戦犯者たちの生き甲斐 作:サービス
「ガァァァァー!!ギッゴァァァァァ!!」
立て続けに聴こえてくる何かの叫び声、明らかに危険な存在だと確信させるその声の主は直ぐ近くにいる、しかし
「……ハァ〜…」
商人は気だるそうにベッドから立ち上がり水族館の外…ではなく
「まったく…」
内部へと進んでいく、しかも慌てる事なく慣れていると言わんばかりに、しばらくすると奥に扉が見えてきた。
「グゥゥゥゥゥ!!」
叫び声の音源はその扉の先にあるようだ、しかし商人は迷わずその扉を開く。
「…………」
扉の先には何やら広い空間があった、その中心には海へと通じるプール、そしてそれを覆い囲むように無数の椅子が置いてある。
そう、ここはイルカやアシカなどのショーを行う劇場だ。
「クソが…」
商人は唐突に悪態をつく、その目線はプールの方へと向けられていた。よく見るとプールの中心には浮島のようなものが作られている、おそらく商人達が作ったのだろう…
しかしそんなことはどうでもいい事だろう…何故なら
「ガァァァァァァァ!!」
浮島には声の発生源たる怪物が雄叫びを上げ商人を睨んでいるのだから…
その怪物は普通ではなかった、通常の感染者達とは違いキノコの様な菌が生えてこそいるが、黒い何かに侵食され尚且つ、身体が菌に覆い尽くされていると言うのに確実にこちらを視認している。
しかし商人は焦らず銃を構える。それもそのはずだ、何故ならこの怪物は商人達がワクチン開発用に育てている苗床なのだから。
本来なら決められた時間に鎮静剤を打ち込んでおとなしくさせているのだが
「誰だ?今日の投薬係は?コイツ大分前からこの状態だったろう?」
今日に限って誰かが投薬をし忘れたらしい。
「こっちは疲れてるってのにふざけるなよ…」
だいぶキレた声でつぶやいた商人は決心する、今日投薬を忘れた奴はWLFを担当してもらうと、シアトルで一二を争う面倒な場所であろう所を担当させてやると…
「ガァァァァ!!」
「おっと!」
いきなり猛スピードで迫ってくる怪物をかわして銃を構え直す。
どうやら浮島から跳躍して自分目掛けて体当たりしてきたらしい…
ドンッッッ!!!と凄まじい爆音が響き渡る。見ると自分がかわした事によって壁に激突した怪物が瓦礫の下から出てきたようだ。激突した影響かフラフラしている、チャンスだ。
「俺も早く寝たいんでな、お前もとっとと眠れ。」
そう言うと商人は銃を怪物に向け引金を引く、発射されたのは弾丸…ではなく注射器だった。
トス
「アッ、カッカッカ」
ドサッ!
注射器が頭に刺さり薬が注入されるとそのまま倒れる怪物。どうやら息を引きとったらしい…
「ハァ〜、死んじまったか…良いとこまで行ってたんだがな…」
そう言うと商人はナイフを取り出し菌を肉ごと切り落としケースに入れる。
「まぁこれぐらいで良いか…またどこかで適当な感染者を捕まえなくちゃな。」
そう言って商人は死体をバーナーで焼いて処分するとすぐに身体を消毒しに行く。水族館内にあったシャワーを修理しておいて良かったと心から思った。
その後商人はすぐ自室に戻って眠りにつく、今日は本当に疲れた…
商人として充実した日々を送りたいと思っていたがこれはなんか違う…
そう思う商人だった。