Fate/OURSTOЯY
第1話
運命の夜
それは目の前の少年に差し迫った刹那だった。
その刹那こそ……自分のマスターとなる人物へと向かう槍。
それをアルトリアは弾き飛ばす。
そして、彼女はマスターにこう問いかけた。
アルトリア:問おう、あなたが私のマスターか?
あっけに取られているのだろうか、少年は何も答えない。
しかし、彼女はこう続ける。
アルトリア:召喚に従い参上した。これより我が剣はあなたと共にあり、あなたの運命は私と共にある。……ここに契約は完了した。
そしてしばらくして……
アルトリア:(あのバーサーカー……確かヘラクレスといいましたか)
アルトリアはバーサーカー……ヘラクレスと対峙していた。
バーサーカのマスターであるイリヤスフィール・フォン・アインツベルン……彼女はサーヴァントの真名を明かした。
聖杯戦争において、自分の真名を明かすのはとてつもない不利である。
それを自ら明かすのは以前呼ばれた聖杯戦争で戦ったイスカンダルのような豪傑さか、もしくは今回の初戦で出会った小次郎のような吟味を持つ『サーヴァント』が常だ。
マスターがそれを看過するほどの度量を持つか、またはそれを抑えられないほどの度量しかないか。
イスカンダルのマスターが後者だったことをついぞアルトリアは知ることはなかった。
アルトリアの直感はある程度なら相手の性格を見抜くのだが……
ウェイバーという少年の本質を見抜くには接点が少なすぎた。
なので切嗣もアルトリアの見解を宛にできず、
結果としてウェイバーが生き残ることになったのだ。
だがマスターが自ら真名を明かすことは前例がなかった。
つまりそれだけヘラクレスという英霊に自信があるということなのだ。
そんなこんな説明をしている内に、アルトリアはヘラクレスの猛攻を抑え切れず傷を負う。
ダメージフィードバックは軽めに設定してあるが、それでも『武剣武人』が『プレイヤー』として感じる痛みは画鋲が手に刺さったほどである……
要するに結構痛いのである。
とはいえそれで『彼』の記憶が甦ることもないのだが。
衛宮士郎:セイバー!
傷ついたセイバーを見かねて、士郎が割って入る。
それを見たイリヤスフィールは、つまらないと捨て台詞を吐いてどこかへと消えていった。
アルトリア:(結果的に助かりましたが、自分の身を平気で投げ出すとは……)
アルトリアも王の責務として身を投することはあった。
だが、士郎はマスター……つまり司令官である。
自分の役目すら分かってないのは流石にどうなのかと思ったアルトリアだが、ともかく士郎を家まで運ばんとする。
だが、そこには見覚えのある女性と見覚えのない女性が居た。
アルトリア:アイリスフィール……?何故あなたが生きているのです?
アイリスフィール・フォン・アインツベルン……ホムンクルスである彼女の寿命は短い。
その娘であったイリヤスフィールが前線に出る年齢となっている以上、彼女は生きていないはず。
だからアルトリアがそう問いただしたのも無理はなかったのである。
続く