リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ EXTRA 作:ロンギヌス
生と死の狭間の世界にて、少年が迎える結末や如何に……?
それではどうぞ。
戦闘挿入歌その1:Ride the Wind
戦闘挿入歌その2:Revolution
EDテーマ:Go! Now! ~Alive A life neo~
時は少し遡り、現実世界……
「うっひゃあ、すっごい雨……!」
「傘、持ってて正解だったね」
「全くだな」
この日、ミッドチルダは土砂降りの雨だった。雷鳴も時折鳴り響く中、夕飯の食材の買い出しに出ていたグランセニック兄妹と、その道中でたまたま出会った夏希の3人は傘を差しながら、川の上の橋を渡りグランセニック家の自宅に帰ろうとしているところだった。
「あ~も~最悪。天気予報じゃ雨は降らないって言われてたのに……」
「ま、天気予報も外れる時はあるもんさ。できれば家に着いてから降ってきて欲しかったもんだがな」
「……はぁ」
「あれ、どしたのラグナ?」
歩いている途中で立ち止まり、どこか元気がなさそうに溜め息をつくラグナ。それに気付いた夏希も立ち止まり、夏希が声をかける。
「あぁ、えっと……私、雨の日が好きじゃなくて」
「まぁ、雨に打たれるのが好きな人間はそうそういねぇだろうな」
「土砂降り過ぎて、傘差してるのに現在進行形で濡れてるもんね」
「それだけじゃなくて……
「「……!」」
それを聞いて、夏希とヴァイスは顔を合わせる。ラグナが告げた“あの人”が、誰の事を指しているのかを知っているからだ。
「ラグナ、アイツの事は……」
「……大丈夫だよ、お兄ちゃん。私なら大丈夫だから」
「でも……」
「どれだけ悲しんだって、あの人が戻って来る訳じゃありませんし……私がいつまでもメソメソしてたら、あの人も天国で心配しちゃうでしょうから」
心配そうな様子の夏希とヴァイスに対し、笑顔を向けてから再び歩き出すラグナ。しかし夏希とヴァイスからすれば、その笑顔がどこか無理しているようにしか見えず、不安そうだった。
その時……
キィィィィィン……キィィィィィン……
「「「―――ッ!?」」」
3人の耳に聞こえて来た耳鳴り。その耳鳴りの正体を知っている3人はすぐに周囲を見渡すと、3人から少し離れた場所にある水溜まりの水面が突然グニャリと歪み出し……
『―――ブルルルルァッ!!』
「ッ……危ない!!」
「うぉわっ!?」
「きゃあ!?」
水溜まりから飛び出したワイルドボーダーが、3人目掛けて猛スピードで突進を仕掛けて来たのだ。それに気付いた3人は慌てて左右に避けるが、突進をかわされたワイルドボーダーは即座に振り返り、その胸部の砲口からエネルギー弾を発射する。
『ブルァ!!』
「え……きゃあっ!?」
「!? しまった……!!」
「ラグナァッ!!!」
エネルギー弾がラグナの近くに着弾し、その爆発の衝撃でラグナの体が宙に舞う。その結果、彼女の身は橋から投げ出されてしまい、咄嗟に助けようとしたヴァイスの手も届く事なく……川の中へと落下してしまった。
「ガボ、ゴボボッ……!!」
雨の影響で激流と化している為、ラグナは水面に上がる事もできずどんどん流されていく。川に落ちた際に水を飲んでしまったのもあってか、呼吸も碌にできない彼女は意識が少しずつ薄れていこうとしていた。
(息が……できない……ッ!!)
(助けて……お兄ちゃん……夏希さん……ッ)
(助けて……健吾、さ……ん……)
時は戻り、生と死の狭間の世界……
「「―――はぁっ!!!」」
ベルグ変異態が差し向けたダークライダー達と、正面から相対するエクシスとディケイド。エクシスはファルシオンを、ディケイドはポセイドンとブラッドを相手取り、激しい戦いを繰り広げていた。
『愚かな、貴様等ではこの私を止められはしない……!!』
「さっきからそれしか言えないのか? もういい加減、その手の台詞は聞き飽きたんだがな……!!」
『そうか、ならば何度でも聞かせてやろう!!』
≪ATTACK RIDE……BLUST!≫
「くっ……!!」
ベルグ変異態は試作品型ディエンドライバーから無数の銃弾を放ち、エクシスとディケイドの近くに銃弾が次々と降り注ぐ。何とかかわす2人だったが、そこにダークライダー達が襲い掛かり、ファルシオンは構えた長剣―――
『フンッ!!』
「ぐっ!? この……!!」
≪ADVENT≫
『『グギャウッ!!』』
『グッ!?』
エクシスは素早くカードを装填し、マグニレェーヴとマグニルナールを召喚。マグニレェーヴの放った光弾がファルシオンに命中し、磁力による反発でファルシオンの体が大きく吹き飛ばされる。しかしファルシオンは地面を転がってからすぐに立ち上がり、構えていた長剣を自身のベルトに納め、トリガーを引いて再び抜刀する。
≪必殺黙読!≫
≪抜刀! 不死鳥無双斬り!≫
『ハアァッ!!!』
『『ギャウッ!?』』
「くっ……ぐあぁぁぁぁぁぁっ!?」
ファルシオンが振るう長剣から炎の鳥が飛来し、エクシス達に襲い掛かる。それを止めようとしたマグニレェーヴとマグニルナールが弾き飛ばされ、エクシスもその一撃を喰らい大きく吹き飛ばされてしまう。
『ハァッ!!』
「チッ……ぐぉっ!?」
『フン!!』
一方、ディケイドもポセイドンとブラッドを相手に押され気味だった。ポセイドンが振り下ろして来た赤い槍―――ディーペストハープーンの一撃をライドブッカー・ソードモードで防御するも、その横からブラッドが強烈な掌底を放ち、ディケイドの身を大きく吹き飛ばす。地面を何度か転がされたディケイドは膝を突いた状態にまで体勢を立て直し、ジリジリと迫って来るポセイドンとブラッドを睨みつける。
「奴め、厄介なのを召喚してくれたな……」
『『ハァァァァァ……!!』』
『諦めろ人間、貴様等には何1つ勝ち目などなぁい……!!』
更にはベルグ変異態までもがディケイドの前に立ち塞がり、背中から触手を伸ばした状態でディケイドに迫り来ようとする。それに対し、ディケイドはどこか呆れた様子で疑問を投げかける。
「わからないな。何故そこまでして現実世界に蘇ろうとする? お前のやりたい事とは何だ?」
『私のやりたい事はただ1つ……復讐だ!!』
「何……?」
ベルグ変異態が言い放った“復讐”という言葉に、ディケイドは首を傾げる。
『私はねぇ、飢えていたのさ。欲しい物を手に入れ、自分の物にする。それだけが私の心が満たされる唯一の方法だったのだよ……だというのに、
「……」
『だから私は決めたのだ!! 現実世界に蘇り、私は奴等への復讐を果たす!! 貴様等には、その為の贄となって貰うぞ……!!』
「……なるほど、大体わかった」
ディケイドは両手をパンパンと叩いた後、ライドブッカーの刀身を地面に突き刺してからゆっくり立ち上がる。
『フン、ようやく理解したようだな? 私の養分となる自らの運命が』
「あぁ、理解したさ……やはりお前は、今ここで倒さなければならないという事がな」
『……ハァ?』
ベルグ変異態はその赤い1つ目を細め、ディケイドを強く睨みつける。無論、その程度で怯むようなディケイドではなかった。
「何度でも言ってやろう……世界の為にも、お前をここから出す訳にはいかない!!」
『ほざけぇ!!
「なら、
『何……グオォッ!?』
『ガァッ!?』
その時、別方向から吹き飛ばされて来たファルシオンが、ベルグ変異態と激突した。そしてディケイドの横にはエクシスが、いくらか疲弊した状態で並び立った。
「健吾……」
「……僕だって、昔は叶えたい願いがあったよ。この命に代えてでも、叶えたかった願いが」
健吾の脳裏に、ある人物の姿が浮かび上がる。かつてミッドチルダにやって来る前、彼が命懸けで助けようとして、結局助けられる事がなかった、たった1人の家族の姿が。
「でも、僕はもう死んだ身だ。望みが叶う事は二度とない……お前も死んだのなら、その死を大人しく受け入れたらどうなんだ」
『戯言を!! 私は諦めんぞ、
「……だったら、僕がそれを全力で邪魔してやる」
『何ぃ……!?』
エクシスはマグニブレードを突きつけながら、ベルグ変異態に向かって言い放つ。
「僕には、死なないで欲しかった人がいた……」
「今もまだ……幸せに生き抜いて欲しい人が残っている」
「その人の幸せを守る為にも……僕はここでお前を倒す!!!」
そう宣言すると同時に、エクシスはカードデッキから1枚のカードを引き抜き、それを裏返しカードの絵柄を見せつける。その絵柄を見た途端、ベルグ変異態は驚愕した。何故ならそのカードは、彼が生前に見た事があるカードだったのだから。
『な、そのカードは……!?』
何故だ。
何故貴様がそのカードを持っている。
動揺を隠せないベルグ変異態の前で、エクシスの周囲を灼熱の炎が覆い始める。エクシスが左腕のマグニバイザーを正面に突き出すと、マグニバイザーは炎に包まれ、狐の頭部を模したハンドガン型の召喚機―――“
(! 変わった……)
エクシスは召喚機が変化した事に内心驚きつつも、マグニバイザーツバイの開かれた口に、赤く燃え盛る炎の中で金色の翼が煌めいているそのカード―――“サバイブ・烈火”を挿し込む。そしてカードを食べさせるように口を閉じる事で、セットを完了させた。
≪SURVIVE≫
エクシスはマグニバイザーツバイを下ろし、その全身が灼熱の炎に包まれ、姿が変化する。
より鋭利な形状になった頭部の狐耳。
金色のラインが増えた胸部装甲。
狐の頭部を模した両肩の鎧。
背中からマントのように生えた九本の尻尾。
そしてオレンジ色に変化したカードデッキ。
サバイブ・烈火の力により、エクシスは強化形態―――“仮面ライダーエクシスサバイブ”への変身を完了させたのである。その横にはディケイドが並び立ち、彼の肩をポンと触れる。
「健吾、それがお前の……今回限りの新たな力だ」
「……これが」
エクシスサバイブは、自身の変化した姿に少しだけ戸惑いを示すも、すぐに感情を切り替えてベルグ変異態を睨みつける。それを見たディケイドは仮面の下でフッと笑い、自身もあるデバイスを取り出した。
「せっかくだ。もう1つ良い物を見せてやる」
≪K-TOUCH TWENTY ONE!≫
『なっ……まさか貴様も!?』
既に余裕を失いつつあるベルグ変異態の前で、ディケイドは取り出したマゼンタ色のデバイス―――“ケータッチ
≪W≫
≪OOO≫
≪FOURZE≫
≪WIZARD≫
≪GAIM≫
≪DRIVE≫
≪GHOST≫
≪EX-AID≫
≪BUILD≫
≪ZI-O≫
≪ZERO-ONE≫
≪FINAL KAMEN RIDE……DECADE!≫
「―――変身!!」
≪COMPLETE TWENTY ONE!≫
全ての紋章を押した後、ディケイドはネオディケイドライバーのバックル部分を取り外してベルトの右側に取り付け、ネオディケイドライバーの空いたバックル部分にケータッチ21をセット。するとディケイドの周囲に無数のカードが出現し、それがディケイドの全身を変化させていく。
ディケイドの背中にはマゼンタ色のマントが出現し、胸部と両肩、縦に伸びた頭頂部には様々な仮面ライダーの姿を描いたカードが次々と浮かび上がっていき、更にはマントにも無数のカードが貼り付くように出現。そして緑色だった複眼はマゼンタ色に変化した事で、ディケイドは強化形態―――“コンプリートフォーム
「……カードだらけじゃん」
その姿を見たエクシスサバイブは思わず二度見してしまい、小さな声で突っ込む。しかし聞こえていないのか、それとも聞こえた上でスルーしたのか、コンプリートフォーム21となったディケイド(以下ディケイドCF21)はライドブッカーを地面から引き抜き、その刀身を撫でてからベルグ変異態に言い放つ。
「さぁ、最後の戦いを始めようか」
『ッ……所詮こけおどしだ!! 行けぇっ!!』
『『『ハァッ!!』』』
ベルグ変異態の命令で、ダークライダー達が再び2人に襲い掛かる。エクシスサバイブはファルシオンに向かって果敢に駆け出して行くのに対し、ディケイドCF21はその場から動かず、自身に向かって来るポセイドンとブラッドを迎え撃つスタイルで戦闘を再開する。
「フンッ!!」
『ヌグ!?』
『ガァアッ!?』
ポセイドンが槍を振り下ろすも、ディケイドCF21はそれをライドブッカーで高く弾き上げ、逆に強烈な斬撃を炸裂させる。そこにブラッドがパンチを繰り出すも、それを読んでいたディケイドCF21は体を後ろに反らすだけで攻撃を難なく回避し、逆にライドブッカーを突き立てブラッドを後退させる。
『グッ……おのれぇ!!』
「フッ!!」
『な、グワァッ!?』
ベルグ変異態も背中の触手を伸ばして応戦するも、ディケイドCF21はライドブッカーを即座にガンモードに切り替え、銃弾を連射し全ての触手を押し退ける。そのままベルグ変異態にも数発の弾丸を命中させた後、ディケイドCF21はケータッチ21に浮かび上がっている紋章の中から1つを指でタッチする。
≪OOO≫
≪KAMEN RIDE……PUTOTYRA COMBO!≫
電子音と共に、ディケイドCF21の胸部装甲のカードが全て同じ物に変化。そして彼の横には、紫色のボディを持った恐竜のような戦士―――“仮面ライダーオーズ・プトティラコンボ”が出現した。
「「ハァッ!!」」
『グッ!? ガ、ァア……ッ……』
ディケイドCF21とオーズ・プトティラコンボは同時に両腕を広げると、そこから凄まじい冷気を放射し、その先に立っていたポセイドンを地面ごと一瞬で凍結させた。ポセイドンが完全に動けなくなった隙に、ディケイドCF21は1枚のカードをベルトの右側のバックル部分に挿し込み、オーズ・プトティラコンボもそれと同じ動作を行った。
≪FINAL ATTACK RIDE……O・O・O・OOO!≫
≪プ・ト・ティラーノ・ヒッサーツ♪≫
「「ハァッ!!!」」
『グワァァァァァァァァァァァッ!!?』
ディケイドCF21はライドブッカー・ガンモードを、オーズ・プトティラコンボは恐竜の顔の意匠がある武器―――メダガブリュー・バズーカモードを構え、それぞれマゼンタ色、紫色の強烈な破壊光線―――ストレインドゥームを発射。凍らされているポセイドンは当然逃げられる訳もなく爆散してしまった。
『な、何だその力は……!?』
「……フッ」
ポセイドンの撃破を確認したからか、構えを解いたオーズ・プトティラコンボが消滅。残ったディケイドCF21はライドブッカーをソードモードに切り替え、再びケータッチ21の紋章をタッチする。
「次はコイツだ」
≪BUILD≫
≪KAMEN RIDE……GENIUS FORM!≫
するとディケイドCF21の横に、今度は白いボディに無数のカラフルなボトルの意匠を持った戦士―――“仮面ライダービルド・ジーニアスフォーム”が出現。ディケイドCF21はライドブッカー・ソードモードを、ビルド・ジーニアスフォームは中折れ式の大剣型武器―――フルボトルバスター・バスターブレードモードを構えて静かに動き出す。
『させるかぁ!!』
『フンッ!!』
「「……ハッ!!」」
ベルグ変異態がそう叫ぶと共に、ブラッドは発光した胸部装甲から巨大なコブラのような怪物―――ゼノベイドスネーカーを召喚し、2人に差し向ける。ディケイドCF21とビルド・ジーニアスフォームがそれぞれの武器を用いてゼノベイドスネーカーの攻撃を防ぐ中、離れた位置に立ったブラッドは自身のベルトのレバーを回転させ、必殺技を発動しようとしていた。
≪ガタガタゴットンズタンズタン! ガタガタゴットンズタンズタン!≫
≪Ready Go!≫
≪ハザードフィニッシュ!≫
≪グレートドラゴニックフィニッシュ!≫
『ハァァァァァァァァッ!!』
ゼノベイドスネーカーの背中に飛び乗ったブラッドは、右手にエネルギーを収束させながら2人に迫り来る。それを見てもディケイドCF21は決して慌てず、ベルトのバックル部分にカードを装填した。
≪FINAL ATTACK RIDE……B・B・B・BUILD!≫
≪フルフルマッチブレイク!≫
「「ハァァァァァァァッ!!!」」
『グッ……ガアァァァァァァァァァァッ!!?』
ディケイドCF21のライドブッカー、そしてビルド・ジーニアスフォームのフルボトルバスターから放たれた虹色に輝く斬撃―――フルフルマッチブレイクが放たれ、突撃して来たゼノベイドスネーカーごとブラッドの体を斬り裂いた。その強烈な一撃に、ブラッドは敵わず大爆発を引き起こし、跡形もなく消滅してしまった。
『ば、馬鹿な……!?』
ベルグ変異態が余裕を失った様子で呟く中、役目を終えたビルド・ジーニアスフォームが消滅し、ディケイドCF21はベルグ変異態の方へと振り向く。今のベルグ変異態にとって、その姿は自身の命を奪う死神のようにも見えていた。
「さぁ、今度はお前の番だ。覚悟しろ」
≪不死鳥無双斬り!≫
『ハッハァ!!』
「くっ……!!」
一方、エクシスサバイブはファルシオンと対峙していた。ファルシオンが長剣から飛ばして来た炎の鳥をしゃがんで回避したエクシスサバイブは、マグニバイザーツバイの先端部分から“マグニブレイダー”と呼ばれる刀身を伸ばし、ファルシオンと鍔迫り合いになる。
(強い……だが、負ける訳にはいかない!!)
『ヌォ……!?』
目の前の強敵を前に、彼は決して折れなかった。ファルシオンの腹部を蹴りつけ、距離を離したエクシスサバイブはマグニバイザーツバイの装填口を開き、デッキから引き抜いたカードを挿し込みセットする。
≪ADVENT≫
『グラァァァァァァァァァウッ!!!』
電子音と共に、エクシスサバイブの後方からはマグニレェーヴとマグニルナールが融合したマグニウルペースが駆けつける。するとマグニウルペースの姿が変化し、頭部に銀色のバイザー、胴体部分に黒いタイヤ型のパーツを装備した強化形態―――“烈火の九尾マグニテイルナー”へと進化。エクシスサバイブの背後に立ち、咆哮を上げながらファルシオンを睨みつける中、エクシスサバイブは2枚目のカードを装填する。
≪SHOOT VENT≫
「ハァッ!!」
『グラァウッ!!』
『ヌ……グオォォォォォォッ!?』
エクシスサバイブが構えたマグニバイザーツバイ、そしてマグニテイルナーが9本の尻尾から放つ強力な火炎弾―――“テイルフレア”が一斉にファルシオンに向けて発射される。それらを全て長剣で防ごうとするファルシオンだったが、絶え間なく飛んで来る火炎弾を完全には防ぎ切れず、数発ほどその身に受けた事で膝を突く。
≪SWORD VENT≫
「ハァァァァァァ……」
『……ッ!!』
更に3枚目のカードを装填し、マグニバイザーツバイから伸びたマグニブレイダーを赤い炎が覆われる。それに対し、フラフラながらも立ち上がったファルシオンはベルトから引き抜いた本型のデバイス―――ワンダーライドブックを長剣にかざす。すると長剣に灼熱の炎が纏われ始める。
≪永久の不死鳥……!≫
≪無限一突!≫
『ハハハハハ……ハァァァァァァァァッ!!!』
「―――ハァァァァァァァァッ!!!」
ファルシオンは長剣を振るい、十字型の巨大な斬撃を放射。それを迎え撃つように、エクシスサバイブも炎を纏ったマグニブレイダーを振り上げ、2つの強力な斬撃が正面から激突する。
『クハハハハハハ!!』
「ぬ、ぐぅぅぅぅぅぅ……ッ!!」
ファルシオンの放った十字の斬撃が、マグニブレイダーの斬撃を少しずつ押し始める。それでもエクシスサバイブは力強く踏ん張り、1歩ずつだがファルシオンの斬撃を少しずつ押し返していく。そして……
「……おぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
『ッ!?』
遂にエクシスサバイブがマグニブレイダーを振り切り、ファルシオンの放った斬撃が打ち破られる。それを見て驚愕する反応を見せるファルシオンだが、そこにエクシスサバイブが跳躍して一気に距離を詰め、ファルシオン目掛けてマグニブレイダーを勢い良く振り下ろした。
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『ガ……グアァァァァァァァァァァァァッ!!?』
マグニブレイダーの刃が、ファルシオンの胸部を斜めに斬り裂いた。大きく吹き飛んだファルシオンは地面を転がされた後、全身に僅かに電流が走りながらもゆっくり立ち上がる。それを見たエクシスサバイブはすぐに構え直そうとしたが……
『ハァ……ハァ……ク、ハハハハ』
「……?」
『ハハハハハ……クッハハハハハハハハハハハハ!!!』
ファルシオンは長剣を構える事もなく、ただ天を見上げながら大声で笑い……そして大爆発を起こした。ファルシオンの存在が跡形もなく消滅したのを確認したエクシスサバイブは、ホッとした様子でマグニバイザーツバイを下ろす。
(倒せた、か……)
エクシスサバイブは息を整えながら、ファルシオンが先程まで立っていた場所をしばし見つめる。その後、すぐに思考を切り替えた彼は、再びマグニバイザーツバイを構え直す。
「そうだ、奴は……!!」
場所は戻り、ディケイドCF21はと言うと……
『ハァァァァァァァァッ!!!』
「フンッ!!」
ベルグ変異態が両腕や背中から伸ばす無数の触手を、ライドブッカー・ソードモードの斬撃で次々と薙ぎ払っているところだった。振るわれる斬撃は大きく飛来して触手を何本も切断し、そのままベルグ変異態の元にまで届き胴体を大きく斬り裂いた。
『グゥッ……まだだ、まだだぁ……ッ!!』
「全く、随分と粘るものだな」
『黙れぇ!! 私はまだ終わらない……終わってたまるものかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』
ベルグ変異態は背中から伸ばした触手を変異させ、その先端から巨大な龍の頭部を形成。2本の触手から生えた龍の頭部が火炎弾を放ち、ディケイドCF21は飛んで来る火炎弾をライドブッカーで的確に弾き返していく。それを見たベルグ変異態は背中から更にもう1本の触手を伸ばし、先端に蠍のような毒針のある尻尾を形成する。
『死ねぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!』
「!? チッ……!!」
その時……
≪GUARD VENT≫
『ッ!?』
ベルグ変異態の伸ばした尻尾が、突如ディケイドCF21を守るように発生した炎の壁に阻まれ、先端の毒針が焼かれて消失する。驚いたベルグ変異態が尻尾を引っ込める中、炎の壁が消えると共にディケイドCF21の隣にエクシスサバイブが姿を現した。
「士さん、お待たせしました」
「良いタイミングで来たな、健吾」
『こ、このクソガキがぁぁぁぁぁぁぁ……ッ!!』
≪FINAL ATTACK RIDE……DI・DI・DI・DIEND!≫
エクシスサバイブが駆けつけた事で、自身の従えていたダークライダーが全滅した事を悟ったベルグ変異態は怒り心頭な様子で、試作品型ディエンドライバーにカードを装填。その銃口を2人に向け、複数のカード状のエネルギーで形成されたターゲットサイトが狙いを定める中、ディケイドCF21も1枚のカードを装填しようとしていた。
「そっちがその気なら、こっちもだ」
≪FINAL ATTACK RIDE……DI・DI・DI・DIEND!≫
ディケイドCF21は右手に出現したシアン色の銃型デバイス―――ネオディエンドライバーを構え、同じようにカード状のエネルギー体によるターゲットサイトが形成される。そして両者は同時にその引き鉄を引いた。
『消え去れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!』
「……ハアァッ!!!」
ネオディエンドライバーと試作品型ディエンドライバー、その両方が強力なエネルギー光線―――ディメンションシュートを発射。互いの一撃が正面から激突し、拮抗し合う……かと思われたが。
『!? グ、ゴワァァァァァァァァッ!!?』
ネオディエンドライバーから放たれた一撃の方が、パワーが遥かに上回っていた。自身の放った一撃を軽々と打ち破られたベルグ変異態は、自分の身を守ろうとした2つの龍の頭部すらも纏めて消し飛ばされ、大ダメージを受ける結果となった。
『ば、馬鹿な!? 何故だ、何故こんなにも簡単にぃ……!!』
「こっちの方が最新型だからな……何でアイツの武器に助けられてんだ俺は」
「? 士さん、何か言いました?」
「……いや、何でもない」
小声で愚痴を呟くディケイドCF21だったが、隣に立っていたエクシスサバイブは聞こえなかったのか不思議そうに首を傾げる。その一方、ディメンションシュートをその身に受けたベルグ変異態は疲弊した様子で膝を突き、憎悪の込められた目を2人に向ける。
『ふざけるなぁ……私はこんな所で終わるような存在ではない……私は何としてでも現実世界に蘇り、奴等への復讐を果たすのだぁ……ッ!!』
「それがお前の限界だ……決めるぞ、健吾」
「はい!!」
≪FINAL ATTACK RIDE……DE・DE・DE・DECADE!≫
≪FINAL VENT≫
『グラァァァァァァァァァッ!!』
ディケイドCF21はネオディケイドライバーのバックル部分に、エクシスサバイブはマグニバイザーツバイにそれぞれカードを装填。ディケイドCF21がフワリと宙に浮かび上がる中、エクシスサバイブの後方からはマグニテイルナーが猛スピードで疾走し、その身を変形させ始める。前足と後ろ足は胴体から取り出されたタイヤを掴む形になり、9本の尻尾は5本が複雑に折り畳まれ、残る4本がバイクのマフラーに変形。そして頭部のバイザーが目元を覆い、マグニテイルナーはバイクモードへの変形を完了させる。
「はっ!!」
『お、おのれぇっ!! こんな所で私は……ッ!?』
エクシスサバイブはバイクモードとなったマグニテイルナーに乗り込み、ハンドルを握り走るスピードを更に上げていく。それを見たベルグ変異態は苦し紛れに触手を伸ばし対抗しようとしたが、そんな彼の頭上で複数のカードが円を描くように並び、トンネルを形成し始める。それに気付いたベルグ変異態が空を見上げると、その先にはキックの体勢に入っているディケイドCF21の姿があった。
「これで終わりだ……ハァッ!!」
『ほざけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!』
ディケイドCF21はキックの体勢でカード状のエネルギーで形成されたトンネルを潜り抜けていき、ベルグ変異態の頭部目掛けて必殺のライダーキック―――“強化ディメンションキック21”を繰り出した。ベルグ変異態も負けじと無数の触手で防御を固め、ディケイドCF21のキックを防ぎ切ろうとしたが……そのせいで、もう1人の方への注意が逸れてしまった。
『!? しまっ―――』
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
『グガァアッ!!?』
エクシスサバイブを乗せたマグニテイルナーは全身に炎を纏い、巨大な炎の弾丸となってベルグ変異態に向かって突っ込んで行く。その炎の一撃―――“ブレイジングフォックス”はベルグ変異態の左半身を抉るように破壊し、それによりベルグ変異態の体勢が崩れる。その結果……
「ハァァァァァァァァァッ!!!」
『グギャアァァァァァァァァァァァァッ!!?』
触手による防御を打ち破ったディケイドCF21のキックが、ベルグ変異態の頭部に直撃。そのまま頭部を粉砕したディケイドCF21は地面に着地し、その隣にはマグニテイルナーから降りたエクシスサバイブが着地する。
『ば、馬鹿な……私は、まだ……何も……満たされて、い、な―――』
言葉はそこで途切れ、ベルグ変異態はその場で大爆発を引き起こす。その爆風を背に、着地したディケイドCF21とエクシスサバイブは言葉を発する事なく、その場から静かに立ち上がるのだった。
「何か、言い残しておく事はあるか?」
戦いが終わり、グランセニック家の自宅へと帰還した健吾。彼は部屋のベッドで眠り続けているラグナの傍へと歩み寄り、士はそんな彼にどこか優しさを含んだ声色で呼びかける。
「少しだけ、時間を下さい」
「……良いだろう」
「ッ……健吾、さん……」
今もなお、眠りについたまま健吾の名前を呼び続けるラグナ。そんな彼女の頭を、健吾は優しく撫でる。その様子を見ていた士は、何も言わずにトイカメラのシャッターを切る。
「大丈夫だよ、ラグナちゃん。君はまだ生きている。君はまだ、こっちに来てはいけない」
何故ラグナが生死の境を彷徨うような事態になったのか、それは健吾にもわからない。彼にできる事は、ラグナが死なない事を祈りつつ、彼女に優しく語りかける事だけだった。
「君のおかげで、僕の人生は充分に満たされた」
かつて救いたかった家族を救えず、心に大きな穴が空いてしまったまま2度目の生を受けた健吾。
そんな彼の心の穴を埋めてくれたのは、他でもないラグナだった。
彼女にはこれからも、長い人生を生き抜いて欲しい。
そんな想いを込めながら、健吾はラグナの頭を優しく撫で続けた。
「ありがとう。君に会えて良かった」
「さよなら、ラグナちゃん」
……?
ここは、どこだろう……。
何も見えない……私、どうなっちゃったんだっけ。
……そうだ、思い出した。
あの時、モンスターに襲われて、川に落ちて……。
たぶん、そのまま死んじゃったんだろうなぁ……。
私、このままあの世に行っちゃうのかな……?
ごめんね、お兄ちゃん……。
ごめんね、皆……。
『大丈夫だよ、ラグナちゃん』
……?
『君はまだ生きている。君はまだ、こっちに来てはいけない』
誰……あなたは、誰なの……?
『君のおかげで、僕の人生は充分に満たされた』
……!
もしかして、あなたは……。
『ありがとう。君に会えて良かった』
待って……!
『さよなら、ラグナちゃん』
待って、行かないで……!
健吾さん……!!
「―――ッ!?」
そこで、ラグナは意識を取り戻した。目覚めた彼女の視界に映ったのは病室の天井。そこで彼女は、自分が病室のベッドに寝かされている事に気付いた。
「……ここ、は……」
「!! ラグナ、目が覚めたの!?」
「ラグナ、大丈夫か!! 俺の事、わかるか!?」
「……夏希さん……お兄ちゃん……?」
その時、目覚めたラグナの顔を夏希とヴァイスが覗き込んで来た。2人は安堵した表情を浮かべており、よく見るとその近くでシャマルと手塚もホッとした様子で立っていた。
「あの……私、あれから……」
「たまたま、手塚さんがあなたを見つけて助けてくれたのよ」
「見つけた時は本当に驚いた。知人が川を流されていたのだからな」
シャマルの説明によると、川に流されていたラグナをたまたま見つけた手塚が即座にライアに変身し、エビルウィップを巻きつけて大急ぎで岸まで引っ張り上げたらしい。しかし、彼が拾い上げた時点でラグナは意識がなかった為、かなり危うい状態だったようだ。
「ほんとに助かったぜ。手塚の旦那にはいくら感謝しても足りねぇ。本当にありがとう……!!」
「あ……ありがとうございます、手塚さん」
「気にしなくて良い。友人が困っていれば、助けるのは当然の事だ」
兄妹から感謝の言葉を受け、笑顔でそれに応える手塚。この時、夏希はある事をラグナに問いかけた。
「ねぇラグナ。目覚めたばっかりで悪いんだけど、ちょっと聞いても良い?」
「?」
「目が覚める前のラグナ、何だか誰かの事を呼んでたように聞こえたんだけど」
「……え?」
「何か、夢でも見てたの?」
それを聞いた時、ラグナはある事を察し、クスリと小さく笑みを浮かべた。ラグナが突然笑顔を浮かべた事に、夏希達は「?」と頭にクエスチョンマークを浮かべる。
「……私、会ったんです」
「「「「?」」」」
そんな彼等に、ラグナは話す事にした。
自身が目覚める前に聞き取った、ある人物の声を。
「何もない、真っ白な場所で……」
「健吾さんに、会えたような気がしたんです」
少年は、再び少女と出会った。
少年は、再び少女の為に戦い、そして姿を消した。
少年の物語は、今度こそ、終わりを告げる……
END……
『RIDER TIME 仮面ライダーエクシス』……これにて終幕です。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。少女の為に最後まで戦い抜いた少年の勇姿、その目に焼きついたでしょうか?
次のストーリーでお会いしましょう。
ではでは。
「さらばだ、鈴木健吾……仮面ライダーエクシス」
現実世界のミッドチルダ。首都クラナガンのとあるビルの屋上にて、その男―――門矢士は1枚の写真を眺めていた。写真に写るは、眠る少女の頭を笑顔で優しく撫でている、1人の少年の姿。
「さて、1つ目の問題は何とか解決した。この次は……」
士は写真を懐に収め、代わりにある1枚のカードを取り出す。
「問題は山積み……この世界とは、長い付き合いになりそうだな」
士が取り出した1枚のカード……そこには頭部に1本角を生やした、白い仮面ライダーの姿が描かれていた。
「いずれ会う時を楽しみにしているぞ……まだ見ぬ仮面ライダーよ」
世界の破壊者、ディケイド……
新たな世界を巡り、その瞳は何を見る……?
To be continued……?