離れて近づいて ~infinite world~   作:月島柊

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第5話 Ms.Yuki

 言い出さずに戻ってきたのはいくら何でも悪かっただろうか。

俺はまだ昼間なのに、自分の部屋にいた。それは全て自分のせいなんだけど。

ただ教えたくないだけなのに。

俺は気分転換に外に出てみた。

 

「眩しっ」

 

強烈な紫外線が俺を痛めつける。なんで俺はこんなにも紫外線に弱いのだろう。

冬になっても気温は中々下がらず、まだ25℃あった。11月に入ったのに25℃なんてどうかしている。その分、1月や2月は途轍もなく寒い。下がったときだと最高が2℃の日があった。

おっと、こんなことより気分転換だ。

 

「お兄ちゃん!何してるの?」

「ちょっと有希に悪いことしちゃってな。気分転換だ」

「え?お姉ちゃんいるよ?」

 

咲希に会ったと思ったら有希もいたのか?だったら、今すぐにでも謝ろうかな。

 

「蒼くんっ」

「あ、有希。ごめん、急に帰ったりして」

「もう気にしてないよ。なんかあったんでしょ?相談してもいいのに」

 

有希は俺にぎゅっと抱きついたまま言った。

 

「あ、有希……じゃあ、いいかな」

「うにゅ」

 

俺は有希に相談した。

 

「俺、いつの間にか『双剣』ってスキル手に入れてるんだけど、これ、攻略組の1人が持ってるらしいんだ」

「攻略組って、ゲームに沿わない行動をしてもダンジョンに登るっていう?」

 

有希も存在は知っているらしい。

 

「そう。それで、その人の顔は誰も見たことがない。だから、俺が使ってると疑われるかもしれない。だけど、有希たちを守るには必要なスキルだ」

「だから悩んでるの?」

「そういうこと」

 

有希は俺の目を見つめて言った。

 

「今、2つの武器使えるじゃん。それでいいよ。守るのは。それに、気付かれて、疑われても蒼くんを味方だと思ってる人はたくさんいるよ。サーバー1位なんだから」

 

有希は俺の頭を撫でて言った。有希っていつから俺を守れるようになったんだろう。救われた気がした。

 

「……ありがとう、自信が持てたよ」

「いいよ。蒼くん」

 

有希は胸に俺の顔を埋める。安心できる環境だ。

 

「お姉ちゃん、色仕掛け?」

「違うっ!安心させてるの!」

「じゃあ私もっ」

 

咲希が反対側から胸を押しつける。柔らかい…じゃなくて、なんだこの状態は。

 

「絶対咲希は色仕掛けでしょ」

「違うもーん、安心させてるもーん」

 

いや、咲希は色仕掛けだ。絶対。

というか、いつまで俺を胸で挟んでいるんだ。

 

「有希、咲希、離して……」

「あっ、ごめん!」

 

有希と咲希はさっと離れた。俺は有希の手を掴み、手を揉んだ。

 

「揉んでる?」

「あぁ、さっきくっついてて思い出したんだが、有希って手強くないんだな」

「ゲーム内では指が怪我しないように保護してるし、力は入れてないし」

 

なんか心配性みたいになっちゃったけど。

 

「そうなんだ…」

「いつまで触ってるの」

 

有希が笑いながら言った。

 

「あ」

「無意識?ちゃんと愛してよ?」

 

ああ、無意識だった。

って、ん?最後なんて言った?「ちゃんと愛してよ」って言ったか?いや、もしかしたら「ちゃんとしてよ」かもしれない。

 

「愛してくれないと泣いちゃうからね」

 

聞き間違いじゃないらしい。

 

「愛しますよ。そこまでいわれたら」

 

俺は有希に微笑んだ。

 

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