恐らく最終回。(予定)
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ゴールデンウィークと言えどただの休日であることに違いはない。
ただ、カレンダーには赤字で祝日と記載してあり、世間ではこどもの日なんて呼ばれたりする。
そうつまり5月5日はこどもの為に設けられた祝日。「大人は働け」なんて言ったら世の大人は憤慨するだろうか。
そんな話はどうでも良いんだが。
先進国である日本の都内では人が溢れ返っているイメージがあるだろう。
時間帯にも寄るのだが渋谷は特に混む。今日のような休日は特に。
やはり休日にもネームバリューと言うものが存在し、人々は無性に出掛けたくなるのだ。
「頭痛くなってくるな」
マンション付近では疎らだった人が都心に近づくにつれ増えてくる。
目を見渡せばそこは人の群れ。花火大会にでも来ている気分だった。
「いろは」
「はっ、はい?」
彼女に手を差し出すと「失礼しまーす」と言ってギュッと握ってくれた。
未だに名前呼びに慣れてない彼女。
チラッと横目で見ると日差しが彼女の薄ピンクの唇に反射して、色っぽく艶やかに映る。
鼻歌を交えて歩く度に音符が出てくるようなステップ。彼女の気分は上々だろう。
「せんぱい。早く行きましょ」
寝起きとはまるで180°違う彼女の状態に戸惑うも引かれる手に身を、いや惹かれる手に身を委ねて彼女に着いていく。
高校の頃。
彼女と密接に関わるうちに心を委ねる自分が居たのをよく覚えている。
交際前にもそのような気持ちがあった。
どこかで彼女と自分は似ていると。だから彼女なら気を許せると。
けれど受験シーズンに入って彼女との関係は薄れた。
出会うこともなければ話すこともない。
戸塚や川崎との交流は深めたもののそれだけでは満たされない何か。寂寞の情とも呼べばいいのか。
渋谷のスクランブル交差点に差し掛かると現実に戻されるほどの人で溢れ返っていた。
「人すごいですねー」
と言いつつ、逸れないように手を絡めて左腕に抱きついてきた。彼女から発せられる柑橘系の香りが鼻腔をくすぐる。
歩行者信号が一斉に青になると待機していた群衆が一体となって中央へ進軍する。
少しばかりの恐怖感を煽るもすれ違い様には当たらないように避けて進めばなんとでもない。
「くっついてろよ」
「はい!」
元気よく発せられた返事は周りの人に不快を与えたかもしれない。
が、ジロジロ見られる事もなく。現代人らしく皆、小型の電子機器を操作しているみたいであった。
手元の時計は予約していた映画の時間の30分前を示している。
少し足早にして鬱陶しい群衆を抜け出したいがそう簡単にはいかない。
流れに沿って交差点を渡っている途中。
懐かしい雰囲気を纏った女性とすれ違った。
☆☆☆
「ん、んむっ!」
彼との行為を終えた後、私は乱暴に唇を奪われていた。
何度も、何度も、何度でも。彼の唾液が私の中に入ってくる。
冷静に考えると汚い。なぜこんなにも欲に忠実に向き合えるのか。
彼との行為に優しさなどなく、自分の性欲を満たす為に私に向けて激しく腰を振る。
私に向けられる愛などは無かったのだ。今日身を持って感じた。
もうこんな生活など逃げ出したい。
デートと言われる物はもう暫くしていない。
彼から買い物に出かけようと家に呼ばれても結局は鬱憤を晴らす道具でしかない。
逃げ出そう。
大学は同じでも優美子達と一緒に居れば、彼は寄ってこない。
「由依。もう一回…」
容姿は良い方。声も綺麗だし。ファッションセンスだって良いし、性格も良い。
大学では学年一の人気なんて言われている。
ただ、夜になれば狼どころかお猿さんになってしまう。その場に優しさという文字はない。
「今日はもう…」なんて言ってしまえば、彼からなんて言われるだろうか。暴力を振るわれるだろうか。
だから私は今日限りで彼との赤い糸で結ばれていた関係を千切る。
赤い糸なんて物はない。
私の心はもう曇ってしまった。彼のせいかも知れないが、私が彼に近づかなければこんな気持ちにはならなかった。
これからの人生も曇り模様なのか。
「ふふっ」
思わずニヤけてしまう。滑稽な自分に。
ならもういっその事……。
☆☆☆
外に出ると日差しが私を襲いかかり、さえぎるようにして目を手で覆う。
夏場にも負けない太陽のせいで額に汗が滲む。乾燥してくる喉に水筒のお茶を流し込んでいく。
今日は5月5日。世のこどもが今か今かと待ち続けて迎えたこの日。
今や遊園地やテーマパークはこどもたちで溢れ返っている頃だろう。
ただ、楽しい時間なんてのはあっという間。過ぎてしまえばあの日に戻りたいと恋焦がれるのだろう。
なんて考えながらも東京の景色を目に焼き付ける。
私の地元千葉とあまり変わらないような街並みだが、夜になると常にどこかしらの電気があたりを轟々と照らし、少し近未来な世界に足を踏み入れたようになる。
私の住むアパートから、日本名物の東京タワーと東京スカイツリーがビルの間を縫って姿を晒す様はなんとも絶景である。
「にしても人が多いわね」
思わず呟くと信号待ちで隣にいる中学生くらいの子に視線を注がれた。
脇目でチラッと見ると、彼は部活の服装で自転車に跨り、イヤホンを耳にかけ音楽を聴く姿勢で待機していた。
せっかくの祝日に部活動なんてなかなか骨が折れるわね…。
相当部活動が好きなんだろうか。それとも顧問に嫌々来いと言われてるのだろうか。
それは彼のみぞ知ることか。
顧問。顧問といえば、私の恩師であり、高校の部活動の顧問を兼任していた独身女性の顔が頭に浮かぶ。
実は去年入籍したと報告があったが…。嘸かし幸せなのだろう。
気分転換に外に出たらつもりだったのにいつの間にか吸い込まれるようにして都心の方へ足を向けていた。
行ったところで何の予定も目的もない。
ただのストレス発散。人間誰しもが無意識下で行なっている行動の一つ。
けれど人混みの多さにさらにストレスが増えそうで、本末転倒どころの話ではなくなってくる。
またまた少し歩くと今度はスクランブル交差点へ出た。
家から徒歩30分ほど自分の中では結構歩いた。休憩も何回かしたし、最近人気のタピオカという物を飲んで喉を潤わせていた。
「そういえばなんでここに…」
記憶を辿ってみる。
………。
はぁ〜。
やはり彼のことだ。
結局はこうして当てもない場所へ彷徨って無駄という沼に嵌るのだ。
無くなった奉仕部。正確に言えば大きなヒビが入った奉仕部と描かれた皿。
修理なんて不可能。彼の心も恐らく私たちの言葉によって大きくヒビが入った…。
今日も明日も特別な祝日だろうと私にとっては刺激のない毎日。
出会い無くしてチャンスなし!なんてどっかの出会い系アプリの謳い文句にされていたのを覚えている。
だけど今の私にはそれ以上響く言葉があるだろうか。
ただ、出会いがあればの話。出会いの求め続けて早3年。一切変わらない毎日を過ごしていま…。
「────ましょうよ〜」
「映画の───でな」
あのアホ毛。それに亜麻色のセミロングの髪型。
「ははっ」
対面した所でなにを話せるわけでもない。
彼が幸せなら私はそれで…。
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終わらせ方適当ですが許して下さいください…。
次回は新作として八幡復讐系のお話を達筆しようかなと思っておりますので、皆さんぜひお楽しみに…。