離れて近づいて ~infinite world~   作:月島柊

6 / 11
第6話 first meeting

 仮想世界で出会った、武器屋のテグリス、パーティーメンバーの美菜、サキ。この人たちは現実世界であったことがない。仮想世界でしか会ったことがないのだ。

有希の来ているところは同じだから分かるが、他のプレイヤーがどこからログインしているかなんて分からない。というか、もっといえば美菜とサキが現実世界で女性なのかすら分からない。テグリスは多分男性だろうけど。

そこで、俺は近くの居酒屋で、「第一回、infinite worldオフ会」を開催することにした。

参加メンバーはさっき挙げた3人と俺と有希。5人だけだが、十分だろう。

そして、俺は早速会場に向かった。最寄り駅は横浜線成瀬駅で、俺は東海道線で横浜まで行き、横浜線で成瀬なで。有希は用事で小岩に行っていたため、新宿まで総武線で移動し、小田急で町田、町田から横浜線で成瀬まで来ていた。

20時頃、全員が集まり、オフ会は始まった。全員社会人で、特に驚いたのは……

 

サキが妹の咲希であったことだ。

 

「咲希、お前だったのかよ」

「ごめーん。お兄ちゃん」

「来るとき会ってなかっただろう」

「だって相模線と小田急、横浜線で来たんだもん」

 

会わないためか。

 

「あ、私は多分この中だと遠いかも。上大岡で、ここまでブルーラインと横浜線で来てるので」

 

美菜だ。

 

「まず、本名知りたくないか。俺は影山蒼。こっちが影山有希、それで影山咲希」

「私二野美波。よく『にの』って呼ばれてる」

「俺は高橋健二だ。仮想世界の名前はなんとなくだ」

 

みんな優しそうな人だった。

 

「おう、俺は流山市に住んでてな、ここまでは流鉄流山線の流山から馬橋までいって、そっからずーっと小田急まで来て、町田で横浜線だ」

「私と代々木上原から一緒だったよ」

 

有希が言った。

 

「そうだったな!」

 

健二は相変わらず大きく強い声だ。

 

「健二、筋トレかなんかしてるのか」

「俺はジムのトレーナーだからな!当然さ!」

 

ジムのトレーナーなのかよ。だからその筋肉。

 

「美波ちゃんは何の仕事してるの?」

「デザイナー。多くはお店のロゴとかなんだけどね」

「すごいじゃん。どんな店なんだ」

 

俺は美波に聞いた。

 

「ペットショップとか。今は確か町田と飯田橋にあるんだけど、店舗によってロゴが違うから楽しかったよ」

「いいなぁ、絵心がないからなぁ」

 

有希が羨ましそうに言う。

 

「有希ちゃんは何の仕事?」

「電車の情報処理。機械は苦手だから、たまに蒼くんに教えて貰ってる」

「情報処理かぁ。すごいなぁ」

 

初めて言われた。

あ、帰る時間決めないと。

 

「みんな何時に帰らなきゃいけないんだ」

「最終でいいから、22時半だ」

 

健二は遠いからそんなもんだろう。

 

「23時半くらい。東神奈川から歩き」

「私たちも同じ電車かな」

「そうだな。23:44の東神奈川行き」

 

咲希と俺、美波は同じ電車だった。

 

「今日は小岩のお友達の家に泊まるから、23:32の電車」

 

みんな帰る時間はバラバラだな。

 

「あ、待った。もうちょっと長くいれそうだ」

「なんで」

「流山じゃなくて南流山から歩くんだ!運動にもなるしな!」

 

相変わらず運動なんだな。

 

「すみません、唐揚げ5人分」

「いいの?お金とか」

「山分けか?」

 

そうすると1人4000円前後になるが。

 

「えっと……」

「冗談だよ。俺が払う。月に100万とか無駄に貰ってるからな」

「太っ腹だな!蒼!」

 

健二が俺の背中をたたく。

 

「強い!」

「大丈夫?蒼くん」

 

美波が俺の背中をさする。

 

「健二、強いよ」

「あっはっは、すまんな」

 

反省してるのか?別にいいけど。

 

「あっ、そういえば、次いつみんな行ける?仮想世界」

「俺と咲希は次の土曜と日曜」

「私も土日」

 

健二はカレンダーをバックから取り出して、指でなぞりながら言った。

 

「しばらくは行けるな。武器屋をやってるのもあるが」

「私は土日」

 

みんなが集まれるのは土日ってことか。

 

「あっ、グレープ酒2つ!」

 

有希は店員さんに言った。2つって、咲希もかな。

 

「俺レモン酒でいいや。健二たちは」

「俺はビールだな!」

「私、グレープソーダ」

「お酒嫌いなの?」

 

子どもっぽい身長だけど、絶対言ったら怒られる。

 

「うん。小柄なのもあると思うけど」

 

自分から言っちゃうのな。

 

「小柄でかわいいじゃんっ!小動物みたい」

「え、そう?」

 

嬉しそう。美波は有希に頭を撫でられながら照れている。

 

「はっはっは、美波たちは仲がいいんだな!」

「あ、俺たち仲良くない?」

「そんなわけないだろう!相棒!」

 

相棒なんて、俺は言った覚えがないんだが。

 

「あー、はいはい」

「そうだ!明日、店に来れるか」

「ん?行けるが」

「少し手伝って貰いたいことがあってな、明日午後手伝ってほしいんだ」

 

なんか武器の関係でもやるんかな。

 

「いいぜ。明日な」

「そうだ。待ってるからな」

 

俺は健二と唐揚げをつまんだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。