プリンセスコネクト!Re:転生カリバーさん、悪夢に泣く(仮) 作:ジュンチェ
「はぁぁぁ……!」
左腕を立て、刃と十字に交差するように構えるカリバー…。意識したわけじゃない…幾度となく繰り返して擦り込まれていたように自然と身体が動く。月闇の金色に輝く刀身が腕甲と摩擦し火花を散らし、腰も低く落ちる……臨戦体勢。
『キサマァ!!』
襲いかかるアナザーファイズ。相手の武器は赤く光るフォトンブラッドの剣・ファイズエッジ…誘導棒に見えなくもないが、あれは人間の進化した怪人・オルフェノクすら簡単に灰にする恐ろしい武器だ。本来、オリジナルのファイズの武器だがアナザーライダーも自身の相当する原典の武器・能力を使う例は特別に珍しいわけじゃない。
問題はまともに受けたら、こちらが灰にされることだ…!
(防御を…!)
――前へ出ろ。
振り下ろされる紅い一撃を月闇で受ける…!身体は自然に踏み込み、力押しの刃を止めようとするが交差する刃はこちらにジリジリと迫り……
(押し負け……!?)
――パワーで敵わないなら、いなせ。正面から受けるな。
首をぶった切られる寸前、素早く受け流し右側に回り込んで蹴りを入れて間合いをとる。しかし、アナザーファイズは大してよろめきもしない…体幹も重量もあちらが上か!
――相手の得意な土俵に立つ必要はない。
「ならば…!」
【 キングオブアーサー!! 】
カリバーは空色のライドブックを起動し、召喚するは身の丈4人分は超えるであろう大剣・キングエクスカリバー…聖剣ではないが、武器としては申し分ない。大樹のような質量の剣を勢いをつけて、蹴り飛ばし叩きつける。しかも、ご丁寧に踏ん張って受け止めてくれたおかげで未動きがとれないようだ。このまま追撃を…
『グルァ!』
「なにッ!?」
しかし、流石に甘かったか。キングエクスカリバーは見事に殴り返されてこちらにダイナミック返却されてきた…思わず身体が強ばってしまう。このままでは下敷きに…
「何をしているッ!」
「!」
ガンッ!!と鉄を蹴りあげる凄まじい音が響いた。
クリスティーナだ。彼女が、割って入りキングエクスカリバーを明後日の方向へ弾いたのだ。騎士の大剣は宙を舞い、腰を抜かすキョウカの近くでズシン!と突き刺さる…あと少し近ければ一大事だったが、今は戦いに集中しなくてはならない。
「やれやれ、先走るんじゃない。あわせられるな?」
「ああ。」
仕切り直し。
仕掛けるはクリスティーナ、大剣を踏み込んで叩き込んで一撃、二撃…しかし、鉄の鎧すら砕くであろう攻撃もアナザーライダーの前には通らない。軽く仰け反っただけですぐさま反撃のファイズエッジが薙ぎ払われるが彼女には届かない。
『!? !?』
ブンブンと振るっても、クリスティーナの不敵な笑顔の残像をすり抜けていく。全てが予め判っているように回避され続ける…
【 月闇居合! 読後一閃! 】
「はああっ!」
そこへ、月闇の飛ばした斬撃を上乗せしたライダーキックを見舞うカリバー。寸前でノールックで退いたクリスティーナには当たらず、アナザーファイズの顔面に吸い込まれるように直撃。これは流石に聞いたようで、顔をおさえてのたうちまわって悲鳴をあげていた。
「「はぁぁぁぁ…!」」
仕留めるなら今しかない。ありったけの魔力を双方刃に流し込み、刀身に迸るような光と闇が灯る…そして、地を踏み砕いて懐に飛び込むとクリスティーナが斬ッと一閃、カリバーがザグ
ッ!一撃とアナザーファイズを斬り捨てた…。
『ぐあああああ…!?!?』
―――…許せ……ッ
いくらタフであるアナザーライダーとはいえこれにはもう限界だった。数秒後、傷口からの膨張するエネルギー圧に耐えきれずアナザーファイズは大爆発を起こす。しかし、その生命エネルギーを含んだであろう爆炎は膨張しかけるとみせ、逆に一気に収縮
して一冊のライドブックと金髪の少女に分離する。
「…サレン?」
クリスティーナが少女を見て呟く。
その名はカリバーも知る者だった。
★ ★ ★ ★ ★ ★
サレンって、あのサレンか…!?
王宮騎士団の前・副隊長であり、今は王宮騎士団の傘下ギルドで孤児院をまだ高校生にあたる年齢でありながら営む少女…精神性はまさに聖女。パツキン巨乳と幼馴染み系ヒロインでゲームなら主人公たちを美食殿設立まで面倒見てくれたり、他版権のクロスオーバーキャラに空き部屋を提供したりと活躍の場は(アニメでは残念ながら少なかったが)多く、ゲーム内の世界や僕のようにリアルのファンからも人気の高いキャラクターだ。
本来、実物を拝めるならせめて握手くらいはしたいところだが…何故、彼女がアナザーファイズに?
(…これは?)
…何か落ちている。
拾いあげてみる……ふむ、ライドブックだな…何か血が固まって腐食したみたいな縁になっているが。しかも、これは仮面ライダーファイズの物語に相当する『ファイズ進化人類史』。レジェンドライダーライドブックと分類されるもので、セイバー本編とは基本的に関係ない…言い方を悪くすれば、玩具展開のみのオリジナルアイテムだったはず。それが、どうしてアナザーライダーから出てきた?
(ロジックを考えると…)
これがアナザーライダーにサレンがなった原因と仮定して。経緯はまず彼女の回復を待ってからにしてだ…
普通、アナザーライダーはジオウ系のライダーか相当するオリジナルからの攻撃しか受け付けない。しかし、ライドブックで産まれたこの個体が本来あるべきではない『セイバーの怪人であるメギドの特性』を持ってしまったのだとしたら? カリバーの攻撃が通り撃破出来たのも納得がいく。
(そして、明らかに自然発生ではないな…)
これは確信が持てる。アナザーライダーは土着の種族や自然発生するタイプの怪人ではなく、タイムジャッカーといった存在その誕生に絡むのが必然である(まあ、かなり特殊な例外もいたりするが)故に、悪意のある何者かが絡んでいると見て間違いない…
(それが恐らく、ヒルマが僕を呼んだ理由…なのか?)
「ひぐ… えぐっ…」
「…!」
ふと、耳に届く啜り泣く声。
ああ、そうだった…‥巻き込まれていた彼女を忘れていた。
「怪我はないか?」
「ぐずっ…」
キョウカちゃん、無事だったか。(すぐ横にそびえるキングエクスカリバーから目を背けながら…)
「怖かったろう、もう大丈夫だ。悪いやつはやっつけたからな…もう泣かなくて良い。ひとりで帰れるか?」
「ううっ、うう…怖かったよぉ…。」
ううむ、ちょっと落ち着くまで待つ必要があるみたいだ。
「副隊長。」
「…なんだ?」
「少し、この子の様子を見ていたい。そちらを任せる。」
申し訳ないが、サレンは怪訝な顔をするクリスティーナに任せよう。僕は変身を解き、まだ涙と震えが止まらない少女に手を差し出す…
「なら、一旦ギルド管理協会へ行こう。ほら、手を繋いで。」
「こ、子供扱い…しないでくださ…い…」
不服そうだが、少し躊躇ってキョウカちゃんは手をとってくれた。何気に優しい触れ合いははじめてだな……本当に副隊長といい、キャルちゃんといい、全く…。
「あ、あのどうかしました…?」
「いや…なんでもない。」
とにかく、助けられてよかった。これで、少しは仮面ライダーらしいことは出来ただろうか?
まだまだ未熟、はじまったばかりの異世界転生。今だけはちょっとした喜びを僕は噛み締めていた…。
★ ★ ★ ★ ★ ★
『…』
物陰から一部始終を見ていたのは…本の怪人・デザスト。
去っていく王宮騎士団の背を見ながら、何かを考えあぐねるように顎を撫でまわしていると…
――主さま〜 何処にいるのですか〜
『!』
近づく人影を察知して誰も目につかない死角に滑り込む。その数秒後、困り顔でやってきたエルフの幼い少女…そう、プリコネの物語においてメインヒロインと案内役を務めるひとり『コッコロ』である。彼女は『主さま』を捜してここまで彷徨ってきたのだが…そこへ、ふらりと人影が現れる。
「あ、主さま!こんなところに!」
「…」
主さまと彼女が呼ぶ高校生ほどの少年…まさしくプリコネの主人公でありプレイヤーの分身である『騎士クン(=ユウキ)』がそこにいた。彼を確認するなりああ、よかったとコッコロは胸を撫で下ろす…
「心配しました。勝手に離れられて戻らないものですから…黙って居なくなるのはメッでございますよ。ここ最近はランドソルの都市内でも魔獣が出没するとか…」
「…」
「聞いていらっしゃいますか…主さま?」
あまり彼の反応は無い。顔にはあの腑抜けた笑顔すら無い。
……あるのは、腰にひっさがる『無銘剣・虚無』のみ。
「宿に戻る。」
「あ、主さま!?」
踵をかえし、帰路につく彼は誰なのか?
―――まだ物語は1ページ目がめくられただけに過ぎない。
オリ主、名前は何にしようか…
因みにステータスは軒並み最低クラスですが、仮面ライダー知識はそこそこオタク並みでプリコネはエアプ。身体能力は王家装備なしのペコリーヌと良い勝負だが耐久値だけは『∑』。