戦犯者たちの生き甲斐 作:サービス
「ハァ、ようやく見えてきたな…」
瓦礫の山や激流の水路を超えやっと病院にたどり着いたと溜め息をもらす。
感染者達やセラファイト達の妨害こそ無かったが、此処までの道は険し過ぎた。
こんな事ならwlfの連中に送ってもらうべきだったと後悔する。そんな事を考えていると病院の入り口にいたwlfの兵士が此方に気づく
「ん?…あっ!おーい来たぞー!」
兵士が叫ぶと建物内から見知った顔の奴らが出てきた、元ファイヤフライ組だ、その中の一人が自分に近づいてくる。
「よく来てくれたね、歓迎するよ商人。」
「ああ、確かノラだったか?」
「ええ、よろしく、早速だけど本題に入って良いかしら?」
「ああ、頼む。」
挨拶もそこそこにして商人は仕事に集中する。
「マニーから聞いてるとは思うけどこの病院こそが始まりよ、最初の感染者が運ばれてそれからはねずみ算式に増えていった。」
「まぁ患者だけじゃなく医療スタッフたちも大勢居ただろうからな。」
加えて未知の胞子による怪物化、バイオハザードの条件としては最低に最高だ
「取り敢えずこの病院の当時の状況や感染者達に関する資料があるなら見せて貰えるか?それと地下室の見取り図も在れば良いんだが…」
「ええわかった、直ぐに持って来る」
「成る程、やはり当時の感染者達はまだかなりの数が生き残ってたか…」
案内された部屋で院内にあった医療スタッフの資料や見取り図だけでなく、wlfの調査記録にも目を通した商人、その中には感染者達についても報告されていた。
「ええ、この病院に潜伏していた感染者達の菌はかなり成長しているにも関わらずコロニーになっていない奴らが多かったのよ。まだ原型が残っている個体も服の残骸から推測してパンデミック直後の個体の可能性が高いと見てるわ。」
ノラの説明を聞いて商人は考え込んだ…
(パンデミック当時の奴らの多くが完全な菌にならず生き残っていた、つまりは例の感染個体も生存してるかもしれんと言う事か…)
これが自分達の世界なら商人はもっと警戒したかもしれない、この世界で店を構えてだいぶ経つが彼らは無意識のうちにこの世界の感染者達に対する警戒度を下げてしまっていた。
ランナー、ストーカー、クリッカーという見つかったり音を立て無ければ問題が無い連中。
人間離れした怪力を持つブローターやシアトル等の雨が多い地方でよく見かける酸性のガスを放出するシャンブラーと言った個体もいるがグレネードやアサルトライフル等の強力な武器があれば容易く排除可能な存在だ。
この世界は自分達の世界とは違う、同じような化け物になってしまう様な病原菌の初感染者であれど流石にブローターを超える様な個体は出て来ることはないだろう。そう判断し商人はノラに向けて口を開く。
「よし取り敢えず、俺が地下に行って様子を見に行く案内してくれストレンジャーガール。」
その発言にwlfの面子がどよめく。
「ちょ、ちょっと待ってよ!?まさかアンタ一人で行く気なの!?」
「ああ、そうだが?」
「そうだがって!」
ノラの質問に首を傾げながら答える商人、そこにオーウェンが声をかける
「商人俺たちも手伝うよ、お前達のおかげで俺達はこれまでに無いほど平和な時間を過ごせてるんだ。」
その恩義に報いたい、そうオーウェンが言うと周りにいた者達も頷く。
「アンタは父さんの研究を無駄にしないでくれた、それだけじゃなくアンタの仲間たちを殺した私達を許してくれた、だからお願いアンタ達を助けさせて。」
「ああ、それにお前らは良き隣人だからな、死んでほしく無い。」
アビーやマニーにwlfの兵がそうだ、そうだと同調する。
それを見た商人は目を見開く、それと同時に何か満たされていく感覚がする。
(ああ…これは…)
見開いた目を閉じ、しばらくしてゆっくり目を開く
「ヒッヒッヒッ、わかった、なら護衛を頼もう、報酬はここにいる奴ら全員に酒を一瓶振る舞おう。」
その一言で更にその場が活気付く。
「よしっ!!ならとっとと終わらせるぞ!ブローターだろうがシャンブラーだろうが片付けて飲むぞー!!」
「ああ!なんなら追加の酒も買って朝まで飲み明かそうぜ!!」
「ちょっと!!まだ仕事も終わって無い内に酒盛りの話しなんかしないでよ!!」
「それにアンタ達明日は仕事があるでしょう…」
オーウェンやマニーをアビーとノラが諌める、他の隊員達も良い酒が飲めると騒いでいた。
「まぁ取り敢えず案内を頼む。」
商人がノラに言うと笑って頷き商人と歩き始める、wlfの隊員達も後に続く。
着いてきた大勢の隊員達を確認した商人はこう言った。
「いや、こんなには要らんぞ?」