Fate/エラい night   作:sannsann

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殺虫シーン有り。


第三話

「な、なんじゃ貴様ら!ここを間桐家と知ってのことか!」

 

「こんにちは間桐さん、すみませんがこちらの家から悪臭と害虫の苦情が止まりません。

 何度か市の方から通知及び警告を行いましたが確認していませんか?」

 

「そんなもの知るか!」

 

 

これは『市役所からの還付金のお手紙、ご自宅に届いていませんか?実は期限が今日までで・・・』などと言った今流行の還付金詐欺では無い。

実際に市が強制措置をすべく行っていたものだ。

 

そしてそんな市からの手紙を一切合切無視してた間桐家の当主である爺は不機嫌だった。

せっかく出来損ないの一応の血縁(ワカメ)に令呪とライダーのサーヴァントを貸してやったのに、即座にサーヴァントとの繋がりを失い、あまつさえ自身は戦うこと無く逃げ帰ってきたのだ。

しかも相手はあの遠坂の娘と聞く。

そして腹正しいことに、そのライダーは桜と共に姿を消している。

そんな風にはらわたが煮えくり返っていた時に、いきなり市の職員の訪問だ。

通告だ?それがどうした、自分は何百年と生きる間桐家の当主だ。

なんならここにいる人間どもを一瞬で皆殺しにだってできる。

爺はそう思っていたし、実際皆殺しにすることは可能ではあった。

 

が、しかし。

いくら魔術師として高みに行き、常人に無い力をつけ、何百年と生きる化け物となろうとも、そんな化け物を倒すのは、いつだって人間の知恵と勇気なのだ。

 

 

「通告を無視と判断します。

 それでは間桐さん、これより強制措置を行います。

 抵抗なさるのであれば、措置が終わるまで取り押さえさせていただきます。

 ・・・では専務の方々お願いします」

 

メガネスーツの男が告げると、その後ろからぞろぞろと全身白い防護服を着たモノ達が間桐家の門をくぐる。

 

「やめい!勝手に入ってくるな!

 ああもういい!貴様ら全員死ぬがよい!」

 

邪法に染まり、外道に落ちようとも魔術師としてある程度は付近に溶け込む努力はしてきた爺であるが、ここに至ってその自ら課したルールを破り、一般人を全員殺し、自身の蟲の餌にしようとした。

 

「な、なんじゃこの白い煙は!?

 ガッ・・・ぐう・・・息が、息が・・・!」

 

しかし相手が悪かった。

爺が相手にしようとしたのは、市役所に所属する対害虫のスペシャリスト達。

市販のバルサ○やキ○チョールなんか目じゃないレベルの必殺(・・)のモノを駆使して戦う者達だったのだ。

 

いくら何百年と生きようが、闇に潜み、逃げ隠れ、基本的に罠にはめたりして、自分より弱いモノしか相手にしてこなかった蟲達。

さらに間桐家では通常のゴッキーや虫が目につくことは無い。

全部、蟲に食べられているからだ。

そしてゴッキーなどが出ないということはどういうことか?

誰もバルサ○やキ○チョールを使わないと言うことだ。

つまり、爺をはじめ、間桐の蟲達は、今日はじめて殺虫剤を味わったのだ。

 

そしてその殺虫剤というのは、人類が、さらにその中でも意味不明なレベルのこだわりを持つ変態技術大国の日本が、ただただひたすらにゴッキー等の害虫を殺すためだけに、しかもどれだけ効率良く殺すのかを何百年にも渡って昇華させ続けてきた技術兵器(殺虫剤)である。

魔術が長い時をかけて進化してきたように、殺虫兵器もまた変化し続けている、ましてやこれらは、今やCMもバンバン流されて全世界の何億という人に、絶対虫殺すモノとして思われている。

ただでさえ特攻効果をもつモノに、その思いが重なればそれはもはや魔法ともいえる効果を持つのだった。

 

 

 

 

 

蟲達は逃げ惑っていた。

しかしどこまで逃げてもその白い煙は追いかけてくる。

蔵の底に逃げようが、天井裏に逃げようが、台所の配水管に逃げようが、どこまでもどこまでも追いかけてくる。

しかも白い服の人間達はまるで自分達を狩ることに慣れているかのように淡々と、油断なく、慣れた手つきで殺してくるのだ。

また1匹、白い煙に飲まれて息ができなくなり死んだ。

外に逃げようにも、この屋敷は全て煙で覆われている。

下水から逃げようとするも、下水道にも白い服の人間達が配置済みであり、既に白い煙も充満している。

 

そうして、蟲達はもだえ苦しみながら息を引き取るか、痙攣して動けなる個体だけとなった。

爺も、自身の体内にいる蟲“以外“すべてが死滅したショックで打ちひしがれ、さらに自身も殺虫剤を吸い込んでしまいろくに動きがとれなくなってしまった。

この自分がたかが人間ごときに・・・といった怒りと悲しみのせいで涙まであふれてくるも、まともに動くことすらできない。

 

「すごい数の虫でしたね・・・それでは掘った穴に入れて焼いて下さい」

 

蟲を全て行動不能にされ、ようやく終わったかのように思えた爺にとっての地獄。

しかし市役所のターンはまだ終わっていなかった。

 

「ぬょ?」

 

集められた蟲達がショベルカーで掘った穴にまとめて入れられ、特殊燃焼剤が撒かれる。

待て、やめろ、そう呟いた爺の言葉は誰にも届かず、大穴の中に火が投げ入れられる。

 

ゴオオオ!と大きな火柱があがる。

まだかろうじて生きていた蟲達も、キイキイと断末魔をあげながら死に絶えていく。

ついでに普通の(・・・)人間には全くの無害で公害もなく、周囲への影響も全くない殺虫成分が煙となって周囲に充満する。

 

煙を思い切り吸い込んだ爺は、自身の体内の蟲が次々と死滅していく激痛でのたうち回った。

1匹1匹の苦しみが、爺の体に降りかかる。

何百何千という体内にいる蟲、それぞれの死に至る苦しみが爺の体内で暴風雨のごとく暴れ回る。

 

「ガッ・・・ギャアアアアア! アアアア!ギャ・・・ッッ!

 ッ!!   ーッ!!!」

 

もはや声にならない痛みと苦しみが延々と体の中で巡り続ける。

 

「貴方にとってはかわいいペットのかもしれません、しかし害虫を飼うことは条例で禁止されております。

 名士とうたわれた貴方がこんなことをしていたなんてショックでした…。

 その心の痛みで、少しでも反省してくだされば幸いです」

 

市役所職員は、まさか物理的な痛みを伴っているとは思いもせず、強制措置(攻撃)を終えた。

 

 

「ハア・・・ハア・・・ガア・・・・・・アグ・・・」

 

「さて、では私どもはこれにて帰所しますね」

 

「グギギ・・・貴様ら覚えておけよ・・・」

 

息も絶え絶えとなる爺。

爺は体内の蟲全てを自らの意思で殺し、自分をただの人間の体に戻すことでなんとか死を免れた。

しかしすぐにでも蟲を呼び出し、延命措置をとらねば本当に死んでしまう。

ただでさえ最近は、蟲による延命術がまともに出来ていないのだ。

こんなことなら孫娘()の心臓に本体の蟲を移す作戦を行っておけばよかったと思うが、後の祭りであった。

とりあえずは、こいつらが帰るまでの我慢だ。

そしてその後すぐにこいつらに、自身が受けた痛みを何倍にもして返してやろう。

殺してくれと懇願しても殺さずに生かし続けてやる。

そんな怨念を胸に市役所職員をにらみ続ける爺であった。

 

 

が、外道にそんなチャンスがあると思うだろうか?

 

 

 

 

いいや、ない。

 

 

 

 

 

「ああ、間桐さん。

 私達はこれで失礼しますが、警察さんからもお話があるそうなので、一応お伝えしておきますね」

 

「ひょ?」

 

 

国家権力のターンはまだ終わっていない。

 

 

 

 

 

その後、爺は体を蟲に戻すこともできず、そのことから延命もできず、ただの人の身としてしか動くことができなかった。

そしてろくな抵抗もできないまま、自身が行った殺人・誘拐・傷害やついでに児童虐待を含めて警察に逮捕された。

市民には名士として知られていたこともあり、そのことは大きく報道された。

良い人と思われいた人物の悪行、その分世間の反発は凄まじかった。

そして、爺は蟲による延命措置が出来ないことから、徐々に体が激しい痛みと共に腐り落ちはじめた。

 

爺は結局、裁判の判決を待つこともなく、そして自身の魔術を誰に引き継げるわけでも無く、また世に知らしめることもできず、魔術師ではなく、凶悪犯罪を犯した外道人間としてのみ世に名を残し、深い絶望と失意の中で腐り落ちながら死んでいった。

 

なお、その報道をとある通い妻が士郎宅のテレビで見て、それはそれはニチャニチャとした顔で笑い、そんな表情を大好きな先輩に見られて少し引かれたりしたとかしなかったとか。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「はなせ!はなせはなせ! 僕が何をしたっていうんだ!」

 

「うっさい!おとなしくせえ!さっき令状読み聞かせたやろが!

 とりあえず傷害罪でパクるっつってるやろが!

 他にも余罪があるんやろうけど、それはとことん署で聞いつめたるからな!

 ええから暴れるな! もうええわ……おい!

 もうワッパかけろ!

 ガキだろうがこんだけ暴れたら関係ないわ!」

 

ワカメは自分の手にかかる鉄の輪を認めることができなかった。

何故だ、何故自分がこんな目にあっているのだ。

傷害?出来の悪い妹やサーヴァントを殴って何になる。

しつけが必要だからやったのだ、しかもあいつらは自分が抱いてやるといったのに拒否をしたのだ。

どいつもこいつも自分を馬鹿にしてくる。

 

ワカメは自分勝手な怒りで頭の中がいっぱいになり、さらに手足をばたつかせて暴れようとした。

しかし、屈強な青い制服を着た人間みたいなゴリラに囲まれ、制圧されてしまう。

ワカメが、自分はとんでもないことをしてしまったと省みることをできたのは、それは彼が少年院に入れられて1ヶ月が経ってからであった。

 

しかし、ワカメがどれだけ後悔をしても、時が戻ることはなかった。

 

その後しばらくが経ち、ワカメが実家に帰ると…そこには何も無くただ空き地が広がり、雑草が生い茂っているだけであった・・・。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「さて衛宮くん、学校にいる私たち以外のマスターなんだけど・・・ほぼ確定よ」

 

「さすが遠坂、素晴らしいな」

 

「・・・何で私の目じゃなくて太ももを見ながら言うの?

 まあとにかく、柳洞寺よ。

 あそこ、結界が張られていたわ・・・おそらくいるのはキャスターのサーヴァント」

 

「柳洞寺って一成の家じゃないか・・・あいつがマスターかどうかはともかく、少なくとも学校の生徒を犠牲にしたりなんかしないはずだぞ!」

 

「そうね、確かに彼はそんなことしないでしょうね・・・。

 けどね衛宮くん、キャスターのサーヴァントに操られていたら話は別よ。

 洗脳されて学校では普通に過ごすように指示されているのかもしれないじゃない」

 

士郎達は、学校にいた第三のマスターのことについて話し合った。

そして士郎が令呪の有無を確認するために、一成を全裸にするという暴挙にでたり、遠坂がソレを見て新たな扉が開きかけたりと紆余曲折を経て、ついにマスターが葛木先生であることが判明したのだ。

 

柳洞寺襲撃の計画をたてるべく、士郎宅へと集まる、士郎・パツキン(セイバー)・遠坂・日焼け男(アーチャー)・桜・ボディコン(ライダー)

 

とりあえず夜は遅いし今日は寝ようという流れになり、どっちが士郎の隣の部屋で寝るか姉妹血みどろの争いの後、就寝となった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

深夜…夢の遠坂の太もも、理想の桜のおっぱい、さらには欲望の塊とも言えるボディコンのお尻・・・一つ屋根の下に美少女・美女といる、それだけで思春期真っ只中である士郎がムフフな夢を見るのは当然の出来事であった。

俗に言う乳・尻・太ももである。

なんか糸っぽいので運ばれている気がするが、今起きて夢を中断するわけにはいかない。

だから例えこれが誘拐されているのかもしれないと思っても、士郎は頑なに起きなかった。

夢や理想や欲望に抱かれて溺死するという幸せな夢を見ていた士郎は、気づけばお寺にいた。

 

けどまた寝た。

 

今いいところなのだ。こんな良い夢は今後二度と見れるとも限らない、だから寝かせてくれ、後生だから。

しかし士郎の願いは通じなかった。

 

「いい加減起きたらどうなの?ボウヤ」

 

士郎がうっすらと目を開けると、目の前に魔女のコスプレをしたえろい人妻がいた。

 

彼は即座に起きた。

夢より現実だ。

 

 

 

「こんばんはボウヤ・・・いいえ、セイバーのマスターと言ったほうがいいかしら」

 

「そういうお前はキャスターのサーヴァントか!」

 

「ご明察、話のわかる子は嫌いじゃないわ」

 

「クッ!こんな風に縛って俺をどうするつもりだ!

 言っておくがちょっとやそっとじゃ口を割らないぞ!

 い、色仕掛けなら別かもしれないがな!」

 

思春期の男の子が人妻にエチエチな妄想をするのはつきものだった。

 

「・・・・・・・・・ふふ、若いっていいわねぇ・・・。

 けどダメ。

 私は宗一郎様のものなんだから」

 

「葛木ィィィィィィィ!!」

 

士郎は尊敬していた教師のことをはじめて憎いと思った。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「凛!士郎がいません!」

 

「ッ!? もしかして桜!?」

 

「ち、違います!私と先輩はまだそこまで・・・」

 

脳内ピンクな姉妹を余所に、パツキンと日焼け男とボディコンは話し合う。

痕跡からしておそらく士郎は柳洞寺に攫われている、敵の目的はわからないが、急いで助けに行かねばならない。

しかしここで一つ問題があった。

 

どういう感知能力を持っているのか、何故か隣のおばちゃんがいるのだ。

 

 

 

「あの神父!どこが色々と考慮してるやねん!

 またや!また思いっきり深夜帯に子供巻き込んどるやんか!」

 

先日教会に突撃した際、おばちゃんと神父は、士郎達が学生ということを考慮して極力深夜帯の抗争はさけるよう話し合っていた。

その矢先にこれである。

 

おばちゃんの怒りは爆発し、遠坂達と共にかわいい士郎奪還作戦に加わったのだった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

パツキン(セイバー)を筆頭に一行は柳洞寺の階段を駆け上がる。

なおおばちゃんは日焼け男(アーチャー)にお姫様抱っこされてご満悦だ。

カメラで撮影までしてもらい、後日主婦の集いでEX○LEっぽい芸能人にお姫様抱っこしてもらったと自慢するのだと息巻いていた。

 

しばらく快調に階段を上っていたパツキンが、突如カカッとバックステップを行った。

 

ヒラリヒラリと舞う金髪の毛先。

 

そこにはすごいロン毛の侍がいた。

 

 

 

 

「ほう、今のをかわすか」

 

「貴様!サーヴァントか!不意打ちとは卑怯な!」

 

「戦いに卑怯も何もあるまいよ、それに我はアサシンのサーヴァント・・・隙を突いて何が悪いか。

 さて、我が名は佐々木小次郎・・・ここを通りたくば我が屍を超えてゆくが良い・・・セイバーよ!」

 

パツキンは騎士ムーブができる気配を感じ取りすぐさま気合を入れた。

 

「望むところ、すぐさま超えてみせようぞ!」

 

パツキンと侍の視線が行き交い、周囲の空気が急激に重く、冷たくなるような変化を起こし・・・かけた。

 

「え!?佐々木小次郎さんなん!?

 あらまあ!ほんまに小次郎さんやん!

 やっぱりイケメンやねえ・・・私武蔵より断然あなたの方が好きなんですよ!

 ちょっとサインくれはります?」

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

挨拶をされたら、挨拶をしかえさなければならない。

それと同様に、サインを求められたら、応じなければならない。

戦国時代から続く日本の風習である。

 

おばちゃんは、達筆でかかれたサインをうれしそうに抱え後ろにさがった。

 

「ありがとう小次郎さん!大切にするわー!

 ごめんなさいね邪魔して、ほな続きどうぞー」

 

 

この状況で続き?

皆心の中で思ったが、誰も言葉には出さなかった。

 

パツキンは、気にしちゃダメ気にしちゃダメ気にしちゃダメとブツブツと長めに呟いたのち、改めて剣を構えた。

 

 

「ふむ・・・興がそれたなセイバーよ。

 だがここで何もせずに通しては私がマスターに怒られてしまうからな」

 

「何が言いたいアサシンよ」

 

「一撃だ。

 私の必殺の一撃を見事乗り越えて見せよセイバー。

 さすればここを通そう」

 

「なんだと・・・」

 

パツキンは幸せの絶頂にいた。

一騎打ち、まさにこれこそ騎士道だ。

ただでさえ最近は自分という騎士がないがしろにされている気がするのだ。

ここでもっと騎士ムーブをしたい、パツキンはそう思った。

 

 

「セイバー、別に無理に受ける必要なんてないわ。

 相手は一人、全員で攻撃すれば被害は最小限に、そして最短で超えられる。

 今は衛宮くんの救出が最優先よ」

 

「凛・・・しかし・・・しかし私は・・・!」

 

遠坂の言うことは最もだった。

確かに遠坂の言うとおりここは数の暴力で突破するのが理想だろう。

だがそこで素直にハイと頷いていては騎士王たる自分の名折れ。

という名の騎士ムーブ。

いいぞ、いいぞこれだ、私が求めていたのはこれだ。

決してズッコケみたいなムーブではないのだ。

今侍相手にかっこいい感じなのだ、もう少し今の状況を悦りたい。

 

パツキンは閃いた・・・自らは一対一を望みつつ、主の命令のため泣く泣く決断する・・・これだ、と。

いい、いいぞ私。これこそが私の憧れた騎士ムーブなのだ。

よし決定・・・苦渋の決断ぽい表情をしよう。

そんな風にパツキンが思っていると。

 

「うわー結局集団リンチかいな。

 パツキンちゃん騎士道精神とかいってたけど全然やん。

 それに比べて小次郎さんはさすがやわぁ・・・武士道精神の方がやっぱりええなあ」

 

「んじゃこら決闘(タイマン)したるわぁ!!

 かかってこんかいごらああああ!!!!」

 

パツキンは一瞬でキレた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

やっぱりおばちゃんを連れてくるんじゃなかった・・・けど連れてこなかったらこなかったで後々面倒くさい・・・。

遠坂はキレたセイバーを見守りつつため息をついた。

どうしてこのおばちゃんはナチュラルに話の腰を折ったり、相手を煽ったりできるのだろうか。

わざとではないのは理解できる、だがそれが逆にたちが悪かった。

 

 

 

その後、ぶち切れたパツキンが士郎もろとも重要文化財である柳洞寺を自身の宝具で焼き払おうとしたが、皆で宥めてなんとか事なきを得た。

 

そしてパツキンと侍の決闘に関しては、人質(士郎)もろとも焼き払おうとしたパツキンにびびったキャスターが出てきたことからおじゃんとなった。

 

 

「ふふふ、交渉のカードとして宝具を切るなんて中々大胆なことをするわね、セイバー」

 

「・・・・・・ふ、ふん。当然だ。

 そして結果的に貴様が釣れた、キャスター」

 

パツキンは宝具をブッパしなかった自分を心底褒めた。

ていうか完全に自分のマスター(士郎)のことを忘れていた。

 

宙に浮くキャスターと遠坂達で舌戦が行われる。

あーでもないこーでもないと議論は続き、お互いに妥協しないせいで堂々巡りとなっていた。

そんなキャスターを見て、おばちゃんは義理の娘の事を思い出していた。

そういえばあの子も素直な子じゃなかった。

本当は良い子で、とてもかわいい子なのだ、それに気づいたのは息子が結婚してから大分と月日が経ってからだったな、とおばちゃんは昔を思い出していた。

 

「あんた見てると息子の嫁のこと思い出すなぁ・・・。

 そんなんやと旦那に嫌われるのになぁ・・・」

 

おばちゃんが呟いた何気ない一言に、新妻(キャスター)は食い付いた。

 

「今の言葉、どういうことかしら?」

 

「え?うち?」

 

おばちゃんは、まさかこの抗争(聖杯戦争)の部外者的な自分に質問が飛んでくるとは思わずびっくりした。

もちろん遠坂達もびっくりしていた。

そんでもってまたおばちゃんかよ・・・と思っていた。

 

「そう、嫌われるって聞こえたけど」

 

「あーそのまんまやで。

 あんたうちの息子の嫁さんそっくりなんや」

 

おばちゃんは、新妻に向けて新婚夫婦ゆえのすれ違いや、お互いを思いすぎたばかりにケンカになったことなどを語った。

新妻は目から鱗が落ちる思いだった。

自分は、拾ってくれたマスター(先生)のことを一番に思っていた。

けどそれは、きちんと言葉にして、相談しないとダメだと理解できたのだ。

どれだけその人のことを思って行動しても、それが本当に相手が望む行動なのか?それをきちんと相談しないままに突き進んではすれ違ってしまう。

見知らぬおばちゃんが語った、彼女の息子とその嫁のエピソードは、新妻の心に深く突き刺さった。

 

「なるほど・・・ちゃんと何かをやる前に相談ですか・・・。

 わかりました。

 はい、怒りっぽいのも我慢します。

 知らなかった・・・ヒステリーって言うんですねこういうのを」

 

おばちゃんと新妻の新婚相談を、遠坂達は寺の縁側に座って眺めていた。

そこに、一向に戻らない新妻(キャスター)を探しにその旦那(先生)がやってきたのだった。

 

 

 

 

「あ、旦那って先生やったんや!

 それやったら話は早い、ちょっと先生!

 先生もこっち来てくれはる?」

 

 

先生(葛木)は何故深夜に衛宮の仮保護者がお寺に来ているのか理解できなかったが、その横にいる自身の新妻の期待のこもった視線を無視することができず、言いたい言葉を飲み込んで渋々おばちゃん達の方へと歩み寄った。

 

 

「あー先生、あなたもちょっと難しく考えすぎですよ。

 もっと気楽にいったほうがいいです。

 ね?奥さんよーく見てあげて?

 ・・・ほら、奥さんも不安がってるでしょ。

 ちゃんとお互い思ったことや、やりたいこと、言葉にせんと・・・伝わりませんよ?

 大丈夫、二人でなら何があってもやっていけますて!」

 

 

 

先生(葛木)はおばちゃんの言っていることをあまり理解できなかったが、妻が不安がっていることだけはわかった。

そうだ、確かに自分も言葉足らずだった・・・。

 

 

おばちゃんは、見つめ合う新妻と先生を見て、もう安心や・・・と優しい笑みを浮かべた。

遠坂やパツキン達は、どうするのこの後・・・と苦笑いを浮かべた。

 

 

 

 

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