プリンセスコネクト!Re:転生カリバーさん、悪夢に泣く(仮)   作:ジュンチェ

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更新しましたぁ…


 梅雨のせいか体調あんまりよくないですね…




転生カリバーさんとマジで真っ黒でヤベー奴。 その4

 

 

 何でここにキャルちゃんが…?

 

 

 少し時間を巻き戻そう。

 

 

 まず疑問一…その答え。そもそも、プリコネ原作の冒頭はペコリーヌがキャルに魔物をけしかけられるのをキッカケに騎士クンとコッコロと出逢うところから本格的に始まっていく。これは概ねアニメだろうと変わらないはず。

 

 本来ならば、原作通りの展開を迎えるはずの物語…しかし番狂わせが起こってしまった。

 

 

 

「ちょっと、なんでアイツがここにいるのよ!?」

 

 

 茂みから急襲をしかけようとしたキャルの目に映ったのはペコリーヌと談笑するカリバー…そう、はからずも彼こそが原因だった。仮にも王宮騎士団のメンバーがいる中で、魔物を差し向ければ間違いなく大目玉をくらう。ましてや、クリスティーナの弟子ともなれば尚更…。それに、強行したとしても事情を知らないカリバーは魔物をペコリーヌと共に撃破してしまうのが関の山だろう。

 

 

「どうする?手ぶらでなんか帰れな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは。君はこんなところで何をしているのかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 …え?

 

 不意にかけられた声に振り向くと人影が。防護服と自分に向けられた銃口……彼女に残っている記憶はプシュンと気抜けした音と共に自分の意識が朦朧として暗転していくところだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

「その子を離せ!」

 

「離すと思うかい?」

 

 

 卑劣極まりない人質という行為に憤慨するカリバーを嘲笑うように、メタルビルドは彼を殴りとばす。すぐにファルシオンとペコリーヌが応戦しようとするも、見計らうメタルビルドがタイムマジーンを掌で操作しキャルを握り締め上げる力をあげる。ギチギチ、ボキボキと鳴る音…甲高い少女の悲鳴が響きわたり、これでふたりを足止めさせるのには充分すぎた。

 

 手を出せなくなった一行…その有様を確認すると改めてとメタルビルドは口を開く。

 

 

「さて、状況を理解できたようだ。勘違いしないでもらいたいが、ワタシは無益に命を奪いたいわけじゃない。あくまで、君達の持つ『仮面ライダーの力』が欲しいだけだ。君らの持つ全てをこちらに引き渡せば彼女の安全は保証しよう。勿論、その聖剣の力も含めて…ね。」

 

 

 狙い…仮面ライダーの力。カリバーとファルシオン自身の力からライドブックのものまで根こそぎ奪うことが目的のメタルビルド。ただ、それに何の利益があるというのだ…?

 

 

「…メタルビルド、そんな行為に何の意味がある?」

 

 

 カリバーもその点は気になっていた…。

 

 その答えは至ってシンプル…

 

 

「――単純なことだ。ワザワザ研鑽を積むより、他の転生者から力を奪ったほうが手っ取り早く強くなれるからだ。」

 

 

 ……唖然。

 

 手軽に強くなれる…ただそれだけのために卑劣極まりない行為にも手を染められるなんてカリバーやペコリーヌには到底理解できない。精神は戦士とは程遠い…やっていることは野盗と大差ないじゃないか。

 

 言葉を失うカリバーをメタルビルドは嘲笑う。

 

 

「理解は示そう。前世の価値観・倫理観は早々捨てられない…そして、そんなヤツほど他の転生者の喰い物になる。こんなふうにね…!」

 

「!」

 

 

 向けられたブランクのフルボトル…すると、カリバーから紫色のエネルギーが吸い上げられ容器の中に。変身解除と共にメタルビルドの手の中のそれはカリバーフルボトルへと変化…そして、闇黒剣月闇とライドブックは色を失い無機質な灰と化してしまう。

 

 そう、カリバーの力を奪いとったのだ。

 

 

「なっ…!?」

 

「転生者は殺し合い、弱い者は強い者にシャブり尽くされ踏み潰される。初心者だろうが、運が無かろうが、関係は無い。これでわかったかな?

 

 …さあ、次はお前だファルシオン。」

 

 

 静かに舌舐めずりする視線は次の標的をファルシオンに移す。

 このままいけば、彼も邪悪な意思に丸呑みされてしまうだろう…それでも、人質がいる限りは迂闊に動けな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「許せ、ユウキ。―――あの娘は諦めてもらう。」

 

 

 

 

 

 

 

 ――…は?

 

 

 カリバーが己の耳を疑うより早く速く、切っ先を向けメタルビルドに間合いを詰めようと踏み込んでいたファルシオン。恐らく『本来のユウキ』なら絶対にしない決断を僅か1秒もしないうちに下し、躊躇なく剣が振るわれる。

 

 されど、メタルビルドの意表を突くことは叶わない。

 

 

「薄情だな、君は。ならば…」

 

 

 卑劣漢が言うか。そんなことを言わせる間もなくタイムマジーンがファルシオン目掛けキャルを投げつけ怯ませると、メタルビルドはドライバーのハンドルを回し再び必殺技の態勢へと入る。

 

 

【 ハザードフィニッシュ!! 】

 

「仲良く死にたまえ。」

 

 

「させません!」

 

 

 咄嗟にキャルごとファルシオンを突き飛ばして身代り防御に入るペコリーヌ。プリンセスソードを盾に唸りをあげるメタルビルドのライダーキックを受け止め、地面に亀裂が走るほどまで力をいれて踏ん張る。

 拮抗する両者、実に数秒間……

 

 

「剣が戦車に勝てるわけないだろう。」

 

「いいえ、負けません!この剣はあなたのような卑怯者なんかに折れるような鈍らなんかじゃない! なにより、わたしは平然と命を軽んじる人を絶対に許しません!!」

 

「そうか。なら、良いことを教えてあげよう。メタルビルドは前身であるハザードの能力を全て引き継いでいる。

 ―――勿論、この力はあらゆる防御を無効化にする能力も含めてだ。」

 

「!?」

 

 

 無慈悲な宣告と共に爆発。

 

 メタルビルドはペコリーヌを貫き、勢いでキャルもろともファルシオンを粉砕する。

 

 

 

 

 

 直後、カリバーの前に空中から突き刺さるひび割れたプリンセスソードが彼等の完全敗北を無言で示すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

「あ…ああ……」

 

 

 なにが、少しでも原作通りにだ…幕開けすらいかなかったじゃないか。

 

 皆、死んでしまった。ペコリーヌも、キャルちゃんも、ユウキも……。残るコッコロも僕にはもう護れる力は無い。『本が無ければなにもできない』、トモの言うとおり僕に所詮は仮面ライダーなんて無理だったんだ。力も奪われ、地面に転がりこの始末…畜生。畜生…

 

 

「クソ…!!!」

 

 

 

 

 

 

『――だったら、本さえあればなんだって出来るんですね?』

 

 

 

 …キョウカちゃんの声? 頭の中から…?

 

 

『―――諦めるにはまだ早いですよ。これはまだありうる結末のひとつに過ぎないんですから。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

 

「――単純なことだ。ワザワザ研鑽を積むより、他の転生者から力を奪ったほうが手っ取り早く強くなれるからだ。」

 

 

「…!?」

 

 聞き覚えのある台詞がカリバーを再び嘲笑う。

 

 

「理解は示そう。前世の価値観・倫理観は早々捨てられない…そして、そんなヤツほど他の転生者の喰い物になる。こんなふうにね…!」

 

「このやり取りは…」

 

 

 メタルビルドから向けられたブランクのフルボトル…そうだ、このあと力を奪いとられたあとに皆が全滅してしまう流れだったはず。ターニングポイント、運命を変えるならここしかないがどうしたら………待てよ?

 

 

(あのボトルがウォッチと同じ特性なら…?)

 

 

 閃き。カリバーは咄嗟に、腰にひっさげていたファイズ人類進化史を翳す。すると、フルボトルが吸い上げたのはファイズ人類進化史の紅いエネルギーであり必然的にフルボトルはファイズのそれを封じたもの。無論、カリバーは力を失うことはない。

 

 

「なに!?」

 

 

 メタルビルドも完全に意表を突かれ、隙を晒してしまう。すかさず、ファルシオンがミドルキックを叩き込み蹴りとばすと翻して即座にキャルへの救助へ向かう。タイムマジーンの手を切り落とし、握りしめられてる彼女から鉄の指をほどいて解放する。

 

 

「キャル…無事で良かった…。 ―――カリバー! ペコリーヌ!」

 

 

 安堵…そして、形勢逆転。

 

 不利になったメタルビルドと相対するは、ファルシオンによりブースト…加えてコッコロにバフ魔法をかけられたカリバーとペコリーヌ。

 

 

「弱者が喰われるだとぉ? ならァ、『俺』がお前を喰い千切るッ!」

 

【 習得三閃! 】

 

 

「私はあなたを私は許しません! プリンセス・ストライィィク!!」

 

 

 怒りを添えられ掲げられ、振り下ろされる剣が二振り。

 うごめく闇と白銀の光が渦を巻く、巨大なエネルギーがメタルビルドに怒涛の勢いで襲いかかり反撃の余地すら与えずゴォォ!と呑み込む。森が吹き飛び、地が削れ、出来上がるクレーターにそびえるティアラを模したエフェクト…それは勝利の証。

 

 

 それは、惨い未来が回避されたことの証明でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

「主様、ご無事ですか!?」

 

「ああ、問題ない。」

 

 

 あたふたとかけよるコッコロを宥めるファルシオン…。想定外の強敵にアクシデントが重なったが、まあなんとかまともな『魔女』の手掛かりを掴めそうなのだ良しとしよう。問題は、あれだけの必殺技を受けて奴…メタルビルドが原型を留めているかどうかだが。

 話せるラインが最低限、あの程度のクソ野郎は情報を吐き出させ終わったら息の根を止めてやれば良い。そうすれば世のため人のため…別に心は痛まない。

 

 

「あとは…」

 

 

 残る問題…ペコリーヌとキャル。さあ、どうしたものか…キャルは気を失っているから良いもののペコリーヌはそうはいかないだろう。うっかり、先は『ユウキが』彼女の名前を呼んでしまった。気がつかれていたら、間違いなく問い詰められる。

 

 

「…(体よく誤魔化すか。)」

 

 

 そして、最後にカリバー…

 

 

「…(もう少し、お前を観察させてもらうぞ。)」

 

 

 

 お前は様子見だ。なにはともあれ、腰をひとまず降ろしたい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「驚いた…。過小評価しすぎたか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「!」」」」」

 

 

 

 

 否、そんな余裕などなくまたも、空気が張り詰める。

 

 

 晴れていく黒煙…。そこに破けた防護服の男がひとり。マスクは破け、元は端正だったであろう顔に悍ましい爛れた火傷痕には怒りを燃やしていたペコリーヌでさえ息を呑む。ただ淡々とした口調は微かに痛みへの呻きを含みながら、自己紹介を口にする。

 

 

「今回はワタシの負けだ。敬意を払って君達に名乗らせてもらおう…ワタシは『転生者・ウラガ』。…いずれ、また会おう。」

 

「逃がすか!」

 

 

 ファルシオンは逃がすまいとするが、それよりはやくタイムマジーンが彼を連れ去り何処かへ飛んでいく。こうなってしまっては流石に消耗した今の有様では追えない…悔しいが手掛かりは逃してしまったようだ。

 

 それに離れたところから、甲冑が擦れる音と複数の足音が近づいてくる……恐らく、王宮騎士団か。ファルシオンとペコリーヌとしては都合が悪い相手だ。

 

 

「…キャルちゃんは僕に任せてくれ。君達は立ち去るんだ。」

 

 

 それを察したカリバーが気をまわし、ヘロヘロな状態でありながらもキャルをおぶって歩きはじめる。ペコリーヌが駆け寄ろうとするも、ファルシオンが制止…この場は彼に任せることが最善だろうと無言で諭す。

 

 

「カリバーさん……またお会いしましょう。絶対、絶対ですよ!」

 

 

 そして、蜘蛛の子を散らすように去っていく彼等を見送りながらカリバーのおぼつかない足取りは真逆の方向へ。

 

 

「……さてと。」

 

 

 背負っているキャルは安らかに『すぅ……』と寝息をたてており、目だった外傷等も幸いなことに見当たらない。

 しかし、次に同じようなことがあったとしたら?メタルビルド…転生者ウラガは尚も健在で奴の口振りからするに転生者は間違いなく他にもいると見ても良い。そう考えた場合、この世界の物語は『原作』通り動いてくれるのか…アナザーライダーの脅威もある中で自分は何が出来るのか。

 

 

「………強くなるしかないか。」

 

 

 結局、これしかない。

 まだ在り来たりな幸せな日々はまだ来ない。そんな時間に自分が入れるかはわからない……それでも、ただひとりになっても戦う。もしかしたら、それが自分が『仮面ライダー』に為った意味なのかもしれない。

 

 

 

 ――――歩き続けなさい、カリバー。あなたは決して孤独な暗闇に迷うことがないよう導きますから。

 

 

 

「あれ、またキョウカちゃんの声がしたような…」

 

 





 メタルビルド襲来編はこれにて完結。

 次回からは美食殿開設編に移っていきます。


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