『明、忘れ物ない?これお弁当ね。』
明『大丈夫だよ母さん、弁当ありがと。』
今日はいよいよ推薦入試の受験日だ。今までやってきた勉強と修行の成果を出す日がきた。僕はそんなに緊張する方ではない。仮免試験前日も全く緊張しなかった。昨夜も徹夜などせずグッスリ睡眠を取ろうとしたのだが、流石に昨夜は緊張でなかなか寝付けなかった。
明『じゃあ、ちょっと早いけど行くよ。』
『明、お前が今日までしてきた事を全て出し切れば必ず合格できる。頑張れよ。』
『明、頑張ってね。』
明『父さん、母さん、ありがとう。じゃあ、行ってきます。』
出発しようと玄関を出ると茨と茨のご両親が外で待っていた。それを見て父さんと母さんも外に出てきた。
『明君、頑張れよ。』
『私達も応援しているわ。』
茨『明、明が合格することを私は心から信じています。頑張って下さい。』
明『茨、ありがとう。』
僕は茨を軽く抱きしめた。茨は顔を赤くしていたが、嬉しそうな顔をしていた。
明『父さん、母さん、おじさん、おばさん、そして茨。みんなありがとう。じゃあ、行ってきます。』
『いってらっしゃい』『頑張れよ!』
みんなの応援を胸に、僕は雄英高校へと出発した。
『でっかいなぁ。』
電車に揺られること約30分。僕は遂に雄英高校に到着した。僕は校舎の大きさに圧倒されていたが、すぐに気持ちを切り替え、案内に従い試験会場へと歩いていった。
受験者全員が会場に入ると、受験者の人数や試験内容が発表された。まず人数だが、男子30人・女子30人の合計60人だそうだ。推薦の枠が4人なので、15人に1人しか合格出来ない計算だ。
そして試験内容だが、午前中で筆記試験と面接を行い、1時間のお昼休憩を挟み、午後から個性披露、最後に3kmのマラソンをするそうだ。
説明後、午後から付けるゼッケンが配られた。僕の番号は60番、1番最後だった。どうせなら59番がよかったなぁなんて思ってしまった。(悟空・59だけに(笑))
そしていよいよ試験がスタートした。最初は筆記試験、今まで勉強した内容の問題ばかりだったのでスラスラ解く事が出来た。見直しもしたし、凡ミスさえ無ければ満点の自身があった。
次は面接だ。面接は男女別々で2組同時に行なわれる。順番はゼッケンと同じ順番で行われるため、1番最後で暇を持て余していた僕は、暇つぶしに他の受験者の様子を見る事にした。
顔を青くしている人、目を閉じて瞑想する人、無表情の人、手のひらに人の字を書いて何度も飲み込む人等様々だった。そんな人間観察をしていると、
『次、60番の人、どうぞ。』
遂に僕の番がきた。僕は大きく深呼吸をして室内に入った。
『面接官の相澤です。』
『同じく面接官のブラドキングです。よろしく。』
明『よろしくお願いします。』
ブラド『最初に名前と中学校名をお願いします。』
明『野沢明です。中学は仮田中学校です。』
その後は志望動機・好きなヒーロー・未来の自分のヒーロー像等が質問された。僕は全ての質問に事細かく答えた。特に悟空への思いは熱く語っていたと思う。
ブラド『それでは最後にそちらから我々に質問はありますか?』
ここで何も質問しないのは印象が悪くなると思い、僕は質問することにした。
明『あの、1年の時点で本免許を取得する事は可能ですか?』
その質問に面接官の2人は少し笑っているようだった。
相澤『君、本免許を取得する前にまず仮免を取得しなければならない。それに仮免も2年に進級してから取得するのが通例だ。』
明『あの、仮免なら既に取得しているのですが。』
相澤『なにっ!?』
ブラド『ほっ、本当かい君!?』
明『はい。一応今日免許証と採点プリントを持ってきましたけど、御覧になりますか?』
ブラド『ああ、見せてもらえるかな。』
僕は免許証とプリントを面接官に渡した。どうやら面接官2人は僕が仮免を取得している事を知らないようだ。
相澤『確かに、本物の仮免だ。』
ブラド『おいイレイザー、これ読んでみろ、スゴイぞ。』
相澤『どれ…君、本当にたった一人でホークスを押さえ込んだのか!?』
明『あ、はい。僕の近くに空を飛べる個性の人が居なかったので。ホークス本人はハンデがあると言ってましたが、救助で体力が消耗しており、しかも慣れない空中戦でしたから、ホークスを空中に留めるので精一杯でしたけど。』
相澤『なんと…。』
明『それで、僕の質問ですが。』
ブラド『あっ、ああそうだったね。すまない。結論から言えば1年で本免許を取得することは可能だが、何分実例がないためなんと言ったら分からないのが本音だ。曖昧な答えで申し訳ない。』
明『いえ、ありがとうございました。』
ブラド『他に質問はありますか?』
明『いえ、大丈夫です。』
相澤『では面接はこれで終了だ。1時間のお昼休憩の後は個性披露になるので、しっかり休んで準備しておくように。』
明『はい、ありがとうございました。』
面接終了後…
相澤『まさか中3で仮免取得とは。』
ブラド『とんでもない子供が現れたもんだ。』
面接後、僕はお弁当を食べる事にした。流石にみんなで和気あいあいと食べてる人はいなかった。
食べ終わると僕はジャージに着替えて胸にゼッケンを付けた。ジャージは勿論お気に入りの悟空の水色ジャージだ。(何着もボロボロにして、これが何着目か分からない)
そしていよいよ午後の最初の試験、個性披露が始まった。
氷と炎を操る個性・体内から物を創り出す個性・触れた物を柔らかくする個性・全身を細かく分割する個性・風を操る個性等流石に推薦入試に選ばれただけあってどの人も凄い個性ばかりで感心していた。
同時に自分は彼等に対抗できるのかと弱気になってしまったが、弱気な事は考えないようにした。そして、
『では最後、60番、野沢明君。』
明『ハイ!』
この試験の試験官であるミッドナイトに呼ばれた僕は大きく返事をして前に出た。
ミッド『じゃあまずは個性の説明からよろしくね。』
明『はい。僕の個性は【孫悟空】簡単に言えばドラゴンボールの主人公、孫悟空と同じ事が出来ます。』
それを聞いた他の受験生は何やらざわざわしていた。
ミッド『では、早速見せてもらえるかしら。』
明『はい。まずは…』
僕は空高く浮き上がった。
明『舞空術です。自由自在に空を飛ぶことができます』
その後も衝撃波・気弾・太陽拳を続けて披露した。気弾に関しては連発もできると説明すると披露してくれと言われたので、エクトプラズムが用意した30体程の分身に向かって連続エネルギー弾を放った。やっぱりグミ撃ちは何度やっても好きになれない。
明『続いてかめはめ波、いきます。』
僕はセメントスが用意した的に向かって構えた。
明『かーめーはーめー波ぁぁっ!!!』
おなじみの構えから両手を突き出すと、青白い光が物凄いスピードで的に向かっていき、光が的に当たると大爆発を起こし、的は粉々になった。
『スゲェ、マジでかめはめ波なのかよ。』
『悟空本人じゃんかよ。』
明『続いて界王拳、いきます。』
僕は界王拳を使って試験会場を簡単に移動してみた。移動した時のキュイーンという音が会場内に木霊した。
明『今使ったのは1.5倍で現状1.5倍と2倍が使えます。2倍以上を使うと使った反動で自分もダメージを負ってしまいます。』
『凄い。彼の体から赤いオーラが出ていましたわ。』
『あの移動した時の音、間違いなく界王拳だよ!』
明『では最後に元気玉いきます。皆さん手を上げないでください。元気が吸い取られますから。特に受験生の皆さんはこの後走れなくなりますから注意してください。』
そうみんなに注意喚起すると僕は元気玉を作るため両手を上に上げた。しばらくすると元気が集まり、集めた元気を右手に集中させて青い玉を出現させた。
明『すみません、できるだけ頑丈な的をお願いします。』
僕がそうお願いするとセメントスは分厚く大きな的を用意してくれた。
明『いっけぇぇっ!』
僕は的に向かって元気玉を放った。元気玉が的に当たると大爆発を起こし、爆風が試験会場を襲い、的は木っ端微塵になった。
明『今のでもかなり威力を抑えました。元気玉ですから、元気を集める量によりサイズも大きくなり、威力も上がります。その分作る時間も長くなりますが。』
試験官のミッドナイト・セメントス・エクトプラズム、受験生59人は元気玉の威力に呆然としていて僕の説明をあまり聞いていないようだった。
明『《気》を使った技は以上です。他にも《気》を読んで人を探したりとか、高速移動して残像を作ったり出来ますが、披露した方がいいですか?』
ミッド『い、いえ、もう大丈夫よ。ありがとう。お疲れ様でした。』
明『はい、ありがとうございました。』
こうして僕の個性披露は終了した。そして最後の試験、3kmのマラソンだ。試験官のプレゼント・マイクの説明によると、6人1組で行い、様々な障害物を個性を駆使してゴールするそうだ。
僕は順位も大事だがクリアタイムが1番大事だと思ったのでスタートから全開で行き、必要なら3倍界王拳も使う覚悟だ。
男子の4組目まで終了し、遂に僕のいる5組目の番がきた。5組目には僕以外に、氷と炎を操る個性の人・触れた物を柔らかくする個性の人・風を操る個性の人の3人が一緒の組だった。シグナルが青に変わりスタートの合図がされると僕は界王拳2倍を使い一気に駆け抜けた。
基本は走り、走れない場所は舞空術で対応した。コース途中の障害はパンチや蹴りで破壊し、遠距離からの妨害は衝撃波や気弾で対応した。
そして無事ゴール。結果はぶっちぎりの1位だった。3倍界王拳を使う必要もなかった。タイムも60人の中で断トツの1位だった。全員ゴールした後、氷と炎を操る個性の人と風を操る個性の人が揉めているようだったがあまり気にしなかった。
こうして推薦入試は終了した。自分の力は出し切ったので、後は結果を待つのみだ。
推薦入試からちょうど一週間後、僕は自室で茨と受験勉強をしていた。受験といっても僕は終わっているので、茨の学力アップのための勉強だ。
『明、入るわよ。』
明『どうしたの母さん、何か用?』
『これ。今雄英から受験結果が届いたのよ。』
明『えっ、本当!?』
茨『明、早く開けてみて下さい。』
『ちょっと待って茨ちゃん。明、1人で確認したいなら私達は部屋を出るけど。』
明『大丈夫だよ母さん。3人で確認しよう。』
僕達は3人で結果を確認する事にした。母さんから貰った封筒を開けてみると、中には丸い機械が入っていた。それをテーブルの上に置くと
根津『やぁこんにちは。ネズミなのか犬なのか熊なのか、かくしてその正体は、雄英高校の校長、根津さ。』
雄英の校長先生のホログラムが投影されたのだ。
根津『さて野沢明君、早速だが君の受験結果を発表するよ。結果だけ言えば君は無事合格だよ。ただし、ただの合格とは違うんだ。』
根津『君の筆記と実技の成績、面接、個性披露、そして既に仮免を取得している事を考慮して、通常の推薦4枠とは別に特別推薦枠として君を合格させる事に決定したのさ。』
根津『
そう言い終えるとホログラムは消えた。
明『僕が、特別推薦枠…』
茨『おめでとうございます明。特別推薦枠なんて凄いじゃないですか。』
明『ありがとう茨。でも、僕が特別推薦枠だなんて、いいのかなぁ。』
『何言ってるのよ。あなたが努力して掴んだ結果なんだから、自信を持ちなさい。』
茨『そうですよ明。さて、明が無事合格したのですから、次は私の番ですね。』
明『頑張れ茨。僕に出来る事なら何でもするから。』
『茨ちゃん頑張ってね。おばさんも協力するから何でも言って頂戴。』
茨『明、おば様、ありがとうございます。私必ず合格します。そして明との約束を必ず果たします。』
こうして僕は無事雄英高校に合格した。そして一般入試までの間、茨への協力を惜しまない日々を送った。
第8話いかがだったでしょう。原作では、推薦入試の描写が少なく、順番も筆記・実技・面接の順場でしたが、かなりアレンジを加え、順番も変更しました。特に原作にはない個性披露は明の力をみんなに見てもらいたいと思って加えました。後、受験者の人数なんですが、マラソンが6人1組で行われているのと、夜嵐のゼッケンが41番だったので60人にしました。人数の増減の意見があれば変更しようと思うので、ご意見・ご感想お待ちしています。次回もお楽しみに。