いつか元気玉無しで、1対1でもう1度爆豪君と勝負したいと思います。爆豪君、その時はよろしくね。』
爆豪『当たり前だ!いつか必ずお前も全力の半分野郎もぶっ倒して、俺がNo.1だって事を証明してやるからな!』
轟『俺も…』
突然轟君が会話に入ってきた。
轟『俺も、いつかお前に挑戦してもいいか?』
明『勿論!その時を楽しみにしているよ。』
オールマイト『うむ。ただ1点だけ。今の体で無茶な倍率の界王拳を使わないように。見た限りじゃまだ3倍界王拳を使える体は出来ていない。4倍なんて以ての外だ。しっかり体を鍛えてからにするんだよ。』
明『ハイ!』
オールマイト『さァ!!今回は彼らだった!!しかし皆さん!この場の誰にも
オールマイト『せーの』
一同『プルス…』
オールマイト『おつかれさまでした!!!』
ミッド『そこはプルスウルトラでしょオールマイト!!』
オールマイト『ああいや…疲れたろうなと思って……(汗)』
こうして最後はキレイに締まらずビミョーな空気になってしまったが、雄英体育祭は幕を閉じた。
〜体育祭終了後、ホームルームにて〜
ブラド『みんなご苦労だったな。明日、明後日の2日間は学校は休みになるので、しっかり体を休めておくように。あと、休み明けにプロからの指名等を発表するから、全員楽しみにしておけ。』
ブラド先生から明日以降の予定が説明されて、ホームルームは終了した。そして放課後…
取蔭『ねぇみんな、明日なんだけど、明の優勝と茨の3位入賞を祝って祝勝会やらない?』
骨抜『いいなそれ。でも場所はどうするんだ?俺達21人が集まれる場所なんて…』
拳藤『それなら明のトレーニングルームがいいよ。私と鉄哲この間行ったけど、あの部屋かなり広いから私達全員入っても問題無いよ。明、使わせてもらえるかな?』
明『場所を提供するのは問題無いけど、今決めて明日開催じゃ、大した料理や飲み物用意出来ないよ。』
宍田『それでしたら、私にお任せして頂けませんか?』
明『宍田君に?』
宍田『はい。皆さんが必ずご満足いくお食事をご用意致します。』
明『じゃあ宍田君にお任せするよ。時間はどうする?』
鉄哲『昼頃でいいんじゃねえか?』
明『それじゃ明日の昼12時、僕の家の最寄り駅で待ち合わせって事で。みんないいかな?』
一同『賛成〜!』
こうして明日は僕の家のトレーニングルームで祝勝会を開く事になった。そしてその日の夜、僕は久しぶりに亮に電話をし連絡をとった。お互い、高校に進学してから初めての連絡だった。ちなみにスピーカーモードにして、茨も一緒に通話している。
明『久しぶり、亮。』
茨『お久しぶりです、鳥山さん。』
亮『ああ。2人共元気そうだな。』
明『雄英体育祭、見てくれたか?』
亮『ああ、ちゃんと見たぞ。見事な優勝だったな明。塩崎も3位入賞おめでとう。』
明『ありがとう亮。』
茨『ありがとうございます、鳥山さん。』
亮『2人共中学卒業した時よりも成長していたな。明は3倍界王拳が使える時間が以前より長くなってるし、塩崎は個性のツルの扱いに更に磨きがかかっていたな。』
茨『雄英に入学してからは、厳しい訓練の毎日ですから。』
明『特に体育祭開催までの2週間、僕は20倍の重力の下で修行したからね。』
亮『なるほど。だが気に入らない事が1つだけある。』
明『気に入らない事?』
茨『何ですかそれは?』
亮『初めて元気玉をくらったのが俺じゃなかったって事だ!明の元気玉を最初にくらうのは俺だと思っていたからな!』
明『なるほど。確かに爆豪君は強かったからね。僕の4倍界王拳のかめはめ波をくらっても立ち上がってきたし。』
茨『私も鳥山さん以外で明にあそこまで対抗出来る人は初めて見ました。』
その後は互いの近況報告等をして、通話を終了した。さて、明日は祝勝会だ。僕の家に20人近くの友達が来るのは初めてだから、凄くたのしみだ。
37話に続く…
36話いかがでしたでしょう?このところ仕事が忙しかったりでなかなか投稿出来なくて申し訳ありません。今後も不定期更新になりますが、こんな駄文を読んでいただけると嬉しいです。次回もお楽しみに。ご意見・感想・誤字報告等、何でもお待ちしています。