離れて近づいて ~infinite world~ 作:月島柊
それから1ヶ月が経った。
少し遅れたが、攻略組の討伐の準備が行われた。俺はガンショップに行き、先の銃と弾を買った。数がすごいことになっているが。
「弾が5600、銃がS16型を3つね。聞いたわ、攻略組の討伐だって?」
「そんなとこだ」
「そう。それにしては弾がありすぎる気もするけど」
「万能のやつを買ったからな。咲希以外にも使わせる」
ガンショップの店員は結構優しい。仲もいいし。
「そうだ、ちょっと見せてくれない?魔法」
「いいよ」
俺は浮遊魔法で浮いて見せた。
「それを使うの?」
「そうだな。相手は塔を上ってるわけだし」
1番効率がいいことだろう。
「じゃあ、ちょっと1発かましてあげて」
そう言って、店員は物騒な物を俺に渡した。
「あのなぁ、いくら破壊しないからって、グレネードを手渡しするなよ……」
「落とさないでね。衝撃で爆発するから」
ホントに物騒だな。
「はいよ。じゃ、勝ってくるわ」
俺はガンショップをあとにした。あれ、よく考えたら俺、今物騒な物しか持ってない?銃にその弾、さらにグレネード。怖すぎだろ。
俺が追放組織の拠点に着くと、俺はグレネード以外をストレージから出し、咲希に全て渡した。
「弾、すごいあるね」
「5600発だからな」
「そんなにいるの?」
「分からん」
俺は咲希にそう言うと、上を見上げた。ここは攻略組がいる塔の近くにある森。その中に大きなテントをたてている。
「蒼くん?」
「あぁ、そんなにいないといいなって」
俺はもう、そんなことを願うだけだった。
夜中。もう外は暗くなり、静かになった。しかし、そんな中で、草を踏む音が聞こえた。虫じゃない、何か大きい生き物。動物、人間……
ジーッ
テントの扉が開いた。俺はすぐに銃を準備した。
「誰だ」
返事がない。なんだ、人間なはずなのに。
バンッ
テントの壁を貫通した。やはり、人間だ。
バンッ
もう1発。俺はすかさず銃を撃った。
「……馬鹿だな……」
そんな声が聞こえた。
「どういうことだ」
「組織を信じすぎだ」
組織?俺が疑問に思っていると、周りから多くの物音が聞こえてきた。
「仲間なわけないだろ」
「ここまで多くの人を集めた。多く殺せるじゃないか」
「っ!」
「このダガーを使えば、現実世界にも傷がつく。さぁ、遊ぼうぜ」
俺は追放する弾が入った銃を持った。しかし、すぐに取り上げられ、俺は……
痛い。痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
呼吸がつらい。したくない。だけど、しないと死ぬ。
動けない。体が動かない。
内側からの鍵が部屋にかかってるのに、動けないって……
「終わった……っ」
まだ痛かった。
もう、無理なんじゃないか。助けなんて
「蒼くんの手当しないと。咲希、包帯持ってきて。あと塗り薬も一応」
「うん。お姉ちゃんは何するの」
「一応絆創膏とか持ってくる。切り傷が小さいのもあると思うし」
「分かった」
外で慌ただしく動いているのが聞こえた。外からドアは開けられない。窓だって割れにくい構造だし、鍵も閉まっている。入る手段がない。
俺はドアの近くまでどうにかして行こうとした。
「あがっ……」
ベットから落下した。力が入らなかった。
「なんか音した!」
気付いたか。開けないと入れない……俺は開けようと必死だった。
体を床に引きずっていったが、10cmくらいで流血していたことに気付き、結局断念。床に血がついていた。
「蒼くん!」
ドアをたたく音が聞こえる。俺はまた体を引きずって進んだ。少しずつ、少しずつ。
2分ほどかけてドアまで辿り着いた。俺はすぐに鍵を開けた。しかし、俺はもう立てず、その場に倒れた。その音に気付いたのか、ドアが開き、明かりが差した。
「蒼くん!大丈夫!」
「お兄ちゃん、一回ベット行こ」
俺は咲希と有希の肩を借りてベットに戻った。