あとは結果待ち、なので久々に書けたぞー……覚えている人いないと思うけどね
マスコミ(ヴィラン)の侵入があった翌日の午後、本日のヒーロー基礎学の内容について話し始めた。
「今日のヒーロー基礎学はオールマイトに俺ともう一人も含めての三人体制で教える事になった。授業内容は人命救助、即ちレスキュー訓練。今回は色々と場所が制限されるだろう。ゆえにコスチュームは各々の判断で着るか考える様に」
相澤の言葉にクラスのテンションも上がっていく。
人を助けるための授業。それはある種ヒーローの本懐であるものでテンションが上がっていくのも当然といえば当然なのだが。
相澤はコスチュームを出すと訓練場は少し遠い場所にあるのでバスで移動するため、すぐに教室から出ていった。
出久はコスチュームは着る方……というか全員が着る方である。コスチュームは着る方が救助の際に瓦礫などで肌を切ったりする可能性があるので、自分の身を守るためにもコスチュームは有効なものである。出久はさっさとコスチュームを着て、集合場所にきていたバスに移動した。
「くそ、こう言うタイプだったか……」
数分後、出発したバス内で副委員長に就任した飯田は凹んでいた。先ほどバスの前に集合した出久とクラスメイトは飯田と八百万の先導の元バスの中に出席番号の順に入っていったのだ、バスの中は市内とかで走っているタイプだったので、意味がなかった。出久は苦笑いしながら飯田をフォローする。
「意味なかったけど……いい練習にはなったと思うよ飯田くん」
そう言いながらなんとか出久は飯田のテンションを持ち直させる。
しばらく雑談をしていると、出久は蛙吹に話しかけられた。
「緑谷ちゃん、質問いいかしら?」
「ん?な、何かな蛙吹さん」
「あなたの個性ってどう言う個性なの?身体強化の個性に見えたけど、緑谷ちゃんはビームとか、バリアを張っていたじゃない?」
「え…あーうーん……」
蛙吹の質問に出久は返答に困ってしまう。
出久の『光』は異世界の光の巨人の力を首にかけている水晶のネックレスから引き出し自分が扱える程度で身体能力を強化したり、光線を放ったりするのもので、そもそもこれは個性ではないのだ。クラスメイトのように体の中にある個性因子が活性化し、「個性」になったものでもない。だから入学するにあたって個性届を変更する際もかなり内容に悩まされていた。
「一応、個性の名前は『ティガ』って名前で届出出してるんだ」
「『ティガ』?」
あまり効かない単語に蛙吹を含めた大半のクラスメイトは首をかしげる。
そんな中、その単語の答えを話したものがいた。委員長の八百万である。
「確か、マレー語、インドネシア語で数字の「3」という意味の単語ですね…」
「うん、そう。その意味であってるよ」
「でも、どうしてその名前にしたんだ?」
八百万の言葉に出久が肯定すると、今度は切島がそう聞いてきた。
「まあ、色々理由はあるんだけど…僕の原点みたいなものかな」
「原点?」
出久の答えに気になったのか切島が理由を聞こうとするが、すぐに出久が話を続けた。
「まあ、それは今は関係ないから今度話すよ。僕の個性は身体能力を強化するだけじゃなくて水晶から引き出したエネルギーの放出も出来るよ。ただ、自分の許容限界で強化や光線の強さも変わってくるんだけど……」
「今の最大の限界は?」
「うーん……はっきりわかんないし感覚なんだけど、今の許容限界は大体3%ぐらいかな」
「「3%!?」」
出久の答えにクラスメイトは思わず叫ぶ。
あまり表情を変えない推薦入学者の轟でさえ、身を見開いて出久を見ている。
短い高校生活でもクラスメイトに印象を残し目立っている出久。その地味目なおとなしい雰囲気に反して入学初日の個性把握テストで見せたとんでもない身体能力や、この前のヒーロー基礎学で爆豪と戦いみせた戦闘能力や光線。まさに”ヒーロー”と呼ぶべき個性が目立たない方がおかしい、そんな出久の個性はまだまだ許容上限は小さいと言うことはまだまだ未発達な域であると言うこと。
「お前、それ100%使えるようになったら……」
「うーん、予想だと100%で個性なんか使ったらとんでもないレベルの被害が出そうだから使う機会はないと思うよ」
出久は夢に見た光の巨人と怪獣の戦いを思い出しながらそう言う。
光の巨人と怪獣の戦いはこの個性社会のヴィランとヒーローの戦いのスケールの何倍もある。怪獣と巨人が都市部で戦おうものならビルは倒壊するわ、地面は抉れるわの大騒ぎ……そんな力をフルに使おうものなら出久が走るだけで被害がとんでもないことになる。
そっから出久がクラスメイトの質問に答え、そっから約二十分。バスが巨大なドームの前に到着した。
♢♢♢
全員がバスから降り、相澤の引率の元そのドームの中に入っていく。
中には様々な施設があり、そのすべての施設の規模が大きい。有名な遊園地レベルだ。その中に凄さにクラスメイトが叫ぶ。
「「USJかよ!!?」」
「水難事故、土砂災害、火事、etc……此処はあらゆる災害の演習を可能にした僕が作ったこの場所――嘘の災害や事故ルーム――略して"USJ"!!」
「「本当にUSJだった……!?」」
少し権利関係の問題がないか考えたくなる略称だが、すぐに一人のヒーローが声をかけていた。
「待ってましたよ〜みなさん!」
そのヒーローは宇宙服のような戦闘服を来ており、今回の授業に参加してくれる教師でもあるスペースヒーロー 13号だった。戦闘服のせいで素顔は見えないが、災害救助などの現場で活躍しているヒーローである。
13号の登場にまたクラスメイトたちはテンションが上がる。だが、すぐにその雰囲気は引き締まったものとなった。
13号が言葉を綴った内容とは、個性は人を簡単に殺せてしまうものである力だということ、そしてその力をこの授業では「助ける」ために使うことを学んでほしいと言うことだった。
出久はその話を聞いて無意識的にネックレスの水晶を握っていた。水晶から引き出せている力はまだまだ小さいが、それでも人間サイズで使うとかなりの力で、これを相手に殺すつもりで使えば簡単に殺せてしまうものだ。
今回の13号の話を聞いて、そのことを改めて自覚する。
他のクラスメイトも話を聞いて、自身の個性のことについて考える仕草をしながらもその瞳にそれぞれの決意を宿す。
相澤も13号も、その生徒たちの顔を見て早速授業を始めようとした瞬間……
「っ……先生!何か来ます!!」
「やっぱりきたか……13号!」
「はい!みなさん、急いでここを出ますよ、緊急事態です!」
出久はあのヴィランが雄英に侵入してきた時に感じた嫌な感覚が背中を走り、すぐに感覚をたどって噴水広場の方を見ながら警戒を始める。
教師二人は出久の言葉を聞いてもともと予想していたかのように出久が警戒を始めた瞬間、避難することをクラスメイト達に促した。
だが、すでに遅かったようだ。
「緑谷、お前も避難しろ。ここからは教師の仕事だ。お前はクラスメイトと避難したら飯田と一緒に校舎の教員と連絡を……」
「あれ……オールマイトいないじゃん…じゃあ、前座で子供達殺そうか」
黒い霧が噴水の前に集まると、空間が歪みあの騒ぎで職員室にいた二人のヴィランと大勢のチンピラのような見た目をした人たちが現れる。
出久は自分もすぐ動けるようにしながら現れたチンピラを観察して相澤に報告する。
「相澤先生!近接異形型と遠距離型の個性が見た範囲で多いです!」
「報告ご苦労。そこまで別れば十分だ……移動しろ緑谷」
「はい!」
出久は相澤の言葉に答えてすぐに13号とクラスメイトと共に避難を開始した。が……
「逃がしませんよ」
瞬時に移動し、出口への道を封鎖するかのように立ち塞がる霧のような姿をしているヴィラン、チンピラヴィランをここに連れてくる役目も担っているヴィランは何処か紳士的な口調をしながらも明確な殺意と悪意を向けてくる。
「はじめまして生徒の皆様方。我々はヴィラン連合。この度、ヒーローの巣窟であり未来のヒーロー候補生の方々が多くいる雄英高校へとお邪魔致しましたのは他でもない。我々の目的、それは平和の象徴と謳われております№1ヒーローであるオールマイトに息絶えて頂く為でございます」
紳士的ながらもその言葉には殺気が含まれおり、そしてその内容を聞いた出久たちは固まった。オールマイトを殺すためだけに他のプロヒーローが多くいる雄英に来たというのか。だが、ヴィランの瞳には嘘があるようには思えない。つまり「本気」ということ。
そしてその直後、出久たちの方へ黒い霧が伸びてきた。
「生徒の皆様が金の卵という事も承知しておりますので……散らして嬲り殺しにさせていただきます」
出久は自身が浮かんでいくような感覚になりながら咄嗟に近くにいた人のコスチュームを掴み霧の外に放り出す、すぐに霧は晴れてその感覚はすぐになくなった。
♢♢♢
出久の視界に移るのは先ほどの場所ではなく、真下にある大きい湖向かって落下している途中だった。
「嘘だろ!?」
そう言いながらも出久は冷静に光を引き出し足に収束させて訓練のために用意されていたであろう船のところまで飛んでいく。
「よかった緑谷ちゃん、無事だったのね」
「うおおおおおお緑谷ああああ!」
船に着地するとそこには同じく船に避難してきたであろう二人、蛙吹、峰田がいた。
「蛙吹さん、峰田君も……無事だったんだね!」
取り敢えず、人数は少なくともクラスメイトと合流をすることができて安心する三人。だが、大変な事態になってしまったとため息をついてしまう。
「大変なことになっちゃったわね。オールマイトを殺す目的で雄英にヴィランが乗り込んでくるなんて……」
「うん。しかもあの言葉に嘘を言ってる感じもしなかったし、オールマイトへの対策も用意してるんだと思う」
「で、でもさオールマイトだぜ!?天下無敵のNo. 1ヒーローだぜ!?今までだってオールマイト相手を考えてたヴィランを倒してきたオールマイトが負ける訳ねぇって!!」
不安になる心を無理矢理奮い立たせ気持ちを隠そうとする峰田、そんな様子を察して言葉にはしないが梅雨と出久の二人はヴィランが明確な策がある事とそれも向こうが知っている筈であり、確実な対策があるからこそ来ているのだと改めて考える。
「とにかく、まずはここを切り抜けないと」
出久すぐに行動しようとそう言って船の周りを見る。そこには水中や水に相性の良い個性を持ったヴィランがたくさん水影から顔を出していた。この場所は完全なホームグラウンドとなっているのだろう。もしかしたら他の場所に飛ばされているクラスメイト達の場所にもそれぞれの場所に相性の良い個性を持ったヴィランがいるのかもしれない。
(急いで他のみんなとも合流しないと)
「とりあえず、僕がヴィランたちの気を引くから蛙吹さんは峰田君と向こう岸まで飛べる?」
出久はそういうとすぐに光を引き出して自身の足にエネルギーを纏う。
「え、ええ私の個性で向こう岸には行けるけど、緑谷ちゃんは大丈夫なの?」
「僕はさっきみたいに飛べるから大丈夫」
「で、でもよう…学校の先生たちが助けに来るまでここで隠れとけば……」
峰田の提案に出久は首を振って答える。
「オールマイト対策がある可能性が高いのなら、学校にいるプロヒーローとかでも厳しい秘密兵器が相手にはあるはずだよ。なら今僕たちがするべきことは早くみんなと合流してこここから避難し、先生方の負担を少しでも減らすことだ……それに、こんなところで逃げてちゃ、ヒーローになんてなれないよ」
そう言って出久は蛙吹にすぐ移動することを頼むと一気に跳躍し、上空に滞空してさらに光を引き出して右手にエネルギーを集め、引き絞る。
蛙吹が峰田を抱えて向こう岸に飛ぶ体制になったのを確認し、ヴィラン達の注意を引くために大きな声を発して挑発する。
「こっちだ!くそヴィラン共!!」
ヴィラン達が自分に注目したのを認識して、蛙吹が飛んだ瞬間に右手を振り抜いた。
右手に集まっていたエネルギーは右手が振り抜かれたのと同時に大きな塊のようになって湖の中へ飛んでいく。
飛んでいったエネルギーの塊は、水面に触れた瞬間に湖の底が見えるほどの衝撃を作り出し、衝撃が治るとすぐに湖の水が元に戻ろうとする動きで水面に渦が発生する。
水の中にいたヴィラン達はその渦に巻き込まれて身動きが取れなくなっていた。すると出久と別の方向から紫色のボールのような物が飛んできていた。その方向を見ると、蛙吹の抱えれて向こう岸に飛んでいる途中の峰田が自身の個性であるもぎもぎを投げ込んでいるのが目に映った。
「オイラだってぇ…オイラだって!」
そう叫びながら必死にモギモギを投げる峰田。
もぎもぎでくっついてしまったヴィラン達はただせさえ渦に飲まれて上手く動けない中もぎもぎで身動きが完全に取れなくなってしまいそのまま渦に飲まれて行った。
「よし……!」
出久はヴィラン達が完全に渦に飲み込まれて見えなくなるまで見届けて、向こう岸に着いた蛙吹と峰田の方へ飛んでいく。
「二人とも怪我は!?」
「私は平気よ。峰田ちゃんが少し個性の使いすぎて頭から出血したくらい」
「へへ…どうだ緑谷。オイラも役に立っただろ?」
出久の言葉に蛙吹はそう答え、峰田を見る。
峰田は個性の使いすぎで頭から出血しており少し痛そうにしているものの、ドヤ顔をしながら出久と蛙吹に向けてサムズアップした。その顔にはあの船で慌てていた時のような恐怖心もあったが、何よりも勇気が見ることができた。
「!…うん、カッコよかった!」
「カッコよかったわよ、峰田ちゃん」
峰田のサムズアップに、出久と蛙吹は笑って答えた。
そこから峰田の出血が治まるまで警戒をしながらゆっくりと分散させられる前にいたUSJ入り口を目指し向かっていく。そこにさえ行ってしまえば他のクラスメイトや相澤、13号の教員であるプロヒーローと合流しある程度安全であると思ったからだった。
だが、出久には少しだけ懸念点があった。
あの霧のヴィランといた手だらけのヴィランーー黒い霧のヴィランに職員室で『死柄木弔』と呼ばれていたヴィランである。出久が感じた嫌な感覚は、あの手だらけのヴィランから感じていたものだった。
出久自身には感知系の個性はない。
だが、あの職員室や、ヴィラン達がUSJに侵入してきた時感じた感覚は、明らかにヴィランから感じた黒い『負の感情』のようなものを感知していると出久は思っている。実は水難エリアのヴィラン達からも似たような感覚が感じられていた、その何倍もの嫌な感覚をあの死柄木弔から感じられたと言うことは……かなりの脅威である可能性が高のだ。
そして、その懸念は現実のものとなった。
「おいおいこんなものかよ……イレイザーヘッド」
出久達が隠れながら噴水広場の近くまで来て見た光景は、脳がむき出しの巨漢にボロ雑巾のようにされた相澤だった。