死亡フラグが倒せない(BY転生者)短編集 作:かりん2022
私は似非現代日本に転生した。
似非でもなんでもアニメとかあるんだからこれでいいや。
前世でオタクだった私は、今世でもオタクで。
小さな即売会で、キャッキャしながら本を買い漁っていた。
そして、見つけた。見つけてしまった。
会場の端で一休みしている五条悟を!!
「五条悟! 五条悟のコスプレですか!?」
「うん?」
「めっちゃ似てます! スーパー格好いいです! あ、動画撮っても良いですか? 僕、最強だからって言ってほしいです!」
「うーん? なんでコスプレ? あと、撮影はちょっと困るかな」
「あ、そうなんですか? 残念……私、最強コンビめっちゃくちゃファンなんですよ。お互いが最強であるが故に、敵対させられるっていうの? そういうの、すごい胸が締め付けられちゃって! まず初めに夏油傑を壊して、五条悟に殺させて、脳みそを入れ替えて、夏油傑で五条悟を倒すっていう、その手順がもうぐぬぬっていうか! 五条悟が夏油傑を殺すところも美しかったですけど、獄門疆封印の、ほら、メロンパンに乗っ取られた夏油傑が、ハロウィンの渋谷に現れて、それでびっくりした五条先生が過去を思い出してる間に封印されちゃうところで二人の絆にキュンキュン来るっていうか! 両面宿儺が指十本一気飲みで渋谷壊滅させて絶望する虎杖悠二もインパクトあったけど、でもでもやっぱり五条悟ですよね! 主人公五条先生じゃないのっていうか! 映画すっごく良かったですよね、見ました!?」
「……何の話かな?」
「え? それはもちろん、アニメの……」
そこで私は顔を青ざめさせる。この人怒ってない? なんで? まさか。
「違いました!? 五条悟のコスプレじゃなかった!?」
「それ、なんてアニメ?」
聞かれて、私は紹介しようと携帯に文字を打ち込む。
「えっと……あれ? あれ? 出ない……」
そして、私は更に顔を青ざめさせる。前世であったアニメじゃん!!
「ご、ごめんなさい。なんか夢で見たアニメと勘違いしてたみたい」
私は慌てた。やっば夢ってなによ。通報される。 よく見れば、あの人道端で休んでただけじゃない?
会場の隅とは言っても、微妙に会場の外だったわ。全然関係ない通りすがりの人? やらかした!
「あ、あの。その、すみません」
「いや。興味あるな、その夢。話してよ」
「すみません! すみません! だ、だって目を隠してるから、これはもう五条悟だって、えと、すみません!! ナンパ目的ではなかったんです、信じてください!!」
私はもう半泣きだった。だってこの人、めちゃくちゃ怒ってる。
スゥッと深呼吸して、その人は言った。
「ごめんね。ちょっとびっくりしちゃって。随分変わった夢を見るんだね」
「あの、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
べしょべしょと泣きながら謝る。
「参ったな。甘い物でも奢るからさ。泣き止んでよ」
そこで、私は近くの喫茶店で甘いものをご馳走になった。
パフェ! 私は笑顔になった。
「架空のアニメなんて夢に見るの?」
「は、はい。割と」
「どんなストーリー?」
聞かれて、私は呪術廻戦について話した。本当に根掘り葉掘り聞かれてしまった。
そうです、GLGことGTGは格好いいんです!
「それ、本当に夢?」
「ええ、そうですけど」
「他に夢を見たりする?」
私は、こっちの世界で確認できなかったアニメなどについて話した。
だが、これはちょっと話したらはい次、って感じで興味を持ってもらえなかった。
話し込んでいる間に、辺りはすっかり暗くなってしまった。
「わ、真っ暗。私、そろそろ帰りますね」
「さて。君に残念なお知らせとすごくいいお知らせがあります。いいお知らせから行こう!」
「?」
「ナナミンに会えるよ!」
「ナナミンではありません。七海です」
七海さんのコスプレの人が現れた!
「うっわナナミンそっくり!! 凄い凄い! え? じゃあやっぱり呪術廻戦あったんじゃないですかぁ!」
「あ、そうくる?」
七海さんのコスプレの人は頭を抑える。
「まーいいや。呪術廻戦のコスプレパーティするから、いっしょに来ない?」
「良いんですかぁ!?」
「良いよー。今から伊地知のコスプレした人も来るから」
「うっわ楽しみ!」
車に乗ってウキウキして、寝ちゃって、起きて、私は学校の校門を見た。
「ついたよー」
「う、うわー。リアルなセットだぁ」
「そだね。ここで実写の映画撮るの」
「せ、セット壊したら怖いんで帰ります……」
「悠仁に会わなくていいの? 主人公だよ?」
「それは会いたいですけど」
「メンタル強いですね」
「その、一つ言わせてもらっても良いですか?」
「いいよ、何」
「コスプレ会場はずるいやん!」