プリンセスコネクト!Re:転生カリバーさん、悪夢に泣く(仮)   作:ジュンチェ

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転生カリバーさんと過ぎた力 その2

『『『『ぐるるるるる…』』』』

 

 

「なんだコイツらは?蟲かなにかか?」

 

「インベスだ!直に触られたらマズいことに…」

 

 

 迫るインベスの波を斬りはらっていくクリスティーナとカリバー…所詮は下級クラスの怪人でこのふたりなら大した脅威にもなりはしない。だが、生身に爪なんかで直接攻撃を受ければ傷口から種か胞子が侵入して寄生木状態になる恐ろしい一面を持つ。カリバーは良いとして、クリスティーナは危険性が……

 

 

「愚問だな、こんな虫けらどもが指一本触れられるものか!」

 

 

 しかし、インベスたちは彼女の嵐のような剣撃の前に爆散…その数をあっという間に減らしていく。この時、カリバーは前世の時の彼女に関する能力を思い出す…。そうだ、この人は範囲攻撃以外は基本的に通じないレアスキル持ちだったな。それなら、緩慢なインベスなんて文字通り指一本触れることすら叶わないだろう。心配する必要は無かったようだ。

 

 さて、この展開はアナザー鎧武にとってはよくないものだ。舌打ちをして更にクラックを開き続ける。

 

 

『お前らぁ、調子に乗るなぁ!!』

 

 

 異形の叫びに呼応したのか、出現するインベスの数は殲滅速度と拮抗するほど勢いは凄まじい…倒しても倒しても、底なしと言わんばかりだ。

 

 

「数で押し切るつもりか! ならば!」

 

 

【 キング・オブ・アーサー!! 】

 

 

 対抗するためカリバーはキングエクスカリバーを召喚、二刀流の乱舞で周囲のインベスを薙ぎ払い一網打尽。デカいは正義、デカいは強い、やはり大剣は素晴らしいと言わんばかりの威力だがアナザー鎧武はニヤニヤと笑い余裕すら見せる。

 

 

『おっと、真面目にやってるとバカ見ちゃうよ!』

 

「!」

 

 

 奴が狙ったのは救護院、柑橘類の断面を模した大剣を振り上げ放つ巨大な斬撃。まずい!と判断したカリバーはすかさず割って入りキングエクスカリバーを巨大化させ大盾代わりにガード。間一髪で間に合ったが、一撃は重く足元がバリバリと砕けてしまう程…

 

 

「くっ! …まずいなこれは。」

 

 

 多勢に無勢…ザコは無限湧き。サレンも剣を持って応戦はしているが、今の砲撃のような大技を彼女や救護院から庇いながら戦うのは現実的ではないだろう。もっと、素早くカタをつける方法があれば…

 

 

(打開の一手を……む?)

 

 

 

 そういえば、雷鳴剣黄雷をヒルマに渡されてたな…どうして剣をわざわざと思ったカリバーだが、よくよく考えれば月闇で引き出せるライドブックの力は原始の聖剣という特性故か通常の聖剣とは差異がある。今までレジェンドライダーの本で引き出してきたのは月闇による『怪人の力』…逆に、それ以外の聖剣なら…!

 

 

「…まさか!」

 

 

【 ファイズ進化人類史!! 仮面ライダーファイズ !! 】

 

【 COMPLETE 】

 

 

 この状況にお誂え向きの力があるじゃないか。

 カリバーは月闇ではなく、雷鳴剣黄雷へ翳す…これにより現れたのはオルフェノクではなく赤いφを象る複眼が輝き、本来胸部にあるべき装甲が肩にスライドしコアを露出した器械的な白銀のライダー…『仮面ライダーファイズ アクセルフォーム』の幻影。

 

 

(うまくいった!)

 

 

 やはり、月闇以外の剣は純粋に仮面ライダーの力を引き出してくれるのだ…!己の推論が当たったことに喜びが洩れるカリバーに対し、未知なる力に狼狽を見せたのはアナザー鎧武。

 

 

『な、なんだソイツはァァァ!?』

 

「知りたいか?なら、10秒間とっくり味わうと良い。」

 

 

 

 口で説明する必要はない、とくと味わえ

 

  ―――閃光の裁きを

 

 

 【 START UP 】 

 

 

『!』

 

 

 瞬間、カリバーとファイズの姿が閃光となり消える。

 

 アナザー鎧武が追えたのは紅と紫の残像が次々とインベスを爆殺していき、みるみるその数を減らして自分へ迫っていく恐怖のみ。数秒後…ついに周りで護りを固めていたインベスすら鎌鼬のように斬り刻まれて無防備に。

 

 

『くそがァァ!!!』

 

 

 もうやけくそに大剣を振るしかない…しかし、そんな程度は軽くカリバーにかわされて跳躍した彼はファイズの幻影と完全にシンクロし、右足から三角錐の紅いポインタを打ち込み拘束しライダーキックを打ち込む。

 

 

「はあっ!」

 

『く、くそ!俺が!俺が、こんなところで…!まだ何も始まってないのに…っ! 畜生ォォォォォ!!!!』

 

 

 そして、怨嗟と悲鳴の残響を残しながらアナザー鎧武は貫かれて爆発四散。変身者だった団員とコアの穢れた本は投げ出され、地面に転がった。団員は朦朧としている様子で逃げることも出来ないだろう。取り敢えず、これにて『サレンディナ救護院の問題』は解決だろう。

 

 少し間を開けてカリバーが幻影と共に着地…その姿にふと違和感を覚えたのはサレン。彼に重なるファイズに強く心と脳裏が騒ぎたつ。

 

 

 

 【 ――大丈夫か、サレン? 】

 

 

「…タクミ?」

 

 

 

「え゛」

 

 

 

 過ぎった朧気な記憶にふと…口にした知り得ないはずの名前。しかし、反応したのは消えていく幻影ではなくカリバーだった。転生カリバーさんの本名とは違うのだから当然の反応…すぐに自分の行動の奇妙さに気がついたサレンは『はっ!? ご、ごめんなさい!』と慌てて謝罪。きっと心身疲労が溜まっているんだろうと彼女自身は胸の内で結論づけた。何せ色々ありすぎたのだから…

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 タクミ? …乾巧のことか?

 

 突然、何を言い出すんだサレンママ。彼女が知るはずもない…プリコネの世界にその名前を持つ男がいるはずがない。仮面ライダーファイズにおいて、タクミといえば主人公である乾巧でこの物語に何の縁もない。なのに何故…

 

 

(そういえば、彼女はアナザーファイズだった…何か関係があるのか?)

 

 

 思い当たる節はやはり、アナザーファイズ化。穢れたライドブックにより産み出されたアナザーライダーはもしかしたら、未知の影響を与えるのかもしれないな…今後も注意しておくべきだろう。

 

 ――別に都合よく会うための口実じゃないぞ。

 

 

 

 

 さて、残るはアナザー鎧武だった団員。穢れたライドブックはクリスティーナが拾いあげ、続いて彼女は団員を『起きろ』と蹴りとばして覚醒させる。ドカッて音した…痛そ。

 

 

「さて、貴様には色々と聞かねばな。」

 

「…副…団長? 俺は一体?……ここは?」

 

「なにを寝言を。この本の出処についてや諸々、全てを話してもらう。その後に貴様には相応の処分が下る…覚悟しておけ。」

 

「処分? ま、まってください!? な、ななにがどうなって……」

 

 

 ん? 何か様子がおかしい… 師匠、ちょっと待っ…

 

 

 

「あ…ああ…ああアアアアアアアアアアアア!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

 蘇る記憶…

 

 

 腑抜けた帰り道の廊下、手渡された魔本は3冊…そして、自分は異形となった。絶大な力と全能感が四肢に飽き足らず脳髄まで炙り、血管にまるで熱い酒が流れているようだった。

 

 そのまま、暴虐の限りを尽くす。救護院への投資家たちを脅し、サレンと『疎ましい小娘』に魔本の残りを埋め込み自分と同じ怪物に変えた…

 

 

 彼女に戻って欲しいという想いはいつしか増悪にとって代わって自分を突き動かす。何が正しいなんてどうでもいい…気の済むまま、自分の望む結末が曖昧になってももう頭が蕩けさせることが気持ちよくてたまらない。

 

 

 

 

 

 

 ―――だが、魔本は取り上げられ幻は解ける。

 

 

 

「アアアアァアアアアッッ!?!?」

 

 

 スイッチが入ったように戻った正気と倫理観は自分が重ねた暴挙と罪の羅列に一瞬で決壊を引き起こす。頭が破壊されそうな衝撃に藻掻く手がガリガリと顔面を抉り血が滲み出るほど掻きむしっても内側からの激痛は止まらない。

 

 

「お、おい…!?」

 

 

 流石のクリスティーナもこの発狂には戸惑わずにはいられない。カリバーやサレンさえも呆気をとられていると彼は自分の剣を腰から抜くなり首に刀身を押し当てた…。

 

 

「許して下さい…サレン副団長…。」

 

「! や、やめなさ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――ザシュ

 

 

 

 

 

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