プリンセスコネクト!Re:転生カリバーさん、悪夢に泣く(仮)   作:ジュンチェ

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颯爽!登場!転生セイバーさん、悪夢をゆく!(は?) その2

 

 

 …転生者ってなに?

 

 いやまさか、目下転生者みてぇなやつがする質問かよぉそれが? 僕もヒルマも予想だにしない質問に面食らってしまった。

 

 

 取り敢えず、ふざけてる様子でもなさそうなので可能な限り懇切丁寧に説明しようと思っていたら…

 

 

「…ラノベとはなんだ?」

 

「ハーレム? 転生者とは皆そんななことをするのか?」

 

「ギフトやら、チートとはなんだ?」

 

「ぷりこね…とはなんだ?」

 

 

 喩えが悪かったのか、随所随所で突っついてきて話が進まないの何のって……最初の前振りを説明するだけでヒルマと僕もグロッキー状態だった…。おかしいな、転生者だろうと原作騎士クンでもラノベや転生くらいは知ってると思うんだどなぁ!?(半ギレ)

 取り敢えず、当の彼にはご理解いただけたようで混乱の渦中にいるコッコロの頭を撫でながらウムウムと頷いている。…僕にもコッコロたんを撫でさせてくれないか? 駄目…?ああ、そう(落胆)

 

 

「成程、概ね理解はした…。ならば、俺はその『転生者』という括りに入るのだろう。」

 

「「!」」

 

 

 やはり! つまり、原作キャラに憑依する憑依系主人公タイプか…… ということは…

 

 

「じゃあ…君が転生者なら、その肉体の本来の持ち主の意識は…」

 

「ある。」

 

 

 あるの!? え、まさかの二重人格系!?(驚愕)

 

 

「基本、『本来のユウキ』は表には出てこないがな。まあ、それも俺との『契約』の内だ。お互いの利害の一致でね…」

 

 

 …どういうことだ? 本来の騎士クンも転生者の『彼』を許容している? えーと、物語序盤はまだ精神が赤ちゃんだから交渉も何も出来ないと思う………待った、(精神的に)年端のいかない赤ちゃんをだまくらかして肉体を乗っとりしたんじゃ…

 

 

「何かお前、無礼なこと考えてるだろ?」

 

 

 え、なんでバレた?(驚愕 ※2回目)

 

 

「…で、貴様らは何者だ? 何が目的なんだ?」

 

 

 返しの質問。すみません、僕もなんとなくで戦っているのでわかりません…ヒルマ、頼むよ説明。あ、なんかもう最初から期待してないわって顔してるぞ…酷くない?教えてくれないのお前じゃんか!

 

 

「さっきも言ったけど、『転生者』はある意味で劇薬…いずれドン詰まりになって自滅する時間軸を別の並行世界の人間を連れてきて状況を打破する刺激とすることが目的。このカリバーもその役割を担う存在なの。そして、私は転生すべき人間を選定し導く『神』にも等しい存在。これで満足かしら?」

 

 

 転生者ってそんな壮大な役割だったの? 自滅する世界を救うための劇薬……でも、何か引っ掛かるような。元々プリコネに存在しないアナザーライダー出現は自滅の現象にしてはどうも腑に落ちないし、転生者が世界を救う劇薬というのなら僕らを狙ったあの転生者ウラガは一体なんだ?

 

 それは、騎士クンも同じようで……

 

 

「待て。ならば、あの黒いメタルビルドとやらは何者だ? 奴も転生者と名乗っていたぞ。」

 

「あー…あれか。」

 

 

 指摘されるや、苦虫を噛み潰したような顔をするなヒルマ。

 何か都合が悪いのか…?

 

 

「あれは役割を放棄した上に、我欲のまま他の転生者を襲ういわば『侵略者インベーダー』タイプの転生者。何のキッカケかしらないけど、私のような管理者の手を逃れたりして、他人のギフトを奪ったり、並行世界そのものを荒らしてまわる厄介なならず者。割と最近、多いのよねぇ…。私も何度も手を焼かされたことか……。」 

 

 

 侵略転生者…ハーレム志望転生者が可愛くみえるな。(ドン引き)

 

 転生者ウラガがそれに分類されるなら、他ライダーの力を使えることや他人を襲うことへの躊躇いの無さに説明がつく。強すぎる力は心を歪ませるなんてのはトモの件でもあったが、完全に倫理観がぶっ飛んでたぞ奴…。何か未来予知みたいなやつ来た時、ペコリーヌたちごとファルシオンぶち殺してたし…ああはなりたくない。世界を救う薬が道を誤れば、毒のように牙を剥く…『劇薬』の喩えはあながち間違いではないらしい。

 

 

「だから、私はあなたを見極めたい。あなたがこの物語で何を為そうとするのか……。」

 

「…」

 

 

 最終的に彼は何を望んでいるのか。

 

 ……すると、暫く沈黙のあとに…押さえつけるような静かな声で

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――『魔女』を殺すことだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バァン!

 

 

「オイッス〜☆ ただいま戻りましたよ、店長…あ、ユウキくんにカリバーさん! いらしてたんですね!」

 

「…」

 

 

 唐突な来店のペコリーヌ。

 

 いや、今かなりシリアスめな声してたのに強力な陽のオーラで重い空気吹っ飛んじゃったな…うわ、騎士クンが口をへの字にしてすんごい微妙な顔してる…。どんまいだよ本当に。

 

 

「ペコリーヌ様。息災のご様子で…」

 

「コッコロちゃん! …あれ、何か大事なお話の最中でした?」

 

 

 そのとおり…なんだが、まあ続け辛い雰囲気だなこれ。ヒルマもやれやれって頭を抱えてる。わざとじゃないんだろうけど、あまりにタイミングが悪過ぎる…。ん?

 

 何か片手で引きずってる白眼剥いた赤髪の風来坊とおぼしき彼は一体…

 

 

「あ、こっちの人はさっき商店街で喧嘩してたんですよ!悪い人ではないみたいなんですが、お腹が空いてるみたいなのでご飯をあげることにしたんです。」

 

 

 やってることが、野良犬の餌付けじゃないか…。

 あ、なんか『彼』のほうも何か言って…

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――俺はこれからこの人のペットにされるんだ…(絶望)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おっと、それは美食殿のペット枠(猫)が黙ってないZO☆

 

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

「へ、へくちゅん! …だ、誰かを変な噂でもしてるのかしら?」

 

 

 コカトリス亭の前でかわいいくしゃみ。

 キャルはペコリーヌを追い、ここまでやってきたものの…

 

 

「どうしてまたアイツがいるのよ…。本当に行く先々で目障りね…。」

 

 

 窓から中を覗きこめば、ペコリーヌの周りにまたしてもカリバーが…それにユウキやコッコロに見慣れない風来坊と取り巻きが多い。困ったものだ、戦力的に真っ向から挑むわけにもいかない上に街中である以上、魔物をけしかけるのも難しい。

 かといって、前回はメタルビルドのおかげで逆にターゲットである彼女やカリバーに助けられるという失態を犯した手前、今度は確実にしとめなくては陛下にあわせる顔が…

 

 

「困ったわ…引けず、進めず、八方塞がり。せめて、ランドソルの外に出てくれれば……」

 

 

 

 

 

 

「…どうしたんだ、キャルちゃん?」

 

 

 

「ぎにゃ!?!?」 

 

 

 そんな迷える仔猫の不意をつくようにヌッ!と顔を出したカリバー。

 どうやら、気が付かれていたらしい。

 

 

「な、なによアンタ!? 別にあたしは何も……」

 

「何も無い。なら、丁度いい…少し早いけどお昼にしないか。」

 

「は? 別にお腹なんか減ってな…」 

 

 

 ぐぅ~〜〜

 

「「…」」

 

 

 おや?おやおやおやおやおやおや〜?

 

 カリバーは口には出さない…きっと殴られるから。ただ無言で真っ赤になるキャルちゃんの顔をまじまじと眺めている。かわいい。

 

 

「お、奢りなさいよね。」

 

「勿論さ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました〜☆ 裏メニューの『芋虫のクリームパスタ』になります!」

 

 

 

「…(…? …??)」

 

 

 困惑と後悔。キャルは目の前の光景に絶句せざらえなかった…。

 

 促されて店に入るなり、何故か頼んでいないクリームパスタが出てきたまでは良い。問題はパスタにウィンナーのように丸々と肥った芋虫が盛りつけられていることだ…。おかしい、ランドソルに昆虫食とかそんな文化は無かったハズ…なのに、なんで平然と『食べ物ですが何か?』みたいな顔してお皿の上に並んでいるのか? 理解できない…したくない。

 

 カリバー、お前なんでこんなもの頼んだ……

 

 

「(原作イベント)ヨシッ!」

 

 

 なにがヨシだこの野郎。

 

 というか、平然とペコリーヌやユウキまでもが『郷に居ては郷に従えというやつか…』と黙々と食べはじめている。

 やめろ、仮にも陛下が治めるランドソルにこの極小な偏食文化が全体に浸透しているような言い方をするんじゃない。国民が飢えに苦しまないようどれだけあの御方が苦労なさっていると…

 

 

「オイオイオイオイオイ、この店は客に虫を食わせるのかァ〜? あぁん?」

 

 

 あ、まともそうな奴がひとり。

 風来坊の彼だけは、拒否の姿勢をとっている。よかった、至極当然な反応には安堵さえ覚え……

 

 

「ペットにはペットに相応しいメニューがあると思うんだニャ。というわけで、特上ステーキ定食セットを御所望するニャ御主人。」

 

 

 前言撤回。貴様のようなふてぶてしいペットがいてたまるか。

 

 明らかに被り物の猫耳した抗議は獣人をバカにしてるのかテメェと殴りたい気持ちに加えて常識人は自分しかいないという絶望感に打ちひしがれていると、明らかにカタギとは思えない物々しい雰囲気な店主がフライパンを片手に現れる…。もう一悶着は避けられなさそうだ。

 

 

「おい、アンタかこのふざけた虫パスタなんて作ったのは…」

 

「まずは食え。」

 

「あん?」

 

「食ってみろ。話はそれからだ…」

 

 

 ドスの利いた声であくまで料理を食すことを促す店主。どうやら、絶対の自信があるらしい…風来坊も気圧され『はっ、虫料理なんて美味いわけが…』なんてブーブーと文句を垂れながら芋虫をフォークで刺してパクリ…

 

 

 

「! …ンマいッ!!」

 

 

「フッ、だろう?」

 

 

 え゛?(困惑)

 

 美味い?その虫料理が…? その言葉に偽りが無いとパスタにがっつきはじめる風来坊。これには店主も得意気…

 

 

(…あれ、これ食べないと駄目な流れじゃない?)

 

 

 このまま風来坊が騒ぎを起こせば、逃げるキッカケになったもののこのままお残しなんてすれば最後、おっかない店主のメンチビームはまったなし。

 

 しかし、キャルちゃんは虫が嫌いである。

 

 どれくらい嫌いかと言えば、ゴキブリなんて見た時には悲鳴と無差別の魔法の乱射が止まらないくらい嫌いだ。陛下への忠誠心が揺らぐくらい嫌いだ。知能指数が赤ん坊並みになるくらい嫌いだ。とにかく嫌いだ。……そんなものを口の中に入れないといけない。

 

 本当に嫌だ…しかし、ペコリーヌの隙を窺えるまたとない機会。これを逃したら…

 

 

 

 ―――ん? ちょっと待て、カリバーはなんか距離とって水飲んでるぞ。

 

 

 

「あんた、食べないの?」

 

「ああ…このあと先約があるんだ。プリンセスナイトでの食事会に出席しなくてはならなくてな。」

 

 

 ふーん。食事会…王宮騎士団の主要幹部をはじめプリンセスナイトの面々で催される定期的な報告会だ。自分は呼ばれたことが無いが陛下や王族の方々をご出席なさって…… なさって……?

 

 

「は? …なんでアンタがそれにでるの? 私は一回も呼ばれたことないんだけど?」

 

「…(目逸し)」

 

 

 ねえ、お かしい…よね? 仮にも自分はカリバーより先に…しかも、王宮騎士団の親にあたる組織のプリンセスナイトの一員として少なくともコイツよりは長く陛下に奉公してきた身だ。そんな自分を差し置いて…なんで?

 

 キャルちゃんからハイライトが消える…。そして、虫パスタから一際大きい芋虫をフォークでブスッと突き刺すとカリバーに突き出し……

 

 

「死ねぇいいいい!!!」

 

「おおうッ!?」

 

 

 突撃。しかし、口に突っ込まれる寸前でカリバーは防御…少女のか細い腕を掴み虫が舌に乗ることを防いだ。

 

 

「…!! …!!(言葉にならない怨嗟の声)」

 

「落ち着くんだ、キャルちゃん…!」

 

 

 それでも、プライドをズタズタにされた彼女は止まらない…。

 すると、ペコリーヌが徐ろにやってくるなり、キャルちゃんからフォークごと芋虫を取り上げると…

 

 

「キャルちゃん…でしたよね? 

 

 

 …食べ物で遊んではいけませんよ?」

 

 

 

 

 ――ギュッ

 

 

 

 あ…。カリバーが制止するより早く無慈悲に可愛らしいお口に強引に捩じ込んだ…。数秒後、白眼を剥いてバタンとぶっ倒れ…ああ可哀想に失神してる。これは暫く復帰出来ないかもしれない。

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

「ほら、食べてみたらおいしいでしょう? あれ、キャルちゃん?キャルちゃん??」

 

 

 …一応、原作の流れで良いんだよな?

 

 僕としては一抹の不安を覚えつつ行く末を見守るしかなかった…。

 

 このあと、記憶が確かならコカトリス亭にキョウカちゃんとその友人から成るギルドどある『リトルリリカル』と続いて暴漢がやってくるはず。そして、悪行の限りを尽くす暴漢にペコリーヌが鉄拳制裁をしたことがキッカケに美食殿結成へと結びつく…そんなアニメの流れだったはず。

 不確定要素はそこそこあるが、僕は空気に徹したほうが良いかもしれない。美食殿に合流したいのは山々だが、王宮騎士団の務めやアナザーライダーや侵略転生者などの対処もある。ここはひとつ線を引くべきだろう…

 

 

「それでは、僕はこれで失礼させて………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――何処へ行くんだ、カリバー?

 

 

 

 

「!」

 

 

 ゾッと背筋に寒気が走る。不意に後ろからかけられた声は…リリカルのような可愛げも、暴漢のような荒っぽさも無く、ただ瓶詰めの薬品のように冷たくドロリとしている。この声は凍りつくペコリーヌやユウキも身を以て知っている…そこらのゴロツキや魔物より遥かに残忍で冷酷で恐ろしい。

 

 

「……転生者・ウラガ!」

 

 

「先日ぶりだね、諸君。」

 

 

 招かねざる客。…火傷を負う顔が不気味にほくそ笑む。

 

 

 

 

 





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