転生したら魔王の次男だった件! しかも双子の片割れは悪友でした! 作:こんろんかずお
「守、ちょっといいか?」
「あ、うん」
何だろう?
「お前、『ユガの涙』は覚えているか?」
「そりゃ、ザイアードにいた時に俺が使った凶悪な殲滅魔法が使える家宝だろ? それが何かあるのか学?」
「それなんだけど……実はね、ファイラスにも強力な家宝があるのよね」
雫さんの言葉に頷く学。
「な、何っ! じゃ、早速取りに行こう! 何処にあんのそれ?」
どんなものか知らないけど、強力な国宝が使えず、俺らの戦闘能力が超絶劣化した現段階では何か強力な切り札が必要になる。
集団戦も考えてはいるが国の全兵を投入しても、正攻法ではまず勝てないのは、同じ元ザイアードの魔族だった学も知ってはいると思うが……。
しかもこれから相手にしようとしている輩は元々の本家本元の魔王であることが考えられる。
とんでもない異次元の能力を持っていると考え、最低限の保険は確保したいところ。
「ふふ、決まりね! じゃ、皆の戦闘能力の向上もかねて早速アグール火山に行こ!」
「じゃ荷物の準備しないとだな!」
二人とも既に旅行気分なのか、きゃいきゃい騒いでて楽しそうだ。
あ、荷物が詰め込めるスクロールにお菓子とか詰め込んでますけど……。
って、か、火山?
「あ、あの雫さん? 何故にアグール火山とやらに?」
「いや、だからそこにいるのよ目的のドラゴンが!」
「あー、成程ね。目的のドラゴンがねーって、ち、ちょっとー⁉ 俺達今軒並み、戦闘能力が劣化してんだよ? いきなりはそんな強敵従えないんじゃね?」
「だから行くんだよ。その周囲でいい感じの強敵がいるだろうし、どちらにせよ強くなっとかないと、魔王と戦う場合、討ち死にするだけだろ?」
ごもっとも。
しかし、戦闘は基本メイン学に任せるとして、雫さんは地理案内役兼スキルの指南役、今回は俺はただのお荷物になりそうだな。
「そうだな、学の言う通りだ。ただし、今回は俺はお荷物にしかならないと思うから、そこんとこよろしくな!」
俺の言葉に対し、雫さんと学は目を合わせる
「いや、そうはならないと思うぜ?」
「守君は自分の事が分かってないみたいね……。とりあえず、時間が惜しいので準備お願いね?」
「お、おう……」
こうして俺達はファイラスの南側にあるアグール火山に行くことになったのだった。
♢
俺達は雫さんの従えるユニコーンに相乗りして、野山を駆け巡っていく。
「わー、風が気持ちいいねー!」
「いいいやっほ―――!」
「うおおおお、はっや!」
高速で切り替わる風景。
ちょ、木、岩、あぶなっ。
「上、枝があるふせてっ!」
「あばばばっ!」
「うおーめっちゃ楽しい!」
こ、これ絶対スクーターより、いや車よりもはええよ!
そして、スリリングだよ!
雫さんは巧みにユニコーンを操り、蛇行運転していく。
人馬一体かなと思えるほどだ。
「『シルバーウィング』! そのまま真っすぐね!」
「ヒーン!」
雫さんの言葉に呼応するように叫ぶユニコーンのシルバーウィング。
その名前の由来は、銀色の流れるようなたてがみに、まるで翼を持っているようなスピードが出せることからだそうな。
そう言えば雫さんは乗馬も得意だったときく。
ここでまさかの能力開花だよな。
何だか雫さんが頼もしく見えてきた。
正直出来る女性はかっこええ。
しばらく走って森を抜け、草原にでると、目前に何やら禍々しい火山が見えて来た。
遠目で何か赤いスジみたいなのが見えるけど、アレ溶岩じゃね?
「じゃ、ここいらで色々試して見ますか」
素早く飛び降りた学はスキル『メタモルフォーゼ』を使用し、元の魔族の姿になっており、やる気マンマンだ。