光の巨人を目指す   作:目指せ焼豚

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覚醒の兆し

 あの後、オールマイとはヘドロヴィランをペットボトルに詰めて拘束し出久に怪我がないか確認してきた。

 出久は尊敬しているヒーローを目の前にして少し慌てたものの、握手とサインを求めた。ちゃっかりしている。

 

 「おっといけない、すまないがこいつを警察に受け渡してこないといけないのでね!」

 

 「あっはい!あの…いや、なんでもないです。これからも頑張ってください!」

 

 「HAHAHAご声援ありがとう!!トゥアッ!!!」

 

 そう言って飛んでいったオールマイトを見ながら、出久は書いてもらったサインを見る。

 

 (『無個性でもヒーローになれますか』か……なんで答えなんてわかってるはずなのに、聞こうとしたのかな僕……)

 

 そう、最後に出久は聞こうとしたのだ。答えなんて反対されるなんて分かりきってるのに。

 

 「無責任になれると言ってくれるほど、現実は甘くないなんて何度も確認してるのにな」

 

 出久は鍛えるさなかヒーロー分析のついでに現場に行き何回か質問をしたことがある。

 『無個性でも、ヒーローはできますか?』と。

 

 だが結果は言葉は違えど言っている意味は同じ。

 

 『無個性ではヒーローになれない』

 

 最初は少し凹んだが、そんな言葉を言われて揺らぐほどの夢を持っているわけでもない。

 すぐに切り替えてサインをカバンにしまって商店街に向かった。

 

 

 ♢♢♢

 

 

 商店街に向かうと何やら騒がしい。

 何かあったのかと思い騒がしい方に向かっていく。

 

 騒がしい場所に行くと他が集まっていて、中心にはヒーローがいるのが見えた。

 そして何より、つい()()()()()流体のものに取り込まれそうになっている幼馴染が……爆豪がもがいている事に驚いた。

 

 「かっちゃん……!?」

 

 現場を詳しく見てみると『混沌』というのがよく似合う惨状になっていた。

 取り込まれまいともがいて個性を発動させ周りを爆破して、爆風で窓ガラスを粉々に。地面のアスファルトや道路に穴を開けて周りを破壊していく。

 中心にいるのはデビューしてから華々しく活躍しているMt.レディや新進気鋭のシンリンカムイ、デステゴロなどのそこそこ名の知れたヒーロー達だが、流動体であるヘドロや爆豪の個性である「爆破」に有効的に対応できる個性を持っているヒーローはいなかった。

 

 出久は見ているだけどのヒーロー達の動きを見て首を傾げる。確かに有効な個性はいないが、流動体を固めるだけなら商店街にでもありそうな凝固剤の代わりをヘドロヴィランにでもかけることで動きを阻害など結構やり用はあるはずなのだ。例を挙げればセメントや簡易トイレの凝固剤などである。

 

 出久がそう考えながら見ていると声が聞こえた。

 

 「駄目だっ、誰か有利な個性のヒーローが来るまで待つしかねえ!!」

 

 「何、すぐに誰か来るさ!!あの子には悪いが、それまで耐えてもらおう!!」 

 

 ヒーロー達の待機とも取れる言葉が聞こえた。

 確かに現役のヒーローとしての判断としては最善だ。だが、その言葉が出久の琴線に触れた、そして何よりこっちを見ている爆豪の顔を見た出久に、助ける以外の選択肢なんてなかった。

 出久は完全に見ているだけとなったヒーロー達を突き飛ばしながら走り出す。

 

 

 後ろのあたりから何か聞こえるが、今の出久は気にしなかった。

 出久は自分のリュックをヘドロの目の当たりに投げ込んでさらに脚に力を込めて走り出しーー

 

 その瞬間、出久の首から出ていたネックレスの水晶から金色の光が溢れ出した。

 出久はその光があの時に夢に見たものと同じものだと感覚的に感じると、それを足に集中させるようなイメージをする。

 

 そのイメージをした直後、出久の足にブースターでも着いたかのようなスピードで、リュックが目に当たって拘束が緩くなっていた爆豪を掻っ攫うように奪っていく。

 

 

 奪った瞬間にブレーキをかけた出久。

 だが光の力でブーストされた足の勢いが止まったのは、予定の場所より数十メートルも遠い場所。

 出久は自分足がどうなってるか確認するがどこも怪我をしていない。だが、すぐにそのことを頭の隅に追いやった。事がまだ済んでいないのだ。

 

 「テメェ、何をしやがる……!!」 

 

 ヘドロヴィランは怒りながら爆豪を奪った出久に向かってきた。

 出久は掻っ攫った爆豪をゆっくりと地面に下ろしてヘドロヴィランの方を振り向き、直感に任せるままに両腕を腰の位置まで引き前方で交差させた。

 先ほどまで両足に集まっていた光は今度は両腕に収束していき、大きく左右に腕を広げていくことで輝きを増して光は白くなっていく。そして腕をL字に組んだことで技が放たれる。

 

 出久はこの動きを知っている、無意識的に技名を叫んでいた。

 夢に見た光の巨人が使っていた、L字に組んで放つ白い超高熱光線ーー

 

 

 ゼペリオン光線!!!

 

 

 少し地面を削りながら放ったその白い光線は、ヘドロヴィランに突き刺さり絶大な効果をもたらした。

 

 「グギャアアアアアアア!!!!??」

 

 阿鼻叫喚と言わんばかりの絶叫が周囲に木霊する、全身にエネルギーが伝導していき全身が爆発しようとしているかのような感覚を覚えながらも限界を迎えたのかヴィランは倒れこむ。

 そして数秒間の沈黙の後、出久は終わったと思いその場にへたり込んだ。

 

 「ふぅ……終わった〜」

 

 気の抜けた声を出しながら息を吐く出久。

 そこに声をかける者がいた、爆豪である。

 

 「デク……何で助けた…」

 

 小さく、聞き取りづらい声であったが確かにそう聞いてきた爆豪、その声色に色々な感情が混じっているようにも思えた。出久は爆豪の方を向きながら答えた。

 

 「確かに、君にはいろいろ嫌なことされたけど…あの時の顔を見たら、体が勝手に動いたんだよ。それに……

 

 

君が、助けを求める顔をしてたから

 

 

                               それ以外に理由は、ないよ」

 

 

 「そう、か……」

 

 理由を聞いて、爆豪は何か考えるような仕草をして黙り込んだ。

 出久はへたり込んだ状態から、ヘドロヴィランを捕縛し終わったヒーロー達がこっちに寄ってくるのを見て説教を覚悟した。だが今回した事に後悔はない、出久はいつの間に金色の光を発しなくなっていた水晶を待ち、晴れ始めている空に掲げた。

 

 

 

 「僕も、あなた達のように…できましたか?」

 

 

 出久に返事をするように、水晶は今度は白く光った。

 まるでその光は、緑谷出久が『ヒーロー』としての物語の1ページ目を祝福しているよう。

 

 

 兆しを見せた、「光の巨人を目指す」者の覚醒は、近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こんなんでいいのか不安な作者。

原作を持たない二次創作の作品は初なので、こんな感じでいいのか不安でござる( ・∇・)
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