戦犯者たちの生き甲斐   作:サービス

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6話

 (オイ、ストレンジャーズ、ストップだ。)

 

 先程まではまるで子供のようにはしゃいでいた商人が急に足を止め呟く。その切り替えの速さに少し呆気を取られるも、ジョエルとトミーは直様商人の言いたいことを理解した。

 

 (ブローターか…)

 

 薄い壁一枚を隔てた向こうからドスン!ドスン!と、何が歩く音がする、床の軋み音から見てかなり重量感のある足音だ。ブローターで間違いないだろう。

 

 (オイ、どうする?除草剤を浴びせようにも奴は壁の向こう側だ、迂回しようにも向こう側につながる道が無事であるとは限らん、ここは音を立てて奴を誘き出そう。)

 

 商人とジョエルの2人にトミーが提案する、感染者達はその身に宿る菌が成長すればする程視覚を失い聴覚頼りになっていく傾向がある、ブローターも厄介な個体ではあるが例外ではない。今のようにきちんとした対策を行なっていれば気づかれたところでなんのことはない対処可能だ、ジョエルもその案に賛成する。

 

 (ああ、わかった。なら壁から少し離れるぞ。勢いよく飛び出してきたところを巻き込まれたら怪我じゃ済まない、距離をとって一気に除草剤を浴びせてやろう。)

 

 そして2人は壁から離れていく。

 

 (おい商人、どうしたんだ?)

 

 しかし商人はその場を動こうとしない、それどころか腕を組んで此方を睨んでいる。

 

 

 (ど、どうしたんだ?)

 

 (何やってんだ商人!?早く来い!離れるぞ!)

 

 (ヘイ、ストレンジャーズ、俺の話を聞いてなかったのか?)

 

 2人を睨んだまま商人は語る。

 

 

 (ここはようやく見つけた理想の場所だと言っただろう?それなのにブローターに壁を破壊させる?いくら後から直すとはいえ材料や人材もタダじゃないんだ、損傷箇所は少ない方が良い、俺は絶対に反対だ!!)

 

 この後に及んでまだそんなことを言っている商人にジョエルが絶句し、トミーが静かにキレる。

 

 (なに馬鹿言ってんだ!?化け物がいる状態で修理もクソもないだろうが!!奴を倒さない事にはこの建物だって安心して使えないんだぞ!!)

 

 (そんなことは解ってる!しかし後の事も考えるのが商人と言う者だ!!大体ブローターを音を立てて誘い出してみろ!必要以上に暴れて建物を穴だらけにするに違いない!!ここは迂回して不意をつくべきだ!)

 

 「いやだから道があるかどうかわからないから誘き出すんだろう!?あるかどうかわからん物より確実な方法でやる方が合理的だ!!」

 

 「合理性だけでは商売で成功できん!むしろ少ない可能性に賭けてこそ新たなる道「グォォォ!!!!」グァパァ!!」

 

 「「商人ンンンン!?」」

 

 興奮しすぎて声のボリュームが上がっているのに気づかずブローターにぶっ飛ばされる商人。思いっきり飛んでった後地面に身体を叩きつけられたものの問題ないと言わんばかりに起き上がり手を振る。

 

 「こんな事もあろうかと用意して置いた軽量ボディーアーマーサムライverだ!本来なら5万のところを今なら「馬鹿言ってないで逃げるぞ!」了解!!」

 

 プシュー、プシューとブローターに除草剤を浴びせながら走る2人、しかし

 

 「クソッタレめコイツ除草剤が効かないぞ!?どうなってやがる!!」

 

 「ゴアァァァァー!!!」

 

 此方に迫ってきながら叫ぶブローター

 

 「いや…」

 

 しかし商人が敵を指差し指摘する。

 

 「効いてはいるようだぞ?少し足元がおぼつかなくなってきている。おそらく後もう少し何か攻撃を与えれば決定打になりそうだ。」

 

 「だったらコイツだ!!」

 

 そう言ってジョエルは背中に背負っていたショットガンを構える。

 

 「これで終わりだ!化け物!!」

 

 ドォォン!ドォォン!ドォォン!

 

 「グオアァァァー!!」

 

 最後の雄叫びとばかりに声を張り上げるブローター、フラフラと辺りを行ったり来たりした後、膝から崩れ落ち床に倒れた。

 

 「終わったな。」

 

 「ああ、だがまだ中に感染者達がいるかもしれない一旦引き返ってまた後日中を調べてみよう。」

 

 「だな。今日はもう疲れたよ。」

 

 

 

 

 

 

 「ジョエル!トミー!」

 

 外に出るとエリー達が全員、心配そうだった顔を明るくして近寄ってくる

 

 「大丈夫だったの?ブローターは?退治できたの?」

 

 エリーがそう聞くとジョエル達は頷く。

 

 「商人の言ったとおりデカイのが1体いた、とりあえずそいつは倒せたがまだ中に感染者がいるかも知れない、また後日入って調べてみようと思う。」

 

 「ああ、そん時は商人、もう一度トランシーバーをレンタルさせて欲しいんだが…?商人?」

 

 ふと後ろを振り向くと商人がいない。

 

 「おい?アイツどこに行ったんだ?まさか感染者に!?」

 

 

 

「オーーーイ!!俺ならここだ!!ストレンジャーズ!!」

 

 

建物の上から声が聞こえてくる。上を見上げてみると最上階の窓から手を出す商人がいた。

 

 「少しここに用事があってな!先に帰っててくれ!何なら俺達でこの建物を掃除しておく。そうだな、3週間後ぐらいにここに来てくれ!レンタルした物はその時にでも返却してくれれば良い!それじゃあな!」

 

 

 そう言うと商人は建物の中へと消えていった

 

 「なんなんだ?」

 

 「どうしちゃったの、商人のやつ?」

 

 エリー達が疑問に思っていると、ジョエル達は

 

 「色々あったんだ…色々とな…」

 

 疲れた顔でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜

 

 

 「ヒッヒッヒッ、さあ掃除を始めるぞ!」

 

 ガシャン!ガシャン!ガシャン!

 

 「ヒッヒッヒッ、お前たちの鎧なら感染者達にも破壊され無いホテルの掃除はあらかた済んだからな、他の店も掃除して置こう。」

 

 ガシャン!ガシャン!ガシャン!

 

 「ヒッヒッヒッ、さあ忙しくなるぞ。」

 

 





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