光の巨人を目指す   作:目指せ焼豚

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ええー…お久しぶりです。


USJ事件 中

 

 

 「おいおいこんなものかよ……イレイザーヘッド」

 

 出久達が噴水広場の近くまで来て見た光景は、脳が剥き出しの巨漢にボロ雑巾のようにされた相澤だった。

 

 

 

 「相澤先生…」

 

 「おいおいおい…ヤベーって、相澤先生やられてる」

 

 蛙吹と峰田の二人は担任である相澤がボロボロにやられている姿に隠れていた場所で絶句する。

 相澤、「イレイザーヘッド」はアングラ系であるが故に認知度は低いが、プロとして活動しているヒーローの中でも決して戦闘能力が低い訳ではない。むしろ個性の関係上、異形系の個性には効果を発揮しないのでその対策として基礎戦闘能力は他のプロヒーローに比べたらかなり鍛えてある。そんな相澤がボロ雑巾のようになっている現状に出久は蛙吹と峰田以上に驚いていた。

 

 だが、それ以上に…出久は…相澤をボロボロにした相手である巨漢に怒りを抱いていた。

 

 「先生から…手ェ離せ!!」

 

 光を全身に纏った出久はあのヘドロヴィランのように相澤を掻っ攫うと、巨漢に指示を出していた手だらけのヴィランの腹に蹴りを入れてから蛙吹と峰田のところに戻っていく。

 

 「大丈夫ですか?先生」

 

 「…っ緑谷か…はや、く……逃げ」

 

 「ボロボロの先生じゃなかったらその指示も素直に聞けたんですけどね」

 

 出久は相澤の声に応えながら軽く体の状態を確認していく。

 

 (あちこち骨折してるし、右腕のこの皮膚の剥がれ落ちているのはヴィランの個性か?…とりあえず、これ以上の戦闘は先生にはよろしくない)

 

 「蛙吹さん、峰田くん。悪いんだけど、二人で相澤先生を入り口にいる人たちのところまで運んでくれないかな?これ以上は流石に先生が危険だ」

 

 「ええ、それは良いのだけど……」

 

 「み、緑谷はどうするんだよ?」

 

 出久は二人に相澤を割れ物を扱うように丁寧に預けると、二人からの言葉に笑顔を見せて答えようとしたが、先ほど出久が蹴飛ばしたヴィランがのっそりと起き上がって、首をガリガリかきながら出久を睨みつける。

 

 「いったいなあ…!もじゃ髪の君、随分躊躇いなく攻撃してくるね?」

 

 「悪いけど、先生をこんなにしたヴィランに優しくできるほど今、僕は落ち着いてないんだ」

 

 そう言いながら出久は蛙吹と峰田、相澤に背を向け、巨漢と手だらけのヴィランに向き直る。

 そのまま3人を隠すように立ち、しっかりとヴィランを見据える。

 

 「もうこれ以上……好きにはさせないぞ…(ヴィラン)!」

 

 「へえ……勇敢だなぁ、君。怖くないの?」

 

 担任でプロヒーローである相澤がボロボロになるまでやられているのにも関わらず、目にいまだ闘志を宿してこちらを見据える出久に手だらけヴィランは拍手をしながら聞いてきた。

 出久はそんな余裕を持っている手だらけヴィランの言葉には耳を傾けず、拳を構える。

 

 「梅雨ちゃん、峰田くん、相澤先生を連れて入り口のところへ急いで」

 

 「なっ……何言ってんだよ緑谷!!」

 

 「そうよ……みんなで逃げましょ「誰か一人でも敵の相手をして時間稼ぎをしないといけない。なら僕が一番適任だ」……緑谷ちゃん」 

 

 出久は後ろを見ずに二人に声をかけた。二人は出久も一緒に逃げようと説得しようとするが、出久の正論の返しに何も言えなくなってしまう。二人が恐怖しながらも出久に声をかけてくれていることが出久はとても嬉しく思えた。

 

 「大丈夫、梅雨ちゃんたちが逃げ切ったら僕も逃げるから」

 

 出久の笑顔に何かを感じたのだろう。蛙吹と峰田は相澤を連れてその場を離れてUSJの入り口に向かっていく。出久はそれを見て、もう一度死柄木に顔を向けた。

 

 「結局君が残るのか。全員死ぬんだから早いか遅いかなのに」

 

 「そんなこと、僕がさせない」

 

 そう言って出久は拳を握るだけだった構えから右足を一歩前に出し、左手を握った状態で胸のあたりに、右手を手刀に変えて前に出した構えに変えた。するとその瞬間、出久の首に下げてあったネックレスに付いていた水晶が『金色』に輝き始め、その光は出久を包んでいく。

 

 「いくぞ、敵!!」

 

 「やれ、脳無」

 

 出久は身体測定の時以上の光を全身に纏い、少し深めの呼吸をして一気に手だらけの方に駆け出した。

 すかさず手だらけは巨漢の敵、脳無に指示を出す。

 

 すると脳無は手だらけを守るようにいずくに立ち塞がり、出久に拳を繰り出した。

 出久はその拳に合わせるように自身も右の拳を合わせる。

 

 脳無と出久の拳が衝突した瞬間に、おおよそ人の拳同士がぶつかり合うような音ではない音と衝撃波が周囲に炸裂する。

 少しの間拮抗していたが、徐々に出久の拳が脳無の拳を押し返すように振り抜かれる。そのおかげで脳無の体勢が崩れ、できた隙を見逃さず出久は左の拳で脳無の体に一撃を叩き込んだ。

 

 パワーでは勝てたことから出久は左腕で放った一撃で多少のダメージを与えられると思っていたが……

 

 (効いてない…!?数%とはいえ、巨人の力を使って本気で殴ったんだぞ?)

 

 叩き込んだ左の拳にゴムを叩くような感触を感じただけで、脳無自体はその一撃に応えたようなそぶりは見せなかった。

 出久は反射で地面を蹴り距離を取る。脳無は出久の攻撃が効いた様子はなくけろりとしていた。

 出久は本気で殴ったのに効いた様子のない脳無に動揺してしまう。

 

 「あはは、なんで効いてないんだって顔してるな」

 

 死柄木は動揺している出久のを見て嘲笑う。

 

 「脳無はオールマイと対策で作られた改造人間なんだよ。オールマイトの攻撃にも耐えられるように体を改造している、ショック吸収の個性を持っているんだ、学生の攻撃なんかじゃびくともしないぜ?」

 

 死柄木は自分自身の自慢のおもちゃを紹介するように楽しそうに脳無の解説を始める、その表情は脳無が負けることなんて微塵も考えてないような表情で余裕が見える。

 

 「んじゃ、脳無の説明も終わったし…殺せよ脳無」

 

 死柄木の言葉に脳無は反応し、いずくのすぐそばに一瞬で移動するとその拳を振るう。慌てて出久は両腕をクロスして防御を行うが上手く踏ん張れなかったのかそのまま地面を削るような勢いで数メートル吹き飛ばされてしまう。

 

 出久吹き飛ばされながらも体制を立て直して、また向かってきた脳無の拳をいなすと、脳無の顔面に対して全力の蹴りをぶつける。

 普通の人間なら首が吹き飛んでもいいほどの威力で蹴られた衝撃は流石にショック吸収という個性でも吸収しきれなかったのか、脳無は少しバランスを崩す。その隙に一瞬でいずくは距離をとって脳無に向かってハンドスラッシュを放つ。

 

 オールマイト対策の脳無であることとショック吸収の個性から肉弾戦は不利と考えた出久は、エネルギーの攻撃で戦うことを考えたのだ。

 ハンドスラッシュは脳無に命中。流石にエネルギーでの攻撃は想定されていなかったのか脳無がダメージを受けて少し苦しそうにするそぶりを見せる。

 

 その反応を見逃さなかった出久はそのままハンドスラッシュを連射してダメージの蓄積を狙って行こうとしたが、すぐに脳無は交わしてまた肉弾戦になる。出久も脳無の拳に対して合わせるように拳を振るい、脳無の拳を相殺したり、受け流したりしては隙を作り、距離を取るタイミングでハンドスラッシュを放つ。

 

 しかし、出久の考えを読んでいるのか脳無も多少の被弾はあるものの、ほとんどはその光弾を躱しまた接近する。

 出久もパワーでは負けていないが、如何せん脳無のショック吸収のせいでほとんど打撃ではダメージを与えられず、ジリジリと体力が削られている現状はどんどん出久が不利になる一方である。このままでは埒が明かないと出久は一気に決めてしまうために離れた瞬間に左腕からハンドスラッシュとはちがう光線を放ち脳無に命中させる。

 

 光線が命中した脳無は体が麻痺したように光線が命中した状態のまま体勢が固定された。

 光線の名前は「ウルトラフィックス」。光の巨人が使用した技の一つで、相手の動きを止めることができる麻痺光線である。

 

 動きが止まったことでできた大きな隙を見逃さず、出久は残っていた光を両腕に全て集めるとゼペリオン光線を放つために予備動作に入る。

 

 「ゼペリオン光線!!」

 

 予備動作を終わらせて、出久が放ったゼペリオン光線は脳無に命中。

 脳無は苦しむような動きを見せた後にそのまま背中から倒れ込んだ。 

 

 出久は思っていたより体力を消耗していたのか、ふらつき膝をつきそうになりながらも脳無から視線を外し、今度は死柄木の相手するために視線をそちらに向ける。

 出久の視線の先にいる死柄木は、脳無が倒されたというのに余裕がある表情を崩しておらず、ニヤニヤと出久を嗤っていた。

 

 (なんで仲間がやられたのに余裕そうなんだ?)

 

 出久はその姿に不気味に思いながらも死柄木に向かおうとした瞬間、ゾワリとした感覚が全身を駆け巡った。

 反射的に脳無の方へ振り返って防御の姿勢をとったのは長年の努力と第六感によるものかはわからない。

 

 出久は防御の姿勢をとっていたのにも関わらずとんでもない衝撃で吹き飛ばされた。

 勢いを殺そうと吹き飛ばされる中で姿勢を動かし、なんとか足から地面に着地した出久は殴られた方を見る。すると先ほどゼペリオン光線で倒したはずの脳無がけろりとした佇まいで拳を振り切っていた。

 

 

 「なんで…(なんの個性なんだ?身体的な強化じゃないのか?)」

 

 「いい顔するなぁ、君。確かに君の光線なんかにはこっちも驚いたけど、脳無はそんなんじゃやられないぜぇ!」

 

 全くダメージが入っていない様子の脳無に思わず動揺してしまう出久。 

 死柄木はにやにやと嫌な笑みを浮かべるとお大袈裟な身振りをしながら嗤う。

 

 「こいつはもう一つ、『超回復』の個性を持っている特別性だ!いくら君がオールマイト並のパワーや光線があったりしても…無尽蔵の体力があるわけじゃないだろう?」

 

 死柄木の言葉が終わると同時に、脳無が距離を詰めてくる。慌てて出久も交戦するが、体力も消耗しており、光も咄嗟のことで十分に引き出せていなかったのかパワーは負けてしまっていて、とんでもないスピードの脳無の拳を防ぐのが精一杯のようだ。

 

 「くっそ…(どうにかして体制を立て直さないと)」

 

 迫り来る拳の嵐を防ぎ、受け流し、時には躱しながらどうにか体制を立て直そうと思考を加速させる出久。しかし、思考に比重を置きすぎたせいなのか、足の位置を変えた瞬間に少し大きめの石を踏んでしまって少し体制が崩れてしまう。

 

 「!まず…」

 

 その体制の崩れを脳無が見逃すはずはなく、出久は顔面に思いっきり拳を持ってしまう。

 ドゴンという大きな音とともに、出久はとんでもないスピードで回転しながら吹き飛んでいき、広場の中心にあった噴水に激突する。

 

 

 「いつつ…(どうするどうするどうする…)」

 

 「へえ、まだ動けるんだ?タフだねぇ君」

 

 出久はずぶ濡れになりながら立ち上がると脳無の方を見ながら思考を巡らせる。

 

 (光線が効いたようなそぶりがあったのに回復されるとなると…回復しきれない一撃で再起不能にするか、さっきから死柄木って呼ばれてた敵の指示を聞いている感じもあるし指示が聞こえないところまで吹き飛ばすしかない。でも僕にできるのか?オールマイトとか他の先生の応援が来るまで、なんとか持ち堪えるだけでも…)

 

 出久は周囲の状況を確認するために周りを見渡すと峰田と蛙水は相澤のを運び無事に入り口付近にいた他の生徒と合流して出久の方を心配そうに見ている。入り口近くにいる他のクラスメイトも同様に出久の状況を心配そうに見ている。そんなみんなの表情をみて、少し弱気になっていた自分に叱責しながら考え方を出久は変える。

 

 (弱気になるな!あの敵を現状倒せる可能性があるのは僕だ、なら僕がやらなくてどうするんだ!!)

 

 出久の思いに応えるように首から下げていた水晶からも光が溢れ出す。

 脳無と戦う前に引き出した以上の光が出久の体を包み、そこからさらに少し変化が始まる。

 普段であれば金色の光一色であったのが赤色、青色の光が入り混じった三色の光に変化してきているのだ。

 

 出久はクラスメイトには水晶からエネルギーを引き出して戦うと説明しているが、本質は異世界の光の巨人の力。確かに身体能力の強化の上限を上げるのに体を鍛えることは重要である。

 しかし、これは出久も知らないことであるが、託された水晶の引き出した力も使えば使うほど出久の体に馴染み、やれることが増えていく。

 徐々に水晶に秘められていた力は出久の中に馴染むことで最終的には水晶なしでその力を扱うことができるのだ。

 

 今回の戦闘で自身の鍛錬でもなかなか使用しない全身を強化した状態での、ヒーロー科でももう少し先になるはずだった悪意や殺気へ晒されながらの実戦。

 その経験が出久をもう一つ上のステージへ上がらせたのだ。

 

 三色の光を纏い、構えながら先ほど以上の闘志を瞳に宿して出久は脳無に向き直る。

 

 

 「なんだまだやる気なの?死ぬだけなのに」

 

 まだ戦うつもりの出久を見ながら、死柄木は嘲笑しながら見ている。

 脳無が負けることなど微塵も考えてない様子である。

 

 そんな死柄木に一瞬目線を出久は向けるが、すぐに脳無へ目線を戻し脳無に向かって飛び込んだ。

 

 

 「仕切り直しだ!」

 

 そう叫んで、出久は光を纏った拳を振り切った。

 

 

 

 

 

 

 

 




仕事の研修が終わって余裕ができたら再開しようと思っていたら、最終的に何年も時間が空いてしまいました。なんならヒロアカ終わってますし、まあ不定期で更新していくつもりですので、気が向いたら見てください。
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