TSロリおにいちゃんといもうとちゃん   作:まるまるみー

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かわいさ全振り


おもち

 それは、いつも通りの朝の事でした。

 

 いつものように、いもうとちゃんがフライパンの上でソーセージと卵を転がし、おみそ汁をぐつぐつあたため、天気予報のお姉さんの今日の化粧の乗りを確認してから、おにいちゃんを起こしに行った時のことです。

 

「おにいちゃん、朝ですよ。部屋に入りますよ」

 

 いつものように、お寝坊さんなおにいちゃんの部屋をこんこんとノックして、扉を開き、ベッドでこんもり小山を作って眠りこけているおにいちゃんの布団をはぎ取った時のことです。

 

「おにいちゃん、朝ご飯できてますから。早く起きないと遅刻しちゃいます……え?」

 

 いつものように、おにいちゃんが眠っているはずのそこにいたのは、

 

「んうー……、いもうとちゃん、おはようございます、です。……ふあ」

 

 ベッドの上で、赤ん坊のように丸まり、こぶしでぐしぐしと眠たげに目をこすり、のんびりふわわとあくびをしているのは、

 

「……どうしたんですか? いもうとちゃん、そんなに目をまるくして」

 

 さらさらボブの黒い頭のてっぺんに、ぴょこんと一房のアホ毛を生やしているのは、

 

「……なんか、いもうとちゃん、いつもよりでっかくねーですか……?」

 

 おにいちゃんとおそろいのぶかぶかのパジャマを着た、いもうとちゃんよりも二回りほど小さな女の子だったのです。

 

 

 

 

  TSロリおにいちゃんといもうとちゃん

   -おもち-

 

 

 

 

 ベッドの上で目をぱちくりさせる女の子は、おにいちゃんのベッドで寝ていて、おにいちゃんと同じパジャマを着ていて、自分のことをいもうとちゃんと呼びました。いもうとちゃんは思います。

 

 おにいちゃんがTSした。

 

 話が早くて助かります。

 

 しかしおにいちゃんはどうにもにぶいようです。辺りをきょろきょろ見回し、いつもと微妙に違う視界の答えを求めていもうとちゃんに伸ばした手が、ぶっかぶかのパジャマの袖の中にあることに気づき、不安げに引き出したそれが幼女のぷにぷにしたおててになっていることにひょええと声を上げ、自分の喉から出たなんとも可愛らしい声にもひょええと驚いています。

 

 寝起きとは言え、どうにもおにいちゃんはIQが低いようです。やはりアホ毛に知能を吸い取られているのでしょうか。それともTSした時に、体と一緒に脳みそも小さくなってしまったのでしょうか。恐ろしい話です。はたしてTS前後で脳の構造が変わってしまったとき、それは同一人物であると言えるのでしょうか。自己同一性への疑念。自我の証明。紀元前から連綿と続く、果てしない哲学の世界に通じる扉の向こうで、アリストテレスとプラトンがおにいちゃんを興味深そうに見つめています。

 

 しかし彼らはこのお話には関係ありません。扉は閉めておきましょう。あくまでいもうとちゃんとおにいちゃんのお話なのです。忘れましょう。

 

 なかなかにコミカルな動きをするおにいちゃんに、いもうとちゃんはため息をつきました。はわわわと口に手を当て震えているおにいちゃんを放置して自分の部屋から手鏡を持ってくると、おにいちゃんに突きつけます。

 

「ほら、おにいちゃん。おにいちゃんは今こんなんになってるんですよ」

 

 目の前に突き出された鏡に映るのは、いかにもアホっぽい女の子でした。おにいちゃんが手をかざすと、鏡の中の女の子も手をかざします。ピースをすればピースが、下手くそなウィンクをすれば下手くそなウィンクが返って来ます。じゃんけんをすると、5回連続であいこになりました。そこでおにいちゃんはようやく、自分がその女の子だと気づいたようです。せめて3回くらいで気づいて欲しかったものです。

 

 おにいちゃんはまじまじと鏡を見つめ、そして、

「なんじゃあ……こりゃあ……」と言いました。安易なパロディはやめろ。

 

「これが今のおにいちゃんなのですよ。おにいちゃん、受け入れてくだせえ」いもうとちゃんはおにいちゃんの肩を叩きながら残酷な真実を告げます。

 

「そうか……おにいちゃんはおねえちゃんになっちまいましたか……」

「なっちまいました」

「まあ、なっちまったもんは、しかたねーですな……」

「しかたねーですね」

 

 そう、仕方が無いのです。可逆TSではないので、元に戻ることはありません。人生諦めが肝心です。おにいちゃんも話が早いようでなによりです。

 

 おにいちゃんは目をつむり、何かを噛み締めるようにふーと鼻から息を吐くと、両手で頬をぱちんと叩き、きっと目を開きました。(実際はとろんと垂れ目ぎみなのですが、おにいちゃんの名誉のために、黙っておきます)

 

「……いもうとちゃん、おにいちゃんはアレがやりたいです。TSしたらまず最初にやるアレです。なので、部屋を出て行ってくれませんか」

 

 おにいちゃんの目には決意の炎がともっていました。いったいアレとはなんなのでしょうか。

 

「アレとはなんでしょうかおにいちゃん」

「……すみません。いもうとちゃんのような、いたいけな女子には言うわけにはいかないのです」

「そんな説明では納得できませんよ、おにいちゃん」

「後生です、いもうとちゃん。アレは一人でやらねばならないのです。いもうとちゃんにアレをしてもらうなんてことがあれば、おにいちゃんは一生顔を上げて生きていくことが出来なくなってしまいます。」

「そんなに、大事なことなのですか」

「ええ。このゆるふわになっちまったおにいちゃんが、たしかにおにいちゃんであったことを、証明するのです。TSモノでは避けて通れぬ儀式なのです」

「……そこまで言うのであらば、いいでしょう。私は下で朝ごはんを並べておくので、できるだけ早く下りてきてくださいね」

「ええ、それほど時間はかかりませんゆえ。……かたじけねーですよ、いもうとちゃん」

「お気になさるな、兄上どの」

 

 いもうとちゃんはおにいちゃんとこぶしをぶつけ合わせ、部屋を後にすると、キッチンに戻って朝ごはんの準備を再開しました。そして少し焦げ目のついたソーセージと卵をお皿に乗せ、おみそ汁をおわんに注ぎ、ほかほかのご飯をお茶碗に盛り付けた、その時でした。おにいちゃんの声が響いてきたのは。

 

「マグナムが……おにいちゃんのマグナムはどこに……!」

 

 慟哭でした。

 いもうとちゃんは無言で手を合わせました。

 

 きっと、別にマグナムではなかったと思います。

 

 

 ◇

 

 

 いもうとちゃんがお皿をテーブルに並べ終わる頃、てってこてってことおにいちゃんがリビングにやってきました。ぶかぶかのズボンは脱ぎ捨て、上のパジャマだけを着ています。小さくなった体のため、それでちゃんと下半身まで隠れているのでひわいは一切ありません。おてての出ない袖越しに、いもうとちゃんのエプロンをぐいぐい引っ張っている辺り、ロリの強味を理解しているのでしょうか。なかなかしたたかなおにいちゃんです。

 

「いもうとちゃん、この体に合う服がねーです」

 

 違いました。

 

「ふむ……。まあ、いいんじゃないですか。可愛いですよ、袖余りロリ」

 

 あごに手を当てておにいちゃんを見下ろしながら、いもうとちゃんが言います。わたしもそう思います。

 

「ですが、これではあなたのおにいちゃんが痴女になってしまいますぜ。上はともかく下のズボンが欲しいですよ。いもうとちゃんの小さい頃に着ていた服とか、ねーんですか?」

「ないですね」

 

 即答でした。本当はあります。しかしいもうとちゃんは嘘をつきました。いい判断です。だぼだぼの服を着た、下半身がすっぽんぽんのロリは可愛いものですから。それに、ここから着替えシーンを挟むというのも面倒ですし。

 

「せうですか……」

 

 がっくり肩を落とすおにいちゃん。そんなおにいちゃんのほっぺに、いもうとちゃんが手を伸ばしました。

 

 ぶにー。

 

「はえ、なにを……いひゃい、いひゃいですよ、いもうとちゃん」

 

 ほっぺを引っ張って来るいもうとちゃんの腕を、おにいちゃんは必死につかんで引きはがそうとします。が、所詮は無駄な努力です。体格で負け、筋力で負け、愛しいいもうとに手を上げることのできないおにいちゃんに勝ち目はありません。10:0(じゅうぜろ)です。バランス崩壊のクソゲーです。

 

 ぐにぐに、ぷにぷに、ぶにー。

 

「あー、あー、はな、はなせー」

 

 腕をぶんぶんふり回し、袖でべしべしいもうとちゃんを叩くおにいちゃん。しかし、そう言われて放す人などいるでしょうか。おにいちゃんもテレビで警察24時を見て、止まれと言われて車を止める暴走ドライバーなどいやしないことを理解しているはずです。名古屋なのです。いもうとちゃんは止まりません。

 

 いもうとちゃんは、おにいちゃんの柔らかなほっぺを好き勝手に弄びながら、思います。

 

 ――食べちゃいたい。

 

 はたしてそれはどういう意味なのでしょう。森の獣的な意味の食べちゃいたいなのでしょうか。快楽天のビースト的な意味の食べちゃいたいなのでしょうか。どちらかというと後者な気がしないでもありませんが、このお話はR-18ではありません。そういう趣旨のお話ではないのです。いえ、森の獣的な意味のハンニバルレクター的な食べちゃいたいも、それはそれでR-18なのですが。

 

 ともかくいもうとちゃんの目に潜む、刃の様に鋭い眼光に気づいてしまったおにいちゃんは、ぶるぶると震えだしました。俗に言う、マナーモードというやつです。眠そうなおめめに涙を浮かべながらおにいちゃんは言います。

 

「お、おにいちゃんは、いただかれても、おいしくねーですぜ……?」

 

 どうやらおにいちゃんのただでさえ低い言語能力は、さらに低下しているようです。恐怖は人を容易に狂わせます。

 

「おにいちゃんより、いもうとちゃんのお作りいたした、あさげの方が、美味ですぜー……?」

 

 ぐにー。

 命乞いのかいも無く、おにいちゃんのほっぺがもちもちと引っ張られます。まるでおもち。

 

「お、おにいちゃんのほっぺは、おいしくねー……。いえ、いいです、いもうとちゃんが、おにいちゃんを食したいと言うのであれば、もう構わねーです。それならばそれでいいのです。愛するいもうとちゃんの願いならば、おにいちゃんはいいのです。ええ、ええ、おにいちゃんはいもうとちゃんの血肉となり、悠久の時を共に過ごしましょう。ブッダも虎にその身を食わせたと言います。おにいちゃんも、彼にならいましょう。……さあ! ……できれば痛くない方向でおねげーします」

 

 おにいちゃんは抵抗を止め、引っ張られているほっぺたをいもうとちゃんに向けました。それは悲壮な覚悟でした。

 

「いえ、食べませんけど。遊んでないで、早く朝ごはんにしますよおにいちゃん」

 

 が、いもうとちゃんは手を放し、さっさと椅子に座ってしまいました。

 

「あえー……」

 

 赤くなったほっぺをさするスカされたおにいちゃん。そんな様子を見て、歪んだ笑みを浮かべるいもうとちゃん。

 

 二人の間にあるものは、きっと形は違えど同じ愛なのでしょう。

 

 

 

 

 うまいことまとめられなかったことを突っ込んでくるやつは、おにいちゃんと同じ目にあわせてから、ころす。

 

 





続きは未定です。
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