戦犯者たちの生き甲斐   作:サービス

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14話

 「試作品のワクチン…?」

 

 「何のこと?」

 

アイザックの言葉に困惑するアビー達を他所に商人は質問に答える

 

 「ワクチンについて聞きたいってそれについて知ってるってことはカタログはもう読んだんだろう?なら其処に記載してあるとおりだ。」

 

 「つまり、虚偽でなく本当に開発したと言う事か?」

 

 「ああ。」

 

それを聞いたアイザックは座っていた椅子から立ち上がり商人に言う

 

 「我々と取り引きして欲しい、ワクチンは勿論さっきアンタが言っていた弾薬や医療品等全てだ…支払いは貴金属でも良いか?」

 

 「ヒッヒッヒッ、ああ構わないぜ、毎度あり。」

 

 

 「ちょっと待って!」

 

取り引き成立、話はこれで終わりだとばかりに去って行こうとした商人をアビーが引き止める。

 

 「何だ?」

 

 「何じゃないでしょ!ワクチンって何!?説明してよ!!」

 

 「感染者達を生み出した菌に対するワクチンだ。」

 

 「…えっ」

 

アビーは言葉を失う、いやアビーだけでなくオーウェンやマニーも同様の反応をした。

 

 「以前俺達の仲間がファイヤフライの生き残りからワクチンの研究資料を買い取ってな、ウチの医療チームがそれを引き継いで、その結果完成したのがこのワクチンだ。」

 

 「ちょっ、ちょっと待って!!」

 

一足先に冷静さをある程度取り戻したオーウェンが訪ねる

 

 「ファイヤフライの研究を引き継いだって言ったな?てことは免疫を持っているやつを見つけたって事か!?」

 

 「おいストレンジャー、慌て過ぎて自分の前の所属先をバラしちまってるぞ?」

 

 「あっ!!」

 

商人の指摘を受けて手で口を押さえるオーウェン、それみた商人はため息を吐きながら

 

 「心配しなくても、お前たちに復讐しようなんざ考えてない、危険と隣り合わせの職業だからな。撃たれた奴等も覚悟の上だっただろうしな…」

 

商人が言うと元ファイヤフライ組は複雑そうな顔をする。

 

 「話を戻すぞ、例の免疫を持っている少女の事だが、俺達は彼女を解剖なんぞしてない、別の方法であのワクチンは開発した。」

 

 「そんなのあり得ない!!」

 

商人の言葉にアビーが声を上げる

 

 「ワクチンを開発するには免疫保有者が必要不可欠!!父さんはそう言ってだんだ!!それ以外の方法なんてなかった!!だから父さんは…!!」

 

 「父さんってもしかしてアンダーソン博士の事か?」

 

 「ああそうだ、ジェリー・アンダーソン、アビーの父親だ。」

 

オーウェンがアビーの代わりに答える

 

 「そうか、まぁ別に嬢ちゃんの父親が間違ってた訳じゃない、俺達だから別の方法が見つけられただけでその時点では唯一の手段だったんだろう。」

 

 「そのお前たちだけと言うのは?」

 

アイザックが聞くと商人は一言

 

 「企業秘密だ。」

 

そう言って話を終わらせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから商売についての取り引き内容を確認し契約書を作成して拠点へと戻って来た。

 

 「疲れたな…」

 

流石に今回は肉体的にも精神的にも疲労が蓄積し過ぎた。

 

横になって早々に休もう、そうしてベッドのある部屋に移動しようとした時、

 

 

 

 「ガァァァァー!!」

 

何かの声が聞こえて来た。

 

 


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