プリンセスコネクト!Re:転生カリバーさん、悪夢に泣く(仮) 作:ジュンチェ
ルビコンで燃え残った全てに火をつけてきました(3周)
感想お待ちしてます。
「そういえば、カリバーさんって、『カリバー』って名前じゃなかったんですね。」
――え゛っ!?
旅の道中、ふとしたペコリーヌの発言に荷車が揺れる…主にコッコロとキャルちゃんが妙に驚いたせいだが。
あー、そう言えば言ってなかったな…
「そうだ。カリバーというのはあくまでこの闇黒剣月闇を持つ者の称号のようなモノだからな…まあ、それを通り名としているうちに本名よりこちらが主になってしまったんだが。」
「ビックリしましたよ。ギルド申請の時、思わずあたふたしちゃって…」
…それは申し訳ない。
なまじ最初にカリバーと名乗ってしまったがあまり、そのまま定着して本名なんて名乗る機会はみるみる減り、恐らくは把握している人間は王宮騎士団の幹部やカリンくらいだろう。学校であだ名が通りすぎて、本名を誰にも覚えられない感覚に似てるな。そして、本名教えたら普通でつまんなと言われるまでがセット。
「…すまなかった。ただこれからも『カリバー』と呼んでくれ。今更、呼び方を変えても混乱の元だしな。」
「了解です☆ あ、そうだ! そろそろここら辺で野宿にしましょう!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
…いつの間にか日も傾いてきた。
支給品のおかげで簡易テントや食料品の心配もない。適当な見晴らしのいい野原に一度、停車して野宿の準備をはじめ…ようとしたが……
「な、なによこれ!?!?」
突然、響くキャルちゃんの悲鳴。荷台の梱包を解いた彼女の目についたのはキャンプ用品…だったガラクタの束。テントとは名ばかりのボロ切れ、鍋は底が腐食して穴だらけ、積まれていた全てが壊れて使い物にならない。おまけに、支給品の食料も梱包が破け、微妙な臭いを放ちはじめている。多分、道中の陽射しと暖かさで早い段階で腐敗しはじめたんだろう…これはもう食べられない。
「おかしいでしょ、こんなの!? なんで支給品がゴミばかりなわけ!?」
「……ああ、手違いか? もしくは、からかわれたか?」
ルイスもこりゃ駄目だと首を振る……が、ユウキはすぐにゴミとなった支給品を荷台から押しのけると、ガサゴソと奥からまだ新しい弓矢と釣竿…こじんまりとしているが使える鍋を取り出し『おおっ!』と歓声があがる。
「念の為と思って持ってきた私物だが、正解だったな。幸い、水場も近い…俺とペコリーヌが狩りに出る。他の面々は野草や魚釣りで食料を確保するぞ…
それで良いな、ペコリーヌ?」
「は、はい!」
ユウキに仕切られ、急遽食材さがしになる美食殿。
ユウキとペコリーヌはこの場を離れ…
ルイスとキャルは魚釣りに…
…そして
★ ★ ★ ★ ★ ★
……僕はコッコロと食べられる野草集めだ。
キャルちゃんからは『虫とかとったら殺す』と釘を刺され、転生騎士クンからは『コッコロに何かあったら殺す』と圧をかけられ……最後は普通に怖っ。あれか、言われることで逆に立つ生存フラグか?残念ながら、もう2回くらい死んでるだなコレが。…まあ、もう死にたくはないがな。
「カリバー様、野草についてはわたくしも多少なりとも知識はあります。至らない身ですが主様に代わり…」
「そんなに仰々しくならなくて良い。今は同じギルドメンバーだからな。」
歳下の礼儀にしても、随分と堅いなやっぱり。
原作の基本的なコッコロの知識はある。種族はエルフで歳は10をちょっと超えたくらいで、故郷の里の意向で騎士クンをサポートすべく遥々ランドソルまでやってきた。メタ的に見れば、プレイヤーをゲーム世界に導く案内人。
まだ幼くても慈愛深く不相応までしっかりしている故に原作ファンの一部は彼女を『コッコロママ』なんて呼ぶ層もいるとか。
ただ、今回の騎士クンはイレギュラー過ぎるから…なんかこう色々と大丈夫?
「お気遣い、痛み入ります。…優しいのですね、カリバー様。(…主様は気をつけろと仰られておりましたが、悪い方にはますます見えない。)」
「あ、いや…堅苦しいのは苦手だ。なんせ職場が職場だからな…」
王宮騎士団は仮にもお役所だし、右から左、上から下、どこもかしこも良いとこ育ちが多いだけに肩身が狭い…庶民には居心地が悪いんだあそこ。
決して、クリスティーナ師匠に振り回されるのが嫌とかではなく……(目そらし)
「そう言えば、こうやって落ち着いて話すのは初めてですね。」
「ん? …まあ、言われてみればそうだな。」
………確かに。
この際、色々と聞いてみるのも良いかもしれない。彼女しか知らないこともあるだろうし、特に転生騎士クンの素性は分からないところが多いので把握しておきたいところだな。
といっても、幼子相手にがっつくのはナンセンス。あえて、向こうから質問させてみるか。
「改めて何か話すといっても意外と思いつかないものだが…… 君が僕に聞きたいことはあるか?」
「カリバー様にですか? そうですね……
そう言えば、カリバー様は主様とご出身が近かったりするのでしょうか?」
…………なんだって?(困惑)
「……そ、…そんなことはないと思うんだが。…どうして?」
「いえ、主様の剣とカリバー様の剣がよく似ておりますし……剣の構えが同じだったのでもしやと思い…」
まあ、同じ転生者ではあるのだが…
言われるまで剣の構えなんて気が回らなかったなぁ。そこら辺、よく見てる辺りは流石、プリンセスナイトの従者ということか。取り敢えず、彼女の着眼点は特に意味など無い偶然だろうが、その齢に合わない観察眼は凄いと思う。
「……悪いが、それは偶々だ。僕と彼はランドソルに来てからが初対面だ。」
「左様でございましたか。これはとんだ失礼を…」
「いや、構わないさ。よく人を観察し言葉にしてしっかり伝えることが出来ることは誉められてしかるべきだとも。」
「そうでしょうか? これくらい普通かと…」
ランドソルの普通、リアル(前世)だと普通じゃないんだよコレが。リトルリリカル然り、どんな教育受けたらこんな賢い子が育つのか本当に謎だな。学校行かないでこれだから……
僕なんか…… 僕は…
どんな子供だったか… あれ……
(……思い出せない。)
「カリバー様?」
「! な、なんでもない。さて、野草集めの続きといこう。」
いけない、いけない。……僕の過去なんて『どうでも良い』んだから。
★ ★ ★ ★ ★ ★
『…』
……そんなふたりのやり取りを頭上から眺める機械仕掛けの赤い鳥。
タカウォッチロイドは集めた音声を主の元へと送る。その主とは…キャルと別行動で釣りに勤しむルイスだった。
イヤホンでタカウォッチロイドからの音声を聞き取り、釣竿を適当に揺らす……当たりは未だにこない。
「何か特別変わった話は無いな。…さてね、情報収集もこっちも実りは無しか。」
つまらなさそうに引き揚げた竿の釣り針は突っつかれた痕跡すらない。元々、形だけで済ますつもりだったのでこれは問題ないが…
さて、カリバーの会話を盗聴していた彼だがこれにはちゃんとした理由がある。
(…この世界は色々とおかしい。)
…第1、イレギュラーである自分に管理者が存在しながら接触してこない。
神様にしろ、何にしろ、転生者を利用するということは何かしらの狙いがあるはず。物語のバッドエンドの回避による世界の存続、神性に近しい存在なら信仰の向上、後は極々稀だがただの遊戯としての暇つぶしなどなど…
カリバーの話を聞く限り、案内人ヒルマとかいう管理者は何か目的があるらしいと言っていた。なら、他所者などお呼びではないはずなのに放置するのは奇妙である。
…第2、仮面ライダーセイバーに属するライダーの物語でありながら異常な環境
カリバーに聞く限り、メギドは一度も現れていない。代わりに出現するのはジオウの物語に出てくるアナザーライダーばかり…おまけに、立て続けに侵略転生者の侵入を2回も許している。
前者はまだなんとも言えないが、後者は新人転生者育成において言語道断。非道な手段で力を蓄える侵略転生者にとって右も左もわからない新人なんて格好の餌食で、奴等にとっては仮面ライダーの能力を手っ取り早く奪い取るのには丁度いい存在だ。
だからこそ、新人育成は誰もが気を遣う……はずなのだが…
(ううむ、アイツも何も知らないってことか。ズボラなのか、それとも元々がそういう方針だったのか……わかんねえな。)
カリバーから有用な情報も獲られそうにない。
やれやれ、と溜め息をつきながら傍らに置く火炎剣烈火へと目をやる。紅い聖剣は夕陽に傾きかけた光を受けながら鈍く輝く…まるで、主に微笑みかけるかのように。
(……にしても、偶然なのかね。同じ聖剣がある世界に流れついたのは。)
この世界に来る直前、タイムマジーンはまるで何かに引き寄せられていくようにコントロールを失い自分をこの世界に投げ出した。そう…
…ゲームであるはずの世界に『生身』のルイスを
★まとめ
・支給品がゴミ
・カリバーさん、転生騎士クンの情報集め
・そのカリバーさんをルイスがスパイ
・そもそも、生身の人間がプリコネの世界にいるっておかしくね?←イマココ