転生したら魔王の次男だった件! しかも双子の片割れは悪友でした!   作:こんろんかずお

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ザイアードの危機

「は、早く二人の元に行かないと! 大変な事に……」

 

 数か月後、雫は『ファイラス』城内から王家にのみ使える転送装置を使い抜け出していた。

 

 転送先は『ファイラス』と『ザイアード』の国境近くに配置されている、古代遺跡である。

 

「まさか、このタイミングでしか抜け出せないなんて……」

 

 そう、結局『ファイラス』の王子達が大戦のため『ザイアード』に出兵し、監視が極端に緩んだこのタイミングでしか抜け出せなかったのである。

 

 遺跡の中には無論誰もいない、なぜならこの国家機密情報であるため一部の特権階級しか知らないためである。

 

 数か月間で集めた情報によると大戦はこの遺跡から近い国境近くの場所で決着する予定なのだから。

 

 『ファイラス』の大軍が国境にたどり着くのは数日はかかる、それまでになんとか学と守には会って話さねばならない。

 

 転送装置から出た後に、鞄につめたアイテムを詰め込んだ魔法のスクロールを取り出し、次々に取り出していく。

 

「ああっ、このままでは、学達が……。急いでお願いね? ユニコーン……」

 

 雫は逸る気持ちを抑えきれず、スクロールに収納していたユニコーンに急いでまたがると、覆ったものの姿を消す魔法のマントを羽織った後『ザイアード』の城に向かい電光石火の如く爆走していった……。

 

   ♢

 

 一方その頃、守達がいる『ザイアード』には『ファイラス』から学あての文書が届いていた。

 

「な、なんだとっ! あの馬鹿王子どもっ! ええぃっ!」

 

 その文書を見るやいなや、学はその文書を力いっぱい床に叩きつけると、血相を変え城外へ飛び出していった。

 

 学が飛び出す姿を城内の自室から遠目で見ていた守。

 

「なあ、シツジイ。学がアホみたいなスピード出して急いで外へ飛んでいったけど何しに行ったのかな?」

「い、いつもの鍛錬に行かれたのでは?」

 

 執事は守からふいっと目を逸らす。

 

「……ふーん、なるほど。ところで、例の同盟の話は進んでる?」

「進めてはいますが、『エルシード』からは何も音沙汰はありませぬ……」

 

「そっか……」

 

 守は元々平和主義者であり、三国が平和に暮らせる計画を進めていた。

 

 守がここ数か月色々調べて分かったことは戦争の一つの原因として『各国の国宝』が関係している事実があったのだ。

 

 何でも『各国の国宝』を『ザイアード』と『ファイラス』の国境近くにある古代遺跡の中にある女神アデレの間に捧げれば、女神が三つの願いを何でも叶えてくれるらしい。

 

 守が考えている計画のシナリオは三国で同盟を結び、国の代表者を呼んで、各国一つずつ願いを叶えて行くという考えだったのだ。

 

 そう、守は代表者として、願いに『()()()()』を望んでいるのであった。

 そして、その考えを文書にし、『ファイラス』と『エルシード』に送っていたのである。

 

 学からは()()()()()()()()()()()()が、『協力はしてやる』と約束はしてもらってはいた。

 

「き、緊急連絡っ」

 

 その時、衛兵が城内に入ってきて守に伝言を伝えに来たのだった。

 

「フ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、どうしましょうか?」

「え、ええっ? とりあえず丁重に保護して、今すぐ、ここにすぐ連れてきて!」

 

 ……一体何が起こっているんだろう?

 

 守はさっきの学の行動といい、このことといい、何だか得も言われぬ不安を感じていたのだった。

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