戦犯者たちの生き甲斐 作:サービス
一連の騒動から3週間、アレから色々あった。
例の廃ホテルから商人が以前ジャクソンの町から出ていったカップルを変わり果てた姿で発見し、その2人の最後の様子が書かれた手紙を町に届け、それを見てジョエルとエリーがいい争いになったり、ジェシーとディーナのカップルが別れたりなど、さまざまな出来事があった。
そしてその日の朝早く、エリーは馬を連れて町の外に出ていた。背中には食料や弾薬などが入ったリュック、そしてライフルが背負われている。
(ジョエルは何か隠してる、ファイヤフライの本拠地に行けば何かわかるかも知れない…)
そう、エリーは町を出て行ったのだ誰にも言わず、たった1人で…
理由はジョエルとの口論が原因だった、エリーには一連のパンデミックを引き起こした菌に対して免疫があり、その特異性からファイヤフライに協力してワクチンを作る為にジョエルと旅をしていた。しかし目的地にたどり着いたは良いが、エリーは気を失っていた為詳しい詳細を知らず目が覚めた時にはジョエルと共に車に乗っていた。
(ジョエルはファイヤフライはワクチンを作るのを辞めたって言ってたけど信じられない…)
真実を知る為エリーはファイヤフライに向かう為町をでる事にした。
(前の時とは違う、ジャクソンからなら馬を使えば一カ月もかからずにいける。)
エリーがそんなことを考えていると。
ドゴォォォン!!ドゴォォォン!!ドゴォォォン!!
何やらとんでもない爆音が山全体に響き渡る、思わず体をビクッ!!と硬直させるエリー、手綱を抑えられてる愛馬のキラリも驚いたのかその場を離れようと体を動かす。
「あっ!コラ!動かないでってば!!」
なんとか宥めて手綱を握り直すが、そうこうしているあいだにも音は鳴り響き続けている。最初こそ驚いたが原因は見当がつく
(アイツだ…)
十中八九商人の仕業で間違いないだろう。此方は散々頭を悩ませているのに奴は変わらず平常運転だ、そう考えるとなんか腹が立ってきた。
(決めた!)
旅立つ前に文句を言ってやる、ついでに何か役立つものがあるかもしれない。幸い見回りの時に貯めた小遣いがそれなりにあるし備えて置くのもいいだろう。
そうと決めると話は早い、早速エリーは音の発生源に向かって歩き出した。
「………えぇ〜?」
エリーは目の前の光景が信じられなかった、ここは間違いなくジャクソンにあった廃ホテルだ。それがどうだなんか物すごい事になっている。
「光ってる…」
そう、ものすごい光ってるのだ。ネオン輝く夜の街の如き光を放ち"安心と信頼"と書かれている旗が建物に掲げられている。ボロボロだった見た目も完璧に直されている。ホテルだけでなく周りにあった店も同じく電飾が取り付けられ旗を掲げている。
「ホント、なんなのもう!!アイツどこに居るの「ヒッヒッヒッ、お呼びかなぁストレンジャーガール。」わぁー!!」
振り向くと後ろに奴がいた。
「ヒッヒッヒッ、随分と御立腹だがどうした?カルシウム不足ならサプリメントがあるぞ。それとも月一のやつか?痛み止めならあるがあまりオススメは出来ないな。」
「違うつうの!!イラついてるのはこの馬鹿でかい音のせい!!何やってんのあんたら!?」
失礼な勘違いを正しながらキレて質問をする器用なエリー
「ああ、これか?なんて事ないただ地面を爆破してるだけだ。」
「何やってんの!?土砂崩れが起きたらどうすんの!!」
「大丈夫だ、商人をやる前は洞窟内でダイナマイトを使ったりしてたからな、危険な場所とそうでない場所の判断はつく、この辺りなら大丈夫だ。」
自信満々に商人は言う
「嬢ちゃんこそどうしたこんな朝早くから馬なんぞ連れて、家出か?」
「…べつに関係ないでしょ…」
図星をつかれ顔を背けるエリー。
「ヒッヒッヒッ、まぁそうだなそれで買い物か?何か必要なら入ると良い新装開店後初めての客だ。」
そう言ってホテルに入っていく商人、エリーもムスッとした表情をしながらも後をついて行った。
「ウェルカム!!」
歓迎の言葉を聴きながらエリーは店の内装をみる、外も凄いが内部も凄い、明らかにパンデミック前の状態を取り戻している。
「これ、あんた達だけでやったの?本当に?」
「ヒッヒッヒッ、そんなわけないだろうちゃんと人手は確保して、手伝わせた流石に3週間じゃ完璧とはいかないが、商売するには問題ないだろう?」
「まだ完璧じゃないんだこれで?」
「まあなそれでご注文は?」
「…とりあえず長旅に使えそうな物見繕って、その中から買えそうな物だけ買うから。」
エリーが言うと商人が首を傾げる。
「旅?家出じゃないのか?ストレンジャーガール?」
「違うよ、これからソルト・レークに行くんだよ。そのために必要なものを揃えたいの。」
「そうか、しかしソルト・レークか…嫌なことを思い出すな…」
商人が布で隠している顔を歪め呟く
「何、ソルト・レークで何かあったの?」
「ああ、ファイヤフライ奴らに物資を奪われた時があってな、その時仲間の何人かが頭を吹っ飛ばされた。」
「えっ?」
それを聞いたエリーは思わず目を見開く
「以前ソルト・レークで商売をしようとしてな、ファイヤフライの奴らに声をかけたら、それを寄越せと銃を突きつけられてな、断ったら問答無用でズドンだ。」
商人の話に黙って耳を傾けるエリー
「ムカついたから奴らの本拠地に向かって音響爆弾を投げ込んで感染者を仕向けてやった。他にもやばい匂いのする缶詰を建物内に投げ込んだり、まあ色々やってな、とにかくそれ以来ファイヤフライはブラックリストに乗せて商売をしない事にしたんだ。」
「何やってんの?」
仕返しにしては余りに幼稚な手段にエリーは呆れる、仮にも仲間がやられたと言うのにそれで良いのかと…
「だが、もうブラックリストからファイヤフライの名前は消してある。」
「へぇ、なんで?」
「組織が壊滅したからだ。」
その言葉にエリーは身を乗り出す
「どう言うこと!?ファイヤフライが壊滅した!?」
「ああ。」
「何で!?」
「だいぶ前にアイツらの残党にあってな、これまでの非礼は詫びるだからこれを買い取って商品を売って欲しいと言われたんだ。確かワクチンかなにかの研究資料だったかな?」
「それ見せて!!」
それを聞いたエリーは商人に詰め寄る。
「おいおい、どうした買い物は良いのか?そもそも何でそんなもの見たがる?」
「いいから見せて!!お金なら払うから!!」
そう言ってエリーは受付のデスクの上に全財産をおく。
「はぁ…わかったよストレンジャーガール、全く最初の商売がこれとは…」
商人はぼやきながら奥へと向かって行く、暫くして紙の束を持ってきた。
「エリー!!ここに居たのか!?捜したんだぞ!!」
しばらくしてジョエルがやってきた、エリーがいないことに気づいて急いできたのか服装がかなり乱れている。エリーの姿を確認すると抱き締める。
「急にいなくなって心配したんだ「やめて!!」!?」
自身を抱き締めているジョエルを突き放しエリーは言う
「全部知ってるんだよ!?ワクチンを作るにはアタシが死ぬ必要があったことも!それを許せないからファイヤフライを潰してアタシを連れ出したことも、」
それを聞いたジョエルは動揺する。
「エリーお前どうして?」
何故それを知っているのかを問う。
「商人がファイヤフライの生き残りから研究資料を買い取ってたんだよ!そこには研究のこと以外にもジョエルがやった事についても書かれてた!!みんなを助けられたのに!!アタシは生きた証を残せたのに!!何で助けたの!!」
そう言われてジョエルは顔を伏せる
「ねぇなんとか言ってよ!?ジョエ「すまないストレンジャー少し良いか?」ッッ邪魔しないでよ!!」
空気を読まず急に入ってきた商人に怒鳴るエリー
「いやその治療薬のことだがな?」
しかし商人は冷静にだがどこか言いにくそうに話す
「もう作ったぞ試作段階だが…」
その発言で空気が凍った