プリンセスコネクト!Re:転生カリバーさん、悪夢に泣く(仮)   作:ジュンチェ

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ビヨンドジェネレーション見てきました。



うん、説得とか無理ぃ(血涙)

 …夢をみる。

 

 

 

 かけがえのない仲間との旅 幾多の試練 恋した彼。

 

 色んな人たちと出会って…

 

 

 傷ついたり、すれ違いもあったけど…それでも、楽しく食卓を囲んでおいしいご飯を食べて、笑顔になって…

 

 

 

 ――コッ■ロちゃん、■ャルちゃ■

 

 ――ユ■■く■ 、■■■ーダさ…?

 

 

 

 あれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わたしはひとり旅をしていたはずじゃ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 【 DEVOLUTION 】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

「…気がついたか。」

 

「!」

 

 

 バッと上半身を跳ね上げた彼女、ペコリーヌは額に汗を滲ませていた…。まあ仕方ないだろう、帰ってきた我が家は父母も含めて自分を忘れていただけではなく、バケモノまで湧いていたのだから。あと見知らぬ珍妙な騎士とかいたら尚更。

 

 

「あ、あなたは…?ここは…?」

 

「僕はカリバー…そして、ここはランドソルの外れにある森だ。ここまでは王宮騎士団は追ってこない。手荒な真似をさせてもらったが、君を逃がすためだった…すまない。」

 

 

 僕は城内で王宮騎士団に囲まれる寸前、彼女を月闇の暗黒空間に封じ込んで殺したように見せかけて、王宮騎士団の追手がかかるのを防いだ。月闇の暗黒空間は中々人道的とは言い難いが、ジャオウドラゴンも無い僕などでは王宮騎士団を相手どるのは今後の活動を考えてもリスキー過ぎた、仕方ない。取り敢えず、人格等には影響が出ていないようならまあヨシとしよう…

 

 問題はここからだ。

 

 

「…な、なんで私を?」

 

「僕は君の素性を知っている。そして、君が親しく関わった者たちの記憶から忘れ去られていることも。」

 

「!」

 

 

 説得チャート…しくじるなよ?万一、王城に戻られたりしたら流石にもうカバーしきれない。ここはうまく二度目の旅に出てゲームルートにせよ、アニメルートせよ行ってもらわねば…退路に未来は無い。

 

 

「教えて下さい! 一体、なにが…!」

 

「それは君が知るべき時ではない。知ったところでどうしようもない。」

 

「そうはいきません!だって、城には…!」

 

 

 大切にしてくれた親がいる、親しかった臣下がいる…わかるとも。それが、他人に見知らぬうちに変貌していたなんて御しがたいだろう。

 だがね…辛い現実を突きつけてやらなくては。

 

 

「君に何ができる?ご両親の王や王妃に臣下の記憶を戻す術が君にあるのか…?」

 

「…!」

 

 

 ―――――ああ、哀しいな…。

 

 必要なのはわかっているが、メインヒロインの傷を必要以上に抉りたくはない…だから、頼む。はやく、ランドソルを離れてくれ…ここに君の居場所は無いのだから…。お願いだ、僕も君の涙を望んでいるわけじゃない。

 

 

「…でも、私はユースティアナ・アストライア、この国を護る義務があります。城を、私の大切な居場所を奪われたまま逃げるなんて出来ません!」

 

「だが、今は離れろ。君の真実を知っているのは僕だけだ。ふたりだけでは、偽の王女は愚か王宮騎士団すら相手どれすらしない。残念だが…」

 

「諦めろ…と言うのですか?」

 

「そうではない。…今一度、旅に出ろ。そこで紡がれる絆がきっと貴女の進む先の標になるはずだ。いずれ、運命に立ち向かう日が来る…それまで、耐えろ。一時の感情に振り回されるな。大局を常に見据えるのだ。」

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 ……

 

 ………

 

 ―――――それから、名前を失った少女は再び旅に出た。

 

 

 

 その背を見送るのは見知らぬ黒騎士、背負うは未来を担う期待ではなく忘却の空虚。此度の門出に笑顔の代わりに涙にで濡らした頬が夕焼けが照らし、走る独りぼっちの影法師を夕焼が引き伸ばす…

 

 やがて、街道の彼方に彼女が見えなくなるまでカリバーは見送った……せめて、それくらいしかしてやれないから。

 

 ……それに

 

 

 

「気づいてますよ、師匠。」

 

「ほう? 勘がいいな、我が弟子。」

 

 

 木陰で息を潜めていたクリスティーナの存在…どうやら、カリバーをつけてきたようだ。彼女が前に出てきていたら、何をするかわからなかったからだ。

 

 

「お前、気づいていたのか。このランドソルに蔓延る違和感に。」

 

「ええ。ランドソルの街中に堂々と蔓延る魔獣… 人間が治める国の直系の王女が獣人族…極めつけはあの自らが王女と名乗るあの娘。自分で言うのも難ですが、素性の知れぬ妙な騎士を配下に躊躇いなく入れたり…疑問を持つなということが難しい。」

 

「ほう、思った以上だな。多くの人間はこれらに何の疑問は持たぬというのに。やはり、お前も何かしらの『特別』なのか?」

 

 

 クリスティーナ、彼女の破天荒な行いに目が行きがちだが王宮騎士団・副団長として相応しい実力の持ち主。そして、王宮騎士団にて数少ない『ランドソルの現実』の端に気がついた者…侮れない。     

 そんな彼女にカリバーは答えることはない。彼自身だって自分がどんな意味合いを持つ『特別』かは解りきっていないのだから。

 

 

「この際だ、後で色々と聞かせてもらおうか。それと、『もうひとり』を開放してやれ。」

 

「…?」

 

 

 え? カリバーが首を傾げていると、月闇からカタカタと震えて反応を示す…。試しにブンッと振るうと闇の塊が切先から飛び出して運悪く暗黒空間に取り込んでいた『もうひとり』を吐き出した…。見覚えのある猫耳と尻尾……あ。

 

 

「キャルちゃん…」

 

「いたた…、ここ何処なのよ?」

 

 

 キャルちゃんだ…ペコリーヌと一緒に間違って暗黒空間に取り込んでしまったらしい。ああ、これは良くない。実に良くない…なんて誤魔化せば良いのやら。

 

 

「か、カリバー! そうだ、侵入者はどうなったの!?」

 

「(ええい、ままよ…!)覚えていないのか?幻術で逃げた侵入者を追っていたのは他ならないキャルちゃんだろう。それを追ってきた我々はここで倒れている君を見つけたところだ。見たところ、酷く頭を打っているようだな…記憶が混濁しているのかもしれん。」

 

「は? 頭なんて別に…」

 

 

 

 

 

 ――ゴッ(キャルちゃんの後頭部を峰打ちする音)

 

 

 

「きゃるっ!?」

 

 

 誤魔化せたな(物理)

 

 クリスティーナが背後から思いっきり、大剣で

殴りつけて何の罪も無いキャルちゃんはスタン状態になり、気絶する…頭には星がまわっているし当分目を覚ましはしないはず。

 

 

「さて、騒がれると面倒だからな。取り敢えず、医務室に急用が出来た…城に戻るか。」

 

「ああ。(ごめんね、キャルちゃん…)」

 

 

 罪悪感を覚えながらも全ては原作準拠のため…カリバーはキャルを担ぎ上げ帰路につく。

 

 まだ物語のはじまりには至ってはいない。だが、やることはある…

 

 

 

(まずは、アナザーオーズ…奴をどうにかしなくては…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

 …夢も無く

 

 …行く宛もなく

 

 …名前すら無くなってしまった

 

 

 

 夜もふけ、真っ暗になった森の道。もう走る気力すら無くなってしまった王女の足取りは暗く、鉛を引き摺るように重い…。どうしてこんなことになってしまったのか、これからどうすれば良いのかわからない。カリバーはまた旅に出ろと言ったが、もう自分の旅に目的は無いのだから。

 

 

(辛い… もう前を向きたくない… 私は…)

 

 

 

 

 ―ぐぎゅるるる〜……

 

「…」

 

 

 それでも、どんなに苦しくても腹は減る…

胃袋が命を紡げと主に唸る。

 

 ああ、我ながら呆れた。気分はなにひとつ食べ物など喉を通らなさそうなのに。

 

 

「穴が空きそうなくらいペコペコなのに…、何も食べたくない…。わたし、壊れちゃったんですかね…。もういいや、疲れました。」

 

 

 糸が切れた人形のように、そこら辺の草むらに身を投げ出す…。夜空は星々が煌めく闇の絨毯…吸い込まれていきそう。いっそ、このまま果てない暗黒に吸い込まれてしまいそうで…

 

 

『…こんなとこで寝るやつがいるか。』

 

 

「…」

 

 

 ぬぅ…と突然、視界にもっと真っ黒な顔が割り込んできた。白濁した白眼にズラリと並ぶ牙は怪物のそれなのに、全く恐怖も動揺もない彼女。普通の人間なら悲鳴をあげているところだが…傷だらけの胸には虚しさだけしか充たされていない。

 

 

『少しくらい驚いたらどうだ?』

 

「あなたは…死神さんですか?」

 

『…残念だったな、俺はデザスト。…ただの醜い怪物でお節介焼きだ。』 

 

 

 現れたのはデザスト…彼は包を少女の横に置く。それは、いくつかの握り飯…世話焼き心配性従者のお手製で本来は『主』のために作られたもの。もう冷えてしまっているが、包紙が保存向きの材質だったのかまだ食べられるほどもちもちと弾力があって柔らかい。

 

 

『食え…足りないらしいが。なんなら、口に突っ込んでやろうか?』

 

「随分と親切な死神さんですね。折角の懇意を無下には出来ません…いただきます。」

 

 

 起きあがる少女は怪物からおにぎりを受け取るとほうばった…。

 

 

 怪物の握り飯…特に何の変哲もない塩味の握り飯。主を想って故か、塩は控えめでありながら食べやすい大きさ。作った従者の温もりを感じることが出来る。それは、本来の想い人の胃袋におさまることは何一つなかった。

 

 仄かな暖かさは何よりも、少女が飢えていたものだったのだから…。

 

 

「うぇ… えぇ゛……ぇぇ……」

 

『…泣くのにも存外、エネルギーを使うからな。泣き疲れたら、眠るといい。忘れられても、お前が生きることを望む者は確かにまだいる。』

 

 

 そして、怪物は背を向けた…。

 

 己の役割を終えた役者が舞台を去るように…

 

 

『…ではな。』

 

 

 

 

 ―――――またね、ペコリーヌ。

 

 

 

 

 

 

 

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