プリンセスコネクト!Re:転生カリバーさん、悪夢に泣く(仮)   作:ジュンチェ

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劇場版オーズ見てきました。

後書きにネタバレを含む感想とか書きますんで、ご注意を。


人それぞれ意見があるのは承知ですが、あくまでわたしの持つひとつの思いとして受け取ってもらえれば幸いです。



転生カリバーさんと過ぎた力 その3

  ―――……血

 

 

 鋼色の刀身から溢れ滴る赤い雫…

 

 しかし、刃は主の首を掻っ切ること叶わず横から伸びた傷を厭わずがっしと掴む手袋に阻まれていた。

 

 

「全く…詰めが甘い。」

 

 

 見知った顔と冷たい一言…掴んでいたのは救護院を立ち去ったはずのユウキ。少年の体躯でありながら成人の掴む剣は岩に挟まれたようにカチカチと震わすだけで精一杯という異様な握力で自害を許さない。そんな彼に団員はひぃひぃと泣きじゃくりながら懇願する。

 

 

「死なせてくれ!死なせてくれぇぇ!!」

 

「たわけ。頭を冷やせ…そして、命をもって償う意味を今一度考えろ。」

 

 

 しかし、ユウキは情け無用と顔面へグーパン…余程の威力だったのか団員は一瞬で伸びて動かなくなってしまった。暫くは動きそうにない彼は今のうちに拘束しておけば問題ないだろう。さてさて、こっちは片付いてもまだ全てが終わったわけじゃない。

 

 

(聞かねばならないか…)

 

 

 カリバーは王宮騎士団として、何より転生者として仮称・ユウキの素性を知らねばならない…あるべき物語を全うする者なのか、それとも我欲の向くまま悪虐の限りを尽くすつもりなのか。最悪の場合、対峙しなくてはならないこともありうる…無論、その展開は望まぬところだが。

 

 

「君は…」

 

「俺に構っている場合か? お前、つけられていたぞ?」

 

 

 意を決した一言目は容易く出鼻を挫かれる。

 

 話し方が完全に騎士クンじゃない。原作の本来の性格とも全く違う威圧的な声色…しかし、彼の視線はカリバーたちの背後に向いていた。その時、ようやくまだスポットライトが当たらない『もうひとり』がいることにやっと気がつく。

 

 

『…チッ。…気づいたのか。』 

 

 

「!」

 

 

 アナザーオーズ…『彼女』は剣を握り佇んでいた…。

 

 

 狙いは恐らく、アナザー鎧武に変身した団員。すぐに身構えるカリバーだが、それを制したのはクリスティーナ…珍しく笑みもなく真面目な顔で怪人を見据える。背中で語る『一度、私に任せてくれ』と。ならばとカリバーは刃を下ろす…

 

 

(…まあ、会話では止まらないだろうな今の『彼女』は。)

 

 

 結末がどうなるかをこちらも見据えながら

 

 そして、アナザーオーズへ語りはじめたクリスティーナ。手には穢れたライドブックが弄ばれいる。

 

 

「さて、全ては終わった。お前がもうその力に縋る意味は無いぞ。」

 

『…』

 

 

「正体はもうとっくにわかっている…なあ、お嬢ちゃん?」

 

『!』

 

 

 お嬢ちゃん、クリスティーナがそう呼ぶ人物は限られる。動揺し足を止めたアナザーオーズは自らの穢れたライドブックを取り出すと変身解除、素顔の銀髪の少女が姿を表す。

 

 

「どうしてわかった?」

 

 

 王宮騎士団・団員…トモ。彼女こそがアナザーオーズの正体である。

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

  

 

 

 

 

 彼女の素顔に僕はあまり驚かなかった…理由は簡単、予めその正体をクリス師匠から聞かされていたからだ。なんでも、彼女自身もアナザーオーズと城内で交戦した際に立ち回りと独自の剣技であるミクマ流に似ていることに気がついたことがキッカケらしい。

 更に襲われた団員たちが王宮騎士団の一般公募に反対し、僕やトモのような庶民や獣人のメンバーと一悶着お越していた輩ばかりという。状況証拠に加えてある人物からの『密告』が決定打になった。

 

 王宮騎士団の救護院の来訪だって証拠を得る手段で、副団長が団長をうまく言い包めたに過ぎない…。無論、予め子供たちをサレンに『大切な話の邪魔になる』とそれとなく別の場所に誘導させたのは抜け目のないとは思う。……最もこんな事実を団長やサレンが知ったら激怒するだろうが。

 

 

(結局、結果論か…)

 

 

 僕もこの作戦は当然ながら渋った。ただでさえサレンは消耗しているのに、鞭打つような真似は人の心が無いじゃないか。しかし、決まってしまった事項を覆す力も時間も無く、結果として悔しいが、アナザー鎧武まで引っ張り出せたのだから作戦としては大成功だろう。

 

 

 …あとは

 

 

 

(彼女をどうやって止めるかだな。平和的にいけば越したことはない。が……)

 

 

 

 まあ、そんな可能性に縋れるほど残念ながらお人好しでもないんだな僕は…  

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

「…密告があった。」

 

 

 クリスティーナの冷たく告げた一言で、全てを察するトモ。自分がこの異端の力を持つと知る人物はひとりだけ…

 

 

「マツリちゃんか…絶対にモノにしてみせると言ったのに…!」

 

 

「笑わせてくれる。私からは力に呑まれかけているようにしか見えないのだが…」

 

 

 確かに髪はボサボサ…血色も悪く目許は年頃の少女には痛々しい隈まで。そんなボロボロの肉体から滲む禍々しいオーラは穢れたライドブックによるものだろう。口調も心なしか荒い…精神も蝕まれてきているのか。

 ならば、早く彼女から本を取り上げねば!カリバーは叫ぶ。

 

 

「その穢れた本をこっちに渡せ!君もサレンのように暴走したら…!」

 

  

「暴走なんかしない。そして、渡すのはお前のほうだ…その男はこちらで処分する。」

 

 

 しかし、トモは聞く耳持たず再びアナザーオーズへと変身。意識はあっても自我は完全に歪んでいる…カリバーは彼女の原作設定をそこまで深く理解はしていないが、間違ってもこんな間違った力に魅入られるような弱い人間ではなかったはず。

 気は奨むものじゃないが、彼女を元に戻せる手段は剣による荒療治のみ。迷う暇は無い、救わねば…抜けられない深みと背負いきれない罪を重ねる前に。

 

 

「そうか。ならば…力付くだ。」

 

『ハッ、貴様ごときに遅れをとるものか!!』

 

 

 走りだす両者。そして、ぶつかり合う剣と剣。

 

 

 月闇とメダジャリバーが甲高い音を鳴らし、激しく死合いの舞を繰り広げる。互角……否、やはり純粋な剣技では分が悪いのかカリバーが圧されはじめ、ジリジリと後退しはじめてしまう。

 

 

「くっ…!」

 

 

『弱い、失せろ!』

 

 

 ついには一撃をもらって弾きとばされるカリバー。その隙にとアナザーオーズは標的を気絶している団員へと飛びかかる…が、クリスティーナが立ちはだかり剣を抜く。

 

 

「頭を冷やせ。私刑などお前のやる柄ではないだろ!」

 

『黙れ!ソイツがマツリちゃんに何をしたのか知らないくせに!!』

 

 

 アナザーオーズの勢いは衰えない。脳裏にチラつく友人を侮辱し高笑いしていたこの男の記憶が決して消えぬ燃えたぎる怒りに薪を焚べ続けるのだ。…この歪な欲望の力が目覚めたのはいつかはもう覚えていないし、どうして目覚めたかなんてどうだって良い。全てが正しくなるまで力を振るうのみ。

 

 

『マツリちゃんのためにも私が王宮騎士団を立て直す…!そのためには…!』

 

「…っ! 血迷うにも程がある!」

 

 

 もう目の前にいるのは直向きな少女騎士ではなく、欲望のまま吼える怪物だ…それでも仲間である少女の豹変に目を細めるクリスティーナ。自由奔放の度が過ぎる彼女でも、やはり思うところがあるということなのか…

 

 その最中、態勢を崩したカリバーも『う…っ』よろめきながらなんとか復帰。ライドブックを取り出し、アナザーオーズへの反撃を試みる。その一手は…

 

 

 

【 キング・オブ・アーサー!! 】

 

 

「これでっ!」

 

 

 キングエクスカリバーの召喚からのぶん投げ、カリバーのお気に入りの戦術。ただ今回は属性を乗せずに投げただけ…これには背後から狙われつつも余裕の嘲笑をするアナザーオーズ。

 

 

『またか!芸のな…!?』

 

 

 この程度ならばと飛び退いて回避…した途端に覆い被さる影。投げられたキングエクスカリバーは巨大化・変形しロボット形態になったのだ。

まさか、剣がロボットになるなど想定外で意表を突かれた彼女を鋼の剛腕がガッシリと拘束する。これで動きは封じられ、カリバーは速攻でカタをつけるべく地を蹴った。

 

 

「その欲望、僕が絶ち切る!」

 

『舐めるなァ!!』

 

 

 しかし、アナザーオーズには逆転の切札がある。ドロリと身体が蕩けると液状化してキングエクスカリバーの拘束を脱出…再び自分に挑む愚者を呑み込むべく迫るがカリバーとてバカではない。既に対策は織り込み済みと雷鳴剣黄雷と先とは別のライドブックを取り出す。

 

 

【 昆虫大百科!! 】

 

 

『!?』

 

 

 ヤワな物理攻撃なんぞ通じない液状化…ならと選ばれたのは昆虫大百科、本を翳すなり凄まじい緑の光がアナザーオーズの眼を潰す。昆虫大百科、様々な昆虫の記憶の生態が記録される本からカリバーが選んだ能力は発光能力を持つ儚い水辺の昆虫『ホタル』。非物理は雷以外は乏しい彼なりの創意工夫であり、その効果は覿面だった。

 

 

 

『ぐああああああ!?!? 目潰しとは卑怯なっ!?』

 

 

「悪いが、もう死にたくはないんでね。」

 

 

 液状化が解けのたうち回る彼女には申し訳ないが、一度殺されている身として手段は選んでられない。

 

 

 【 習得一閃! 】

 

 

「むんッ!」

 

 

 これで戦いの行く末は決まった…暗闇の斬撃が弧を描く。

 

 怪人の肉体は斬り裂かれ、汚濁のような断末魔とつんざくような少女の悲鳴が重なって爆発が起こる。…終わった。これで一段落……

 

 

 

 

 

「あ…あああああ!!!」

 

 

「!」

 

 

 否、燃え盛る炎の中……変身解除をされても尚、トモは穢れた本を手放してはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







※ここからは現在公開中の『仮面ライダーオーズ完結編―復活のコアメダル―』のネタバレを含む感想になります。ネタバレが嫌な方はバックを推奨します。















☆総評として…

 仮面ライダーオーズのひとつの結末、何より火野映司の結末として申し分ないと私は思います。SNSなどでは賛否両論となっているのを見受けられますが、これはまだ映司に旅を終わってほしくない人たちの想い…それこそ欲望ではないのかと。リアルタイムで見ていた私ももっと幸せや希望があるエンディングがあったんじゃないかとは思う節はありますが、やっとあの日届かなかった手が届いてゆっくり眠れる…それで良いんじゃないかと。仮面ライダーオーズ…長く続いた旅のおわり。ありがとう、アンク。おやすみなさい、映司。


 ……時間軸の整合性? 平成ライダーに何を今更。(真顔)





☆新たなるグリード、ゴーダ

 映司の偽物…映司の上辺だけを真似ているだけの怪物というのが相応しいかと。彼は映司の欲望から産まれた…と言いますが、同じ記憶を持ってオリジナルの肉体に入った別人が本人と完全にイコールの存在になりうるかといえばそんなことはない。テレビでアニメの主人公の活躍を見た人間がその主人公に為り替われるかと言えばそれは違う…グリードの彼はまさにそれ。早々にわざとらしくボロを出した辺り、成り代わることよりグリードの持つ完全な存在でありたいという本能に従うだけだったというのが私の持った印象。強力な存在だった彼ですが、恐らく敗因は最後の最後で生身の肉体を捨てたこと。結局、いくらメダルをかき集めようとこの時点で血も肉もないただの『物』となった彼が『命』を賭して戦うふたりに勝てなかったのは当然の帰結でしょう。


☆永遠の意味

 タジャドル・エタニティ…なにが『永遠』なのか。映画見るまではアンクとの絆は永遠なんだぜとかいう安っぽいものを予想していたんですが、見た後だと見方が大きく変わりましたね。あくまで私の個人的な意見なんですが、タジャドル・エタニティの永遠はアンクを映司の肉体にずっと縛りつける意味合いがあったんじゃないかと思います。古代王オーズとの戦いで瀕死になり、ゴーダに乗ってられても諦めず回復の可能性に賭けようとしたアンク…でも、映司自身はもう自分の限界を悟っていたんじゃないか。だからこそ、相棒を永遠に縛らないために最後に彼はやっと掴んだ手を離したんじゃないかと。 
 あの炎の翼は燃え尽きる蠟燭のように全てを振り絞る彼の命、最後の光だったのかもしれません。



☆バースXと今回はいなかったあの人
 
 いなかったんですよねえ、ドクター真木。でも、バースXがあると考えるとやはり何かしらの形で関わっている気がする(欲しい)のですね、ハイ。だって、パンフの裏表紙………深読みしすぎか。
 あと鴻上一族は先祖から子孫までろくでもないよ全く。




☆最後に…ありがとう、仮面ライダーオーズ

 
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