離れて近づいて ~infinite world~ 作:月島柊
美波は銅のダガーを貰って、嬉しそうだった。ぴょんぴょん跳ねて、俺に抱きついた。
「美波ちゃん!?何してるの!?」
有希が慌てて美波を離した。美波は抵抗して、俺にくっつこうとした。
「じゃあ、間を取って私がくっつく」
そう言ったのは、あの武具店の女の人だった。今気付いたけど、なんかすごい若くね?
「あの、若いですね」
「若いっていうか、まだリアルでも20になってないもん」
ああ、そういうことか。
「そりゃあ若いね。名前は?」
「由月。本名そのまま」
由月は俺の肩に手をかけてぶら下がっていた。
「なんでみんな蒼くんにあまえるのーっ!」
有希の声が響き渡る。
それから、有希は頬を膨らませていじけていた。
「有希、許してくれないか?」
「ぶーっ」
有希は不貞腐れていた。頬を膨らませてるのがかわいいけど、言ったところで逆効果だろう。
「有希、俺は有希の俺だろ?」
「そうだけど……他の人とべったりなの、嫌……」
それだけ俺のことが好きなのは嬉しいけど、俺が有希以外の人と仲良くしすぎたかな。
「ごめんね、俺は有希が1番だから」
俺は有希にハグした。有希は俺の頬にキスして、恐らくもう仲直りできた。
現実世界に戻った俺は、有希の部屋でずっと一緒にくっついていた。まるで新婚夫婦のように、ずっと1m以内にいる感じだった。
「蒼くん、あーんして?」
「あーん」
有希は俺の口の中にグミを1つ入れた。
「おいしい」
「私が作ったのじゃないけどね」
有希は笑いながら言った。
「あっ、夕飯作らないと」
「付いてくか」
俺は有希のすぐ後ろをついていった。有希はたまに速く歩いたりして、楽しくしていた。
「有希、今日の夕飯は」
「えー?どうしよっかなー」
「教えてくれないと耳噛むよ」
「えー?おしえなーいっ」
俺は唇で有希の耳を咥えた。
「ひゃうっ!」
「言っただろ?」
「むーっ、仕返し!」
有希が俺の耳を甘噛みした。
「うわっ」
「えへへー、仕返さないと」
有希は手を引っ張ってキッチンへ俺を連れて行く。
有希は野菜を切っていて、キッチンを動き回っていた。有希は俺の方を見ること無くひたすら料理を作っていた。
(暇だなぁ……)
俺はキッチンへ向かい、有希に後ろから抱きついた。
「ちょっと、危ないよ」
「暇だったからさ。ちょっと補充させて」
「10分以内だよ?」
有希は結構多く時間を取ってくれた。有希も俺に抵抗することがなかったから、有希もしたかったんだろう。
「作り終わったら蒼くんに甘えるから」
「分かった。いつでもいいよ」
俺は有希に抱きついたまま言った。