プリンセスコネクト!Re:転生カリバーさん、悪夢に泣く(仮)   作:ジュンチェ

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さきほどミスって、後々に出す話を投稿してしまいました。

こちらが、正しい最新話になります(汗)





灯る暗闇

 

 

 ――それは、あまりにも衝撃だった。

 

 

 突然、襲いかかってきた怪物を斬り裂いてやっつけた紫色の鎧。その素顔は優しい人…為す術もなく怯えていた自分に手を差し出してくれた。そのあとも、風の噂で活躍を聞いて……その人が王宮騎士団に居て王女様のお気に入りの騎士カリバーだと知った。

 

 そんな凄い人だったなんて…

 

 

 なら自分も恥じないように頑張ろうと努力した。図書館から難しい本借りたり、鍛えるために走ったり、家事の手伝いでもなんでも頑張った。でも…

 

 

 ―――子供には危ないよ。ここから先は大人に任せな。

 

 ―――君はまだ幼い。時が来るまで待つといい。

 

 

 壁。 …目には見えない、でも確かに存在する邪魔なもの。みんなが口を揃えて言う『子供だから』という理由…そんな簡単な呪文で現れていつもいつも通せんぼする。

 

 それがとても気に食わなかった。君は賢いなんて褒める言葉もまるで口先だけにしか聞こえなくて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隙やり!こちょこちょ!!」

 

「ひゃうっ!?」

 

 

 背後から不意を突かれる形でのくすぐり。

 びっくりして振り向くキョウカはすぐにミソギの仕業だと気がつく。ニシシ、してやったりと笑う彼女の顔…全く人が悩んでいる時に!まあ、いたずら好きは今に始まった話じゃないし、今更カンカンに怒ろうがやめることは無いだろう。

 

「ねえねえ、眉間にしわ寄せてどうしたの?コカトリス亭のマスターみたいな顔みたいになってたよ?」

 

「…なんでもない。」

 

 失敬な。まだ幼女といって差し支えない年齢であの厳しいオジサンと容姿で比較対象にされるのは嫌だ… 勿論、マスターが悪い人ではないし良い大人なのは理解しているけども。

 

「それじゃ、今日は何をして遊ぼうか?」

 

 ミミの提案からいつものように一日が幕を開ける…。変わらない日常。つまらなくはないけど、心の何処かが満たされない。でも何をしたら良いのかわからない。

 いつからだっけ。いつもこんなふうにぐるぐる考えてばかりになったのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわあああああ!?!?」

 

 

 

 

 

「「「!」」」

 

 その時、和やかな朝の街は引き裂かれるような男の悲鳴に叩き壊された。

 

 何事と慌てるリトルリリカルに向かって外廊を被った男が走ってくる…顔はフードで見えないが酷く焦っている様子。その後ろからは波のように押し寄せてくる黒い影、シャドウの姿が。周囲の人間たちもこれには巻き込まれまいと慌てて逃げ出し、呆気をとられていたリトルリリカルだけが気がつけば取り残されていた…。

 

「に、逃げないと…!」

 

「キョウカちゃんはやく!」

 

 ミソギとミミも急いで逃げようとするが、キョウカだけは立ちすくんでいる…。その目にはシャドウに追い詰められる男を見据えており、少し悩むや友人たちの制止を振り切って走りだすとそこへ割って入る。

 

(きっと、カリバーさんならこうしたはず!)

 

「き、君!危ないよ!! そうだ、これを使え!」

 

「?」

 

 勇気か無謀か。その行為に対し、男はポケットから小さな小瓶のようなものを彼女へ投げ渡す。それが、『フルボトル』と呼ばれているなんて知る由もないが、カチャカチャと震えばドクンと胸が高鳴り力が漲ってきた。今なら何だって出来る、感じたことがない全能感が脳髄を刺激して心地よい。

 

「す、凄い…これなら!」

 

 振りかざした杖からは紫色の炎が溢れでた。こんなことははじめて…奇しくも、未知なる力は憧れたカリバーと同じ色。

 

 今なら、あの人のように力を使えるかもしれない。

 

 

「いっけええぇぇ!!!」

 

 

 そして、炎は一気にシャドウたちを焼きはらい全てを塵にした。呆気をとられるミソギとミミを尻目に男はニッコリ微笑みながらキョウカの頭を撫でる。

 

「ありがとう、助かったよ。その力は暫く貸してあげよう…これで君も立派なヒーローだ。」

 

「ヒー…ロー…?」

 

 何故だろう。褒めらることはあったけど…今まで味わったことがない充実感が頭を満たされるキョウカ。もしかしたら、これが自分が求めていたかもしれない。

 

 そう理解すると、自然に口角が釣り上がり眼が蕩けてくる…。もっと、もっと…この力を使いたい!皆に認めてもらいたい!カリバーに認めてもらいたい!

 

「わたし… ヒーローになる!」

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

「…ッッ」

 

 なんてことだ。僕の予想より事態は深刻だ。

 

 ミミちゃんとミソギちゃんの話から察するにフルボトルとおぼしきアイテムを渡せるとしたら、それはもう侵略転生者のウラガしかいない。例のシャドウに追われていた男とやらも奴だろう。先日、王宮騎士団の報告でルシファーと共に遺体などは確認出来なかったものの、セイバーからの手傷はかなり深いと見ていたがこうもすぐに行動を再開するとは…。

 ビルドのフルボトルだとしたら、恐らくは怪人スマッシュの力…下手をしたら使用する行為が死に直結しかねない。

 

 

「…か、カリバーさん?」

 

「ミミちゃん、大丈夫だ。よく話してくれたね…。キョウカちゃんのことは僕達に任せて欲しい。今はミソギちゃんと一緒に帰るんだ。」

 

「で、でも…」

 

「大丈夫、僕達を信じて。」

 

 

 取り敢えず、ふたりは家に帰そう。

 問題はそれからだ。キョウカちゃんからフルボトルを取り上げるとしてどうする?このパターンは素直に渡してはくれないだろうな…。出来れば戦いにはなってほしくない、相手はまだ幼い子供だ。

 

 ………待てよ、なんでウラガはフルボトルをわざわざキョウカちゃんに?

 

(スマッシュを作ったところでメリットが無い…。)

 

「カリバー…」

 

 あ、団長。しまった、1人で考えることに夢中になり過ぎていたか…。

 

「辛いが、強引にでもその力を取り上げるべきだろう。次にキョウカちゃんが力を用いた時に大惨事になりかねない。」

 

「……しかし、相手は子供ですよ。」

 

「だからこそだ。叱って踏みとどませられるうちに止めなくては。このままいけば、あの娘もその周りも傷つくだけだ。取り返しのつかないことになる。」

 

 

 …致し方ないのか? もっと優しい解決手段はないのか? 僕はこんな転生者でも曲りなりにも仮面ライダーなんだ、何か方法を…

 

「――カリバー、恐らく猶予はない。迷っているうちに全て取りこぼすぞ。」

 

「しかし……」

 

「役目を果たせ。――貴殿も王宮騎士団の一員だろう。」 

 

「…」

 

 悔しいが、何も思いつかない。団長の言葉をこみ上げる感情と一緒に呑み込み、闇黒剣月闇に手をかける…。仮面ライダーとして、何よりその活躍を見て育ったかつての少年として、子供に理由があっても大いなる力を向けたくはない。でも、これ以上の迷いは逃げ回ることと同義だ…

 

(…やるしかない。)

 

「ん? そういえば、トモちゃんは?」

 

 

 ――え?

 

 あれ、今まで一緒に話を聞いていたはずなんだがいつの間にか姿が無い。キャルちゃん、何か知らない?

 

「え、ついさっき来た道を戻っていったわよ。血相を変えて…何か忘れ物でもしたのかしら?」

 

「「!」」

 

 来た道の反対って、つまりキョウカちゃんの家の方向!?

 

「カリバー!」

 

「マズイ、悠長に話している暇は無さそうだ。」

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 ――もし、自分の予想が正しければ…

 

 夜が深くなる道を息を切らし、トモは走る。キョウカに渡された力が自分を怪物に変えたあの本と同質なものだとしたら…そう思い至るや居ても立っても居られなかった。あの力はいとも容易く、鍛錬や人間である限界を凌駕した能力を簡単に授けてくれるが、一線を超えたそれは同時にもたらせられる全能感が使う人間の精神を侵す。

 過去を振りかえれば悍ましい感覚が今でも蘇る…。大義名分をたてつつもその実は快楽を獲るために力を振るい、超常者としての優越感から他者の許容が極端に出来なくなる。

 

 そんなものが、自分より幼い少女の手にあるとしたら…

 

「はやく、なんかとかしないと…! あれ?」

 

 おや? 道に人影……キョウカちゃん?

 何か足取りがふらふらとしているが…

 

「キョウカちゃん!」

 

「あ、あなたは…王宮騎士団の…?」

 

 眼のピントが定まっていないし呂律も若干怪しい。明らかにおかしい…もう彼女が身に余る力を持て余している証拠だろう。すぐにトモは飛びつくようにキョウカの肩を掴んだ。

 

「話は聞いた!君が貰った力をこっちに渡すんだ! それは普通の人間には扱えない危険なものなんだよ!」

 

「…? ああ、ミミちゃんとミソギちゃん…喋ったんだ。内緒にしてって言ったのに……」

 

「…キョウカ…ちゃん?」

 

 一刻を争うが故の焦り…されど、その行動はかえって燻る火種をわざわざ燃え上がらせるようなものだった。仲間の背信を知った少女は逆に万力のようなパワーでトモの手を握りかえして突き飛ばすと…愛杖に引っ提げていたフルボトルを引きちぎる。

 

 ――刻印されているのは対魔の戦鬼『仮面ライダー響鬼(ヒビキ)』。

 

 

 即ち、レジェンドライダーのフルボトル。

 

 

「どうして皆、邪魔をするんですか? 子供のほうが都合が良いからですか? そんなの身勝手じゃないですか!」

 

「違う! そうじゃなくて…!」

 

「もう何も聞きたくありません!誰にもわたしの気持ちなんかわからない!!」

 

 そして、激情のまたフルボトルの蓋を捻るとそこからドロドロと紫色のエネルギーが彼女を包み込むと、金剛力士像が如く隆々とした肉体を持ち人間の大人すら超えるであろうデカさの怪人へ変貌を遂げた。

 

【 ヒ ビ キ 】

 

『ハァァ…! ハァァ…!!』

 

「そ、そんな…」

 

 アナザー響鬼。フルボトルで産まれながらスマッシュではなく、またしてもアナザーライダー。反り立つ双角と剥き出しの牙はまさに人々を護る役目の戦鬼とは真逆の怪異。

 あまりの変化にトモは呆然としているしか出来ない。目まぐるしく変わる事態にもう心身共に追いつかなくて立ち尽くすばかり。こんなはずじゃなかった… こんなはずじゃなかったのに…

 

『このチカラは誰にも束縛されない!わたしはわたしの正義を見せる!!』

 

「あ、あぁ…」

 

 

 雄叫びをあげるアナザー響鬼。もう止められない…カリバーも団長もいない。自分だけ… 終わりだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――子供が安く正義を騙るんじゃない。」

 

 

 

 

「!」

 

 否。力に溺れた少女を止められる男がひとり

 

 トモの背後から歩いてきた人影。無銘剣虚無を携え現れたのはユウキ…その一歩後ろにはコッコロが控えている。

 

『な、誰…?』

 

「黙って聞いていたが、やれやれ。教えてやる、子供は力の責任と重さを理解しないから、大人ってのは時には嫌われても前に立つんだよ。子供が取り返しがつかないことにならないよう『守る』ためにな。」

 

『き、急に現れて何を偉そうに…!あなたは一体、何なんですか!?』

 

 突然現れて、唐突な説教。最早、挑発に等しい行為にアナザー響鬼は憤慨しトモすら声にならない困惑に口をパクパクするばかり。

 

 そして、ユウキは堂々と見栄をきる。

 

 

「――通りすがりの仮面ライダー…というやつらしい。」

 

「『…』」

 

 この見栄に、パチパチと拍手をしたのはコッコロだけだった。

 

 

 





設定解説

★プリコネ世界のアナザーライダー
 アナザーウォッチ以外の媒体でもレジェンドライダーの力を持つ物から発生する。そして、変身者は強大な力にある種の依存状態になり、命を吸い尽くつされるまで心身を歪め暴走させてしまう。特殊な条件がなければ、制御は不可能。


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