プリンセスコネクト!Re:転生カリバーさん、悪夢に泣く(仮) 作:ジュンチェ
セイバー系武器の音声基準がわからねぇ…
すみません、もっと調べます。修正等は後々やっていきます。
…荒野
命が息吹くことを忘れ、どこまでも不毛な世界が連綿と続く
記憶が正しければ、最低最悪の魔王・オーマジオウが存在する破滅した未来。平成から令和へと繋がらなかった時間軸。もう新しい命も可能性も孕むことはないその時代に男がいた。
「…その名前は俺へのあてつけか?」
不釣り合いに黒尽くめの大柄な男…知っている、スウォルツだ。ジオウの敵であるタイムジャッカーの実質的な首魁…傲慢に見合うだけの力は持っていたが、それすら上回る妹のツクヨミの存在により自らが座ると思い込んでいた玉座から蹴落とされ、尚も諦められず策謀を巡らすも、終にはオーマジオウの怒りに触れ粉砕された。一応、世界再編の際に復活はしたが、その後の立ち位置はよくわかっていない。
相対するは、ボロきれのようだがタイムジャッカー特有の穴が空いた衣装を纏う男と女。男は褪せたような不健康な金髪が垣間見え、恐らくは30代くらいか…女は丁度、成人したて頃合いか。どちらも顔は死角で見えない。
このふたり、スウォルツとは有効的には見えず…というより、仲違いの真っ最中な様子。主に会話は男とスウォルツの間で行っているようだ…
「ネオ・タイムジャッカー…この呼び方は気に入らないかしら? かつて、オーマジオウに敗れさった者たちの最後の砦。されど、未だに野望を捨てられない者たちの燻る場所…。あなたもこちら側に来るべきじゃないかしら?」
「冗談はよせ。俺が望むのはあくまで、オーマジオウが持つ力だ。奴に死なれては困る。それに、並行世界同士をぶつけて時間軸ごと滅ぼそうなどというトチ狂った発想をする者らとウマがあうとは思えん。また後ろから刺されるのは御免被る。」
「あら、そう。残念だけど…あなたとはここでお別れね。」
そして、男は砂塵に紛れるように消える…
残ったのは女のみ……さあ、彼女はどうするのか? スウォルツは鋭く睨む。
「ハミル、貴様はどうする?」
「私もネオ・タイムジャッカーの傘下に入るけど、アイツとは別行動。幸い、レクスの並行世界衝突計画…テストはうまくいったけど、今回は間違いなくオーマジオウに勘付かれるし、奴も対策を打ってくるだろうから上手くいくかは五分五分かしら。まあ、その分だけ私には好都合。静かに、堅実に、やらせてもらうわ。」
やがて、女も背を向けて消えていく…。
残ったスウォルツは何もいない虚空へ口許を吊り上げた。
「バカどもが。貴様等はオーマジオウを舐めすぎている。」
★ ★ ★ ★ ★ ★
「…!」
目が覚めると…頬に土の感触を感じ、不快さに呻きながら起き上がる。
カリバーの変身は解けていている…。転生前のスーツかと思ったが、スーツ姿でもイギリスの中世を思わせる赤茶の洒落たベストが着せられている…これも転生特典というやつか。とりあえず、辺りを見れば野原…白や青といった寒色系の花々が中心で、空は青い。そして、各所に突き立てられているのは仮面ライダーセイバーの物語を彩った聖剣たち…ただ放置されているのか蔓や蔦が巻き付いて主無く経年しているようだ。
加え、眼を惹くのは龍種をはじめとした幻想種とおぼしき巨大な骨…こちらも、苔が生えたり土に埋もれたりしている。
(まるで、墓場だ…。)
ワンダーワールドを彷彿させるが、あまりに寂しいこの世界。
命の息吹も冷たく、暖色のものが見当たらないこの場所はその形容が相応しい。…しかし、セイバーにもましてや、プリコネにもこれに該当するような場所は無かったはず。
「ようこそ、『セーフポイント』に。」
「!」
不意にかけられた声に振り向けば、そこには女性がいた。
黒いシスター特有の修道服に緑髪の歳若いが、イタズラっぽい微笑みの小悪魔な顔がこちらを覗きこんでいる。
「君は…誰だ? それに、ここは…」
「私は『ヒルマ』。言ってしまえば、転生モノにお約束の案内役と言ったところかしら。まあ、色々と呑み込めないでしょうけど順を追って話していくから落ち着いて聞いてね。」
案内役…ふむ。確かに転生モノではよくあると言えばそうかもしれない。ヒルマと名乗る彼女には申し訳ないが、いきなりそんな役回りを名乗った途端に胡散臭く見えてきてしまう。物語の案内役や主人公の拠り所だった人間が実は裏から糸を引いていた黒幕なんてことも最近は珍しくない。魔法少女もので言えばマスコット妖精だったり、仮面ライダーものでいえば某・ブラッド星人とか…。
とにかく、こういう手合いとなれば思わず身構えてしまう。それに対し、彼女はクスクスと笑うのみ。
「あら、そんな怖い顔しなくても。信用出来ないのは構わないけど、暇じゃないからさっさと進めさせてもらうわ。…ところで、あなたは自分が死んだ時のこと覚えてる? …覚えてない? ああ、それなら良かった。そんなもの覚えてないに越したことはないもの。都合が良いわ。」
こちらの不信感などお構いなしか。
「ええと、まず最初にあなたは死にました。ただ、色々とわけあってあなたをこっちの世界に呼んで異世界転生させたの。」
「何故だ? 俺はただの一般人だぞ?」
「理由は簡単。アストルムの物語の行く末を大まかに知っている上に、仮面ライダーの力にある程度精通して、うまく立ち回ってくれそうな人間が欲しかった。その条件にあたったのがあなた。これじゃあ、不満?」
不満も何も、説明になっていない。ヒルマが欲しい人材の条件ではなく、どうして自分のような人間が欲しかったのかが重要なところ…あと、その3つを満たせる奴は自分より良い物件がかなりありそうだ。悲しいことにな…
「とにかく、あなたは選ばれた…闇の剣士としてね。」
そして、彼女は月闇を投げ渡す。反射的にキャッチすると同時に一瞬で間合いを詰め顔を近づけてくる……肌に息がかかるような距離に、ほんの十数センチと踏み出せばキス出来るんじゃないかと思うような場所に美しい人形のような顔がある。碧い瞳はまるで魂を吸い込もうとしているように感じ、思わず鼓動がはやくなってしまう…
「……っ!」
「そういうところかしら。き真面目そうな性分だから、ハーレムを作るとか、キャラアンチとかやらなさそうだし。程よい真っ直ぐさは美徳よ。」
また、クスクスと彼女。やれやれ、からかわれているのか褒められているのか、全く……
後ずさりと深呼吸を同時に行いながら、息を整える。それから、改めて彼女に問う。
「ヒルマ、では君は僕に何を望む? 僕に何をさせようというんだ?」
すると、ヒルマは続いてライドブックを数冊投げ渡す…何処から出したのか予備動作の無さに月闇に続いて慌てまたキャッチ。何処とない浮世離れさを感じさせる彼女だが、挙動ひとつすら予測出来ないというか遊ばれているようで妙な焦燥感がチリチリする。
そして、彼女は口を開く。
「――その本とこのセーフポイントがあなたの役割の手助けになるはず。為すべきことは自ずとわかるでしょう…迷った時はここに来なさいな。もし、寝るか死んだりしたらあなたはここからやり直せる。装備の手入れや拡張だってここなら出来る。
とりあえず、はやく起きなさい。でないとあなた…」
―――― 死 ぬ わ よ
「死ねぇぇぇぃ!!!!!」
「おおう!?」
覚醒するなり、いきなり顔面に振りおろされた一撃を辛くも回避……何事と顔をあげれば、枕を粉砕して羽毛を被るも怒り心頭なキャルちゃんの姿。どうやら、杖で僕を殴殺しようとしたらしい。髪がチリチリになっていることからトライケルベロスを誤射したさっきの恨みか。
「お前ェェ、よくもやってくれたわね!? 人を黒焦げにして、おかげでこっちは死にかけたわ! 塵一つ残さず、ブッ殺してやるッ!」
「えぇ…」
タイトル回収。
それはさておき、ここは病室のようだ。ベッドは並んでいるし、あの特有の消毒液からくるツンとした臭いが鼻につく。このままいけば、真っ赤な血の鉄臭さまで追加されそうなのでキャルちゃんからの2撃目のフルスイングをなんとかすり抜けてベッド隣の棚から眼鏡を回収しつつ、立て掛けてあった月闇を手にとる。眼鏡を片手でかけつつ、3度目のフルスイングをなんとか剣で防御…幸い、キャルちゃんのパワーは大して無いためかギリギリ防げている。
「さっきのことは謝る!! だから、話を…!」
「往生際が悪いわね…! 大人しく、その首を差し出せ!」
「あれは不幸な事故…… …あ。」
転生早々、メインヒロインに殺されかかる事態だったが、彼女の背後にこれから起こりうる更なる悲劇を察してしまった。
★ ★ ★ ★ ★ ★
「『あ。』って、何…よ……ひっ!?」
キャルはやっと理解した。自分が今、どんな状況なのか…ああ、なんてこと。なんてタイミングよく王宮騎士団の団長と副団長がやってくるなんて… 完全に犯行の一部始終を見られた彼女は青ざめ、後退る。それを黒甲冑のジュンとクリスティーナが笑顔のまま詰め寄って間合いを離すのを許さない。
「さて、弁明を聞いておこうか…一応?」
クリスティーナから与えられた釈明の機会…対し、キャルは…
「こ、これは不幸な事故で……」
あまりにも苦しすぎる言い訳。そして、ジュンからの判決は…
「クリスちゃん。」
「わかっている。」
「ま、待って!? ひ、ひいいぃぃぃ〜いいいいいいいいいぃいいいいいいいいい!?!?」
残念ながら、許されませんでした。
★セーフポイント
ヒルマが管理するワンダーワールドに似つつも、何処か寂しい世界。某・フロムゲーでいうところの狩人の夢にあたる場所で主人公はここに任意で来ることも可能だし、睡眠・気絶・死亡のいずれかの条件になるとこちらへ強制送還される。
現状、ヒルマが整備中でまだ装備の整備・拡張といった施設はまだ無い。
★案内役ヒルマ
修道服姿の不思議な女性で髪は緑。クスクスといつも笑っているが、セーフポイントの管理人かつ主人公を現実から呼び導く役割を担っているらしい。セーフポイントに基本居るらしいが、アストルムなどの世界の往来も可能。