プリンセスコネクト!Re:転生カリバーさん、悪夢に泣く(仮)   作:ジュンチェ

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羽ばたく不死鳥

「――成程な。アナザーライダー、資格無き者が力を獲て産まれ、歪められた英雄像が化物になったもの…それがあの怪物らの正体。その誕生には悪意ある何者かが関わっていると。」

 

 

 時間は1週間と少し前…ペコリーヌ脱出の直後の辺り。変身したままのカリバーとクリスティーナは夜のランドソル城広間にて話をしていた。お互いに知りたいことがあるからこその情報交換…無論、両者とも全ては包み隠さず話すつもりは無いのだが。

 取り敢えず、カリバーはアナザーライダーについての情報を提供する。

 

 

「ただ、僕の知るソレとは差異がある。僕の知るアナザーライダーは『本の怪物』なんかじゃない。元々のアナザーライダーが何かしらの原因で変異したか或いは、本の力でアナザーライダーを再現しようとしているのか。何にせよ、自然に発生するものじゃない。」

 

「では、悪意ある者がいると仮定して目的はなんだ?」

 

「わからない。むしろ、本に落とし込むことで僕がその力を使える以上、かえって不利益なはずだ。」

 

 

 カリバーは自分が転生者やセーフポイントに案内役ヒルマのことは伏せる。一応、出自に関しては団員に登録する際に本の噂を耳にして遥々東の最果てから来たと伝えてある…殆ど嘘は言ってない。まあ、転生者云々はカリバー自身もうまく把握出来てない上に伝えたところで余計な混乱があるだけだろう。

 

 

 さて、一方のクリスティーナは…

 

 

「まあ、そこは追々考えても詮無いことだ。そう言えばお前には伝えていなかったことがある。貴様のような本の剣士だが…どうやら、お前だけではないようだ。」

 

「…!」

 

「その様子から見るに知らなかったようだな。」

 

 

 もうひとりの剣士…聞き捨てならない。

 

 

「ランドソルの昨今流れてきた噂に『炎を操る剣士』が都市内に沸いた魔獣や郊外に棲み着いている怪物や賊どもを一網打尽にして荒稼ぎをしているというものがある。だが、姿を見た者はごく僅かでギルド管理協会もその素性は知らんとのことだ。陛下もその足取りを裏で熱心と追っているようなのだが…心当たりはないか?」

 

 

 ――炎を操る剣士

 

 カリバーの脳裏を過るふたりの仮面ライダー…セイバーの物語において、各騎士において司る属性はバラバラだが『炎』だけは2人いる。ひとりは言うまでもなく、炎の剣士である仮面ライダーセイバー…物語の主役である彼。

 

 

 そして、あともうひとりは…  

 

 

「…(出来れば、あまりこちらの可能性は考えたくはないが…)」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――アイツが言っていた不死鳥の剣士、ファルシオンか!」

 

 

 吹き荒れる変身の熱風に煽られながらクリスティーナはファルシオンが先日、カリバーから教えられた不死鳥の剣士だと察した。つまり、奴がランドソルで魔獣狩りで荒稼ぎしていた謎の存在の正体。

 

 一方、ファルシオンは周囲を気にすることなくアナザーオーズに一瞬で間合いを詰め無銘剣・虚無で斬りかかる。滅却の業火を纏う斬撃は剣に優れたアナザーオーズでいなしきれるものではなく、今度は彼女側が圧されていく。重い一撃一撃、液状化して間合いをとろうとしても高熱の一太刀が熱波となり離脱を許しはしない。チートの権化と名高い液状化の能力だが、弱点としては透過が不可能である熱や光といった非物理の範囲攻撃には弱い…ファルシオンの剣撃が放つ熱波はその唯一を突くに充分なものだった。

 

 

『く、くそ!』

 

「弱い…弱すぎる。その剣の扱いを見るに素人ではなさそうだが、小細工と小蝿のような剣捌きで俺には届かないぞ。」

 

『黙れ!わたしの剣を馬鹿にするなぁ!!』

 

 

 ならばと、翼をはやすアナザーオーズ…飛翔する猛禽と化した異形は一気にファルシオンに滑空して迫る。

 

 ――ああ、なんと愚かな。

 

 

「地に足つけぬ剣技と地に足がついていない剣は別物だろうに。」

 

【 必殺黙読! 不死鳥必殺撃!! 】

 

 

 こんな程度、彼には猫騙し以下。

 

 素早く背を低くして滑り込むように突進しながら、ライドブックを刃に翳す。同時に刀身はより強い業火を纏い、異形の一閃を鼻先でかわしたながれからすれ違いに強烈な一撃。これを受けたアナザーオーズの翼は散り、無様に地面へと転がった…。

 

 

「…強い。」

 

 

 クリスティーナは直感する…この不死鳥の剣士は自分や騎士団長であるジュンと真っ向から張り合えるかもしれない実力者かもしれないと。カリバーが手も足も出なかったアナザーオーズを軽く手玉に取る様は戦慄すら覚える…厄介事は嫌いじゃないが、今のタイミングで敵対はしたくないものだが…

 

 

 そんな思惑のクリスティーナを尻目に、呻くアナザーオーズへ近づいていくファルシオン。

 

 

「さあ、本を渡してもらおうか。持っていてもお前を蝕む呪いにしかならないぞ。」

 

『…まだ、だ…! うっ!?』

 

「!」 

 

 

 その時、遮るようにシュルルルッ!と何処からともなく植物の蔦がアナザーオーズに巻き付き、ファルシオンから引き離すように引きずっていく。救護院の方向にジッパーのような空間の裂け目が出来ており、そこから伸びていたと気がついていた時にはもう遅い…炎を飛ばそうとしたファルシオンだったが、救護院に当たる可能性があったため剣先は振り上げられて寸止めされて肝心の獲物は空間の裂け目と共に消えてしまった。取り逃がしたのである。

 

 

「…ちっ。まあ良い…」

 

 

 さて、とファルシオンは今度は転がっているカリバーの元に。虚無の剣先でこ突いてみるが、特に動く様子は無い。

 

 

「なにが、『闇の観測者』だ…ただの貧弱な亡者ではないか。『魔女』の手先なのは間違いないだろうが…」

 

 

 つまらなげに吐き捨てると興味を失ったのか今度はサレンと孤児たちの所へと歩いていく。サレンはファルシオンのことを知らなかったようでとても驚いた様子で、子供たちは羨望の眼差しを向けている。

 

 

「あ、あんた…ソレ……」

 

「ああ、少し訳アリでな。怪我は無いか?」

 

 

 幸い、サレンや子供らに目立った怪我などはない。

 

 ただ…

 

 

 

「サレンちゃん、彼は…」

 

 

 王宮騎士団がファルシオンを見過ごせるわけもなく、ヤミーを片付けたジュンがサレンに問う。何はともあれ、カリバーに次ぐ新たな本の剣士となれば素性を知りたいとなるのは当然の流れだろう。

 すぐにサレンは説明をしようとするが、ファルシオンが制止する。

 

 

「王宮騎士団だな。」

 

「ああ、騎士団団長のジュンだ。まずは助力を感謝する。それと貴公には色々と事情を聞かせて貰いたいのだが…」

 

 

 

 

 

「断る。」

 

 

 

「…は?」

 

「今は関わるべきじゃない、そういうことだ。サレン、世話になったな…これは家賃だ。受け取っておけ。」

 

 

 待て…という暇なくファルシオンは不死鳥に変貌して飛び去っていく…金貨・銀貨のありったけ詰まった大きい革袋を遺して。突然の目まぐるしい展開にこの場にいる殆ど全員が置いてきぼりだった…仕方ないことだろう。されど、放ってはいけないこともある。

 

 

「バカ弟子、しっかりしろ!おい!」

 

 

 カリバー…クリスティーナに抱き上げられ、ドライバーから本を引き抜かれて露わになった素顔はまさに死んだ魚。血は通わず、口はだらしなく半開きで瞳は濁っている…。

 

 死体。

 

 闇の剣士はあまりに呆気なくその命を落としていた… 

 

 





ね、眠いので…今回はここまで。(謝)

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