プリンセスコネクト!Re:転生カリバーさん、悪夢に泣く(仮) 作:ジュンチェ
「何よ、アンタたちは!?」
コッコロを庇う形で前に立つキャル…その前に数人の男たちが詰め寄るように立っている。しっかりとした甲冑をはじめとした装備品からして中堅ギルドの人間だろうか。
無論、ガラの悪い厳つい男たちが少女たちを取り囲むなど尋常ならざる事態でカリバーはすぐさま割って入る。
「お前たち、何をやっている!? 王宮騎士団だ、下がれ!」
「…ちっ!」
王宮騎士団の名前が出てきてはかなわないのか、後退りする男たち。その目には明確過ぎるまで怒りと苛立ちで淀み充血している…何やら並々ならぬ様子。
「邪魔しないでくださいよ騎士サマ?俺達は入るギルドは選べって忠告しにきただけですよぉ?」
「余計なお世話だってば!ちょっとコイツらどうにかしなさいよカリバー!!」
忠告? 何やら男たちの矛先は視線から察するに彼女たちではなく、ユウキに向けられているようで…え、何かしたの君?というか、知り合い?
某・が如くシリーズで道端歩いてるだけで喧嘩売ってくる一般チンピラみたいなこんな奴等と?
「コイツらは他人のクエストについてくるだけで何もせず報酬だけを掻っ攫う『寄生虫』だ。前に締め上げたことがある。」
「…寄生虫?」
寄生… クエスト…
…………………ああ、そういうことか。
カリバーは前世の似たような記憶を思い出す。オンラインゲームで協力プレイした時に、極稀に何もせずに安全地帯から動かず報酬の分前を持っていくプレイヤーがいたりした。俗に言う寄生プレイヤーというやつだが、この男たちもそんな部類なのだろうか? そんなことを現実(?)でやろうものならそれこそ管理協会が黙ってないはず……カリンは何処だ?
「へッ、そんな証拠何処にあるってんだい? 大体、コイツが金払いの良いクエストを独占してたのが悪いんだよ!幼稚園だが保育所だが知らねえけどよお!」
「…」
その時、ユウキがヌッと前に出る…
そこを『主様、いけません!』とコッコロが制止し、カリバーもこのまま続けるのは一悶着どころでは済まなくなると男たちを追い払うことにした。
「何にせよ、ギルド結成を妨げる権利は君達にはない。そんなに彼個人に文句があるなら、管理協会に問い合わせようか? 王宮騎士団である僕が口利きすれば結果はすぐ出るだろう。」
「…っ チッ、もう良いさ。警告はしたからな!」
負け犬の遠吠え。フン、一昨日来やがれと思うカリバー…こんな時ほど公務員の立場が強いのは有り難い。まあ、あんな蛆虫どもはどうでも良いが。
「すまない、迷惑をかけた。」
「気にするな、ユウキ。あんな程度の連中…」
「『お前』ではない。キャルとコッコロに言っている。厄介事を収めるのは貴様の仕事だろう。」
――!?
なんだテメェ?(2回目)
謝罪するユウキ…だったが、また別の一悶着に至りそうになり、キャルが慌てて『もうそういうのいいから!』と止めにはいり事なきを得た。
そんなタイミングで、ペコリーヌが手続きを終えたのか帰ってくる。
「手続きは終わりましたよ!『美食殿』、これにて正式に結成です!!」
「!(ついに! ついに待ちに待ったこの瞬間が…!)」
頭に血が昇りかけていたカリバーだったが、悲願の達成に怒りなどどうでもよくなり涙さえ溢れてきた。なんせ、今まであまりにも散々な目にあってきたのだから無理もない。
「まだギルドハウスは用意は出来ないみたいですが、その間の時間に丁度いいクエストを紹介してもらいました!」
「ハァ!? なに勝手に受注してるのよアホリーヌ!? こっちにだって予定が……」
まぁまぁ、良いじゃないかキャルちゃん。上機嫌なカリバーはクエストの応募用紙をペコリーヌから受け取り内容を見る。TVアニメシリーズなら幻の香辛料を求めてという流れになるはずで、そこで新たなヒロインやシャドウ…あと副団長が来て戦いになる波乱の初クエストが……
「…ん?」
……む、香辛料の『こ』の字もない?
このクエストの内容……
「――『ロックドレイクの駆除』?」
………ナンデ?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
皆様、ドラゴンについてどれぐらいご存知だろうか?
神秘の龍…幻想種エルダードラゴン
空飛ぶ蜥蜴…飛竜種ワイバーン
巨大な毒蛇…蛇帝バジリスク
多頭の怪蛇…蛇王ヒュドラ
等等、色々と多い。その中に前述の彼等とは知名度として一歩劣るが『ロックドレイク』もドラゴン属に分類される魔物だ。
特徴は前脚を兼ねる翼で、地上の活動に特化し飛行が出来ない代わりに滑空を行う一風変わった始祖鳥のようなドラゴン種である。その鱗や翼…果ては卵まで宝石としての価値までつくほど美しいとの話で、それをあしらった装備品はオシャレ好きな冒険者の憧れの的……
――お金にがめついキャルちゃんは一瞬で掌返しした。(白眼)
「さあ、はやく!はやく! こんなヤバいクエスト、他人に盗られる前に私たちでやっちゃわないと!」
「きゃ、キャルちゃん…」
管理協会前の荷車でノリノリに準備をはじめる彼女は頭の中はお金や報酬素材のことでいっぱい…あのペコリーヌすら若干引いている始末。それだけロックドレイクの素材の価値は高いらしい……らしいのだが、カリバーには引っかかることがあった。
「まだ結成したてのギルドに仮にもドラゴン属の討伐とは…良いのかコレ?」
「なんでも、主様の信頼度が高いことが今回の依頼の理由だとか……あちらの受付の方が申しておりました。」
コッコロの説明に『そうなのか?』と首を傾げるカリバー。確か、ユウキはサレンディナ救護院に仮所属していた間は難易度高めの討伐クエストを受注したり、または他ギルドのヘルプに入ったりで報酬を家賃として救護院維持にまわしていたとか。寝床を提供してもらっていた分、しっかり恩を返す…中々、義理堅いな彼。
まあ、ファルシオンに変身すれば下手な魔物には負けないだろう彼ならギルド管理協会が信頼するのは頷ける……ただ、それらの活動を救護院の活動趣旨と違うと指摘されたのはサレンにとってはかなりの痛手だろう。
「コッコロ、ロックドレイクについて何か知っているか?」
「あ、はい!わたくしのしがない知識程度でよろしければ!」
そういえば、ユウキも割りと乗り気だ。ロックドレイクの生態について書かれている本を手にしながら、コッコロからも情報を集めている。エルフである彼女だからこそ得られる知識があると思ったのだろうか…
一方のルイスは…というと……
「へえ、支給品がこんなに…随分と景気が良いじゃないか。初心者にはいつもこんなに手厚いのか?」
「ええ、我々は新しい冒険者をいつでも歓迎していますから。」
若い受付ボーイと話をしている。なんでも、今は手を離せないカリンの代理らしい。…まあ、全てのギルドの管理を彼女が担っているわけではないので他職員が出てくる時もあるのは当然だろう。ガチャ演出が無いこの世界だろうと忙しいだろうからなあのメガネ。
…う〜ん、何か色々と原作と流れが違う。今更だが、やはり様々な異常の煽りを受けているからなのか?
「……考えても仕方ないか。」
考えても答えなんてわかりっこないので、余計なことに脳は使ったところで仕方ない。魔物なら倒す、敵対する転生者ならブチのめす、今はルイスもいるし並大抵のことは恐れることはないだろう。
★ ★ ★ ★ ★ ★
「それじゃあ、出発〜!!」
「行ってらっしゃいませ。」
ペコリーヌの号令で美食殿の乗り込む荷馬車が走り出す。
ランドソルの門を潜り、クエストがここからはじまる…カリバーとしても待望の瞬間だ。見送りに来てくれた若い受付ボーイに手を振りつつ、彼・彼女らはランドソルを後にする一行。
やがて、声が届かないまで距離が離れた頃…
「全く、呑気な連中だぜ。」
ペッと受付ボーイは唾を吐き、城壁の影に隠れていた人影に手をあげて合図を送る。ふたりの甲冑姿……それはランドソルで見慣れた王宮騎士団の団員だ。
「手筈通りだ。さっさとギャラを寄越せ。」
「まあ、そう急くな。ほら、報酬だ。」
団員から皮袋を受け取ると、ニィと笑う受付ボーイ。中身は金貨・銀貨…思わぬボーナスに口が緩むのも無理はない。
「人気者は辛いねえ…?例のカリバーって奴からしたら逆怨みも良いところだろうが……」
「悪いが、奴がいては都合の悪い輩は多くてな。ついでにあの鬱陶しい副団長の鼻っ柱をへし折れる。良いことづくめだ。」
へえ?面倒な事情…多分、派閥・権力争いとかそこらへんだろうが必要以上に絡む必要はないと受付ボーイは追及はしない。可哀想な新人ギルドのご冥福をちょっぴり祈り、あとはこの黒い報酬で酒場へ繰り出してキレイさっぱり忘れてしまおう。
「……さあ、これで終わりだ。映えある由緒正しき王宮騎士団に下賤なムシケラの席など無いと思い知らせてくれる!」
……はじめての美食殿の冒険…その背後から不穏な影が静かに忍び寄りつつあった。
アーマードコア楽しみですよね。
今までやったことない民ですが、楽しめるかなぁ。