リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ EXTRA   作:ロンギヌス

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はいどうも、ロンギヌスです。

今回は『RIDER TIME 仮面ライダーエクシス』、そのチャプター2を更新しました。鈴木健吾こと仮面ライダーエクシスの戦い、その軌跡をどうぞご覧あれ。














EDテーマ:Go! Now! ~Alive A life neo~

説教BGM:パラレルワールド










Chapter2 REINCARNATION

「仮面ライダーって……アンタも……?」

 

「まぁ待て。質問には答えてやるが、まずは邪魔者を片付けるのが先だ」

 

『『グゥッ!?』』

 

窮地に陥っていたエクシスの前に駆けつけた戦士、仮面ライダーディケイド。ライドブッカー・ガンモードの弾丸が連射され、タイラントとダークキバが怯んだ隙にディケイドは腰に装着しているネオディケイドライバーのバックルを展開。ライドブッカーから取り出した1枚のカードを装填する。

 

「変身」

 

≪KAMEN RIDE……GAIM!≫

 

≪オレンジアームズ! 花道・オンステージ!≫

 

ディケイドの頭上に出現したファスナーのような裂け目から、果物のオレンジを彷彿とさせる鎧が降下し、ディケイドの頭に被さった後、ディケイドのボディも青いスーツに変化。オレンジのような鎧が展開されて装甲となり、その中から鎧武者のような仮面が露わになる。変身が完了されると共に、周囲に果汁のようなエフェクトが飛散していく。

 

「……オレンジ?」

 

「フッ」

 

オレンジの装甲を纏った鎧武者の戦士―――“仮面ライダーディケイド鎧武(がいむ)”は手元に出現した刀のような武器―――無双セイバーの刀身をひと撫でしてから、タイラントとダークキバに向かって斬りかかる。すかさず迎撃しようとする2人のライダーだったが、それよりもディケイド鎧武の方が動きが速かった。

 

「遅い……!!」

 

『『グオァ!?』』

 

武器を振り上げた2人の間を擦り抜けるように通過し、2人同時に斬りつけるディケイド鎧武。続けてその左手にはオレンジの櫛形切りのような刀身を持つ刀剣型武器―――大橙丸(だいだいまる)を構えてダークキバのザンバットソードを高く弾き上げ、体勢が崩れたところに無双セイバーとの二刀流による斬撃を炸裂させる。

 

「! おっと」

 

『ガァッ!?』

 

直後、離れた位置でソニックアローを構えているタイラントに気付いたディケイド鎧武は、その場に倒れ込む事で飛んで来る矢を回避。その際、無双セイバーの鍔部分のトリガーを引き、無双セイバーの銃口から数発の弾丸を連射。タイラントの装甲に全弾命中し、怯んだタイラントがその場に膝を突いた。

 

「どうした、その程度か?」

 

『ヌゥ……グォッ!?』

 

ディケイド鎧武の挑発に反応したダークキバが再び襲い掛かろうとするが、そこに横方向から飛んで来たマグニブレードの斬撃が命中。ダークキバが振り向いた先には、マグニブレードを投擲した張本人であるエクシスが立ち上がり、マグニバイザーにカードを装填しようとしていた。

 

「お前の相手は僕だ……!!」

 

≪ADVENT≫

 

『『グギャアゥ!!』』

 

「ヌォッ!?」

 

電子音を合図に、喫茶店の窓ガラスからエクシスの契約モンスターであるマグニレェーヴ、マグニルナールの2体が出現。2体がダークキバを抑えている間に、ディケイド鎧武は無双セイバーの柄部分に大橙丸をドッキングさせてナギナタモードにした後、ネオディケイドライバーにカードを装填する。

 

≪FINAL ATTACK RIDE……GA・GA・GA・GAIM!≫

 

「これで終わりだ……フンッ!!」

 

『!? ヌゥッ!?』

 

ディケイド鎧武が無双セイバー・ナギナタモードから斬撃を飛ばし、それを受けたタイラントの全身がオレンジ状の炎に包まれ拘束される。そこにディケイド鎧武が駆け出し、まるでオレンジをカットするかのように、すれ違い様にタイラントの胴体を一閃した。

 

「ハァァァァァァァァァァッ!!」

 

『グアァァァァァッ!?』

 

ディケイド鎧武の必殺技―――ナギナタ無双スライサーにより、オレンジ状の炎もろとも真っ二つになったタイラントが跡形もなく爆散。ディケイド鎧武は変身が解除され、通常のディケイドの姿に戻った。

 

「はぁっ!!」

 

『『グガァウ!!』』

 

『グ……ゴァッ!?』

 

一方で、エクシスも自身の契約モンスター達と共に、ダークキバを追い詰めていた。エクシスがマグニバイザーでダークキバを殴りつけ、マグニレェーブが磁力でダークキバを吹き飛ばし、その先に先回りしていたマグニルナールがダークキバを力強く蹴り飛ばす。ダークキバが地面を転がる中、エクシスがトドメに移る。

 

≪FINAL VENT≫

 

『グガァァァァァァウッ!!』

 

ファイナルベント発動と共に、マグニレェーヴとマグニルナールが融合し、巨大なマグニウルペースの姿に変化。咆哮を上げるマグニウルペースの手前にエクシスが移動し、その場で跳躍すると同時にマグニウルペースがエクシスの背中に光弾を当て、磁力による反発でエクシスをダークキバ目掛けて一直線に突っ込ませた。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

『グワァァァァァァッ!?』

 

エクシスの必殺技―――グラビティスマッシュが決まり、ダークキバもその場で爆発し消滅。着地したエクシスは一息ついた後、ディケイドの方へと振り返った。

 

「ほぉ、なかなかやるじゃないか」

 

「……アンタには聞きたい事が山ほどある」

 

飄々とした口調のディケイドに対し、共闘したとはいえ警戒心を解く事はしないエクシス。彼からすれば、相手は正体不明の謎の人物なのだから、そうなるのも無理のない事だった。

 

「アンタは一体何者だ。それにここは一体何処なんだ。アンタなら、何か知っているんじゃないのか?」

 

「残念だが、今はまだ答えられないな」

 

「……質問に答えてくれるんじゃなかったのか?」

 

最初に言っていた事と話が違うではないか。声色を変える事でその不満と苛立ちを伝えるエクシスだったが、ディケイドが質問を拒否したのには理由があった。

 

「言っただろう? 邪魔者を片付けるのが先だと。まだ邪魔者がいる」

 

「何……ッ!?」

 

ディケイドがそう告げた直後、2人の周囲の地面から黒い触手のような物体が何本も出現し、2人に向かって一斉に襲い掛かって来たのだ。驚いたエクシスは慌てて回避する中、襲撃を予知していたディケイドは慌てず冷静に攻撃を回避し、自分に当たりそうな触手だけをライドブッカー・ソードモードで切断する。

 

「今度は何だ……!?」

 

「現れたな。この騒ぎの元凶(・・・・・・・)が」

 

『―――ヒ、ヒヒヒ』

 

ライドブッカー・ソードモードの刀身を撫でながらそう告げるディケイドの視線の先で、彼に斬られた触手の切断面から人型のような何か(・・・・・・・・)が現れ、地面にドチャリと音を立てて落下する。全身が触手に覆われているその異形は、頭部の触手の隙間から赤く鋭い目を露わにさせた。

 

『いた……ここにもいたなぁ……死者の亡霊だぁ……ヒヒヒヒヒ』

 

「……ッ!?」

 

全身が触手に覆われたその異形―――“ベルグ変異態”は、エクシスの姿を見て不気味な声で笑い出す。エクシスは寒気のような物を感じたのか、異形の姿を見て思わず体が硬直してしまっていた。

 

「お前だな。死んだ者達の魂を喰って回っているのは」

 

『……んん~? お前、生きているのかぁ……? 何故生きた人間がここにいる……ヒヒ、まぁ良いかぁ♪』

 

ディケイドに対しては不思議そうな様子で首を傾げるベルグ変異態だったが、特に疑問を解決しようという意志はないようで、再び楽しそうに笑いながら、その両腕から複数の触手を伸ばし始めた。

 

『貴重な魂だぁ……お前も、私の生贄となれ……!!』

 

「チッ……来るぞ!!」

 

「うわっ!?」

 

ベルグ変異態が鞭のように振り下ろして来た触手を、ディケイドとエクシスは左右に転がって回避する。しかしその間に、ベルグ変異態はどこからか拳銃型のデバイスを取り出した。

 

『ヒヒヒ、逃がすものかぁ……!!』

 

「!? それは……!!」

 

≪KAMEN RIDE……POSEIDON!≫

 

≪KAMEN RIDE……BLOOD!≫

 

≪KAMEN RIDE……FALCHION!≫

 

ディケイドが驚く中、ベルグ変異態は構えた拳銃型デバイス―――試作品型ディエンドライバーに3枚のカードを連続で装填し、不気味な電子音と共に3人の仮面ライダーを召喚する。

 

複数の海洋生物の意匠が特徴的な、赤い槍を武器として構えた仮面ライダー。

 

頭部にドラゴン、胸部にコブラの意匠を持ち、マントを装備した仮面ライダー。

 

黒とオレンジ色のボディを持ち、その手に漆黒の剣を構えた不死鳥のような仮面ライダー。

 

それぞれ“仮面ライダーポセイドン”、“仮面ライダーブラッド”、“仮面ライダーファルシオン”と呼ばれる戦士を召喚したベルグ変異態は、彼等に指示を下す。

 

『さぁ行け、異世界のライダー達よ……!!』

 

『『『ハァッ!!』』』

 

「異世界のライダー……!?」

 

「たく、また面倒な事をしてくれる……!!」

 

3人の仮面ライダー達が一斉に襲い掛かり、エクシスはファルシオンと、ディケイドはポセイドンとブラッドを相手取る形となった。エクシスがファルシオンの振るう長剣をかわし、ディケイドがポセイドンの振るう槍をライドブッカーで受け止めながらブラッドを蹴りつける中、ベルグ変異態は試作品型ディエンドライバーにまた別のカードを2枚連続で装填する。

 

≪ATTACK RIDE……ILLUSION!≫

 

≪ATTACK RIDE……BLUST!≫

 

『喰らえぇ……ヒヒャハハハハハァッ!!』

 

「な……うわぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「くっ!?」

 

電子音と共に、ベルグ変異態はその場で複数の分身を生み出し、それらが一斉に試作品型ディエンドライバーから無数のエネルギー弾を連射。エネルギー弾はまるで雨のようにエクシスとディケイドの周囲に降り注ぎ、エクシスは地面を転がされ、ディケイドは倒れかけながらも何とか体勢を保ってみせた。

 

「マズいな……おい、ここは一旦引くぞ!」

 

≪ATTACK RIDE……INVISIBLE!≫

 

『ヒヒヒ、逃がすかぁ!!』

 

ネオディケイドライバーにカードが装填され、ディケイドは右手でエクシスに触れる。すると2人の姿が一瞬で透明化し、ベルグ変異態がそこに銃撃を仕掛けるも、2人はその場から完全に姿を消してしまった。

 

『逃げたか……まぁ良いだろう、すぐに見つけ出してやる……私の目的の為にもな……ヒッヒッヒッヒッヒ♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、大丈夫か?」

 

「はぁ、はぁ……」

 

戦闘が終わってから数十分後。ディケイドはエクシスを連れてとある一軒家の前まで避難し、そこで戦いの疲れを取るべく体を休めていた。変身を解いた健吾は疲労のあまり地面に座り込む中、まだ体力に余裕があるディケイドは今も立った状態で周囲を見渡していた。

 

「奴もすぐには見つけられまい。ようやく話ができるな」

 

ネオディケイドライバーのバックルを開き、ディケイドは変身を解除する。その姿はマゼンタ色のシャツに黒スーツを着た茶髪の男に変化し、その首元にはマゼンタ色のトイカメラを吊り下げていた。

 

「門矢士だ。お前は鈴木健吾、仮面ライダーエクシスで間違いないな?」

 

「……何で僕の名前を?」

 

「お前だけじゃない。他のライダー達の事も、大体はわかっている。それから、今いるこの世界の事もな」

 

トイカメラを構えた茶髪の男―――“門矢士(かどやつかさ)”は、トイカメラのレンズを健吾に向けてからカチッとシャッターを切り、天を指差す。天は今もなお、不気味な赤色に染まっていた。

 

「ここは生と死の狭間の世界だ」

 

「生と死の、狭間の世界……」

 

「あぁ、言っておくが俺はまだ死んでないからな」

 

「へ? じゃあ何でアンタはここに……」

 

「さぁな。何だって良いだろ」

 

「いや良くないでしょ」

 

大体わかってるんじゃなかったのか。そんな健吾の冷静な突っ込みをスルーし、士は話を続けた。

 

「まぁとにかくだ。死んだ者の魂は皆、この狭間の世界を介して黄泉の国へと向かう。それがこの狭間の世界における基本的なルールだった……が、今は少し状況が違う」

 

「……どういう事?」

 

「不思議に思わないか? 死者の魂で溢れかえっているはずのこの世界が、何故これほどまでに静かなのか」

 

士にそう言われて、健吾は改めて不思議に感じた。

 

彼が言う通り、辺りがあまりに静か過ぎる。士の説明通りなら、この狭間の世界には死者の魂がたくさんいてもおかしくないはずなのに、ここにやって来るまでの間、死者の魂はあの太った男性くらいしか目撃しなかった。それ以外の死者の魂は一体どこに行ったのだろうか。

 

「お前も見ただろう、さっきの怪物を。この狭間の世界にやって来た死者の魂を、奴が何人も喰らっているのが原因だろう」

 

「! だからあの時……」

 

健吾は唯一出会った死者である太った男性が、タイラントに斬られて人魂のようになった光景を思い出す。アレも恐らく、太った男性の魂がベルグ変異態に吸収されてしまったのだろうと、健吾は理解できた。

 

「このままでは、死者の魂は輪廻転生すらできず、奴の養分として扱われる事になる。そうして奴はどんどん力を蓄えていくのさ……そこでお前に声をかけた」

 

「……僕が仮面ライダーだから?」

 

「察しが良いな。お前は死んでから結構な時間が経過しているはず。にも関わらず、お前は黄泉の国に行かず、この狭間の世界を未だ彷徨い続けている。ライダーバトルにも参加していたくらいなんだ。生きていた頃の未練が相当強いと見た」

 

「ッ……」

 

“未練”という言葉に、健吾は士から視線を逸らす。その様子を見て、士は小さく鼻を鳴らした。

 

「心当たりがありそうだな」

 

「……アンタに何がわかる」

 

「わかるさ。大体な」

 

士は何の躊躇いもなくそう言ってのけ、健吾は彼を強く睨みつける。それでも士は涼しい顔を浮かべており、再びトイカメラのシャッターを切った。

 

「そのおかげで、お前は死んでもなおライダーの力を持ち続けている。あの怪物を倒す為にも、お前には少しばかり協力して貰うぞ」

 

士はそう言って、座り込んでいる健吾に手を差し伸べる。しかし健吾は再び視線を逸らす。それは協力する事を拒んでいるかのような反応だった。

 

「手伝わないのか?」

 

「……今更、僕に何ができるのさ。アッサリ死んでしまうような僕なんかに」

 

救いたかった妹も救えず、ライダーバトルから脱落した。

 

ある兄妹の平穏を守ろうとして、因縁深き宿敵にアッサリ返り討ちにされた。

 

二度も死を迎えている事から、この時の健吾は自分に対して自信を失ってしまっていた。それ故に、士からの協力要請にも応えようという意志はなかった。

 

しかし士からすれば、それも想定の内だった。

 

「……お前にはもう1つ、伝えておかなければならない事がある」

 

「?」

 

「付いて来い。その為にお前をここまで連れて来た」

 

士は一軒家の玄関の扉を開け、中に入って行く。それを見て、ハッと気付いた健吾は思わず立ち上がった。

 

「ッ……ここは……」

 

戦いの疲労と、士との会話で最初は気付いていなかった。玄関の前にある名札プレートを見た事で、健吾はようやく思い出したのだ。

 

その一軒家が、かつて自身が世話になった兄妹―――グランセニック家の自宅だったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここだ」

 

士が通路の階段を上がって行き、健吾も慌ててその後に続いて行く。そして2階のとある部屋に辿り着き、士が何の遠慮もなく部屋の扉を開けると、そこには健吾にとって予想外の人物がいた。

 

「ッ!? ラグナちゃん!?」

 

健吾は部屋のベッドで眠りについている少女―――“ラグナ・グランセニック”の傍まで駆け寄った。健吾が肩を優しく揺すっても、彼女は全く起きる様子はなかった。

 

「どうして彼女がここに……!?」

 

まさか、彼女も自分と同じように死んでしまったからここにいるのか。健吾は思い付く限りの中で一番最悪な可能性を考えてしまうほど動揺してしまっていたが、その可能性は健吾の後ろに立っていた士が否定した。

 

「その娘はまだ死んではいない。だが、安心できる状態でもない」

 

「どういう事だ……!?」

 

「言っただろう? ここは生と死の狭間の世界だと。その娘は死んでこそいないが、死んでもおかしくない状態にある。つまり、現実世界のその娘は今、生と死の境を彷徨うほどの事態に陥っているという事になる」

 

生と死の境を彷徨うほどの事態。一体、現実世界で彼女の身に何があったというのか。未だ起きる様子のないラグナを心配そうに見つめる健吾だったが、今の彼には彼女にしてやれる事は何1つとして存在していなかった。

 

「今その娘してやれる事は何もない。精々、その娘が死なないよう祈る事くらいだろうな」

 

「ッ……ラグナちゃん……!!」

 

「1つわかっているのは、このままあの怪物を放置しておくのはマズいという事だ」

 

健吾が確実にその気になる(・・・・・・)ように。ここで士は、更に畳みかける事にした。

 

「あの怪物が死者の魂を喰らってまで力を蓄えているのは、現実世界に侵攻する為だ。アレほどの怪物が現実世界で暴れようもんなら、更に犠牲者は増える事だろう。そうなれば、その娘の命もいよいよ危ない」

 

「……ッ!!」

 

「もう一度言うぞ。奴を止めるのに協力しろ。これからも、その娘に生きて欲しいのならな」

 

士にそう言われてしまっては、もう反論の余地はない。健吾が何も言えず言葉に詰まった時だった。

 

「―――て」

 

「「!」」

 

微かに聞こえて来た声。2人がラグナの方へと視線を向けると、ラグナは眠りについたまま、その口元だけが僅かに動いていた。その目からは、ほんの僅かに涙の粒が流れ落ちていた。

 

「助けて……健吾、さん……」

 

「……!」

 

ラグナが健吾の名前を呼んでいる。健吾に助けを求めている。それを認識したその瞬間、健吾の脳裏に過去の記憶が呼び起こされた。

 

ラグナと共に過ごした時間。

 

楽しそうに笑っているラグナの顔。

 

(ラグナちゃん……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お帰りなさい、健吾さん!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ふぅぅぅぅ」

 

小さく息を吹き出す健吾。彼の中で、覚悟は決まっていた。

 

「……あの怪物」

 

「うん?」

 

「……あの怪物を倒せば良いんだよね?」

 

「……協力を頼んでいる俺が言うのも何だが、良いのか? 奴を倒したところで、別にお前が生き返れる訳ではないんだぞ」

 

「そんな事はとっくにわかってる」

 

ラグナの目元の涙を優しく拭い、立ち上がる健吾。士のいる後ろに振り向いた彼の目には、既に迷いは微塵も存在していなかった。

 

「どうせ二度も死んだ身だ。今更迷う事なんてない。何だってやってやる……ラグナちゃんの生きている世界を、アイツの好きにはさせない」

 

「……良い目になったな」

 

士は小さく笑みを浮かべた後、懐から取り出した1枚のカードを健吾に投げ渡す。

 

「! これは……?」

 

「使うと良い。そのカードがお前を……仮面ライダーエクシスをより強くする」

 

士が健吾に投げ渡したカード。

 

それは赤い炎の中(・・・・・)金色の翼が煌めいていた(・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

狭間の世界、とある立体駐車場。複数の車が駐車されているその内部にて、女性の悲鳴が大きく響き渡った。

 

『ヒヒヒヒヒ……逃がさんぞ小娘ぇ……』

 

「はぁ……はぁ……い、いや、来ないで……ッ!!」

 

青色のスーツを着た眼鏡の女性が、恐怖に怯えながら必死に走っている。その後ろからは、ベルグ変異態が両腕の触手を伸ばしながら迫り来ようとしていた。

 

「助けて……助けて、お父さん……あっ!?」

 

必死に逃げる眼鏡の女性だったが、彼女の右足に1本の触手が巻きつき、その場に転倒してしまう。そこにベルグ変異態が追いつき、右手の触手で彼女を引き寄せようとする。

 

『おや、鬼ごっこは終わりかな? では諦めて……この私の一部となれ!!』

 

「ひぃ!? い、嫌!! 誰か……誰か助けてぇっ!!」

 

眼鏡の女性が助けを求めて叫ぶ中、ベルグ変異態は左腕の触手も伸ばし、それを眼鏡の女性に向かって伸ばしていく。触手の鋭利な先端が、眼鏡の女性を刺し貫こうとした……その時。

 

ズドドドドォン!!

 

『ヌォウッ!?』

 

「―――え?」

 

どこからか飛んで来た数発の弾丸が、眼鏡の女性を刺そうとした触手を撃ち抜いた。更にはベルグ変異態の胴体にも数発ほど着弾し、怯んだベルグ変異態が僅かに後退する。

 

「そこまでにしておけ」

 

『!! 貴様かぁ……ッ!!』

 

ベルグ変異態が振り向いた先には、ライドブッカー・ガンモードを構えている士の姿があった。士がライドブッカーを指でクルクル回転させている中、眼鏡の女性の元にはマグニブレードを構えた健吾が駆け寄った。

 

「あ、あなた達は……?」

 

「アイツは僕達が引き受けます、あなたは逃げて下さい!」

 

健吾は眼鏡の女性の右足に巻きついていた触手を、マグニブレードの刃で切断。これで眼鏡の女性は自由になり、健吾は彼女を逃がしてから士の隣に並び立ち、ベルグ変異態を睨みつける。

 

『また会ったな小僧……私に喰われる覚悟はできたようだなぁ……♪』

 

「残念ながら違う」

 

『んん……?』

 

「ここでお前を倒す……その為に僕はここに立っている!!」

 

健吾は近くの車の窓ガラスにカードデッキを向け、その腰にベルトを装着する。それを見たベルグ変異態は愉快そうに笑い始めた。

 

『ヒヒャハハハハハハ!! 面白い冗談を言うものだなぁ!! そんな若さで死ぬような小僧に、一体何ができるというのだ……!!』

 

『『『フッ』』』

 

ベルグ変異態が試作品型ディエンドライバーを取り出すと、彼の周囲にポセイドン、ブラッド、ファルシオンの3人の仮面ライダーが姿を現す。それを見てもなお健吾は臆する様子は見せず、その隣に立っていた士もネオディケイドライバーを腰に装着し、ディケイドの顔が描かれたカードを取り出しながら口を開いた。

 

「少なくとも、お前を止める事ならできるだろうさ」

 

『あぁ?』

 

「俺はこれまで、死してなお世界の為に戦おうとしたライダーを知っている。自分が死ぬとわかっていて、自分より世界を優先したライダーを知っている」

 

『貴様、何が言いたい……?』

 

「わからないか? コイツの覚悟も、お前如きが計り知れるような物じゃないという事だ」

 

『フン、下らん!! ならば生きている貴様は何だと言うのだ……!!』

 

「俺は通りすがりの仮面ライダー。そして……“世界の破壊者”だ。覚えておけ」

 

「お前の野望は……僕達が打ち砕く!!」

 

士はネオディケイドライバーのバックルを開き、その隣では健吾が右手でサムズダウンのポーズを取る。そして2人は高らかな声で、あの台詞を叫ぶ。

 

「「変身!!」」

 

≪KAMEN RIDE……DECADE!≫

 

士はネオディケイドライバーにカードを、健吾はカードデッキをベルトに装填。士の周囲に現れたシルエットが彼と一体化し、健吾の全身にはいくつかの鏡像が重なり、2人はそれぞれディケイド、エクシスへの変身を完了させた。

 

『面白い……ならば2人纏めて、この私の糧になって貰うとしよう!!』

 

『『『ハァッ!!』』』

 

ベルグ変異態が試作品型ディエンドライバーで天を撃ち、それを合図に彼が召喚したライダー達が一斉に武器を構えて動き出す。それを見たディケイドはソードモードに切り替えたライドブッカーを、エクシスはマグニブレードを構えて戦闘態勢に入る。

 

「行くぞ健吾……!!」

 

「はい!!」

 

2人は同時に駆け出し、襲い来る3人のライダー達と激突。今ここに、今を生きる人間達の未来を懸けた、激しい戦いの幕が開こうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




次回、RIDER TIME エクシス……!


ベルグ『私は奴等への復讐を果たす……!!』

士「世界の為にも、お前をここから出す訳にはいかない!!」

健吾「ありがとう、君に会えて良かった」


戦わなければ、生き残れない……!
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