転生したら魔王の次男だった件! しかも双子の片割れは悪友でした! 作:こんろんかずお
それから数時間後、魔王城守の部屋にて
「ま、学うー……。良かったなー無事で」
「ははっ……。お前こそ……な」
俺達はしばらく、再会の会話を楽しんでいた。
そして、この会話で分かったことだが、この世界では不思議なことにどの種族間でも言語が統一されているらしい。
早い話、ある程度知恵があるものなら会話が可能ってこと。
ドラゴンでも、魔族でも、ヒューマノイドでもだ。
「なあ、さっき学は何処に言ってたの?」
「『ファイラス』まで散歩!」
学は両腕を元気よく左右に振りジェスチャーでも示す。
うーん、相変わらずエネルギッシュだよなー。
「え、何しに?」
「偵察だな。何でもこの国に攻めてくると言う噂を聞いたんでな」
「えっ? 停戦中じゃなかったのか?」
執事に聞いた話と違い、困惑する俺。
「マモル坊ちゃま、実はここ数日で色々変化があったのでございます」
俺の心情を察した執事は近況を補足説明をする。
何でも『ファイラス』に潜り込ませている
この感じだと少なくても数か月後にはこの国に攻めてくると予想されている。
「実際、練兵している姿を俺はこの目で見たぜ」
マ⁈
「た、大変な事になるじゃねーかそれ? その規模だと、どっちかの国が亡びるかの大戦じゃねーか」
えらいこっちゃ……。
「まあ、そうなるな……。なあ、シツジイ、基本人と魔族の一人当たりの戦力差は人一人の百倍と言われているよな?」
学は執事に、この世界の種族間の戦力ポテンシャルを確認する。
「そうでございます。これは魔族の闇の魔力の影響が大きいと言われております」
学が疑問に持つのも無理もない。
この国は『ファイラス』に対して五万の兵力を有している。
数で比較すると数十万対五万となり、この国が不利に思われる。
しかし、人単位として戦力を単純計算すると数十万対、五百万との戦いになり、負ける要素は見つからない。
しかも今回こちらは、城で守る側となっている。
そう、『ファイラス』が『ザイアード』を倒す戦力は圧倒的に足りないのである。
城を攻める策が古来よりあるが、それは力攻め、兵糧攻め、奇襲、水攻め、火攻めである。
力攻めだけでは守る側の数倍の戦力が必要とされているのであり得ない。
兵糧は攻めは食糧は城内に大量に備蓄されているのでこれもあり得ない。
水攻めも魔族は飛べるし泳げるしであり得ないし、そもそもこの城自体が動く要塞になっているので効かない。
となると火攻めと奇襲に該当する切り札的な
何かが考えられる。
しかし、別世界に転生されて、大戦前ときたもんだ。
まじか……。
「はあ……」
俺は思わず深いため息をつく。
とはいってもウジウジしても現状は何も解決しない。
とりあえず、現状を把握していそうな執事に確認してみよう。
「なあ? シツジイ、『ファイラス』との停戦の維持は無理なのかな?」
「数十年『ファイラス』は目立った動きが一切なかったのです。それが最近のこの動き、避けることは難しいと思われます。まあ、特殊な状況にならない限り負けることはないとは思いますが……。引き続き監視はさせてるのでご安心くださいませ」
「ありがとう。そうだよな……」
「ふふ、守。頭が切れるお前のことだ、また昔の軍師みたいなこと色々考えてるだろ?」
「え? うんまあ」
「ふふ、たまには体を動かして目で確認するほうが早い時もあるぞ?」
学はそう言うと、空手の鍛錬をしに城外の訓練所に出かけて行った。
まあ、確かにそうだよな。
現状を知る相手に確認できたことだし、後は自分達で情報収集してみるほかない。
だからこそ、学は自分の目で事実を確かめに行ったんだろう。
他人任せもアレだし俺も見習って色々情報収集していこう。
しかし、話は変わるがスイさんと雫さんも、この世界に転生しているのだろうか?
皆に会いたい……。
俺はそんな気持ちでいっぱいになった。