戦犯者たちの生き甲斐   作:サービス

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25話

 

「良く来たなストレンジャーズ」

 

「初めまして私がアビゲイル。後ろに居るのが右からオーウェン、マニー、ノラ、メル、ジョーダン、リア、ニックよ」

 

「ああよろしく」

 

 アビーを始めとする、元ファイヤフライ組に挨拶をする商人。お互いに挨拶を終えると……タイミングを見計らって、マニーが話しかけてくる。

 

『しかし……見た目じゃ全く判断出来ないくらい、兄弟とそっくりな恰好だな?』

 

『……兄弟? 兄弟って、シアトルのあいつか? まぁ……この格好は、個人を特定されにくい様にわざと同じにしてる訳だからな。判別できたら意味がないだろう?』

 

 互いに母国語であるスペイン語で話しながら道を進む……。

 

『しかし…』

 

 商人は後ろのメンツを一瞥する……正確には、その中の一人に……。

 

『……あのガキんちょは誰だ?』

 

 子供がいた。先程の紹介時、説明されなかったスキンヘッドのチビっ子を視線に捉えて……。

 

『……なんだ? 聞いてないのか? シアトルの支店の見習い雑用係だそうだ。確か名前は……レブだったか?』

 

『聞いとらん…』

 

 周りを不思議そうに見ながらアビーの手を握っている、見習いなんてできたのか? ……とか思いながら森を抜けて行く。

 

 しばらくして……ジャクソンの街に着く。すると、前から二人の男女が現れた。

 

 

「いらっしゃい。話は聞いてるわ、シアトルから態々ご苦労様……。この街の代表の一人、マリアよ」

 

「夫のトミーだ、よろしくな」

 

 二人の登場に、アビー達は体を硬直させる。商人の肩を掴み……後ろに引きずってき、小声で怒鳴りつける。

 

(ちょっと!? どう言うことよ!!)   

 

(何がだ?)

 

(……何が? じゃないでしょ!! 何で、街の人間に話が通ってるのよ!!)

 

(……イヤ、一応俺の商売相手だから……話を通さんと筋が合わないだろう? 其れに誰を探してるか知らんが……探してる奴が居るなら街の住人に直接話を聞いた方が早いだろう?)

 

 当たり前の事を聞くなと言う様な商人の態度に……アビーが拳を振り上げそうになるも、男達がそれを止める。

 

(……ちょっと待て、兄弟から聞いてないのか!?)

 

(復讐したい奴がその街に潜んでるらしいから頼むとは言われたが……それ以上の事は何も知らんぞ?)

 

ウソである

 

「まあまあ君たち……待ってくれ。商人を離してやってやれ……」

 

 トミーが彼らに声を掛け、宥めるも彼らの表情は不満げだった……だが?

 

「……俺も元ファイヤフライだ。なぁ? 良ければ、事情を話してくれないか? ……何か、協力出来るかもしれない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    〜アビー達が来る数週間前〜

 

「……ファイヤフライの奴らが、ジョエルを殺しにくる!?」

 

「元、ファイヤフライな? 今は、ワシントン解放戦線……通称”WLF”だ」

 

 シアトルから連絡を受けた商人は……事の経緯を、ジャクソンの街の連中に伝えていた。

 

「何でも……ワクチンの開発責任者の娘がいるらしくてな? その他にも仲間を殺された仇だとかで……何人か、その娘に同行して来るらしい」

 

 商人の言葉を聞いたマリア、トミー、エリー、そしてジョエルは黙り込む。

 

 しばしの沈黙の後……ジョエルは口を開いた。

 

「……俺が名乗り出る」

 

「ジョエル!?」

 

 その場にいた全員が目を見開き、ジョエルの方を見る。

 

「何バカ言ってんだ!! エリーを残して死ぬつもりか!?」

 

「そうよ、早まらないで…何か別の方法を考えましょう」

 

「そうだよ!! 一旦街から避難して、そいつらがいなくなったら戻ってくるとか!」

 

「……そりゃ無理だ、嬢ちゃん」

 

 商人が、エリーの案に待ったをかける。

 

「何でよ!?」

 

「そりゃあ……俺たちが居るからだ」

 

「えっ?」

 

 呆気に取られた表情の彼女を無視して、商人は話しを続ける。

 

「WLFの連中は、唯の得意先ってだけじゃない……ワクチン開発の協力者でもある。ジャクソンシティも得意先ではあるが……そいつらが、そこの死にたがたりストレンジャー(ジョエル)の捜索を頼んできたら……断れん」

 

「ッ!? アンタ!!」

 

「……今な? こうして情報を話すだけでも……最大限の譲歩なんだ。分かってくれ……嬢ちゃん」

 

 その言葉にエリーは我慢できず……商人に向かって飛び掛かる。

 

「譲歩ってなに!? 人殺しに協力しておいて、譲歩もクソもないでしょ!」

 

「それはごもっとも……人殺しはクソだ。……どんな理由があろうとな……」

 

 商人はジョエルを見る……その態度に対して、エリーは言い返す。

 

「ジョエルは……ジョエルは、私が殺される所を助ける為にやっただけ! ファイヤフライの奴らをやらなきゃ、私は殺されてた!!」

 

「それなら、ファイヤフライは人類を救う為に嬢ちゃんを殺そうとしただけだ……。規模や被害で言えば、向こうの方がでかい」

 

 エリーは商人を殴り飛ばす。

 

 更に追撃を行う為、倒れた商人に向かって飛び掛かろうとするが……ジョエル達の、三人に止められる。

 

「エリーもうやめて!」「エリー!!」「やめろ!!」

 

「離せ! 離してよ!!」

 

 涙を流しながら……必死にもがいて走り出そうとしながら……エリーは懇願する。最も……こんな事をしても、何も解決しない。

 

 しかし……この無神経な奴の態度は許せない。そんな思いも知らずに、商人は話す。

 

「……フゥ、まあそんな訳だ嬢ちゃん? 連れて逃げるもよし、最後の時を一緒に過ごすも良し……好きにしろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひとしきり暴れたエリーは、ジョエルの家を出て行く……。その後ろ姿を見送り見えなくなったあたりで、再び商人は大人達に向き合う。

 

「さてと…」

 

 三人の商人を見る目は冷たい。商人を庇ったとは言え……気持ち的にはエリーに、トミー達は同意してるし……エリーを泣かせた事から、ジョエルからも冷たい目で見られている。

 

「……じゃあ、ストレンジャー達? 商売を始めようか……」

 

 『感情よりも商売』……それを物語るかのように、商人はジョエル達の眼差しを無視しては話を続けるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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