個性が使えるようになってから僕は今まで以上に修行した。これまでの修行に加え気のコントロールの修行も始めた。最初は手の中で気を集中させる事から始め、その後は全身の気を集中させて体を浮き上がらせる修行、いわゆる「舞空術」の習得に励んだ。最初は10センチ浮き上がるだけでも凄く苦労したが、慣れてくると浮き上がる高さ、飛ぶスピード共に上昇していった。それでも自由自在に飛べるようになるまでに半年もかかった。トレーニングルームの中だけだが茨を背中に乗せて飛んだら喜んでくれた。
「かめはめ波」は打つ事自体は出来たので大きさや威力の調整、手元の変化でかめはめ波を曲げる訓練をした。あと、「足かめはめ波」も習得した。正直舞空術があるのに必要かと思ったが、もしもの時のためと思い習得した。この他にも「衝撃波」や「気弾(エネルギー弾)」さらに「太陽拳」も使えるようになった。肉弾戦の技は「多重残像拳」の他にアニメやゲームで出てくる技をいくつか習得した。
あと修行とは関係ないが茨と恋人同士になったことをお互いの両親に報告した。正直茨のお父さんには激怒されると思っていたが、
『君のような男なら安心して娘を任せられる。』
と言って喜んでくれた。その後は結婚だ!孫だ!と茨の両親が盛り上がってしまい、茨は顔を赤くするし、僕はただただ笑うしかなかった。
そんな小学生生活を送りながら3年の月日が経過し、今日僕は12歳の誕生日を迎える。僕はいつものようにトレーニングルームで修行をしていた。
明『うーん、習得方法がないから仕方ないんだけど、気のコントロールが上手くいかないなぁ。それとも、やっぱり使えるだけの体が出来てないからなのかなぁ。』
僕は現在、「界王拳」の習得のために修行している。原作に習得方法がないので独学で気をコントロールをして、瞬間的に増幅させようとしているのだが、何度やっても上手くいかない。それに原作の悟空は地球の10倍の重力の界王様の星で修行していたのだから、自分もそれぐらいの負荷をかけて体を作らないと習得出来ないんじゃないかと思った。
現在僕は25kgの重りを4個、合計100kgの重りをつけて修行している。僕の身長と体重は個性の影響なのか12歳の平均値よりはかなり高い。10倍の重力を再現するにはかなりの重さの重りをつける必要があったがそんな重りはないし、両親からも100kgが限界だと言われていた。僕がどうしたものかと悩んでいると、
茨『明、パーティーの準備ができましたから、修行を切り上げていただけますか。』
茨が僕を呼びに来てくれた。今日はこの後茨と茨のご両親を招いて僕のバースデーパーティーを開催する。
明『わかった、今いくからちょっと待ってて。』
僕は修行をやめ後片付けをして家に帰った。
『12歳の誕生日、おめでとう!』
みんなが僕の誕生日を祝ってくれた。たくさんの豪華な料理は母さんと茨のお母さんが、バースデーケーキは茨のお父さんがそれぞれ用意してくれた。
茨『明、これ受け取ってください。』
明『わぁ、ありがとう茨。開けてもいい?』
茨『もちろん。』
明『おっ、新しいジャージだ!しかもこの色、悟空が着ていた水色のジャージにそっくりだ!』
茨『ネットで偶然見つけたんです。気に入っていただけましたか?』
明『もちろん。ありがとう茨。早速明日からこれ着て修行するよ。』
『明、これは俺からだ。』
そう言うと父さんは小さな箱を僕に差し出した。
明『なに、これ?』
箱を開けると中には途中で切れた輪っかのような物が入っていた。
茨『これは、チョーカーですか?』
明『チョーカーって何?』
茨『簡単に言えば、首につけるアクセサリーの事です。』
『それは《グラビティ・チョーカー》と言ってな、父さんと母さんが務めるサポート会社に協力してもらって作ったものだ。』
明『グラビティ・チョーカー?』
『口で説明するより実際に使ってみたほうが早いだろう。側面に埋込式のスイッチがあるだろ、それを長押ししてみろ。』
僕は父さんに言われたとおりにスイッチを長押しした。すると、
『音声登録ヲ開始シマス、使用者ノ名前ヲ仰ッテクダサイ』
流れてきた音声を聞き父さんの方を見るとうなずくので僕は自分の名前を言った。
明『野沢明』
『野沢明サンノ音声登録ヲ完了シマシタ』
『よし、次は倍率の設定だ。もう一度ボタンを押してみろ。』
『重力倍率ヲ設定シマス。希望ノ倍率ヲ仰ッテクダサイ』
『初めてだし、2倍にしておけ。』
僕は父さんの言うとおりにした。
明『2倍』
『倍率2倍ニ設定シマシタ』
『よし、これで準備完了だ。首につけて「ロック」と言うんだ。それでチョーカーが装着される。』
明『わかった。ロック!』
するとチョーカーが装着されて体に負荷がかかった。
明『うおっ!体が重くなった。』
『お前の体に通常の2倍の重力がかかってるんだ。「アンテ」と言えば外れるぞ。』
僕が「アンテ」と言うとチョーカーはカチッと音を鳴らし外れた。
『どうだ、付けてみた感想は?』
明『凄いよ父さん。悟空の重力修行が本当に出来るようになるなんて夢にも思わなかった。』
『倍率は最高100倍まで設定出来るが少しづつ上げていくんだぞ。いきなり100倍なんて設定したらさすがのお前でも確実に死んでしまうからな。』
明『わかったよ。ありがとう、父さん。』
『それから、お前もあと2ヶ月もすれば中学生だ。中学にあがったら修行だけでなく、勉強もしっかり頑張るんだぞ。お前のことだ、高校はヒーロー科のある高校を受験するだろう。そのためには体や個性だけでなく頭脳も鍛えておくんだぞ。』
『それは茨にも言える事だぞ。勉強も個性の修行もしっかり頑張るんだぞ。』
明『わかったよ、父さん。』
茨『わかっています、お父さん。』
その後はみんなで食事を楽しんだ。翌日の朝、茨のくれたジャージとチョーカーを付けてジョギングをした。もちろん茨も一緒だ。しばらくは重りとチョーカーの両方を付けて修行する事にした。流石に100kgの重り+2倍の重力はキツく、いつもの2/3程しか走れなかった。
そしてあっという間に2ヶ月が過ぎ、僕達は中学生になった。僕と茨は同じ仮田中学校に入学した。
明『遂に今日から中学生か。』
茨『3年間、たくさん思い出を作りましょうね。』
茨とそんな話をしながら門をくぐったその時、今まで感じた事の無い大きな《気》を感じ、思わず周りを見渡した。修行で《気》を読む訓練もしていたが、こんなに大きな《気》を感じたのは初めてだ。
茨『明、どうしたんですか?そんなにキョロキョロして?』
明『今、ものすごくデカい《気》を感じた。こんなデカい《気》は初めてだ!』
茨『本当ですか?でもここは普通の中学校ですから、プロヒーローなんていないはずですけど。』
明『気のせいじゃないとは思うけど、とりあえずクラス表確認して教室に入ろうか。』
茨『そうですね、この後入学式もありますし。』
僕達は感じた大きな《気》の事を気にしつつもクラス表を確認して教室に入ることにした。僕と茨は同じ1年B組だった。
明『また同じクラスだね。よろしくね茨。』
茨『こちらこそよろしくお願いします。』
明『それにしても、小学校の時も6年間同じクラスで、中学校でも同じクラスだなんて、僕達、何か縁があるのかな?』
茨『そうですね。3年生と5年生のクラス替えした時も同じクラスでしたから、本当に縁があるのかもしれませんね。』
そんな話をしながら教室に入り席についた。教室にはすでに小学校の時の友達が何人かいたので少し話をした。個性が使えるようになってから茨以外の友達も少しできた。
個性の事は病院の先生に言われたように増強型の個性と嘘をついて本当の個性の事は話していない。中学校に入学する際に校長先生と何人かの先生には本当の個性《孫悟空》の事は話しておいた。
茨『明、さっきの大きな《気》の事ですが、この教室の中でも感じますか?』
明『いや、この教室の中では感じない。たぶん今は《気》を消している。あれだけ大きな《気》だ。教室の中からでも感じられるはずだからね。』
茨『そうですか。一体誰なんでしょうね?』
感じた大きな《気》の事を気にしつつも、入学式や自己紹介等をこなしていき、下校の時刻となった。家に帰ろうと茨と歩いていると、校門にいた生徒が僕達に向かって歩いてきた。
明『あの、僕達に何か用かい?』
??『お前、なかなかの戦闘力を持っているな。』
そう言うと彼は消していた《気》を開放した。
明『この《気》は!そうか、今朝感じたデカい《気》は君だったのか!』
??『俺は1年A組の鳥山亮だ。』
明『1年B組の野沢明です。』
茨『同じく1年B組の塩崎茨です。』
亮『お前と話がしたい。連絡先を交換してくれないか。』
明『別に構わないけど。』
亮『都合のいい時に連絡してくれ。じゃあな。』
そう言って連絡先を交換し、彼は帰っていった。
茨『明、どうするんですか?』
明『僕も彼と話がしたい。それに、彼と戦ってみたい。』
僕は父さんと母さんに今日の事を話して彼に自分の個性《孫悟空》の事を話させてほしいと頼み込んだ。父さんと母さんは最初は反対していたが、茨を同席させる事を条件になんとかOKをもらった。そしてその日のうちに彼に連絡をとり、翌日家のトレーニングルームで話をすることになった。そして翌日、学校が終わり家に帰ってしばらくすると彼がやってきたので茨を呼んでトレーニングルームに案内した。
亮『さて、まずはお互いの個性について話したいと思うが、なぜ彼女が一緒にいるんだ?』
明『茨は僕の幼馴染みで、僕の両親と病院の先生以外で、僕の個性の事を知ってる数少ない人物なんだ。それに両親から茨が同席するなら、話をしてもいいって言われてるからね。』
亮『なるほど、お目付役ってわけか。』
茨『そんな大層なものじゃありません。私はただお二人の話を聞いているだけですから。』
明『で、どうする?鳥山君から話す?』
亮『ああ。あと亮でいい。君付けもいらないからな。俺の個性だが、薄々気付いているとは思うが、個性の名前は【ベジータ】ドラゴンボールのベジータの力が使える個性だ。』
鳥山亮:個性【ベジータ】明と同様ドラゴンボールのベジータの力が使えるというスゴイ個性だ!もちろん、技を使えるようになるには厳しい修行をしないとダメだぞ。byプレゼント・マイク
明『なるほど。どおりでデカい気を感じるワケだ。』
亮『で、お前の個性は?』
明『僕の個性は【孫悟空】ドラゴンボールの悟空の力が使える個性さ。』
亮『ほぉ。』
その後僕達はお互いの個性の事を話した。亮はさすがベジータの個性と言うべきか、4歳の時点で《気》を扱えたそうだ。僕がかめはめ波を打つのに5年かかった事を話すと亮は『ほぉ』と言うだけだった。正直ベジータの個性だから「落ちこぼれ」とか言われると思っていたので意外だった。
茨『鳥山さんは明の事を落ちこぼれや出来損ない等と思っていますか?』
亮『別にベジータの個性だからって性格までベジータってわけじゃない。むしろ5年もくさらずよく修行したもんだと感心した。それに、今の明にならピッタリなセリフがあるだろ。』
明『あぁ、なるほど。』
茨『なんですか、そのセリフって?』
明『悟空とベジータが初めて戦う前に悟空が言ったセリフで《落ちこぼれだって必死で努力すりゃエリートを超えることがあるかもよ》ってのがあるんだ。』
茨『なるほど、明にピッタリなセリフですね。』
明『亮、よかったら組手でもしないか?僕亮の《気》を感じてからずっと戦ってみたいと思ってたんだ。』
亮『いいだろう、相手になってやる!』
その後僕と亮は組手をした。結果から言えば僕の完敗だった。パワー・スピード・テクニック全てにおいて亮のほうが一枚も二枚も上手だった。でも僕は悔しい気持ちよりも同い年でこんなにも強いやつがいるという嬉しい気持ちが強かった。そしていつか亮に勝ちたいと強く思った。
明『亮、これから時間が合う時は一緒に修行しないか?』
亮『いいだろう。俺には宇宙一のヒーローなるという夢がある。その夢のためにはライバルが必要だと思っていた。明、俺がお前を最強のライバルにしてやる。』
明『僕だって地球も宇宙も救えるようなスーパーヒーローになるって夢があるんだ。今はまだムリでもこれからもっと修行していつか君を倒して君を超える。そして夢を叶える!』
亮『ならどちらが先に夢を叶えるか勝負だ!』
明『望むところだ!』
そんな男同士の熱いやり取りを茨は楽しそうに眺めていた。こうして今日、僕に
ということで、第5話いかがだったでしょう。悟空の永遠の