転生したら魔王の次男だった件! しかも双子の片割れは悪友でした! 作:こんろんかずお
あれから暫くして、俺の部屋にファイラスの王女連れてこられた。
驚いたことに王女は雫さんだったのだ!
俺達は一緒に接客用のソファに座る。
「よ、良かったあ……。雫さん調子はどおです?」
無事だったことに素直に喜べたし、ホントに良かった……。
それに……。
よ、よっしゃー! これは心強いし、二国同盟が成立する可能性が俄然高くなってきたぞ!
「まあ、見ての通り、それなりにね? ……ところで学は?」
そわそわしながら、雫さんは周囲をキョロキョロと見渡している。
「稽古に外に行ったって」
「え、そ、そうなんだ……」
ま、まあ、彼氏との再会が楽しみなんですよね?
ワカリマス……。
しかし、雫さん紫色のゴシック式ドレスも似合うなあ……。
ホントに綺麗で元々の品があるし、お姫様みたいだよ……。
……残念なのが胸が無いのだけ……。
「がっ!」
メキィ! 鈍い音と共に俺の右頬に鋭い痛みが走る。
気が付くと、雫さんの左拳が俺の右頬にめり込んでいた。
「……胸が無くて悪かったわね?」
え、エスパー?
そ、そういえば、崖から落ちる前の時も……。
「っと……。こうしちゃいられない。『ザイアード』自体が危ないのよ。と間が勿体ないので移動しながら話しましょう」
「え? 何で?」
驚いたことに、『ファイラス』の王子達が今朝この国に向かって出発したと言う。
学がさっき飛び出していったのもこの関係だと、俺はやっと理解できた。
「あ、ああ俺が飛んで連れていくよ。飛んでいけば数時間でつくしってあれ? 王座に飾っていた『ザイアードの国宝代償の血潮』が無いんだけど? シツジイまさか………?」
「ご察しの通りです……」
「……くそっ、後を追う!」
あ、あいつまさかっ……。
「坊ちゃま……お気をつけて。後このペンダントを例の母君の形見です」
「うん、ありがとう! ヒツジイ留守は頼むよ!」
「心得ました……」
俺はそのペンダントを胸につけ、雫さんをおんぶして、国境を目指し飛んで行った。
♢
それから数時間後、『ザイアード』国境近くにて、学は一人で『ファイラス』の大軍と対峙していた。
「ほう……早かったな。
両腕を組み仁王立ちする学からバカでかい大声が出され、周囲に響き渡る。
「はっはっはっ、いかにも! 察しがいいな魔王よ。俺はファイラスの第一王子レッツである!」
第一王子のレッツは声高々に吠えると、馬にまたがり、大軍の中から颯爽と学の目の前に姿を現す。
「……レッツよ確認するが、俺らとの同盟は考えてないのだな?」
「はっ! 断る! お前の次男から同盟の文書が届いていたが、どうせ
「何だとっ!」
学はレッツの失言に対し、激怒した。
兄弟同然に育った守に対し、侮蔑としか思えない言葉を述べたのだから当然と言えば当然だろう。
「あいつがどんな気持ちで文書を書いたか知らないくせに、よくもぬけぬけと! あいつがその気になればお前達なんぞ、正攻法で数回は皆殺しにしている! まあいい、死んであいつに詫びろっ!」
学は全身の闇の魔力を右手に全集中させる。
魔王であり、転生者である学が使える『闇の魔力を物理攻撃に上乗せする』大技、『ダークネスギガントインパクト』を放つためである。
「はあああっ!」
右手に凄まじい高密度のエネルギーが集まり大気は震える。
「お、おいっ。なんだあれ? な、なんかやべーぞ?」
「う、うわあああ!」
その迫力に『ファイラス』の大軍からは次々と悲鳴が上がる。
学はそれを大軍に向け放つ!
「くらえいいっ!」
真っ黒い高エネルギー体が『ファイラス』の大軍のど真ん中で、大爆発を起こし爆ぜ、爆発音とともに土煙が壮大に上がる……。
そのすさまじい爆発の衝撃で周りの木々と岩が粉々になっていく……。
この技を使うと核爆弾並みの衝撃破が繰り出されることになり、目の前の大軍はもれなく壊滅することになるのだが……。
しばらくし、土煙が晴れる……。
……なんと、驚いたことに『ファイラス』の大軍はなんと無傷であった!?
「なっ⁈ ま、まさかお前達っ……」
予想外の出来事に狼狽える学。
「ふ、そのまさかよ。全軍この『アデレの盾』の加護を受けており、お前達の攻撃は無効化される。何故なら、この盾は『この世界の神の創作したもの』らしいからな。くく……使用代償として俺の弟は死んでしまったがな」
レッツは乾いた声で不気味に笑う……。
涙で頬を濡らすレッツの左手には女神アデレを模した盾が装着されており、加護の効果ゆえか眩い虹色に光り輝いていた。
この各国の家宝は王族のみが使用できる強力なマジックアイテムなのである。
ただし、強力すぎる能力が故に代償として使用者は命を落とす……。
「くっ、王族がまさか自らの命を捧げ、捨て身で万能の盾になってるとは……」
学が先ほど使用した大技『ダークネスギガントインパクト』は高威力であるものの、リスクとして一日一回しか出せない代物であるため、当日に二発目は当然出せない。
(仕方ない俺もこれを使うか。守よ後は頼んだ……。ん? 気のせいか守と雫の声が聞こえる? いや……これはきっと今の俺の願望だろうな)
学は腹を決め、深呼吸すると右手の赤黒い腕輪『代償の血潮』を掲げ高らかに叫ぶ。
「代償の血潮よ! 我が命に答え、アデレの加護を受けし者たち全てを消滅したまえ!」
そう言うと学は静かに膝をついて倒れてしまう。
直後、その声に答えるように一瞬、大気が震える。
「はっはっは、何回も言うがお前達の攻撃はぐはっ……」
そしてなんと……目の前のレッツと大軍全てが学の願った通り、一瞬にして消滅してしまったのだ。
そう、神の力を打ち破るには同じ神の力しかないのである。
同レベルの盾と矛ではあるが、学のギガントインパクトを防いだ分、当然耐久力は落ちているのだ。
後は純粋な数字の勝負。
100の威力の矛と90の防御を誇る盾。
盾を貫き劣化した10の威力とは言え、神の振う矛なのである。
「ま、学ーっ! お、遅かったっくそっ!」
守達は倒れている学の元に急いで駆け寄る。
「ああっ脈がない……。どうしてこんなことに……」
俺と雫さんは間に合わなかった悔しさと悲しみのあまり泣きだした……。
「どうしてって
いつの間にか目の前には、スイさんにそっくりなエルフと『ファイラス』の残党である大軍が現れ、俺達の周りを囲っていたのだった⁉