戦犯者たちの生き甲斐 作:サービス
「よし、じゃあ準備は出来たな?」
病院の階段の前で商人は確認を取る。
「おそらく下は感染者共の巣窟になってる、幾らワクチンがあるとは言え咬まれれば怪我をする、そして怪我をすれば当然出血する、感染は免れても出血多量が原因で死んじまったら笑い話にもならん…良いか絶対に油断するなよ。」
大量に着いてきたwlfの中からアビー、オーウェン、マニーの三人を同行者として指名した商人、
「ああ…まぁ…うん。」
「出来たことはできたけど…」
「なんかなぁ…」
「何だストレンジャーズ?何か気になる事でもあるのか?」
しかし彼等は全員顔を顰めて返答する、それに対して商人は首を傾げる。
それに対してアビーが口を開く。
「いやアンタが用意した装備なんだけどさ…除草剤って何よそれ、真面目に戦う気あるの?」
「当たり前だろうストレンジャー、菌の化け物である感染者共にとって有効な武器と言ったら此れだ。」
「いや…そうかも知れないけどせめて火炎放射器とかもう少しまともな武器を持ってた方が…」
「心配するな、それに俺は商人だ、変に強力な武器を使って誤射でもしたら目も当てられない、戦闘は本職に任せる、さてそろそろ行くとしよう。」
アビーの疑問に返答しながら商人はマスクを着用する、三人もため息を吐きながらマスク着けた。
「…ヒドイね…」
「まぁ何年も放置されてた訳だからな…」
周りを警戒しつつも嫌悪感を隠しきれずに呟くアビーの独り言にオーウェンが言葉を返す、暗い院内は壁を埋め尽くす程の胞子が繁殖して、最早何処からが壁で何処からが胞子なのか判別できなかった。
パンデミック当初の状態から人の手が入っていない建物は何度も見てきたが、その中でも此処は群を抜いていた。
しかし…
「ヒッヒッヒッ、やはりな、電子機器の残骸や薬物が残ってる。使えそうな物をチェックして置こう。」
この人外は平常運転だった…所々を物色しながら使えそうだが運び出せない物はメモして書き留めている…
いくらなんでも緊張感が無さすぎるだろう、そう思ったのかマニーは少し咎める様に声を掛ける。
「オイ商人、あんまりウロチョロするな…まだ何も出て来ちゃいないがどんな化け物が潜んでるかわかったもんじゃ無い…」
「ヒッヒッヒッ、あぁすまんすまん仕事に護衛がいる探索なんて中々ないからつい気が緩んでな、気をつけよう…」
「頼むぞ友よ、しかし最初の感染者か…もし生きてたらどんな化け物になってんだろうな?」
「ヒッヒ、そうだな…人体模型みたいな外見で四つん這いになって天井や壁に張り付いて襲ってくる様なやつだったり、身体中に目玉がついてて何回倒しても強くなって蘇る様な化け物じゃなければ良いな。」
「イヤに具体的だな!?いるのか!?そいつらは!?」
「ちょっとやめてよ!想像しちゃったじゃない!」
「…そんな奴らがいたら勝ち目無いぞ…」
「ヒッヒッヒッ、冗談だ…」
そんなやり取りをしながらも廊下を歩いていく四人…
「ねぇ、ちょっと待って…」
しかしアビーの声で三人は足を止める。
「どうした?ストレンジャーガール、トイレか?」
「ちがうわよ!!そこに何かいる!!」
前方のストレッチャーに繋がれた何かにアサルトライフルの銃口を向けるアビー、それと同時にオーウェンとマニーも銃を構える。だが…
「ヘイ、ストレンジャーズ。そいつはもう死んでる…」
商人は三人を通り過ぎてそれに近づく
「体の原型は多少は残っているがコイツはもうコロニー化してる…ただの菌の塊だ…」
その言葉に多少警戒心が下がったのか三人は銃口をおろす。
「フゥ…そうか…しっかしまだ感染者が一体も出て来ないが、もしかしたら全員コロニーになってるかも知れないな…」
「…まぁ確かにこれだけ壁が菌だらけになってるから無くはないだろうけど…」
「だがそうなると最初の感染者もコロニーになってる可能性もあるな、そうなったら商人…ワクチンの「グォォォォォォ!!!!!!」っ!!」
ガッシャーンと何かの機材が倒れる音と共に何かの叫び声が聴こえ全員が音の聞こえた方へ顔を向ける、視線の先にあったのは壊れて使い物にならなくなった扉があった。
「グゥゥゥゥ!!!!!!」
しかし四人はすぐに別のものに目を向けた…
ドス!ドス!ドス!
それは塊だった…
肉と肉、菌と菌が混じり合い寄せ集まった巨大な塊…
「グォォォォォ!!!!!!」
咆哮と同時に其れは走り出した…