明『もしもし茨、僕受かったよ。仮免取れたよ。』
茨『本当ですか!おめでとうございます。でも私は明なら絶対合格するって信じてましたよ。』
明『ありがとう。これから家に帰るから。』
茨『おじ様とおば様には私から伝えておきますね。それから合格祝いのパーティーの準備もしないと。』
明『別にいいよパーティーなんて。じゃあ、また後でね。』
茨に電話して結果を伝えると自分の事のように喜んでくれた。僕は別にいいと言ったが今頃はパーティーの準備で大忙しだろう。
亮にも電話したが亮は出なかった。LINEも送ったが既読にならなかった。僕はまぁいいかとあまり気にせずスルーした。
家に帰ると案の定父さんと母さん、茨、茨のご両親がパーティーの準備をしていた。僕も手伝おうとすると
『主役はゆっくりしていなさい。』
と母さんに風呂に入るよう促された。その後パーティーは開始された。僕がライセンスカードと採点プリントを見せると大盛り上がりだった。母さんなんて泣き出していた。
茨『ところで明、どうしてヒーローネームを《
明『ああ、なかなかいい名前が思い付かなくてさ、いっそのこと個性と同じ【孫悟空】にしようかとも思ったんだけど、ちょうど最近買ったゲームソフトのタイトルが《
茨『いえ、明らしくて私はいいと思いますよ。』
そんな話をしながらパーティーは終了した。翌日お世話になっている病院の先生に仮免合格の事を報告すると
『仮免を取得したなら、緊急時なら個性が使えるからもう心配ないね。』
と、自分の個性【孫悟空】を公表してもいいと言われた。今までクラスメートには嘘をついていて少し罪悪感があったので安心した。担任の先生に報告すると、俺の目は節穴じゃなかったと喜んでいた。そしてトレーニングルームに亮がやってきた。やっと報告できると思いながら亮に報告すると
『そうか、よかったな。』
と、相変わらず素っ気ない返事だったが、その後の言葉に僕は驚愕した。
亮『俺も合格したから。』
実はあの日、亮も別会場で仮免試験を受けていたのだ。なんで自分も受ける事を言わなかったのか問い詰めると
亮『別に言う程の事でもないと思ったから。』
と、またも相変わらずな答えに呆れてしまった。茨と一緒に亮の採点プリントを読んでみると点数は92点だった。コメントには
『言葉遣いが荒いです。もっと被災者を安心させるような言葉遣いをしましょう。戦闘に関してはギャングオルカとサイドキックをたった1人で相手にしたのは見事ですが、最後の攻撃は周囲に大きな被害を与えかねない攻撃でした。災害後の二次被害の事も考えて行動しましょう。』
とあった。僕が言葉遣いの事を注意すると
亮『別に通じるんだから問題ないだろ。』
と言っていた。最後の攻撃の事を聞くと
亮『ギャングオルカにいくら攻撃しても効かないからフルパワーのギャリック砲をくらわせた。』
と言ってた。もう今日何度目かの呆れ顔を僕はしていた。逆に僕のプリントを亮に見せると
亮『被災者担いだまま界王拳使って移動するなんて何考えてるんだ!』
と怒られてしまった。おっしゃる通りです。ちなみに亮はヒーローネームを個性と同じ《ベジータ》にしていた。それに僕のヒーローネーム《
そんなこんなで夏休みが終わり二学期を迎えた。始業式の途中僕と亮は呼び出されステージに登らされた。そして校長先生から僕達が仮免試験に合格した事を全校生徒に発表された。正直この後の展開が目に見えてるので僕はやめてほしかった。そして始業式終了後教室に戻ると案の定…
『おい明、仮免試験ってどんな内容だったんだよ。』
『ねぇ明君、免許証今持ってるの?見せて。』
と質問攻めだったが、担任の先生に放課後にするよう注意されて収まった。そして放課後、僕はみんなに嘘をついていた事・本当の個性のこと・仮免試験の事を話し、ライセンスカードを見せてあげた。正直長い間嘘をついていて怒られると思っていたのだが、怒られるどころか
『明、かめはめ波打つところ見せてくれよ。』
『茨ちゃんだけズルーい。ねぇ明君、あたしも背中に乗せて空飛んでよ。』
とリクエストの嵐だった。いくら仮免を取ったからといって公共の場で無闇矢鱈に個性を使う事は出来ないので、『受験勉強があるから』『みんなの進路が決まったら必ず見せてあげるから』とみんなを説得してなんとかその場を乗り切った。
二学期になり受験まで半年を切り、僕と茨は雄英合格を目指しより一層勉強に、修行に力を入れていた。最近は修行より勉強に時間を費やす事が多くなっていた。それでも元気玉はバスケットボールぐらいの大きさまで作れるようになった。
そして月日は流れ二学期の終業式前日、僕は先生に呼び出され一緒に校長室に入った。
『やあ、よく来てくれたね。待っていたよ。』
校長室にはネズミのような人物がソファに座っていた。
明『あの、あなたは一体?』
『ネズミなのか犬なのか熊なのか、かくしてその正体は、雄英高校の校長、根津さ。』
明『ゆっ、雄英高校の校長先生ですか!?』
思わぬ人物の登場に、僕は驚きを隠せなかった。
根津『実は仮田中学校の校長から君を推薦されてね。雄英としても君の内申点・出席日数・そして仮免を取得している事等を考慮して、君に推薦入試を受けてもらおうと思い、今日はやってきたのさ。どうだろう野沢明君、推薦入試を受けてくれないかな?』
確かに仮免試験の前に担任の先生が推薦入試の話をしていたが、まさか本当に声が掛かるとは思ってもみなかった。そして同時に1つの約束と1つの疑問が頭の中で駆け巡った。
明『あの、お伺いしたい事が2つあるのですが、よろしいでしょうか。』
根津『そんな畏まらなくてもいいよ。なんでも聞いてくれて構わないさ。』
明『ありがとうございます。では1つ目ですが、今すぐ返事をしないといけませんか?できれば考える時間が欲しいのですが。』
根津『勿論大丈夫だよ。ただ返事を先延ばしにされても困るからねぇ。そうだなぁ、今夜一晩考えて、明日の朝担任の先生に報告してもらってもいいかな。』
明『はい、大丈夫です。』
根津『ありがとう。もう1つの質問はなんだい?』
明『あの、雄英からの推薦入試の話は僕だけですか?』
根津『そうだけど、何か?』
明『あの、亮は、鳥山亮君には推薦の話はないのですか?』
根津『あぁ、なるほど。たしかに鳥山亮君も推薦の候補に上がっていたよ。ただ彼の第一志望が雄英じゃなかったので今回は見送ったのさ。』
明『そう…ですか。』
根津『その様子だと、鳥山亮君の第一志望を知らないようだね。』
明『はい。彼も雄英を受けると思っていたので、今まで何も聞かなかったんです。』
その後先生に亮の第一志望を聞こうとしたが「生徒の個人情報を教える事は出来ない」と断られ、諦めて帰宅した。そしてその夜、まず父さんと母さんに推薦の話をした。すると父さんから
『それは父さん達が決める事じゃない。お前が決める事だ。茨ちゃんとよく話をして、悔いのない決断をするんだな。』
と言われた。僕は茨と受験勉強を始める前に話をすることにした。
明『茨、勉強を始める前に聞いてほしい話があるんだけど、いいかな。』
茨『はい、構いませんよ。それで話というのは?』
明『今日雄英高校の校長先生から、推薦入試を受けてくれないかって依頼されたんだ。』
茨『本当ですか!?おめでとうございます。それで、返事はしたんですか?』
明『いや、今夜一晩考えて、明日の朝報告するんだ。』
茨『えっ、どうしてすぐに返事をしなかったんですか?』
明『茨、2人でした約束覚えてる?』
茨『あっ!』
明『僕達約束したよね。一緒に受験して・一緒に合格して・一緒に雄英高校に入学しようって。もし僕が推薦入試を受けたら、茨との約束を破る、茨の事を裏切ると思ってすぐに返事ができなかったんだ。』
茨『明…』
明『もし、茨が僕と一緒に一般入試を受けたいと言うなら、僕は推薦を辞退しよう思うんだけど…』
すると、茨はそっと僕の手を握ってくれた。
茨『明、たとえ明が推薦入試を受けても、私は明が私の事を裏切ったなんて思いませんよ。』
明『茨…』
茨『たしかに、一緒に受験するって約束は破られますが、残り2つの約束は残ってますよ。だから私の事は気になさらず、推薦入試を受けてください。そして一緒に合格して、一緒に雄英高校に入学しましょう。』
明『茨、ありがとう。』
僕は茨を抱きしめた。茨の気持ちが本当に嬉しかった。
茨『でも推薦入試を受けるからって合格した訳じゃないですから、気を抜いてはダメですよ。』
明『わかってるよ。推薦の枠は4人。何人受験するかわからないけど、もしかしたら一般入試より倍率が高いかもしれないしね。』
茨『それじゃあ早速始めましょう。話し込んだ時間もちゃんとやりますからね。』
明『うん、約束を守るためにもね。』
勉強終了後、父さんと母さんに推薦入試を受ける事を決めたと話した。そして翌日、登校してすぐ先生に推薦を受けると報告した。これで推薦入試の件は片付いた。次は…。
終業式終了後、亮に話があるからと教室に残ってもらった。最近は亮も勉強優先であまり家に来なくなっていた。
亮『で、話とはなんだ?』
教室に僕と亮と茨の3人だけになったところで僕はまず雄英高校から推薦入試の話がきたから受ける事を話した。その後、
明『亮の第一志望は何処なんだ?僕はてっきり亮も雄英だと思っていたから今まで何も聞かなかったけど。』
亮『俺の第一志望は士傑だ。一昨日士傑から推薦入試の話が来てな、受ける事にした。』
茨『士傑高校、【東の雄英、西の士傑】と呼ばれるほどの難関校ですね。』
明『理由を聞いてもいいか。』
亮『この中学3年間、お前と修行して俺は強くなった。だが、お前は俺以上に強くなったと俺は思っている。』
明『そんな、僕まだ亮に1度も勝ったことないじゃないか。それに3倍界王拳も使いこなせないし。』
亮『まあ確かにそうだがな。だがこのままお前と同じ道を進めばお前との差は変わらない、むしろもっと開くと思った。だから俺はお前とは別の道を進む事にした。』
茨『鳥山さん…』
亮『それにベジータも言ってるだろ。【俺は俺のやり方で、限界なんぞ超えてやる】って。だから俺も俺のやり方で夢をかなえる事にした。』
明『いつ士傑に決めたんだ?』
亮『2人が雄英を受験すると聞いた頃、考えだしていた。そしてお前が仮免に合格して決めた。』
茨『今から志望校を変える事は出来ないのですか?』
亮『悪いが、もう決めた事だ。』
明『そうか、わかった。話してくれてありがとう。』
亮『やけにあっさりしてるな。もっと食って掛かってくると思ってたんだがな。』
明『確かに別々の高校になるのは少し寂しい。けど亮が決めた人生だ。僕が口出しする権利なんてないよ。』
亮『そうか。』
明『亮、絶対合格しろよ!』
亮『お前の方こそ、推薦入試だからって気を抜くんじゃないぞ!』
明『それ茨にも言われたよ。』
亮『塩崎、お前も一般入試頑張れよ。』
茨『ありがとうございます。必ず合格します。』
こうして僕達はそれぞれの進路に向けてラストスパートをかけるのだった。
第7話いかがだったでしょう。超(スーパー)ではウィスの下2人一緒に修行してますが、Zの頃は一緒に修行する描写はなかったので2人を別々の進路にしました。ご意見・ご感想お待ちしています。次回もお楽しみに。
PS.今後亮が出てこないなんて事はありません。出番は減りますが要所では必ず出てきます。