プリンセスコネクト!Re:転生カリバーさん、悪夢に泣く(仮) 作:ジュンチェ
はじめて、字とか弄ってみたんじゃが…
「あなた、『 へ ん た い ふ し ん し ゃ さ ん 』ですね!?」
「 」
待って。開幕早々これは酷いんじゃない…?
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兎にも角にも、王宮騎士団へ仮にという形で所属が決まった僕はギルド管理協会の集会場にやってきた。プリコネ世界には多くのギルドがあり、それらの新たな設営からミッション管理まで一括で管理するのが『ギルド管理協会』…この組織に一応、公務員なれど例外ではない。
となれば、僕のギルド加入もユースティアナ陛下(偽)の一計とはいえ、届け出が必須だった。そして、事情が事情が故に副団長であるクリスティーナとあと御目付役として(不満そうだが)キャルちゃんが着いてきた…。
「ここがギルド管理協会か…」
まさに、ファンタジー世界でよく見る木造りの大きな集会場…活気に溢れ、老若男女が行き交って喧騒がこの場所の息吹を感じさせる…。
取り敢えず、副団長が窓口で話しこんでいる間はふらふらと辺りを彷徨くことにした。実際にこの目で見る景色は本当に新鮮で飽きを感じない。
(…しかし、やるべきことが多いな。)
そんな傍らで考え事…。
話を鵜呑みにするのは危険だが、陛下が言っていたライドブック関連のランドソルで起きている被害… 自分以外の転生者やライドブックを悪用する者たちの有無… 何よりも今は原作の何処にあたる時間軸なのかが問題だ。しかも、この点はゲームとアニメで展開が違ったりするので非常に厄介なところ。
(キャルちゃんに直接きいてみるか…?)
手っ取り早いのがこれ。ただ、タイミングを間違うとただでさえ好感度がマイナス値な上に不信感を持たれる可能性だってありうる…。
今後、美食殿とも仲良くやりたいし慎重に聞かなくては…
「キャルちゃん。」
「…ちゃん付け!?」
「ギルドって掛け持ちとか出来るのか?」
「は? …まあ、やろうと思えば出来るわ。でも、色々と面倒よ? 申請とかもそうだし、それぞれのギルドと調整の兼ね合いもしっかりしないと、ギルド間のいざこざにもなりかねないし…。」
「キャルちゃんは掛け持ちとかしてないの?」
「してないわよ! ただでさえ、クソ忙しいのにそんな余裕あるか!? 陛下の第一臣下なめんな!」
ふむ。やはり、美食殿はまだ設立されていないかペコリーヌがまだ勧誘していないのかどちらか…となると、かなり序盤。今後の行動指針を決めるのにひとつの材料が出来たことは大きいな。
あと、キャルちゃん…第一臣下が君みたいな扱いは普通、されないぞ。(救いはないんですか)
なら、もっと時間を絞ろう。原作開始前だとすれば自分の偽物がすり替わっていると露と知らないペコリーヌがランドソル城にやって来て鉢合わせになる可能性もありうる。カリバーというイレギュラーがある以上、立ち回りをしくじればこの物語自体に取り返しのつかないダメージを与えることだけは避けなくてはならないだろう。
…あ、そういえば
「お手洗いはどこだ?」
「ん?あっちよ。」
そうそう、転生してから自分の顔を拝んでいない。
便意も忍びよってくる前に用を済ませたいし、丁度いい。教えてもらった通路に入ってドアを開ける…ん?割と転生前の世界でいうファミレスとかのちょっと広めのトイレと造りは変わらないが、男子便器が無いじゃないか。プリコネって便器が男女どっちも変わらん文化だったか…記憶に無いな……。
取り敢えず、洗面台の鏡を見てみようか。
(………さて、僕の顔は…)
冷たい印象の眼鏡
琥珀色の少し濁った瞳
長髪にいくかいかないかぐらいの銀髪
西洋系な顔立ちでありながら、血色は土色な肌
(…誰だお前。)
日本人云々より以前に顔がファンタジー寄り…プリコネというよりかはFG●のブリテン辺りな雰囲気の。何というか、返り血でニタリと笑ってそうな顔立ちである。
勿論、生前はこんな顔じゃない…典型的な日本人の……
(……僕は…どんな顔だった…?)
…思い出せない。
日本人として生まれ育ったという大まかな確信はあるのに、家族や友人、職場や育ちといった鮮明な記憶が殆ど思い出せない。
いや…代わりに、別の『誰か』の記憶が蠢いて…い……る…?
(お前は…誰だ…)
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嵐の夜…廃墟の空に暗雲の大渦が中心に抱く闇で全てを呑みこむような勢いで回っている…。
暗黒の曇天の下、立つ者はひとり。
「――嘘吐きめ。」
仮面ライダーカリバー・ジャオウドラゴン…虚しく吹き抜ける風にマントがなびき、握る闇黒剣月闇からはまだ生暖かい鮮血がポタポタと滴り落ちる…。あちこちには聖剣を担っていたであろう男女が倒れ伏し、彼・彼女らの刃たちは主を失い地面に突き刺さった有様。則ち、死闘がここで行われたのだと察するには実に容易い。
「―――話せば解るなど、よくもまあ言ってくれたな。ソード・オブ・ラウンズが揃いも揃って『魔女』に誑かされおって。」
そして、カリバーは亡骸からライドブックを引き抜いていき、全てを回収し終える。最後…橙色に輝く不死鳥の聖剣・無銘剣虚無で瓦礫の山に縫い留められたブロンド髪の女性騎士に目を向け…兜の変身を解き、転生した『僕』と同じ顔を露わにした。
「――あなただけは…最後には絶対に信じてくれると思ったのに…」
瞳は口からは血…瞳は泥のように濁る男は、嘲笑と落胆が入り混じった声にを洩らす… 手向けた言葉は彼女にか、はたまた自分にか…本人のみぞ知るところ。
カリバーの男は女性騎士の胸を貫いていた無銘剣虚無を引き抜くと、崩れおちる彼女を優しく抱き留めて地面へと寝かせて蕩けてしまった眼をそっと閉じる…。
「――必ず世界を救う。――そのあと、君と皆を埋葬して…『俺』もそちらへ逝く。暫し待っていろ…」
今はここまでしか出来ない…もう猶予が無いのだ。
男は天へと手を掲げ、曇天にブランクの白い本を翳す。
「さあ、ここに全ての剣と本は揃った! 今こそ、全知全能の力をッ!!」
★ ★ ★ ★ ★
「……っっ!?」
凄まじい嫌悪感と胃袋が裏返るような吐き気が突如として牙を剥く…。なんとか吐瀉物は床にぶち撒けずに済んだが、酷い二日酔いのような目眩と役目を放棄した筋肉のせいで、しがみついて身体を支えるのがやっとだ。
…なんだ急に? あの記憶は『僕』だ…でも、違う。
(気持ち悪い…何が起こった?)
まるで、フラッシュバック。でも、唐突に息吹いたあの記憶は間違えても転生前の記憶じゃないし、仮面ライダーセイバー原作にあたる物語とも違う。カリバーは他ライダーを皆殺しにしてライドブックを集めてなどいないし、そもそも変身者とおぼしき亡骸たちは本編と別人ばかりだった…『自分自身』も含めて。
「はぁ… はぁ… あとで、ヒルマに訊いてみるか。取り敢えず、はやく用を済ませて……」
ゴポポポ… ジャーー…
「…」
あ、トイレの音…ライドソルって水洗トイレ普及してるのか。縦穴ボットンとかならどうしようかと正直思っていたが、流石は覇瞳皇帝…一流の統治者はトイレにまで抜かりないとは…。僕も安心して便を済ませられる。ほら、快便だったのか上機嫌なツインテールの幼女が…
………『幼女』?
「〜♪〜♪ …へ?」
「え?」
待って、嫌な予感がする…
「こ、ここ…女子トイレ…… な、なんで男の人…が…」
女子トイレ!? 待って、キャルちゃんこっちだと…
「まさか…あなた、『 へ ん た い ふ し ん し ゃ さ ん 』ですね!?」
そ う だ よ ( 違 う )
じゃない! というか、この娘思い出した!『キョウカちゃん』だ…幼女ギルドのリトルリリカルの3人組のうちのひとりの! エルフ耳と紫髪、このプリコネでリアルに一番にかけられちゃいけない名言からして間違いない!!
何だろう、もっと普通に原作キャラとエンカできないのか僕は!?
「ひ、人を呼びますよ!?」
「ま、待ってくれ誤解… うっぷ。おぇ…」
…やばい、吐きそう。
取り敢えず、キャルちゃん絶対に許さねぇ…ゲロゲロゲロゲロ…
「うわっ!? ちょっと、なに吐いてるんですか!? 汚い!」
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「あれ、何か寒気がする…にしてもアイツ遅いわね。あと副団長もまだ時間かかるのかしら? 丁度いいわ、お昼頼も! すみませーん! ギルド特Aランチセットひとつ!」
(男を女子トイレに放り込んでしまったとは知らない)キャルちゃん。
ギルド管理協会の集会場って個人的にモンハンの大きい集会場みたいなやつをイメージしてるんじゃが、食事とか出るのかねアレ?