プリンセスコネクト!Re:転生カリバーさん、悪夢に泣く(仮) 作:ジュンチェ
「さて…」
王宮騎士団から逃れたファルシオン…人目がつかないギルド管理協会の裏に着地すると変身解除。ボッと炎が揺らめいて現れたのは騎士の少年…ではなく、怪人・デザスト。何も知らぬ人間が見たら悲鳴をあげるところだが、ここに人影などない…だからこそ、彼は選んだのである。まだ慣れないこの身体では戦いの後には異形の姿になってしまう。人の姿に為るためには『コレ』がいる。
【 スピリット 】
ドライバーに接続する若草色のライドブック…すると、瑠璃色の光に包まれてデザストは騎士・ユウキの姿へと変身したのだった。
これで一安心、ドライバーをしまうと残った若草色のライドブックを手に取り彼は呟く。
「すまない、もう少しあの場所にいたかっただろう。」
この姿、この肉体は自分のものじゃない。ましてや、この物語自体が本来から自分が居て良いものではないのだ。
しかし、為さねばならぬことがある。
だからこそ、この肉体を…物語を借り受けたのだ。そして、必ず返すと誓った…全てを全うし、全ての命を救った最後に。この若草色の本は怪物の姿を隠すヴェールだけではなく、その誓いの証という意味を持つ。
「今暫し耐えろ、全ては忌まわしき『魔女』を討つために。そして、お前の悪夢も必ず断ち切る…。そのためにも、今の足がかりはあのカリバーだけだ。奴を辿れば必ず…」
★ ★ ★ ★ ★
――やだ、僕弱すぎ?
あーなんてざまだ。2度目の死がこうもすぐに来るなんてゴーストもびっくりだ。タケル殿、笑ってごめん…呼吸も身体の自由も奪われて高圧電流で感電させられれば普通に死ぬ。身体はともかく、元々がただの一般人だったことをホームラン級フルスイングで現実が教えてくれる…主人公補正ってなんだ。
教えてくれ、キャルちゃん…緑のクソ眼鏡はジュエルを砕くだけだ。
「―――さ―」
せめて、美食殿には合流したかったなぁ…
転生して良くなったのは民間の事務員から公務員騎士になったことぐらい。ヒロインだって出会ったのなんかほんの一摘み…あんまりじゃあないか。
「―――カリ…ー さ…!」
あーやっぱり、僕にカリバーなんて務まるわけ…
「――こっちを見てください! カリバーさん!」
あれ?何か聞き覚えがある声…
ん?闇の中でキョウカちゃんが浮かんでるな?
「あなたにまだ死なれては困ります! 『闇の観測者』としての使命があなたにはあるでしょう!」
…闇の? え、なにそれ。
キョウカちゃん、まだ中二病にははやいぞ。君のご両親も泣くぞ、その齢にしてそんなセンスは…ぶっちゃけ、死に際に見る光景が中二病幼女とか僕自身が泣きそうだ。申し訳ないよ、なんかこう…色んな方々に。
「ふざけてないで…! あぁ、もう取り敢えずもう良いです。とにかく、この質問に答えて下さい…
――貴方にとって『闇』とはなんですか?」
…
……
………はい?(困惑)
えーと、どういうことだ?
もしかして、僕のことを遠回しにロリコンって言ってる?(震え)
「(カチン)」
ザクッ(顔面に月闇がブッ刺される音)
★ ★ ★ ★ ★
「ギャアア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!?!?」(飛電特有の汚い悲鳴)
キョウカちゃ…!? あれ、なんともないぞ。
中二病幼女に顔面ストレート(剣)を喰らわせられたと思ったら、飛び起きて微妙に見知った天井。揺り椅子に眠らされていたので、拍子でぐらぐら前後している…。我にかえって辺りを見回せば黒い本棚のアジト、即ちセーフポイントだなここは。しかし、何故?僕は死んだはず…
「…夢?」
「夢じゃないわよ。アナタは死んで、ここにリスポーンしたの。取り敢えず、記念すべきファーストデスおめでとう☆ 残機の概念は無いけど、くれぐれも連続で死に続けないようにね。面倒だから。」
ヒルマだ。ああ、そういえばここに来たばかりの頃に言っていたな。死んだとしても、このセーフポイントにリスポーンしてやり直せる。あと人の死を祝うんじゃない。
あとなにかあった… ――そうだ!
「アナザーオーズは!?」
「…そうね、それに関してはちょっと予想外の流れになって。」
『見たほうが早いかも』とヒルマ…指パッチンすると空中に映し出されるホログラム。ん?騎士くんが何か見覚えがある剣を…あれ無銘剣虚無じゃないか?…って変身した!?しかも、そのままアナザーオーズを圧倒している!?
(あ、赤ちゃんの戦い方じゃない…)
騎士くんといえば、基本的に戦闘においてはヒロインたちの力を引き出すバッファー以上は目ぼしい戦力となることはアニメにせよゲームにせよ稀だったはず。無論、普通の騎士くんなら仮面ライダーになるなんてありえない。加えて、あの剣技に身のこなし、時系列的に見ても場合によっては剣の師事をするペコリーヌと合流はしてないだろうことに目を瞑ってもおかしい。
…どういうことだ。と思っていたら、ヒルマが話を続ける。
「あの無銘剣虚無は私の紛失した聖剣の一振り。なんで、あの子が持ってるのかしら…おまけに使いこなしてるなんて。」
「君が手配したんじゃないのか?」
「違うわ。私が手配したのは貴方だけ。彼の面倒まで見る必要ないもの。」
ヒルマも無関係?いや、聖剣を紛失というのは問題だが。ふむ…謎は膨らむばかりだが、考えられる可能性としては…
(…何らかの理由で自我が完全にあるのか。…もしくは憑依系の転生者?)
騎士くんが本来の人格を取り戻している可能性と、原作のキャラクターに人格が成り代わる憑依系転生者。僕のような場合と違い、人格の問題さえクリアすれば既存のキャラ設定をそのまま継承して転生した世界に馴染みやすいのが利点だ。二次創作界隈でもこの手の主人公の人気は根強い。
ただ、問題として…
(なんにせよ、物語が原作通りにはいかないということになるな…。)
騎士くんがどんな形にせよまっとうな精神ならばもう原作通りという筋書きは通用しない。スタート地点から違う、そこから築いていく人間関係もまた差異を産んでいく…最悪、ペコリーヌらと出逢わない場合は完全に物語が破綻するぞ。
…頭を悩ませていると
「基本、放任させるつもりだったけど事情が変わったわ。貴方にミッションを与えるわ。」
ヒルマ…?
「あのファルシオンについて調べなさい。場合によっては、聖剣の奪還を何よりも重視して…最悪、彼の生死は問わないわ。」
「…戦っても勝てる気がしないんだが。」
「何回死んでも、相手が死ぬまで殴り続ければ勝てるわよ、いずれ。そのためのリスポーンでしょ。」
プリコネでどうしてそんなダクソかブラボみたいなことしないといけないんです?(絶望)
転生モノ数あれど、そんな扱いされるオリ主なんて早々いないだろ…あんまりじゃないか(血涙)。フロムゲー系オリ主は人気でも、フロムゲーの世界に転生するやつはおらんやろ。しかも、大抵は強くてニューゲームだろそのジャンル。僕の初期ステはカリバーであること以外、カス以下だぞ(自己申告)
「あーもう、ゴチャゴチャ煩いわね。やれやれ、じゃあこれを装備に追加してあげるから頑張りなさいな。」
「うお!?」
そして、ポイッと投げ渡されたのは…雷鳴剣 黄雷!?確か、外に刺さってたやつ…
「それじゃ、頼んだわ。」
…待っ
★ ★ ★ ★ ★ ★
「さて…ね。」
カリバーが消えたセーフポイント。
ヒルマは独り考える…あのファルシオンは何者なのか。騎士くん=ユウキのことだって把握している。プリコネという物語において本来の主人公であり、物語の主軸になる少年…世界の選択権を握る存在。可能性の交錯、しかしこんな事象は自然には起こらない。
「…お前が誰にせよ、これが最後のループ、『最後のデヴォリューション』を邪魔させないわ。」
映像にはアナザーオーズに勝利をおさめたファルシオンが映る…それを鋭い目つきでヒルマは睨みつけた。
そう聖剣使いは自分の手許にだけいれば良い。
今更、イレギュラーなどあってたまるものか。
★転生カリバーさん
転生したしたら、ソシャゲではなく事実上フロムゲーだった件について。あの救い(マルチ)はないんですか…
★ヒルマ(鬼畜案内役)
敵の耐久値引き継ぎして戦えるだけ良心的でしょ?
★キョウカちゃん(?)
ロリコンは不正解。
★デザスト騎士くん
転生カリバーさんより遥かに強い。本来の姿はデザストであるけどユウキの人格もあるにはある。デザストはセイバー原作とは別人。