プリンセスコネクト!Re:転生カリバーさん、悪夢に泣く(仮) 作:ジュンチェ
一旦、カリバーさんサイドからお送りします。
僕とペコリーヌは近くの滝がある泉に移動して腰を下ろすことにした。
幸い、泥で濁ってない水があると危険な魔物もまず棲息していないということで長話するには丁度よかった。変身していたとはいえ、化け物の胃袋の中にいたから顔は洗いたかったし、ペコリーヌも落ち着いて食事が出来る場所が欲しかったところ…
とにかく、休憩が必要だったのだが……
「君のその華奢な身体にどうしてこれだけの魔物肉が入るのか…」
「中々の美味でした☆」
ペコリーヌは止まらなかった。無駄のない動きでキャンプファイヤーを1分たらずで組み上げ着火…更にいつの間にか解体していた魔物肉を丸焼きにしてあっという間に自分の胃袋におさめてしまった…。人間より遥かに大きい魔物だったはずなのだが、軽く腹が膨れるだけなのはおかしくないか?やはり、腹にブラックホールでもあるんじゃないのか彼女?
「いやあ、危うく干からびるところでした。王家の装備は燃費が悪いのが難点です。」
ぽん!とお腹を叩く笑顔は眩しい。
最初の別れた時には酷く打ちのめされた背中が印象的だったが、どうやら回復している様子。根本的な問題は解決出来ていないが、それこそ原作キャラたちの仕事だろう。タイミング的にそろそろ騎士クンとコッコロとの初エンカウント…
……しかし、不安は拭えない。
(……この先、物語は原作通りになるのか?)
ランドソルにアナザーライダーの出現、覇瞳皇帝が持つオムニフォースライドブック、プリコネのキャラであるユウキが変身するファルシオン。直近の問題として、ファルシオン…仮に彼が原作キャラに憑依するタイプの『転生者』な場合、物語をどう舵取りするかなんてわからない。事実、彼はオーズのレジェンドライドブックを何の意図があってか持ち去っている。ヒルマも取り返せとは言っていたし…
(彼は味方なのか… それとも…)
「カリバーさん。」
「ふぁ!? …ああ、なんだ?」
しまった物思いに耽りすぎたか。一応、原作キャラ前にこれはいけない…
「色々教えてくれてありがとうございます。ランドソルのお父様とお母様が無事なのことが知れただけでも本当によかった…。」
一応、彼女が食事しているその傍らに座りながらランドソルの現状について話した。アナザーライダーや王宮騎士団とサレンディナ救護員の動乱…あとは彼女の両親である王と王妃に大部分をはぐらかす程度になったが覇瞳皇帝についても。
ペコリーヌも最後の点については食事の手を止めてい食い入るように聞いていた…。そして、両親の無事を伝えると胸を撫で下ろすも…瞳からは 暗さが消えずまだ陰が濃い。
(まあ、本当に表向きは為政者としては信頼もある上に、彼女の両親ともまるで本当に親子のようなやり取りをしていたな…。)
本当にそこにいるべきなのは、彼女なのに。
「どうして、こんなことに……」
…あー、食べる手が止まってる。これは駄目な流れだ。空気を変えよう。
「答えが出ないことを考え続けるのは文学以外は不毛の極みだ。まずは食え。僕も頂く。」
「ふぇ?」
栄養と睡眠が足らないで考え事なんかネガティブな方向に行くだけだろ。まだ脳ミソがガス欠みたいだし、僕も正直なところお腹減ってたしな!この鮫野郎の肉を今度は喰いかえしてやる…!パクパクですわ〜!
化け鮫フカヒレをがぶっ… うわぁ、淡白ぅ……(超薄味)
ねえ醤油とかない? ない? ああ、そう…(絶望)
「うふふ…あははははははは! 面白いですねカリバーさんって。」
今、僕を笑ったな? もっと、笑ってくれよ。(^U^ )
やっぱりね、笑っているほうが一番だよ彼女は。
「そうだ、カリバーさん。はじめてあった時に私のこと『ペコリーヌ』って呼んでましたよね。」
ん?確かにそう……あ。
しまったぁぁああ!?その呼び方はコッコロちゃんがつける渾名でまだ彼女はコッコロちゃんにエンカウントしてないから駄目なやつだ!今更だけど、やらかしてるじゃないか僕!?
「そ、そそ…そうだったけ…?(震え)」
「ランドソルでは本名を名乗るわけにはいかなさそうですし、名無しのごんべえというわけにはいきませんからこの『ペコリーヌ』という名前を名乗らせてもらっています。お腹ぺこぺこのペコリーヌ、なんだかしっくりきて気に入ってるんですよ☆」
「そう、か……なら、よかった…うん…。」
初エンカウント時の自分を殴り飛ばしてやりたい。
これ騎士クンたちとの初エンカウントの時にフォローしないと面倒くさいことになるのでは?彼女がランドソルに再び戻ってくるのを見るに原作だとそろそろ第一話あたりだろ今。このまま彼女に貼り付いてファーストコンタクトに立ち会うか…あー、でもマツリちゃんに無事を伝えないと。でも、どうしようか…下手をしたら今日にもそんなイベントになりうる可能性が……
…―――
「…む?」
なんだ? おかしな気配がする…
森の奥…鉄?…炎?…底知れない何か?
「! …カリバーさん、感じますか?」
ペコリーヌも勘づいたか。
何者かがこちらにかなり早い勢いで近づいてくる…。森の奥に揺らめく山吹色、引き裂かれるような木々の音…。なんだ?なにがくる?
「…来ますッ!」
あれは…
「ファルシオン!」
★ ★ ★ ★ ★ ★
…何なのだコイツは?
メタルビルドと交戦状態に入ったファルシオン。今迄、剣士や蛮族から魔物まで幾度となく相手をしてきたが、今回は毛並みがあまりにも違いすぎて攻めあぐねていた。
メタルビルドが使うのは二丁拳銃のトランスチームガン…恐らく彼用にチューニングされた黒いもので、木の幹ぐらいならゴリゴリと抉る弾丸を間髪入れずに撃ちまくってくる。剣でいなしながら、反撃の隙を窺うも10経っても分リロードすら行う気配すらない…あんな調子なら銃身がイカれてしまいそうなものだが。
「どうした、逃げ回るだけかい?」
「ほざけ。」
挑発。恐らくだが、コイツは遠距離だと分が悪いと判断して懐に飛び込んでくるのを待っている…。確かに銃撃は強力だが、決定打には物足りない。
狙いは明白だが、ここはあえて飛び込もうじゃないか!
「…むんッ!」
「馬鹿正直に前から来るか。」
馬鹿正直に?バカめ、無策なわけ無いだろう。
「精霊たちよ、主様に力を…!」
「!」
追いかけてきたコッコロによるバフ魔法、加えて取り出す本を剣に翳す…
【 虚無の…玄武神話!! 】
「はあっ!」
玄武神話、強き母なる大地を象徴するエレメントと無銘剣虚無の滅却の炎を掛け合わせ、放つは獄炎に熱する礫の散弾。
思わず怯むメタルビルドへ更に容赦なく一太刀。寸前でこそ逃げられたが、手放してしまったトランスチームガン2丁が両断され爆発したのだった。
「やってくれる…!」
開く間合い…再び詰められるうちにメタルビルドはドライバーのハンドルをまわし、巨大なランチャー砲、フルボトルバスターを形成して片手でファルシオンへ向ける。
「大砲か。だが…!」
当たらなければどうということは無い。見るからに一発の威力はトランスチームガンを上回るだろうが懐に入れば確実にまた攻撃を入れられると止まらないファルシオン。そう…
「…フンッ。」
「!」
砲口が自分ではなく、コッコロを狙っていると気がつくまでは…
「コッコロ…ッ!」
「え…」
叫びも虚しく、バシュッ!とファルシオンをかすめて幼い少女目掛けて飛んでいく砲撃。いくら強い仮面ライダーだとしても不死鳥の翼で音速の動きは叶わない…。
無慈悲な砲弾が少女を粉砕……
否ッ!
「はぁあああああ!!!」
「「「!」」」
寸前で阻む白銀の刃。
コッコロの前に割って入り砲弾を弾いたのはプリンセスソードを携えたペコリーヌだった。突然の乱入者…それは彼女だけではない。
【 ジャァァクドォラゴン!! 】
「ぬんっ!」
「ほう…!」
続けて頭上から斬りかかる紫の影。砲身で振りおろされる刃を防御し、その正体にメタルビルドは仮面の下でニヤリと笑う。
「カリバーか…面白い!」
「貴様、転生者だな!」
―――激突。
カリバーさん「黄泉がえりできるからって、来る敵が強過ぎ問題。」
ヒルマ「草w」←(元凶)
カリバーさんの癒やしが現状、キョウカちゃんしかいない…。