今更始めるポケモンBW 作:雨上がり
「博物館のその奥で挑戦者を待つポケモンジム……なんだか雰囲気あるっすよね。これを差し上げるっす」
「あ、おいしい水……ありがとうございます」
「このジムはですね、ノーマルタイプのポケモンを使うトレーナーばかりです。……ここだけの話ノーマルタイプってかくとうタイプが苦手なんすよ」
知ってます。
「近くじゃヤグルマの森辺りにかくとうタイプのポケモンが出現したりするんすよ」
知ってます。ボールの投げたら打ち返されました。
タイプ相性の悪いポケモンが街の近くで生息してるって悲しいよね。
愛想笑いしかでませんけど。
そのままジムの説明が始まる。
どうやらこの奥は図書室のようになっていて本に書かれた問題を解けば先に進めるらしい。
「最初の本は『はじめましてポケモンちゃん』です。本の場所がわからないときはみんなに聞くといいっすよ」
最初の本を見つけた私はアロエさんの問題メモの通りに進みジムを攻略していった。
本の問題もなぞなぞだったりポケモンについてだったり。
たまに目的の本を読んでいたジムトレーナーとバトルしたり。
「最後の問題もこれでクリアっと」
最後の問題の答えの本棚。そこに居たジムトレーナーを倒し最後の本を手にとった。
「もうすぐジムリーダーに会えるわ。頑張ってね」
本の下にスイッチが有りカチッと音がなった。
「ふぁっ⁉」
本棚がずれて下り階段が現れた。
テンションが上がる。
秘密基地っぽい仕掛けがこう元男としての琴線に触れたというかなんというか。
上がりきったテンションを抑えつつ階段を下ると書斎のような部屋がありジムリーダーであるアロエさんがいた。
「いらっしゃい!シッポウ博物館の館長にしてジムリーダー。それがこのあたしアロエだよ」
「ポケモントレーナーのレインです」
「さあてレイン。前置きは無しさ愛情込めて育てたポケモンでどんな戦い方をするのか研究させてもらうわよ!」
サンヨウジムに続いて2つ目のジム。
バッチを1つ手に入れたからここからのジム戦は公式戦、手持ちの数を揃えて戦う。
今回はお互い手持ちは2匹ずつ。
「これよりジムリーダーアロエと挑戦者レインによるジム戦を開始します。手持ちはお互いに2匹。交代は自由。どちらかのポケモンが2匹とも戦闘不能になったところで終了とします」
もう私の中でおいしい水をくれる人認定のガイドーさんが審判をやっている。
ガイドーと言うのは敬称みたいなものらしくサンヨウジムのガイドーさんと同期だって言っていた。
まあポケモンセンターのジョーイさんと同じ扱いでいいだろう。
「さあ行くよ!ハーデリア!」
「頑張ろう!ヒヤップ!」
実はこのヒヤップには秘策がある。
ラッキーが生み出した産物だけどね。
「先制はいただきます!『ねっとう』!」
高温の水がハーデリアに向かって放たれる。
低確率でやけど状態にする技で運が良ければやけどにしてハーデリアの攻撃を下げることが出来る。
「甘いよ!『とっしん』」
「なっ⁉ねっとうを突き抜くなんて!」
ハーデリアはねっとうを正面から突破した。
ダメージ覚悟の一撃でヒヤップに大ダメージを与える。
もちろんハーデリアもねっとうととっしんの反動でダメージを受けているみたいだけど。
「ハーデリア『とっしん』」
「迎え撃つよ『いわくだき』」
ヤグルマの森にいたバトルガールにもらったわざマシンでいわくだきを覚えさせた。
なんか間違えて2枚手に入れたらしくバトルに勝った報酬と言われ貰えた。
「へえやるねかくとうタイプの技か」
「私だって負けるつもり無いですから!『いわくだき』!」
アッパーの容量で放たれた一撃がハーデリアを打ち上げた。
「ハーデリア戦闘不能!」
「残り1匹だったとしても勝利の道を探すのがあたしなのさ!ミルホッグ!」
アロエさんの残りの1匹ミネズミの進化系のミルホッグ。
ヒヤップもダメージ食らっているけど今回は継続。
「ヒヤップ『いわくだき』」
「遅い『かたきうち』」
ミルホッグの姿が一瞬で消えた。
「⁉ヒヤップ後ろ!」
とんでもない速さでヒヤップの背後を取ったミルホッグがヒヤップをふっとばす。
私の声が届いても対応できなかった。
「ヒヤップ戦闘不能!」
「かたきうち。さっきハーデリアが負けてたから威力が上がってるの。仲間の敵ってね」
「ヒヤップ……お疲れ様。行くよジャノビー!」
ヒヤップの攻撃は当たってないからミルホッグはノーダメ。
ほぼ条件は互角。
「これで1対1だ」
「勝つことを諦めない!」
「いい目をしてる!ミルホッグ『かみくだく』」
「ジャノビー『グラスミキサー』」
技のぶつかり合い。
絡め手に力技。
お互いにダメージを追いつつ一進一退の攻防が続く。
「ジャノビー『やどりぎのタネ』」
「ミルホッグ『さいみんじゅつ』」
ジャノビーは眠気とミルホッグはやどりぎのたねによる吸収攻撃と。
それぞれが継続ダメージも背負う。
「ジャノビー!これで決めるよ『グラスミキサー』
「正念場だよ!『かみくだく』」
最後まで立っていたのはジャノビーだった。
「ミルホッグ戦闘不能!よって勝者挑戦者レイン!」
「大したものだよ」
「か、勝った……」
張っていた糸が緩みへなへなと座り込む。
「ギリギリだった……」
ジャノビーも満身創痍といった形だ。
ありがとう、お疲れ様と言ってボールに戻し休ませる。
「いい戦いっぷりだった。ほら」
「あ、ありがとうございます」
手を引かれ立ち上がる。
「このベーシックバッチを受け取るのに相応しいポケモントレーナーだよ。レイン」
2つ目のジムバッチであるベーシックバッチ。
長方形のシンプルなバッチがケースに収められた。
「これからも頑張って」
「ありがとうございます」
ベーシックバッチのほかにかたきうちの技マシンも貰った。
「大変!大変だよ!」
階段を転びそうな勢いで副館長のキダチさんが降りてきた。
「どうしたんだい⁉」
「プラズマ団という連中が骨をいただく!って」
「プラズマ団⁉」
「何だって⁉どういうことだい⁉」
ジム戦が終わったと思えば事件に巻き込まれた。
あの灰色頭巾めどうしてくれようか。
次は明日か明後日に出します。