死亡フラグが倒せない(BY転生者)短編集 作:かりん2022
それは、些細な運命の悪戯だった。
たまたま、本当にたまたま、なんとなく自分と甚爾君の名前を検索してポチポチしてたら出てきてしまったのだ。
『呪術廻戦の続きが読みたい。続きが見られない絶望』
『呪霊が不味すぎるのと理子ちゃんと後輩死んだのと忙殺されてノイローゼになる夏油きゅん可哀想可愛い』
『ミミナナと夏油お母さん尊み』
『クリスマスイブに夏油キュンがゴジョサトに殺されるシーンめっちゃ尊い。推せる』
『メロンパンに脳味噌くり抜かれて身体乗っ取られる夏油きゅんが可哀想可愛い』
『夏油キュンを利用してゴジョサト封印するメロンパン許すまじ』
『最強コンビの友情映画化まだですか?』
『甚爾君しか勝たん直哉君可愛い』
『甚爾君大好きすぎて恵や同じ天与呪縛の真希に噛み付く直哉くんチワワかわいい』
『メロンパンナに翻弄される腸相可哀想可愛い。九相図兄弟はめっちゃ推せる。最オシはやっぱり腸相。その次に主人公かな』
『主人公のフェロモン出てんじゃね―か説は受けたな―』
『主人公が宿儺に乗っ取られて暴れた跡で泣くの可哀想可愛い』
『禪院家全滅は悲しみ』
『東京全滅して続きどうなるんだろ』
『あんな女刺されれば良いのにって言いながら女に刺されて死ぬ直哉キュンチワワ可愛い』
『メロンパンに細工されて復活させられて従うか首括るか悩む直哉きゅん可哀想可愛い』
『裏梅に人肉料理無理やり食わされる直哉きゅん可哀想可愛い』
『可哀想可愛い夏油キュンと可哀想可愛い直哉キュンがくっつくのは正義なのでは!』
『はぁー。直哉きゅん可愛い。ふたなり真希×女体化直哉キュン推せる』
『むしろ真希にハーレム作って欲しい。真依と直哉と釘崎。はい可愛い』
『続き読みたい。二次創作でも良い』
「なんやこれ。きしょくわる」
ぞわっとたった鳥肌をおさえて、僕は悩んだ。
そうして、電話を取り出した。
「悟くん!」
『何、直哉。今忙しいんだけど』
「なんや、僕、変なのにストーカーされてるかも」
『は?』
「僕のこととか僕の周囲のこととか、意味不明なこととか、気色悪いこととか、シャベッターに書かれとって、とにかく気持ち悪ぅて怖いねん」
『だっさ。術者が何を怖がってるんだよ』
「悟くん、一緒に調べてくれへん? 依頼するから」
『は? なんで僕が。あー、写真送れる? 暇な時に見とくから』
「おおきに!」
写真を送る。勇気を出して電話してよかった。別に自分一人で対処しても良いのだが、悟の顔が思い浮かんだのだ。憧れの人に助けてもらえるというのはとても嬉しい。夏油のことも書いてあったし、取り組んでくれないことはないと思う。
ちょっとドキドキして携帯を抱きしめていたら、連絡が来た。
『直哉、URLも送って。今すぐ』
「もう見てくれたん? チョット待ってな」
一旦電話を切って、URLを送る。
電話が来た。
『直哉。これ、ちゃんと調べるから身辺に注意して。いや、東京校に来てもらおうかな。詳しく話せる?』
「たまたま今、見つけただけで、詳しくも何もないんやけど……調べてくれるん?」
『最強の僕に任せて。……僕に相談してくれてよかったよ、直哉』
「安心やな! 良かったー。あっでも僕も調べるよって。とりあえず東京に向かわせもらうわ」
『いや、直哉は東京校にしばらく滞在してくれればそれでいいよ。守るから』
「……ええの?」
まさかここまで優しい言葉を掛けられるとは思わなかった。
『直哉も怖かっただろ? もう大丈夫。あ、一応真依も連れて来といて。真希と真依と直哉は犯人が捕まるまで休んでればいい。あ、この事は伏せておいたほうがいいな』
「そうさせてもらうわ」
うわ、なんかふわふわした気持ちや。
うれしなあ。五条 悟にここまで優しくされたん、初めてちゃう?
僕はふわふわした気持ちのまま、真依を連れて東京へ向かうことにした。
夏油 傑が一派を連れて現れ、ピリピリした空気の中。
「宣戦布告さ。お集まりの皆々様!」
ジリリリリリン!
「あっ 直哉からだ。悪いね傑」
手短に済ませようと電話を取る。
『悟くん!』
「何、直哉。今忙しいんだけど」
『なんや、僕、変なのにストーカーされてるかも』
「は?」
頭が真っ白になる。直哉をストーカーとか、随分と気合の入った犯人である。
『僕のこととか僕の周囲のこととか、意味不明なこととか、気色悪いこととか、シャベッターに書かれとって、とにかく気持ち悪ぅて怖いねん』
「だっさ。術者が何を怖がってるんだよ」
『悟くん、一緒に調べてくれへん? 依頼するから』
「は? なんで僕が。あー、写真送れる? 暇な時に見とくから」
『おおきに!』
電話を切って、写真を見る。
「なんか、直哉がストーカーされて怖いから助けてくれって。お、写真来た」
「は?」
「は?」
思わず夏油と真希が声を上げる。
ストーカーされるのも信じがたいし、怖がるのもありえない。
「……傑。その宣戦布告ってクリスマスイブだったりする?」
「先に言うなんて酷いじゃないか。まあ、そうだけど」
「ミミナナとかメロンパンとか心当たりは?」
「美々子と菜々子の事かな? メロンパンは知らないね。その写真が関係あるのかな」
夏油は警戒してみせる。
「傑、僕の封印目論んでたりする?」
「なんだい、それは。写真見せてよ」
「チョット待って。シャベッターの写真だから、ちゃんとURLも送ってもらう」
「直哉。URLも送って。今すぐ」
電話を切ると、送られてきたURLをクリック。殺気を出した。
「なんだよ、気になるな。見せろ悟」
「私にも関係ありそうだし、見せてもらうよ」
「いや、傑と真希が読んだらショックかも知れない。直哉が怖がるくらいだし」
「はぁ!? なんて書いてあるのよ! 見せなさいよ!」
奈々子は携帯を奪取して、地の底を這うような声を出した。
「キッショ!! 夏油様は見ちゃ駄目!!」
「な、何が書かれているんだい?」
「絶対見ちゃ駄目! 目が穢れます!! 絶対許せない!」
「見せて菜々子。……殺す」
「私にも見せなさいな。……これは……」
「ラルゥ。私にも見せてくれないかな?」
「駄目よ! 大丈夫、私達が守るわ!」
「……直哉のストーカーじゃないのかい? 私?」
「クリスマスイブに何するつもりなのかは知らないけど、止めといたら?」
「そうしましょう、夏油様!」
「そうね、犯人を捕まえるのが先決よ」
「犯人を捕まえるのも調査もこっちでやる。頼まれたのは僕だしね。精々傑を守ってたら? 傑がメロンパン? って奴に捕まると僕も困るみたいだし」
「っ わかったわ。情報をもらったわけだし、クリスマスイブまでは待つわ。それまでに捕まらなかったらこっちも動くわよ」
「それでいいよ」
「行こう、夏油様!」「夏油様は、私達が守る」
「え? ラルゥ? 美々子、菜々子?」
その間に、五条は再度直哉に連絡をして、真希に謹慎を伝えたのだった。
「待て悟。写真ってどんな写真が送られてきたんだ」
「はい」
五条は携帯を渡す。
「……禪院家にも連絡を入れておけ」
「伏せておけば手札になるかと思ったんだけど? これ、もしかして未来予知が絡んでるよね」
「いや。疑われるのは避けたほうがいい。連絡は入れておけ」
「りょーかい」
朝、すがすがしい目覚めを迎えたら牢屋の中だった。ついでに椅子に縛られていた。なんでや。
目の前には五条悟のコスプレの人。はっ夢か! え? それにしてはリアルじゃない?
「僕の名前は五条 悟。ま、キミは知ってるよね?」
「なんてレベルの高いコスプレ……!」
「……ふぅ。まあ、良いけどね。呪術廻戦って知ってる?」
「もちろん、大好きな漫画ですから!!」
「はぁー……。気が引けるな。悪気はないってことか。その漫画ってどこで連載してるの?」
そこで私は、様子がおかしいと思い出した。
「……五条 悟?」
「そう」
「本物の五条 悟?」
神様!! 呪術廻戦の世界なら初めにそう言って、神様!!
「ね、ネットで見て、でも作者消えちゃって、わからなくて……!! え、嘘。嘘だよね?」
「その作者も、途中で自分が未来予知しているだけだって気づいたんだろうね? で、僕としてはその中身を知りたいんだけど?」
「……!!」
私は雷に打たれたように震えて、考えた。
「助命は」
「うん。それが君の望み?」
「絶対に無理なので。せめて直哉きゅんのリョナ……じゃなくて、お顔をみたいです」
「可哀想可愛いは見せられないかな。握手までね」
「はい。うわああああああああああああああああああああああああああん!!」
「後味悪。じゃ、話して」
私は直哉さんに睨まれていた。
「まず謝ったって」
「ごめんなさい!」
「ほんま最低やわ」
「反省してます!」
「……僕、未来でそんな酷い目に会うの?」
実は本誌派じゃないから、単行本知識とピクシブ知識しかないんだよね。
「でも裏梅に虐められて人肉食べる直哉きゅん可愛そう可愛すぎない?」
「反省がないなー!」
「すみません!! 頑張って良い未来を引き寄せてください、応援してます! メロンパン最強ラスボスだけどきっと直哉キュンなら、直哉キュンなら素晴らしいリョナを見せてごめんなさい!」
「最強は僕だから」
「メロンパンイン夏油キュンが相手じゃなければ最強ですね。ごめんなさい! ごめんなさい!」
「意外と余裕あるね、君」
「だって私、変死確定でしょう?」
「そういうわけでは……あるか」
そして三日後。
私は無事変死した。
私が殺したかったのにとは、夏油様の言である。
原作とは違うルートとなったが、メロンパンは代案を出せるほど賢くて強いので、普通に戦いは続いていくのであった。