Fate/エラい night   作:sannsann

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第四話

その後、新妻(キャスター)陣営との共闘も決まり、士郎達は後顧の憂い無く筋肉男(バーサーカー)陣営を襲撃することとした。

 

 

「はー・・・あのちっちゃい子の家めちゃくちゃ大っきいやん・・・」

 

そして例によっておばちゃんもしっかりついてきている。

曰く『さすがにあんな小さい子は抗争に巻き込んだらあかんやろ・・・』『あの筋肉ムキムキのでっかい外国人さん是非来期にドラフトで取ってもらわんと・・・』だそうだ。

 

 

そしてあっと言う間にロリ(イリヤスフィール)城の目の前に到着だ。

しかし、インターホンどこかいな、そんなおばちゃんの声をかき消す轟音が響き渡る。

 

士郎達は即座にロリが何者かと戦っているのだと判断した。

今自分たちのそばにいるのは、パツキン(セイバー)日焼け男(アーチャー)ボディコン(ライダー)新妻(キャスター)の4人のサーヴァント、ロン毛侍(アサシン)は柳洞寺でお留守番をしているので実質5。

つまり、ロリが従えている筋肉男(バーサーカー)を除けば、残るは青タイツ(ランサー)のみ。

 

士郎達は場内へと駆けだした。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「ふん、我と同じ半神半人というから期待したものの、その程度かギリシャの大英雄よ」

 

なんかやたら態度のデカい偉そうな金ピカの目の前には息を荒くして膝をつく筋肉男とそれに寄り添うロリがいた。

 

 

士郎は混乱の最中にいた。

てっきり筋肉男の相手は青タイツと思っていた。

しかし見てみればそこにはクソ態度のでかい金ピカがいる。

しかも、だ。

あの金ピカは筋肉男のことをギリシャの大英雄と言った・・・そこから連想される英雄は、かの有名なヘラクレス。

確かに彼なら、来期は応援チームの4番を張れるどころか世界大会でも4番を張れるだろう。

いや違う、何を言っているんだ自分は。

4番とか思考が何かに汚染されている、そうじゃない、そうじゃないだろう。

あのヘラクレスだ、12の試練を超えた英雄の中の英雄だ。

その大英雄が片膝をついている?

そもそもあの金ピカは一体何なのだ、サーヴァントは全部で7体のはずだ。

あいつは、あいつは一体何なんだ。

 

士郎は冷や汗が止まらなかった。

あの得たいのしれない偉そうな金ピカは何かヤバい、魔術素人の士郎でもそう感じていた。

 

だから士郎が止められなかったのも仕方がないのだ・・・おばちゃんがその金ピカの目の前に飛び出したことを。

 

 

 

 

「ちょっとあんた幼女に向けて何してんの!

 ていうか銃刀法違反やで!そんな刃物持ってたら!」

 

おばちゃんは許せなかった。

元々このわけのわからない歴史ある族同士の抗争(聖杯戦争)とかいうのが気に入らなかったのだ。

どうせ喧嘩するなら後腐れの無いタイマンをすればいいのだ。

ましてや大の大人が子供を巻き込んでの抗争なんてふざけている。

外国人は外見の割に歳が若く見えるとはいうが、目の前で来期の4番助っ人外国人(予定)な筋肉男の傍にいる(ロリ)はどう見ても未成年のはずだ。

というかこの筋肉男さんが怪我をしたらどうしてくれる、球界の至宝ともいえるスイングが振るえなくなったらどうするつもりなのだ。

 

 

なんか態度がでかい金ピカは、物珍しそうに飛び出してきたおばちゃんを見た。

見たところ魔術師でもないただの一般人のようだが、この状況で出てくるとは、雑種にしては中々肝が据わっていると思えた。

ジュートーホーイハンが何かよくわからないがこちらに怒りを向けているのは確かだろう。

が、彼にとってはどうでもよかった。

 

「分をわきまえろ雑種風情が。

 今は我が、王としてそこの大英雄と話しているのだ、その肝に免じて今すぐ自害すれば話を遮ったことは許してやろう・・・」

 

「はあ?何言うてるんあんた?」

 

「ふん、所詮雑種に言葉は通じぬか」

 

「雑種雑種てうるさいなあ、雑種かわいいやん?

 何があかんの。

 雑種見たことないん?

 あんたどうせ金持ちそうやからチワワとかしか知らんのとちゃう?」

 

「何をわけのわからぬことを・・・」

 

「ちなみにうちは最近ご近所さんの黒柴にはまってるわー」

 

「私はコーギーかなぁ」

 

「遠坂?」

 

「私はドM犬(先輩)かなぁ」

 

「桜!?」

 

 

 

「黙れ雑種共が!!」

 

自分を無視していきなり愛玩動物の話で盛り上がった雑種共に対し、金ピカは憤った。

 

「もう良い、興が冷めた。

 あとは雑種共で最後の晩餐を楽しむと良い」

 

金ピカの背後から全方位に宝具級の武器が射出され、周囲は爆音と共に衝撃と煙が充満する。

金ピカは最早この場がどうでもよくなり、自身の攻撃により雑種共の生死を確認することなく、消えていった。

 

 

 

 

 

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「はえーすっごいなあそれ、プロジェクションマッピングて言うやつ?」

 

 

おばちゃんは自分たちの目の前に広がる薄いピンク色の花弁に似た透明の膜を見ながら呟いた。

 

「アーチャー、ありがとう・・・ていうかあなた本当に弓兵?それ盾よね?」

 

一同は日焼け男の出した七枚の花弁盾により怪我一つ無かった。

もちろん、ロリと筋肉男を含めて。

 

「どうして、私達まで助けたの・・・アーチャー・・・

 ううん、違うわね・・・今ので確信した。

 お兄ちゃん・・・だよね? 貴方。

 それも・・・おそらく未来の」

 

「どういうこと?イリヤスフィール」

 

「凛、貴方はこんなに近くにいたのに何もわからなかったの?

 何も感じなかったの?」

 

「ごめん・・・本当に芸能人かと思ってた・・・」

 

「そう、芸能人ね・・・え?」

 

「え?」

 

「つまり士郎ちゃんは将来芸能人になるってことなん?」

 

「いやそうじゃな「そうなのですか士郎!」ーー・・・くて」

 

 

ぎゃーぎゃーと騒ぎ立てる女達を、士郎・日焼け男・先生とその新妻は冷めた瞳で見ていた。

 

「とりあえず、だ。先程の金ピカは何なのだろうか?

 我が妻(キャスター)よお前は何かわかったか?」

 

「ごめんなさい宗一郎様・・・私も全部は理解できていません。

 ただ、あの金ピカがおそらく元サーバントであり、現実世界に受肉した存在だというのはわかりました。

 そしてあれが打ち出した武器が全て宝具級のモノだということも」

 

「あれが全て宝具級だと!?」

 

日焼け男が驚くのも無理はなかった、何故なら宝具とは大体が英雄一人につき一つだからだ。

英雄とはその生き様や語り継がれた物語や伝説によるモノが多く、それらはほとんどの場合、自身が愛用していた武器や防具などと共に存在する。

それが宝具であり、一人の英雄に対して1個、多くとも数個程度が限度である。

英雄といえど、その身は元・人間であるのだから当然と言えば当然と言える。

その宝具をまるで在庫処分のバーゲンセールのように雨あられと降らしていたあの金ピカは一体なんなのか・・・一同の胸中には言い寄れぬ不安が渦巻いていた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

一同は一旦ロリ城を離れて、士郎宅へと拠点を戻した。

広い士郎宅も、5人のマスターと5人のサーバントが集まればさすがに狭さを感じる。

誰が士郎の隣に座るかを30分言い争った後、ようやく例の謎の金ピカサーバントの対策会議が始められた。

 

 

「とりあえず、あれだけの数の宝具を所持している英雄となると・・・数はしぼられてくるわね」

 

「凛、それに加えて、あの金ピカ自体も観察しましたが、私の観察と直感ではあの金ピカ自体の武力はぶっちゃけてしまえばそこまで強くはありません」

 

「そうなの?」

 

「ええ、そこは相対したバーサーカーが一番理解していると思いますが、どうですか?ヘラクレスよ」

 

「タシカニ、アイツジシン ハ ショボカッタ デース。

 ブッチャケ トビダシテクル ホウグ ガ ツヨイダケ デース」

 

「待ってバーサーカー待って、なんでカタコトで喋ってるの!?

 ていうかそもそもなんで喋ることができてるの!?」

 

「オバチャン ノ シリアイ 二 ライキ ノ ケイヤク シテモライマシター」

 

「来期ってなに!? え!? 私との契約は!?」

 

「ネンボウ 5オクデース」

 

「年俸!?」

 

おばちゃんは、ロリの居ぬ間に、知り合いである球団のスカウトに電話をかけて来シーズンの契約を筋肉男(バーサーカー)に持ちかけていたのだ。

筋肉男も、いい加減ロリに養ってもらうことに居づらさを感じていたこともあり、5億あれば逆にロリを一生養えるとして即座に契約書にサインした。

 

それと同時にサーバント契約が上書きされ、今の彼はバーサーカーのサーバント兼、虎柄チームの来シーズンの助っ人外国人として受肉していた。

 

なお受肉の際、おばちゃんの中で『外国人助っ人のしゃべり方はこうやろ』という雑な、本当に雑な雑念のせいでカタコトになってしまったことは未来永劫誰にも解明されない謎となった。

 

 

その後、おばちゃんの『とりあえず、抗争の審判してる神父さんところ行って聞いてみたら?』というご尤もな意見でまとまり、一同は明日改めて教会を訪ねることとしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

士郎一同は、教会へと到着した。

しかしそこに待ち構えていたのは、神父だけではなかった。

行方をくらませていた青タイツ(ランサー)が、何故かその横にたたずんでいたのだった。

 

「ランサー!?

 どういうことなの綺礼・・・どうしてランサーが貴方の横にいるのかしら?」

 

「凛、私はね・・・ずっと今回の聖杯戦争に違和感を感じていたのだよ。

 この戦争は、何故か普通ではない・・・まるで別世界のように感じていた。

 それがずっと疑問だった、一体何が、誰が、原因かと。

 そして私は一つの疑問を解消することにしたのだよ。

 その特異点を消して、違和感が消えれば良し・・・そうでないのならまたそのときに考えることにしようとね」

 

「一体何を言っているの・・・」

 

「ここで問答をしても意味はない、それならば答え合わせをしようじゃないか・・・。

 

 令呪を持って命ずる、ランサーよ、特異点たる女性・・・マダムを殺せ」

 

「「「「ッ!?」」」」

 

まさかのおばちゃん狙い、士郎達をはじめ、サーバント達もその"まさか"に動き出すタイミングが1テンポ遅れてしまった。

そしてそのタイミングを逃す英雄はいない・・・・・・そんな一瞬の隙を突いた青タイツは、令呪の命令に従い全力で槍を投擲した。

 

「ゲイボルグッ!!!」

 

「「「お、おばちゃーん!」」」

 

青タイツから放たれた槍は、士郎達に囲まれたおばちゃんの心臓を貫くために若干・・・まあ野球でいうカーブのような軌道を描いて進む予定だった。

 

そう・・・予定だったのだ。

 

ッコーン!!!

 

教会にいたほぼ全員の予想を裏切り、青タイツから放たれた槍はそのまままっすぐに進んで地面へと突き刺さった。

いつぞやの時は目に見えるほどに魔力が吹き出ていた槍であるが、今は中身スッカスカのプラスチック棒みたいな雰囲気だった。

 

「な、なぜだ!?なぜゲイボルグが発動しない!?

 セイバーか!またしてもお前か!!」

 

「えっ?あっ!

 いや私は、私は違います!ほんとに違いますから!

 卑怯なことしてないですから!ほんとですから!」

 

まさかのキラーパスにパツキンは必死に否定した。

彼女からしてみれば青タイツが大暴投して地面に槍を投げ入れたようにしか見えなかったからだ。

 

「因果逆転の槍が・・・俺のゲイボルグが・・・」

 

青タイツは呆然とブツブツと呟き、士郎達も何故かの有名なゲイボルグがその能力を発動しなかったのか理解できていなかった。

パツキンのあの焦りようから、たぶん彼女は無関係であることも皆理解していた。

まさか彼らも、おばちゃんが一度見たせいで、全世界の野球民の思いにより、因果律をねじ曲げて心臓に当たる(大暴投がストライク判定になる)というゲイボルグの特性が失われたことを知るよしもなく、さらに新たな事象として因果律はねじ曲がらずにそのまま進む(ボール判定は覆らない)等という書き換えが起こっているとは夢にも思わないだろう。ていうか思いたくもないだろう。

まあそんな中、その野球民たるおばちゃんだけはさも当然のように叫んだ。

 

 

「うるさいなあ、あたらんもんは当たらんのや!

 ボールがストライクなるか? ならんやろ!

 そもそもなんやねん因果律とか!ようわからんわ!

 インローとか打率とかわかりやすく言ってや!

 そもそもあんた、そんなノーコンで凹んでたらあかんやろ!

 藤なんたらよりひどいでそれは!

 まずはコントロール見直すためにファームからやり直してきい!」

 

 

 

 

士郎達は、神父の発した言葉を思い返していた。

『特異点』もしかして、もしかしなくてもこのおばちゃんがそうなのだろうか・・・いやないない・・・さすがにそれはない・・・ないと言いたいがなんか否定できない・・・。

ぶっちゃけ自分の言っていることが半信半疑だった神父すら口を開けてポカンとしており、誰しもが目の前の現実を認められず、教会の中は沈黙が支配するのだった。

 

 

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